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「新しい電波利用制度の提案―――リース・オークションによる再配分」(論文)「電子社会と市場経済」(ITME)『ディスカッションペーパー』 No.108、2003年4月、29pp.; 『第19回情報通信学会大会における研究発表概要』、2002年6月、15pp.。

[概要]

最近になって電波の利用範囲が急速に広がり、他方で新しい周波数帯の開発が限界に達したため「電波資源の不足」が言われるようになった。電波はこれまで政府が一元的に管理し、原則として使用料ゼロで使用免許を出してきたが、余裕があった時代を反映して電波の利用効率に大きな差が生じている。また免許が半自動的に更新されるため電波ユーザに既得権益を生じ、政府による電波再配分の試みも遅々として進まない現状にある。 本論文は、電波利用に市場原理を導入してその制度を根本的に改革し、電波の利用効率を改善することを提案する。まず電波に「使用料」を導入し、使用料をめぐるオークション(リース・オークション)によって、電波資源を競争的にユーザに配分する。ただし実際の利用においては、電波の継続使用の必要も大きい。市場競争による開かれた利用と、継続利用による事業の安定性という矛盾する要求をバランスさせるため、本論文は「調整策付きリース・オークション」という制度に加え、「周波数保険」の導入を提案する。さらに政府が「裁量や政治的圧力」でなく、リース・オークションや周波数保険の結果として得られる電波の価値に基づいて長期的な電波再配分を実施するための制度を提案する。なお最近において新しい技術を活用する「電波共用(電波コモンズ)」が提案されているが、本論文はその機会費用を明らかにして有効利用を実現するため、これを公共財の形式で供給する方策を提案している。 なお、本論文の「調整策付きリース・オークション」は現行制度と大きく異なっており、電波使用料ゼロの現状から電波使用に市場価格が適用される状態に一挙に移行するコストは極端に高い。この点を考慮し、本論文はその最終節で、現在の制度から「調整策付きリース・オークション」制度への段階的移行、すなわち電波使用料を年々少しずつ引き上げる移行方策を提案している。

[キーワード]

電波、電波資源、周波数帯、周波数資源、周波数帯の不足、無線局免許、周波数分配、周波数割当、電波資源の再配分、リース・オークション、入札、競売、周波数帯利用料、所得調整

[発表概要]

  ワード文書: [PDF 50KB] (10/12/2002)

  パワーポイント: [PDF 370KB] (スライド81枚)(10/12/2002)

[全文]

  ワード文書: [PDF 288KB]

[その他]

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Hajime Oniki
ECON, OGU
12/27/2010
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