TRIZフォーラム: 読者の声
「札寄せ」しながら考える (1) 〜新幹線焼身自殺 [放火] 事件を例に

片平 彰裕、中川 徹

コメント: 長谷川陽一、日野克重、高山直彦、中川 徹
責任編集: 中川 徹(大阪学院大学)

「読者の声」ページの索引ページも参照下さい

掲載: 2015. 7. 7; 更新: 2015. 7. 8; 7.19; 7.29

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  編集ノート (中川 徹、2015年 7月 7日)

今年の1月に、片平彰裕さんの、Webサイト「第一考舎」と図で考えるツール「札寄せ用具」の紹介を掲載しました。私はその便利さに感銘を受け、いろいろな図を作って、例示してほしいと片平さんにお願いしました。本ページはそのメールのやりとりで得られたものを示します。

(1)  「札寄せ用具」の活用例の作成・公表の提案とお願い   (中川、2015. 5.29) 

(2) 「札寄せ用具」の利用例 − 認知心理学の授業ノート  (片平、2015. 5.30)

(3) 「札寄せ用具」の改良版(2.0.6版)の公表    (片平、2015. 6. 5)

(4) 「札寄せ」しながら考える-- 新幹線焼身自殺[放火] 事件に思う     (中川・片平、2015. 7. 7)

皆さんもこの「札寄せ用具」を使ってご覧になりませんか? 具体的には、「新幹線焼身自殺 [放火] 事件」について、お考えになっていること(あるいは、各種の報道)をこの「札寄せ」という方法で表現してみていただけませんか?ご寄稿いただけましたら、順次本サイトで紹介させていただきます。ご寄稿の扱いについては、本サイトの運用方針を参照ください。

  編集ノート追記 (中川 徹、2015. 7. 8; 7.19)

(5) コメント、意見など

長谷川陽一さんから貴重なコメントをいただきました。中川の記述の一部([ ]内)を修正いたします(中川、2015. 7. 8)

日野克重さんからコメント、高山直彦さんからこの事件の考察図式例を寄せていただきあ、片平さん、中川と有益な意見交換ができました。(2015. 7.19)

 

本ページの先頭 札寄せ用具、第一考舎の紹介ページ

(1) 提案

(2) 講義ノートの図 (3) 札寄せ用具の新版

(4) 新幹線焼身自殺事件に思う(図表現)

(5) コメントなど     「読者の声」索引ページ  英文ページ

 


 ソフト「札寄せ用具」と ウェブサイト「第一考舎」の紹介 (片平彰裕) 

『TRIZホームページ』掲載 (2015. 1.18付け) 

 


(1) 「札寄せ用具」の活用例の作成・公表の提案とお願い

 中川 徹 ==> 片平 彰裕 さん     2015. 5. 29夜    提案とお願い

片平様    先ほど、イギリスの Southbeach Modeller のグループから LinkedInの メッセージが来て、「アフリカ象の減少について」の考察の図をデモとして作った と言ってきました。

それを見てふっと思ったのですが: 同様の図を「札寄せ工具」で作ってみていただけないでしょうか?

また、テーマは何でもよいのです。  技術開発の具体的な問題に関するもの、 環境問題、原子力問題、
     少子高齢化、高齢者の生きがい、  安全保障論議、・・・・・

簡単なもので、それでいて論理を整理してくれて、考えを発展させてくれるようなもの、そんなものをこつこつと、沢山作っていただけないでしょうか?

まず一つ作っていただいたら、『TRIZホームページ』に掲載させていただいて、仲間を募るとよいと思うのですが。政治的なものを避けていただいて、お好きなテーマでしていただけないでしょうか? いかがでしょうか?

ご参考: 「Southbeach フォーラム: Southbeach 表記法とモデリング: 紹介・情報交換・評価のページ(2013年)」 

 中川 徹 ==> 片平 彰裕 さん     2015. 5.30     提案とお願い (追伸)

例えば、インタビュー記事とか、質疑応答の記事、討論の記事などをベースにして、それを図で表してみるのが、作りやすく、分かりやすくてよいのかもしれません。

例えば、「TRIZとは何か? FAQ」(中川 徹、2006年)の記事があります。 あるいはもっと短いのが良いかもしれません。

勝手なことを書いておりますが、よろしくご検討ください。

 


(2) 「札寄せ用具」の利用例 − 認知心理学の授業ノート

 片平 彰裕 さん ==> 中川 徹     2015. 5.30     返信、 札寄せ用具の更新予定、授業ノートの作図例

中川先生  気にかけていただき有難うございます。 

札寄せ用具は、来週の月曜(6/2)にバージョンアップした2.06版を、第一考舎に載せる予定です。
変更用具を使わなくても、本体だけで札や囲枠の変更をある程度できるようにしました。 ちょっとした変更ですが、自分の使い方では、かなり便利になりました。

さて今回のお話ですが、『TRIZホームページ』でSouthbeach Modellerについて、知ろうと 思っています。理解には時間がかかりそうです。 ちょっと見たところ、単なる作図ツールではなく、図にリンクしたコメントを保存したりできるようですね。 図を読み取って自動的に論理の流れを出力したりできるのでしょうか。  

一方、札寄せ用具は単なる作図ツールですから、論理を追うのは書いている人が自分で 考えることになります。論理だけでなく直感を働かせるために図を描くこともよくやっています。 人に見せる図を描くことは少ないのですが、その場合は、札寄せ用具で描きながら、骨格を 固めてから、エクセルの描画ツールかパワーポイントで味付けの装飾をしています。

「簡単なもので、それでいて論理を整理してくれて、考えを発展させてくれるようなもの、」とは、なかなか難しいお題ですね。 是非チャレンジしたいと思いますが、今すぐには、いいテーマを思いつきません。 テーマ探しに少し時間をかけてみようと思います。

とりあえず、放送大学で受講中の認知心理学で記憶に関する章を、授業メモとして 図にしたものを添付します。 この図は、「技術開発の具体的な問題に関するもの、環境問題、原子力問題、  少子高齢化、高齢者の生きがい、安全保障論議、・・・・・」といったものとは違うので、 時間をかけてご期待に沿えるテーマを探そうと思います。

また、目処が立ったらご連絡いたします。 片平

 中川 徹 ==> 片平 彰裕 さん     2015. 5.30     返信

返信いただきありがとうございます。 この認知心理の図は、創造学会の小橋さんに見ていただくと、 いろいろコメントくださるのでしょうね。

「札寄せ工具の使い方、効用」といった意味では、文章と図とがペアで示されるとよくわかるように思います。
素材とした文章 ==> 図 ==> 発展した理解の文章  
というトリオが示されると、きっともっと説得力があるでしょう。 よろしくお願いします。

 


(3) 「札寄せ用具」の改良版(2.0.6版)の公表

 片平 彰裕 さん ==> 中川 徹     2015. 6. 5     札寄せ用具の更新

札寄せ用具は、今週の月曜(6/2)にバージョンアップした2.06版を、第一考舎に掲載しました
 
 [MS Excel のマクロを片平さんが自作して拡張したもの。解説。無償ダウンロードできます。(中川、2015. 7. 7)]

札寄せ用具のバージョンアップについての説明を、添付します。 「PDF」と「テキスト+JPG3種」ですが、使いやすい方を使って頂ければと 思います。もちろん適切に修正して頂いて構いません。


なお、 「アフリカ象の減少について」 の考察の図のようなデモ図については まだ時間が掛かりそうです。   片平

 


(4) 「札寄せ」しながら考える-- 新幹線焼身自殺 [放火] 事件に思う

 片平 彰裕 さん ==> 中川 徹     2015. 7. 7    「札寄せ」しながら考える-- 新幹線焼身自殺 [放火] 事件に思う

中川先生 先日の(日本創造学会主催の研究会)クリサロ (クリエイティブサロン)では、アドバイスを頂きありがとうございました。

とりあえず、先生のメモを札寄せ用具で描いてみました。

[注: 中川のメモは、7月4日に、片平さんに話しながらこの図の形に走り書きしたものです [片平さんが、それを札寄せツールで清書下さいました]。この事件での一つの側面だけを書いております。実際に、多数の人を巻き込み、一人の方が亡くなられ、さらにもっと重大事故になる危険がありました。そのような面は記述できておりません。(中川、2015. 7. 8)]

そして、それを参考に私も別のシートに描きながら、 心理面で彼が我にかえることが出来ていれば、 あの事件は、防げたかもしれないと思いました。                      

[編集ノート(中川、2015. 7. 7): 「札寄せ用具」の使用例として、片平さん作成の Excel ファイルをダウンロード可能にしました。
特別なソフトの導入は必要でなく、このExcel ファイルを、上記説明のようにすぐに操作できます。また、上記の図の記述事項の出典(毎日新聞、東京新聞、東スポ、読売新聞の各Web版)をこのファイルの第3シートに一覧表示してあります(片平作成)。]

 

 中川 徹 ==> 片平 彰裕 さん     2015. 7. 7    返信   [注: 更新を[ ] 内に記します(中川、2015. 7. 8)]

札寄せ用具の図を拝見しました。 [問題解決のための表現法として] 面白い [方法] ですね。良くわかりますね。

その後のいろいろな報道をこの図に盛り込んで発展させていくと大変興味深いと思いました。 いろいろな人に見せて、それぞれの人の考えを表現してもらう、 表現してみると、非常によくわかりますね。  それぞれに日付と出典、図の作成者などを明示していくと、[よい] のではないでしょうか。  

「新幹線のセキュリティを厳重にすることが必要だ」といった方向での報道がなされたりしますが、(それも書き出してみると [いろいろと考える材料になる]でしょうが) [そのようなアプローチで今回のような事件を無くせるとも思えませんから、問題を解決する(問題を起こらないようにさせる) という目的には]、[私には] 本末転倒 [だと思われます]。個別の事例の中に、日本の社会の根底に広範に関わっている [問題点] が 鮮明に表れてきますね。 ありがとうございます。

来週の香港出張の用意で忙しくしていますが、片平さんのこのツールと この図をできるだけ早くに、『TRIZホームページ』に掲載できるとよいと 思っています。 掲載を許可いただけますよね?    とりいそぎ

 


 

 中川 徹  『TRIZホームページ』に掲載 (2015. 7. 7)  & 更新案内送付 (2015. 7. 7)  

 TRIZフォーラム: 読者の声:  「札寄せ」しながら考える〜新幹線焼身自殺事件を例に (片平彰裕、中川 徹)  (2015. 7. 7; 7. 8)

今年の1月に、片平彰裕さんの、Webサイト「第一考舎」と図で考えるツール「札寄せ用具」の紹介を掲載しました。私はその便利さに感銘を受け、いろいろな図を作って、例示してほしいと片平さんにお願いしました。
6月初めに片平さんから、利用例として「認知心理学の授業ノートの図」、そして、「札寄せ用具」の改良版(2.0.6版)の公表の案内を得ました。

さらに、6月30日に起こった「新幹線焼身自殺事件」について、私の簡単なメモを図にしていただき、片平さんが各種の報道を取り入れて作られた図を受け取りました。興味深く、よくわかる図的表現です。ショッキングな事件であり、現在の日本社会の問題が根底にあり、多面的に考えるべきことと思っております。

皆さんもこの「札寄せ用具」を使ってご覧になりませんか? 具体的には、添付のExcel原図ファイルを使って、この事件を巡ってお考えになっていること(あるいは、各種の報道)をこの「札寄せ」という方法で表現してみていただけませんか?ご寄稿いただけましたら、順次本サイトで紹介させていただきます。

 


(5) コメント、意見など

 長谷川陽一 さん ==> 中川 徹   2015. 7. 8   コメント

中川先生 おはようございます。 長谷川です。

札寄せの件ですが、 焼身自殺の”動機”推測・見える化例は あらゆる犯罪に適用できる例ですね。 どの事件も、 「様々なタイミングで 事件を未然防止できた可能性があった」 と言わざるをえないと思います。

そして、多くの事件に共通する背景が ありますよね。 貧困、虐待(←これすら 背景は貧困の場合が多いかもしれません)、不当な差別、 といったあたりでしょうか。

ふだんも 刑事裁判で ”動機”の解明は熱心にされていていますが、酌量の度合検討→量刑決定 には使われていますが、  背景にある問題の解決に向けた動きに なかなか繋げられていない、と 今回 気づきました。

ホームページに載せられた因果連鎖図の中に、 巻き添えとなった女性の死を記入するのがいいと思いました。

今回の事件は、 被害に遭われたご本人・ご遺族・ご友人にとっては 非常に面白くない話であって、 その無念・怒りを供養するためにも、因果連鎖図に女性の死を明記して、 「今後、(今回の事件の背景も含めて)  あらゆる問題の因果連鎖を見える化し、連鎖の途中の様々なポイントで対策案を立てる という活動を推進する。」 と宣言されるのが 先生の真意に近いのでは? と勝手に思いました。

「面白い」という文字だけが書かれていると、大きく誤解される恐れがあると思います。もし自分が遺族だったら 反射的に怒ってしまいそうな気がします。 今からでもいいので、 「”問題解決という観点では” 面白い」 という風に 追記されるか、 面白いという文字を削除されては いかがでしょうか?  [-- 面白いという言葉を 完全に消して 別表現にするのがよさそう・・・ と思うようになってきました。(2015. 7. 9 長谷川)]  

 中川 徹 ==> 長谷川陽一 さん、読者の皆様    2015. 7. 8 

長谷川陽一様、メールで貴重なコメントをいただきましてありがとうございました。書いてくださっていることは、尤もなことであり、中川の配慮が足りなかったと反省しております。いくつかの点を、昨日掲載の情報を抹消しないで、修正させていただきます。

一番大きなことは、この事件の名称を、「新幹線焼身自殺事件」でなく、「新幹線焼身自殺放火事件」とすることです。自分だけでの焼身自殺ではなく、多数の人を巻き込んで死なせる可能性が高く、車両の運行にも大きな問題を起こし、さらに不測の大事故になる危険性も本人は分かったうえで、この事件を起こしています。その新幹線内での放火で、実際に一人の方が亡くなり、多数の重軽傷者を出し、車両の火災と運行の混乱を引き起こしました。

焼身自殺と放火という事件を、71歳の男が起こした。生活苦と不満がその主要動機になっている。高齢化しつつあり、またこの20年近く低所得層が増えている現在の日本社会には、同様な、あるいはさらに深刻な状況にある人々の数は、非常に多いと推測される。日本の社会の大きな問題が根底にある。これらのことがこの事件のショックを大きくしているのだと思われます。

いろいろな問題とその関連を明確にし(誰もが分かるように表現し)、その問題点を一つ一つ解決していく努力をしていかなければならない。TRIZも、さらに、「創造的な問題解決のための一般的方法論(CrePS)」も、技術の問題だけでなく、社会の問題にも向き合っていく必要があると思っています。「札寄せ」という方法とそのツールは、このような問題の明確化(見える化)に有効なものであると思っています。それを例示していきたいと思っている次第です。

皆様のコメント、ご意見、図の例示、などのご寄稿をお願いいたします。

 


 日野克重 さん ==> 中川 徹   2015. 7.11   コメント  安保法制問題とTRIZ

ごぶさたしております。いつもTRIZのお知らせありがとうございます。

いま話題の安保法制問題をTRIZあるいはそれに類する手法で扱うと どのようになるものでしょうか?
以上ふと思いついただけですので、単にお読み捨ていただければ幸いです。

 中川 徹 ==> 日野克重 さん   2015. 7.11  返事 安保法制問題とTRIZ

お久しぶりです。お元気ですか。

TRIZで扱うにはあまりにも大きい問題ですね。

それでも、この片平さんの図的表記を積み上げると随分と明確になるのだと思っています。

自分の(図の作成者の)考えを書き出すことは、いろいろな批判の可能性を考えると、そう簡単にはできません。 しかし、立場を明確にしてきちんと書いている人の文章を使ってその文章を図的に表現することは、客観的にできるだろうと思います。  

それらのベースになるものをまず多数作ってみる、そして、基本的な意見が近い人々のものを、統合することを考える。
そのつぎに、意見の対立する部分での、それぞれの主張をきちんと噛み合わせて、図示していく。  

このような過程を踏むと、単に言葉での討論とか、文章の読み比べとかより以上の、もっと明確な討論と考察ができるだろうと思います。

直接に「各人の意見を書いてみてください」というのは、政治的な問題はもちろん、社会的問題の場合にはデリケートなことがありますので、このような、一見回り道だけれども、きちんと積み上げられる方法を使うのが良いのでないかと思います。一度やってみるとよいと思っています。   

今回の新幹線焼身自殺放火事件についても、そのような意味で、公表されている主要な意見(あるいはレポートなど)をまず記述する、そのうえで自分の考察を進めるという順番にするのがよいと思っています。

ご示唆を受けて、考えたことです。 とりいそぎ

 


 

  高山直彦 (島津製作所) さん ==> 中川 徹   2015. 7.16   寄稿  新幹線焼身放火事件の図解

いつもお世話になっております。 「札寄せ」を使ってみました。こんな使い方で良いのかアドバイスください。

個人的な感想として、一人KJ法には有効で、頭の整理になる一つの方法だと思います。  

今回の問題ですが、マスコミが情報提供できるのは センセーショナルの所だけで、本質的に何が問題で、それをどうするか、 対策の優先順位はどうなのかといった点が欠けているように思います。  

年間1億5千万人の乗客が利用している中で、起きた1件について、 問題となっていますが、確率的なことを考えると、製品の故障率とは 比べ物にならないほど小さなものであり、JRの苦労の賜物かと思います。海外での、高速鉄道の採用競争の中で言えば、改めて安全なシステムを 提供しているものと思います。

 

 中川 徹 ==> 高山直彦 さん  (CC:  片平 彰裕 さん)   2015. 7.16  返事 

「札寄せ用具」の事例を新幹線の「焼身自殺放火事件」に関して作っていただきありがとうございます。

「一人KJ法には有効で、頭の整理になる一つの方法だと思います」 とのこと、その通りのように思います。

ただ、(1) この図的表現は、「KJ法ではない」とツール作成者の片平さんは言われるのだろうと思います。
(2) 事実や考えの関連を表している。各矢印がどのような関連を表すのか、原因・結果、影響、参照、あるいは対立などと違う関係があるのなら、その違いが分かるように書くのが誤解されないために必要かと思います。
-- 片平さんにCCで転送させていただきますので、片平さんどうぞご意見を下さい。

この事件の報道を、7月9日の段階でインターネットで調べてみましたが、大分忘れ去られているのに近くなっていて驚きました。林崎という人には、いろいろな面があり、庶民の典型としての紆余曲折があり、その人間性、生活、絶望感など、が報道の断片から垣間見えます。人々の生活の苦しさ、特に国民年金だけで生活する人たちの老後の問題は、非常に大きなことと思いますが、そのような関連でこの事件の背後を論じている報道がほとんど見当たりませんでした。今週中にもまた調べないと、どんどん記事が消えて行ってしまうように思います。あるいは週刊誌などの報道の方が情報が多いのかもしれません。

いろいろな人の考えが、文章に比べて、この図的表現には簡潔に表わされるように思います。そんな例を作ってみることが、いろいろな目的に役立つだろうと 思っています。

高山さんの図と高山さんの感想を『TRIZホームページ』に掲載させていただけますでしょうか?なお、高山さんご自身では、この図は、「報道されていることを表現した」 のと、「自分の考えを表現した」のとのどちらに(どれほど)近いのでしょうか?

とりいそぎ (ICSI2015出張中の香港のホテルにて)

  高山直彦 さん ==> 中川 徹   2015. 7.17   返答

[掲載に関して] はい、結構です。

[図の性格に関して]  自分の考えを表現しています。報道そのものが、偏りを見せているように 思いますので、一般的に
   公共の場で自殺をしたくなる衝動にかられるのは何か?(黄色) と  
    上記の衝動を仕組みで抑えるとしたら何ができるか?(青色) 
と考えました。

 片平 彰裕 さん ==> 高山直彦 さん、中川 徹   2015. 7.17 返答 

高山様、中川先生:  札寄せ用具に関心を持って頂きまして、ありがとうございます。 中川先生の図からスタートして、私の図、長谷川様のコメント、そして高山様の図と議論が 進むことを体験できて、ありがたく思っています。

更に高山様は、札寄せ用具を使用して札寄せをされたとのこと、札寄せ用具の作者として 大変うれしく思います。

さて、中川先生から以下のように投げかけられた2点について、私の考えをお伝えします。

(1)   私はKJ法を正式に教わったことがなく、KJ法について意見を言える立場では ありませんので、あくまで個人の見解です。 高山様がKJ法の「データをして語らしめる」という精神と手順で今回の図を 作成されたのであれば、この図はKJ法のA型図解ということだと思います。 出来上がった図を見て、作図した本人が、「データが語っていること」に気づくのが、 KJ法ではないでしょうか。

もし、札を配置するときに、「原因と結果」とか「目的と手段」で並べようなどと意思を 持って並べたなら、私がやっている「札寄せ法」に近いのだと思います。 こちらは、思うように色々と並べ替えてみながら、作業途中であっても何かに 気づくというものです。

(2) 表現については、図の目的によると思います。 他人に見せることが目的の図であれば、そのとおりだと思います。 もし自分が考えるための図であれば、自分が分かれば、気にしなくていいと 思っています。

 高山直彦 さん ==> 片平 彰裕 さん、中川 徹   2015. 7.17 返答 

安直に「KJ法」という言葉を使って申し訳ありません。 KJ法を真面目にやっている人からは、突っ込まれるかとは思いますが、 通常ポストイットを利用して並べ替えなどをして、島をつくったりするのを KJ法と呼んでしまいました。

この札寄せでやった結果を見ると、因果関係によるまとめをしているので、連関法と言われるかもしれません。  

この道具は、名前にこだわらずに目的によって使い分ければ良いとの片平様の ポイントが重要だと思います。  

私自身、複雑な問題に対して「XXを使ってまとめよう」という考えでやって、うまくいったことの経験がありません(演習のような形での題目は別です)。 現在、問題をまとめようとか、解析しようとして時に利用しているのが、マインドマップですが、この札寄せの道具と並行して利用できるのではないかと思います。 

 片平 彰裕 さん ==> 高山直彦 さん、中川 徹   2015. 7.17 返答 

返信ありがとうございます。

>  「この道具は、名前にこだわらずに目的によって使い分ければ良い」との片平様のポイントが重要だと思います。
そのように使っていただけると、うれしいです。

私も、問題を抱えた場合には、ひとつの方法にこだわらずに、いろいろな方法を 使って考えることが、頭を刺激して、答えに気づくことになると思っています。

 


 中川 徹  (所感)  2015. 7.19  

7月15-17日に香港で ICSI 2015 (International Conference of Systematic Innovation) があり、USITとCrePSの「6箱方式」について、チュートリアル(3時間)と基調講演(1時間)をして来ました。簡潔で一貫した問題解決プロセスをを構成し、それが使えるのだと、話してきました。もう一人の基調講演者がDarrell Mannで、6年ぶりに会い、いろいろと話すことができ、大いに有益でした。

Mannは、「現在本当に解きたい問題は、すべて、輻輳した(Complex)問題であり、それをどのようにして(USITが扱っているような)個別の基本的な問題に絞り込めるのか。そして、もともとの輻輳した問題を少しずつ解決していけるのかが大事なことだ。自分はそのための新しい方法を切り開こうとしている。(具体的には、PanSensicという方法を開発しつつある)」といいます。私自身は、「6箱方式」によって「思考の世界」での方法を確立すること(それによってTRIZを始め多数の問題解決方法を統合すること)にまず注力してきたわけですが、Mannは「6箱方式」でいう「現実の世界」での方法の新しい開発に注力してきているわけです。

海外出張から帰ってきて、「安保法制案」が衆議院で強行採決されたことを知りました。先週日野さんが言っておられたように、こういった大きな問題にTRIZ(あるいは、中川のCrePS/USIT)がどのように向き合えるのかは、やはり真剣に考えなければならないと痛感した次第です。今回の「札寄せ」法が、輻輳した問題を考えるための、素朴だけれども、だから広い応用力がある、一つの大事な方法だと思っています。できるだけ時間を作って、図式を積み上げてみようと思っています。


 中川 徹 ==> 片平 さん、高山さん、長谷川さん、日野さん   2015. 7.19 お礼

皆さま 、 「札寄せ」しながら考えるというテーマで、ご意見、ご寄稿いただきまして、ありがとうございました。
今日、このページだけを更新しました。ご確認ください。全体への更新案内は、いまはせず、後日、他のものをも掲載しますときに一緒にする予定です。 とりいそぎお礼まで  

 中川 徹 ==> 片平 彰裕 さん   2015. 7.20  提案と依頼     「(比較的短い) 文章を札寄せで図的に表現する」

[札寄せ用具 2.0.6版について] 更新いただいたリンクで、正しくダウンロードできました。 ありがとうございます。
中川は、[ブラウザとして] Firefox を使っています。昔からのオープンソースの流れを汲み、Microsoftの独占にならないための、ささやかな抵抗です。

ところで、
(1) しっかりした文章があった時に、それを札寄せツールを使って図的に表現する方法を考えてみたい(教えていただきたい)と思っています。
(2) 例えば、論文のアブストラクト、社説、論評、論文などで、比較的短いものからから始めて、後では少々長いものまでを考えます。

(3) まず、原文を持ってきて、それを一文ずつに自動的にばらした形で、Excel ファイルにする。−具体的にどうするのが、よいか?
(4)  この各文を札寄せの札に変換して、まず自動的にシーケンシャルに並べる、

(5)  各札を必要に応じて、分割し複数の札にする。
(6)  複数の札を適当に、島にしたり、枠で囲んだりする。
(7) 各札の関係を矢印で示す。
(8) 全体構成を考えて、大きな単位で配置を考える。

上記の(5)(6)(7)(8)は、適当な順序で組み合わせながら、自分が行うことを想定していますが、そのそれぞれで、うまい札寄せ用具の使い方がありましたら、コーチいただけないでしょうか?

また、適当な文章(論文のアブストラクト程度) を選んで、やってみせていただくことができるでしょうか。途中経過を残しながら実行し (シートをコピーしてから一段階の修正をする)、目に見える形にできないでしょうか?

自分の論文概要などでも、図的表現をしてみると、よい点も悪い点も見え、論理が明快になる、-- といったことを実証できないでしょうか。 また、いろいろな人の考え方を明示して、議論を明確にできる、といった実践例を作れないでしょうか?

自分でやりたいことがいろいろありますが、いま手一杯で、片平さんにまず教わりたいと思っております。 よろしくお願いいたします。

 

==> この提案&依頼 を 片平彰裕さんが実際に例示くださいました。別ページに詳しく掲載します。

「札寄せ」しながら考える (2)〜 (短い)文章全体を「札寄せ」で図示(見える化)する」: 中川 徹、片平彰裕 (2015. 7.29)

 

本ページの先頭 札寄せ用具、第一考舎の紹介ページ

(1) 提案

(2) 講義ノートの図 (3) 札寄せ用具の新版

(4) 新幹線焼身自殺事件に思う(図表現)

(5) コメントなど     「読者の声」索引ページ  英文ページ
 
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最終更新日 : 2015. 7.29    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp