TRIZフォーラム: 読者の声: 『TRIZホームページ』満13年おめでとう
イランから、満13年おめでとう!  
           (Mahmoud Karimi、IIITS (イラン))

中国より、「中国におけるTRIZの状況」
          (Xian-yong Zhou (周 賢永)、西南交通大学 (中国))

添付: 「中国本土におけるTRIZの研究と普及:現状と問題点」(中国語)
(Guang Chen (陳 光)、西南交通大学 (中国))

責任編集: 中川 徹(大阪学院大学)

掲載:  2011. 11.13。更新: 2011.12. 5

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  編集ノート (中川 徹、2011年11月13日)

本『TRIZホームページ』の満13年 (11月1日) にあたって、10月28日に更新案内のメルマガを出しましたところ、何人かの方から祝いと激励のメッセージをいただきました。ここにその一部を (発信者の許可のもとに) 掲載させていただきました。なお、海外からのメッセージの原文と詳細は、英語ページを参照ください。

[補足: 2011.12. 3 中川]  中国のTRIZ導入 (一般的には1999年頃) に 先史 (1987年) があるとのことで、著者による補足がありました。日本でのTRIZ導入 (一般的には1996年頃) に、先史 (1972年 アルトシュラーの本の和訳出版) があるのと同様。


  イランから、満13年、おめでとう!  (Mahmoud Karimi (IIITS), イラン)

10月31日に、イランのMahmoud Karimi氏 (2010年の日本TRIZシンポジウムでの基調講演者) から、お祝いのメッセージをいただきました。「11月 1日にIIITS研究所で会合を持つので、そのときに『TRIZ Home Page in Japan』 の13周年記念のバースデイケーキを造り、イランでお祝いをしてあげる」とのことでびっくりしました。

実際、そのときの写真を (11月3日に) 送ってきてくれましたので、ありがたく、ここに掲載させていただきます。同研究所でのTRIZ研修者のフォローアップの会合で、毎月1回開いている会だそうです。本サイトがバースデイケーキで祝ってもらったのは初めてのことで、まことにありがたいことです。Karimi氏は後列右から3人目。

     

なお、今年の12月25-26日に、テヘランで「PSST 2011」 (Problem Solving Strategies and Techniques) 国際会議を開催することにしたとのことです。IIITSがテヘラン工科大学などと共同して開催するとのこと。2006年の「PSST」には中川はビデオ録画の講演をしました。今回も招待を受け、ビデオ録画で講演させてもらう予定です。

2010年の基調講演で彼が話してくれましたように、イランで、新聞、雑誌、テレビ講座、テレビトークショウなどを多彩に活用し、TRIZを大学や企業、そして一般社会の知識人層に浸透させてきているとのことですから、本当に驚きです。よい交流を続けたいと思っています。


  中国からおめでとう! 寄稿: 「中国におけるTRIZの状況」 (周 賢永 (西南交通大学、中国))   ==> PDF

周 賢永氏は、中国四川省成都市にある西南交通大学の先生です。この2年ばかり、私がメルマガを出すたびに、「ありがとう、すぐに見にいきます」との短い返事をくれていました。10月29日にいただいた返信には、祝いと激励の言葉があり、ありがたいことでした。そこで、「中国のTRIZの状況を書いてもらえないでしょうか?」とお願いしましたところ、翌日に届いたのが下記の原稿です。

「中国におけるTRIZの状況」と題する短いレポートですが、状況が非常によく分かります。2007年から中国政府の科学技術省がTRIZを「イノベーション方法」と位置づけて、積極的に導入・研究活動を始め、それが急速に進展しているというのです。英文原稿 (固有名詞に漢字を付加) と、中国語の原稿もいただきました。以下に英文から和訳して、掲載いたします。なお、[ ] 内は、原文ですが、中川個人にあてたメッセージです。
[なお、添付されていた 陳光教授の記事 の掲載許可をいただきましたので、中国語のままですがPDF で添付します。どなたか、和訳いただけますか?(2011. 11.14 中川)]

中国におけるTRIZの状況

周 賢永 (Xian-yong ZHOU)
西南交通大学公共管理学院 四川成都 610031 中華人民共和国
2011年10月31日

和訳: 中川 徹 (大阪学院大学)  2011年11月 7日

    TRIZが中国に紹介されたのは1998年頃であり [注: この文に関して、下記の補足を参照のこと (2011.12. 3 中川)]、数人の研究者たちがTRIZと技術革新に関するいくつかの国際会議に参加したのがきっかけである。1998年から2006年の段階では、少数の大学がこの理論を研究し、TRIZについてのいくつかの論文と本を出版しただけであった。それらの大学は、天津大学、河北工業大学、中国科学技術大学、東北大学、精華大学、(私が所属している) 西南交通大学、四川大学、などである。

    その頃、少数の大学 (例えば、檀潤華教授が指導する河北工業大学のTRIZ研究センタ (http://www.triz.com.cn/triz.htm )) が、TRIZと技術革新についての研修とコンサルティングを企業に対して行い、TRIZに基づくCAI ソフトウェアの開発をした。また同時期に、CAIソフトウェアベンダの Iwint 社も、TRIZの研修とコンサルティングを行なっている。2005年から毎年TRIZのシンポジウムが河北工業大学で開かれてきたが、まだ当時の中国ではTRIZを知る人も組織もわずかであった。

    状況は2007年に大きく変わった。それは、中華人民共和国の科学技術省が、イノベーションの方法、特にTRIZ、に多大の注目をしたからである。2007年には、黒竜江省と四川省とが、イノベーション方法の「パイロット省」として樹立され、これらの2省によって多数の企業が「パイロット企業」あるいは「デモ企業」として選定された。その数年後に、江蘇省、天津市、広東省、その他いくつかの地方も、イノベーション方法の「パイロット省」となった。そして、2008年11月に、科学技術省の管轄下に「イノベーション方法学会 (Innovation Method Society)」(IMS: http://www.chinaims.org ) が創設された。このIMSが設立されてから、中国におけるTRIZ推進のスピードは非常に速くなった。

    この近年、イノベーション方法 (TRIZ) に関する多数の研究プログラムに科学技術省から助成金が出されている。これらの研究プログラムのトピックスは、TRIZの理論開発、TRIZと他のイノベーション方法論 (品質機能展開QFD、公理設計ADなど) との統合、TRIZと技術開発プロセスとの統合、そして、TRIZの企業や諸組織への推進、など多岐に渡っている。現在では、中国の大学、企業、諸組織に属するずっと多数の人々が、TRIZについて研究し、使い、知るようになった。

    そのような人々が互いに交流するための場が、少なくともつぎの3つある。

1.  「イノベーション方法高レベルフォーラム」: イノベーション方法学会(IMS) 主催、毎年11月〜12月に開催。
2.  「中国TRIZアドバンストセミナー」: 河北工業大学主催、毎年7月〜8月に開催。
3.  「海峡両岸イノベーション方法 (TRIZ) シンポジウム」: 西南交通大学と台湾TRIZ協会とが合同で主催し、毎年11月〜12月に開催。

    しかし、これらの学会/シンポジウムはまだ、日本TRIZシンポジウムや ETRIA TRIZ Future Conference (欧州TRIZ協会主催) や (米国の) TRIZCONなどのように国際的ではないので、あなたがたにはあまり知られていないだろう。「第4回海峡両岸イノベーション方法 (TRIZ) シンポジウム」が今年(2011年) の12月26日に黒竜江省哈爾濱(ハルビン)市東北林業大学で開催される。[ついては、あなたに、このシンポジウムに出席して、USIT/TRIZ その他のTRIZとイノベーションに関連するトピックについて、講演してもらえないでしょうか?]

    事実として、われわれは日本のTRIZ研究者としばしば交流してきた。例えば、私の上司である 陳光教授 (西南交通大学公共管理学院長、IMS 理事) は、2009年4月に日本を訪問し、日本におけるイノベーション方法 (TRIZ) の状況を調査した。教授は産業能率大学のTRIZ専門家である黒澤愼輔氏に会い、日本におけるTRIZの発展と推進について同氏から詳細な説明を受けた。その2ヶ月前に、陳教授は「中国本土におけるTRIZの研究と普及:現状と問題点」という記事 (中国語) を公表しており、中国本土でのTRIZの状況をより詳しく紹介している。[その記事をこのメールに添付しているので、興味があれば参照してください。]

    [ハルビンでの第4回海峡両岸イノベーション方法 (TRIZ) シンポジウムであなたにお会いしたいと願っています!また、第7回日本TRIZシンポジウムに関する新しい情報を送ってくださって感謝します!] 

  補足 (2011.12. 3 中川) 周賢永氏の上記記事に対して、東北大学のLUO Lingling 教授よりコメントがあり (11月19日)、周賢永氏はつぎのような補足を書いてきた (11月22日)。LUO 教授もこれで同意している。詳しくは英文ページ を参照されたい。

事実として、アルトシュラーの著作が中国語に翻訳されたのは、遅くとも1987年という早い時期であった。その年に、東北大学の教授であった魏相と徐明泽が、アルトシュラーの有名な本『Creativity as an Exct Science 』を中国語に翻訳した (中国名: 『創造是精確的科学』)。そしてこの本は、1990年に再度、吴光威と 刘树兰とが中国語に翻訳した。この点を考慮すると、TRIZが中国に導入された最初が1998頃であるというは正しくない。ただし、それらの本やTRIZについて知っていた人たちは恐らく極めて少なかったであろう。

しかしながら、中国の状況は日本でのできごと [下記の中川のコメントを参照] と非常に良く似ている。1999年1月になって、TRIZについて紹介する中国語の論文が (「TRIZ」という名前と、その体系を紹介して)、「発明創造的科学方法論」という題名で、『中国機械工程』という雑誌に発表された。その著者は、天津大学の牛占文、徐燕申、林岳らであった。そこで、中国のTRIZ専門家の多くの意見では、TRIZが中国に導入されたのはその頃である。

注: 中川コメント (2011.11.22)  [中国の Luo 教授のコメント (2011.11.19) に関連して、返信。]

1972年という早い時期に、遠藤敬一・高田孝夫が、アルトシュラーの『Algorithms of Invention』の初版 (1969年) を和訳し、『発明発想入門』という題名でアグネ社から出版している。

その本は、当時、発明の方法や創造性について関心をもっていた技術者の人たちに読まれた。当時の日本はそのような分野に関して高い関心があった。現在の日本TRIZ協会の約20人の運営会議メンバの中の2人は、当時この訳本を読んだという。それらの技術者たちはその本に興味を持ったけれども、その後アルトシュラーの仕事に関する追加の情報がもたらされなかったので、25年の経過と共に忘れられていった。(この和訳本は、1998年に日経BP社の『超発明術 TRIZシリーズ』の第2巻として再出版された。)

この意味で、日本では一般に、日本へのTRIZの (本格的な) 導入が始まったのは 1996年であるとみなされている。その年に、月刊誌『日経メカニカル』が、TRIZの紹介記事 (Glen Mazur 執筆) を掲載した。そして、その後、同誌、東京大学畑村洋太郎教授、三菱総合研究所、産業能率大学が、日本におけるTRIZの推進活動を開始していったのである。

 

本ページの先頭 M. Karimi (イラン) からのメッセージ 周賢永 (X.Y. Zhou、中国) からのメッセージ 中国におけるTRIZの状況(PDF) 中国におけるTRIZの研究と普及 (陳光) (中国語) 英文ページ

 

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最終更新日 : 2011.12. 5     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp