TRIZフォーラム: 学会参加報告(20):
第4回 TRIZシンポジウムの紹介    
日本TRIZ協会 (NPO) 主催、
2008年 9月10日〜 12日、ラフォーレ琵琶湖 (滋賀県守山市)
中川 徹 (大阪学院大学)
 2008年10月26日; 11月21日
  (詳細英文) (和文概要) [掲載: 2008.10.26: 11.21]

For going back to the English page, press: 

編集ノート (中川徹、2008年10月26日)

英文のTRIZ Forumのページに下記の記事を掲載しました (2008.10.26)。

"Personal Report of The Fourth TRIZ Symposium in Japan, 2008" (Toru Nakagawa, Oct. 26, 2008)

この記事は、日本におけるTRIZの公的な活動を海外に積極的に紹介するために、敢えて中川個人の文責で記述したものです。私はこのような学会報告を、TRIZの主要な国際会議 (米国のTRIZCON、欧州のETRIA TFCなど) および日本でのTRIZシンポジウムについて書いてきています。その趣旨は、例えば前回のTRIZシンポジウムの紹介を参照下さい。

詳細を英文で記述しており、プリントするとA4 約65頁になります (PDF版 65頁、4.2MB)。

通常は、2〜3頁分の和文要約を作成していますが、今日はこのリンクページだけにいたします。

11月5日〜7日にオランダでETRIA TFC 2008 が開催され、私は論文を発表せねばなりません。その出張前に、なんとか英文でTRIZシンポジウムの報告を掲載しておきたいと思い、掲載にこぎつけました。和文要約作成はETRIA からの帰国後にいたします。(追記しました。下記参照下さい (2008.11.21))

英文ページの目次

1. シンポジウムの概要
2. シンポジウムを組織する (少しの前史を含めて)
3. 基調講演
4. 特別講演とチュートリアル
5. TRIZの方法論
6. 企業における適用事例
7. 企業へのTRIZの導入
8. 大学および教育におけるTRIZの活用
9. 特許に関わる研究およびTRIZのツール
10. 非技術分野への適用
11. その他
12. まとめ
13. 来年の開催予告

 

なお、今回のTRIZシンポジウムでの発表論文/スライドなどの掲載については、現在、以下のようです。

日本TRIZ協会では、基調講演と特別講演を公式サイトに公開することを決定しています。一般発表を公式サイトに掲載するかどうか、また掲載のしかたについては、現在検討中です。

『TRIZホームページ』では、昨年度と同様の方針で、著者との同意を得たものを、いくつか時期を少し遅らせて掲載していく予定です。

 

          なお、来年の開催予告はつぎのようです。 (今回のTRIZシンポジウムの閉会挨拶で発表されました。)  [2008.10.27]

第5回日本TRIZシンポジウム、2009     主催: NPO  日本TRIZ協会

日時:   2009年 9月10日 (木) 〜12日 (土)    (3日間)

場所:  国立女性教育会館  (埼玉県比企郡嵐山町、池袋より東武東上線急行約60分、武蔵嵐山駅下車徒歩12分)  http://www.nwec.jp/


追記 (中川徹、2008年11月21日)  (追加掲載: 2008.11.21)

[1] 英文 "Personal Report" のまとめ部分の和訳  [英文 (2008.10.26)、和訳 (2008.11.21)]

第4回日本TRIZシンポジウム2008 のまとめを書くための基礎として、林利弘 日本TRIZ協会理事長の開会挨拶で示された統計のスライドを引用しておきたい。

(1) シンポジウムにおける最も重要な要素は発表である。今年は、基調/特別講演 3件、チュートリアル 1件、一般発表 43件があった。昨年度に比べて、発表数が顕著に増大しており、またその質も向上していると私は思う。多くの発表がそれぞれの組織において、TRIZを学習/適用/訓練/推進する独自の基盤を持っている。

(2) また、180名という多数の参加者があった。シンポジウム前には、実は、単純な外挿から「200名以上」を期待していた。それは達成できなかった。その理由として考えられることは、(a) 首都圏から遠いことが大きな要因、(b) 産業界がすでに世界の金融危機と景気の減速に敏感に反応しており、派遣人数を抑制したこと、である。それでもなお、日本におけるTRIZの基盤はこの数年着実に成長しており、その活動および活動の質について、飽和/減衰などの兆候は見られない。

(3) 企業および企業技術者たちが主要な参画者であることが、日本のTRIZシンポジウムの最も大きな特徴であり、この点が米国のTRIZCON、欧州の ETRIA TFC、およびロシアのTRIZ Festa と対比して違う点である。この特徴は今回も顕著であった。海外からの企業の発表として、インテル (イスラエル、マレーシア、米国) および SEMCO (Samsung Electro-Mechanical Co.)(韓国) があった他に、多数の日本企業が、オーラルあるいはポスター発表を行なった。すなわち、松下電器産業 (新社名: パナソニック (株))、日立、東北リコー、コガネイ、パイオニア、シャープ、およびコニカミノルタグループである。また注目すべきは、いろいろな企業の人たちが、有志での研究グループに参加して、共著者として発表していることである。そのような形で参加している企業には (上記の各社の他に)、東芝、デンソー、富士通、ソニー、富士ゼロックス、横河電機、住友重工、積水、川崎重工、積水ハウス、ブリジストン、コクヨファニチャ、がある。TRIZはこれらの企業に、(急速にとはいえないが) 着実に浸透しつつある。

(4) 今回のシンポジウムでのもう一つの顕著な特徴は、多数の企業からのメンバが有志で集まって形成した、さまざまなTRIZ研究グループからの発表が増えたことである。そのようなグループを次の表にまとめておく。注意いただきたいのは、三菱総研のユーザグループ (その活動を2007年 3月で停止した) をこの表に含めていることであり、その理由は、これが、TRIZのヒューマンネットワークの源として、日本TRIZ協会自身をはじめ、多数のグループに大きな影響を与えているからである。

  親組織 グループ名 メンバー 活動 備考
a 三菱総研 知識創造研究会

(往時) IM社TRIZソフトの ユーザ企業からの100人余の技術者たち

月例の会合; 
毎年のIMm ユーザグループミーティング (2001-2004年)

1997年発足
。2007年3月活動停止。

b 日本VE協会 関西支部

TRIZ普及/活用研究会

多数の企業からの技術者約 25名

月例の会合

2003年開始。
関西および西日本で活発に活動している

c   創造研究会 多数の企業からの技術者 約20-25名

月例の会合で、討論と演習

2006年発足
d   宮城TRIZ研究会 リーダ 2名、メンバ 数名

グループ活動;
地域の企業への浸透を目指す

2006年5月発足。
宮城県、仙台市で活動を集中

e MPUF (マイクロソフトプロジェクト・ユーザズフォーラム) USIT/TRIZ研究会

活動会員 約 20名;
ネットワーク登録会員 約150名

月例のオフラインミーティング; また、2〜3のWG がオフラインミーティング

2007年4月発足、首都圏

f 日本TRIZ協会 知財創造研究会 会員約 10-15 名 1-2ヶ月ごとに会合 2007年4月発足
g 日本TRIZ協会

ビジネス・経営TRIZ研究会

会員約 10-15 名 1-2ヶ月ごとに会合 2007年5月発足
h USIT トレーニングセミナー (IDEA社) USITワーキンググループ メンバ 6名 2日間セミナー後はメール連絡 一時的なグループ;
2008年3月発足

(5) TRIZの適用分野の拡張が徐々に進んでいる。IT/ソフトウェア分野への適用が日本の企業の人たちに大きな関心がある。松下電器からの実践の発表 (特別講演) がこの点非常に元気づけるものであり、また、現在進行中のUmakant Mishra の本の翻訳プロジェクトがまたこの分野への適用の助けになるであろう。ビジネスおよび経営の問題への適用は、日本においてはまだ予備的段階にある。

(6) 大学におけるTRIZの教育と研究は、日本においては、まだ限られたところでしか実施されていない。これを拡張することは日本において大事なことである。学校教育にTRIZを導入することもまた、われわれが追求すべき大きな課題である。宮西太一郎 (長男)と克也 (父) の発表は、驚くべきもので、勇気づけてくれるものであった。技術者でTRIZに比較的初心であった父親が、中学1年生の息子に、事実を見て発明的に考えることを指導したものである。もし、TRIZに興味を持つ学校の先生たちが得られれば、あるいは、われわれTRIZ実践者たちが子どもたちあるいは中学/高校の生徒たちにTRIZを教える機会を持てれば、TRIZ教育を (あるいはむしろ、TRIZ思想に基づいた教育を) 真剣に始める可能性が開けることであろう。

(7) 海外からは、今回は、発表14件 (基調講演 2件、一般発表 11件、ポジションペーパー 1件) があり、参加者15人 (7ヶ国) があった。このような海外からの発表および参加は、われわれ日本のTRIZコミュニティにとって大いに歓迎すべきことであり、実りの多いことである。われわれは海外から多くのことを学び、多くの影響を受けてきた。これらの海外参加者たちは (事後アンケートなどで少なくともわれわれが知る限り)、このシンポジウムを楽しみ、いろいろな成果を得たと、話している。われわれのシンポジウムの運営方針の、「基本的に国内向け(全国的)、かつ、部分的に (できるだけ多く) 国際的」という方針は、今年もまたすべての参加者たちに、良く受け入れられ、われわれのTRIZの着実な成長の基礎をなしている。われわれは、国際的な部分を徐々に増大させていきたいと考えている。

(8) このシンポジウムを、前述のように「基本的に国内向け(全国的)、かつ、部分的に (できるだけ多く) 国際的」にして成功裏に実施するためには、言葉の壁を克服するためにより多くの努力をしなければならなかった。例えば、英語での広報・案内、ビザ申請の支援、スライドの英語から日本語への翻訳と日本語から英語への翻訳、論文集の日本語版と英語版の両方の作成、セッション中の討論の通訳、などである。今年5月、昨年よりずっと多くの発表申込みを受けたとき、これらの余計に必要な労力がシンポジウム事務局のキャパシティをずっと越えるように思われた。われわれの要請に応えて、日本TRIZ協会の何人かの会員たちがボランティアとしてわれわれを助けてくれた。このようにして、今年のシンポジウムを成功裏に実施することができたのである。これはわれわれに、来年はさらに高い目標をも達成できるという希望を与えてくれた。

まとめると、日本においてTRIZは、着実にかつ堅実に成長しており、さらに新しい多くの分野においてそれを育てていくことが必要である。

 

[2] TRIZシンポジウムの概要紹介 [欧州TRIZ協会 (ETRIA) 総会での発表スライド]

2008年11月5-7日開催のETRIA TRIZ Future 2008 国際会議の最後に行なわれたETRIA 会員総会において、TRIZシンポジウムの紹介を求められ、8枚のスライドで説明しました。いままでの実績と、運営の方針を重点にして紹介しています。別途掲載しました (2008.11.16) ので参照下さい。

 

本ページの先頭 まとめの和訳 ETRIAでの紹介スライド 第4回TRIZシンポ案内 (TRIZ協議会公式ページ) TRIZ協会公式サイト 第3回TRIZシンポ紹介 (中川)和文   英文ページ (Personal Rep. 2008、中川)

 

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最終更新日 : 2008.11.21    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp