TRIZフォーラム: 読者の声

読者の声 (2016年10月〜11月)

長谷川 陽一、貞廣 哲、吉田 義史(住友化学)、伊藤 孝道、中川 徹;
池田 昭彦、原田 明夫、前川 恒久、鳥居 達生、朽津 耕三、伊藤 武彦、中川 徹

責任編集: 中川 徹(大阪学院大学)

海外からの読者の声は英文ページを参照ください

「読者の声の索引ページ」も参照下さい

掲載: 2016.11.12 ; 更新: 2016.11.13; 12.27

Press the button for going back to the English top page.

  編集ノート (中川 徹、2016年11月11日) 

読者の皆様から折に触れていただいた感想・ご意見を、まとめて掲載させていただいているページです。お寄せいただきました通信に心より感謝いたします。

簡単な表形式で紹介させていただきます。

2016. 9. 3 長谷川 陽一 『下流老人』を「見える化」した冊子を読んで
2016. 9.29

貞廣 哲;  中川 徹

6箱方式の「思考の世界」における 言葉とイメージ
2016. 9.29  --------------------- 『TRIZホームページ』更新 ------------------
2016.10.12 吉田 義史(住友化学); 中川 徹 化学、材料開発の分野でのTRIZ
2016.10.19  --------------------- 『TRIZホームページ』更新 ------------------
2016.11. 8 伊藤 孝道; 中川 徹 『下流老人』、札寄せによる「見える化」
2016.11.12  --------------------- 『TRIZホームページ』更新 ------------------
2016.11.14 池田 昭彦; 中川 徹 大学での授業、Darrell Mannの教科書(原書)の入手法
2016.11.14 原田 明夫; 中川 徹 「自由・平等・博愛」。「平等」は「基本的人権」の基礎、「倫理」の中核、「倫理」が第0原理。
2016.11.15 前川 恒久; 中川 徹 データの採り方。「工夫はたのしい」。小中学校の生徒さんの統計グラフ全国コンクール。
2016.11.16

鳥居 達生; 中川 徹

「高原利生さんの矛盾の統一の方法はすごい」、共生の必要。一体型矛盾という考え方の大きさと深さ。「見える化」の意義。
2016.11.23  --------------------- 『TRIZホームページ』更新 ------------------
2016.11.28  --------------------- 『TRIZホームページ』更新 ------------------
2016.11.29 朽津 耕三先生 (東京大学名誉教授); 中川 徹 「レポートの作り方・書き方」
2016.11.29 前川 恒久 上司から教わった「レポートの作り方」
2016.11.29 伊藤 武彦 短信
 
本ページの先頭 谷川陽一 貞廣 哲 ホームページ更新(2016. 9.29)

吉田 義史

  ホームページ更新(2016.10.19) 伊藤 孝道        
ホームページ更新(2016.11.12) 原田 明夫 前川 恒久 鳥居 達生 ホームページ更新(2016.11.23) ホームページ更新(2016.11.28) 朽津 耕三 前川 恒久    

「読者の声の索引ページ」

英文ページ

  長谷川 陽一 さん  ==> 中川 徹   2016. 9. 3    『下流老人』の「見える化」の冊子を読んで

いただいた冊子を一通り拝見して、私なりに問題を整理してみました。

@ 生活保護費は、健康で文化的な生活を送れるだけの額を支給する。

A 生活保護を受ける資格がある人が、確実に生活保護費を受けられるようにする。

B 生活保護の支給基準をわずかに超える収入があるばかりに かえって 実質可処分所得が生活保護者より低くなってしまう、 いわゆるワーキングプア問題をなくす。

C 生活保護に頼らざるを得なくなる人を極力減らす。 (扶助に頼る人をなるべく減らして 自助でいく人をなるべく増やす。)

以上の@〜Cで 問題に漏れはないと思うのですが、いかがでしょうか?

こう見てみると、@〜Bは難しくない問題ですね。
生活保護相当費を国民全員へ配布すれば、問題解消です。 たとえば マイナンバーに銀行口座番号を紐付けて そこへ国からお金を振り込めば事足ります。

問題はCです。 《自助する人が 扶助される人に比べて少ない集団》ほど貧しくなるのは当たり前で、 それは家庭レベルでも/企業内Grレベルでも/企業レベルでも/自治体レベルでも/国レベルでも 同じではないかと思います。

私は、典型的な扶助政策であるヘリコプターマネーを発動して 生活保護相当費を国民全員へ配布することにより問題@〜Bを解決していいと思いますが、
それによって 日本が扶助に依存する国民性になって 自助する人の割合が減ってしまうと、
「稼がないが消費はする」という人が増えることで
貿易赤字増 → 円安 → 輸入物価上昇 → 物価上昇 → 可処分所得減・可処分金融資産減 となって
国民全員にツケが回る、国が全体的に貧しくなってしまう、 と考えます。

輸入に極力頼らずに済む自助の力、輸入品を買う為の外貨を稼げる自助の力、が 国民の生活レベルを全体的に引き上げるために必要不可欠。 私は そう考えます。

では、自助能力を上げるにはどうすれば良いか?
自助能力とは 仕事をできる能力(家事等の日常生活能力を含む)のことで、 おおよそ 目的達成能力・問題解決能力と言い換えてよいでしょうから、
「CrePS (≒ QFD & TRIZ & QE) を身につけることが、自助能力を上げることを意味する。」 と言ってもいいのではないかと思います。 

[編集ノート (中川、2016.11.13):  ホームページの更新案内の準備のためにメールをチェックしていて、本件に返答していないことに気づきました。すみません。長谷川陽一さんからは、本件だけでなく、問題解決・技術開発の方法、特許の考え方、経済政策(特に金融政策)など、広範にわたるメッセージを折に触れていただいており、感謝します。今後も、随時掲載させていただこうと思っております。]

 貞廣 哲 さん  ==> 中川 徹   2016. 9.29    6箱方式の「思考の世界」における 言葉とイメージ  

おはようございます。 過日(2016. 5.16)、先生から頂いた回答について、自分なりにあるアイデアが浮かびました。

中川 徹(2016. 5.16):   私の「思考の世界」という言葉が良くないのかなと思いました。  
これは問題を解決するために、考えを進めていく世界なのですが、 個人の頭の中の世界ではありません。各個人が考えたもの、 あるいはグループで作業しながら考えたものをすべて書き出して、 一歩一歩議論しながら進めていく作業の世界です。 おっしゃるように各人の頭の中では、言葉や文でなく、 もっと直感的に図などをイメージしているでしょう。 それを書き出して進んでいくのだ、といっています。 「CrePS」は、「Creative Problem Solving」の略

先生の6箱方式の3番目の箱と4番目の箱においては、 “言葉”は使わないはずです。 個人の頭の中にある画像のようなイメージの世界です。 もやもやもや〜っとした世界です。それでもず〜っと考えて行くと 大事なところが強く頭に残るようになります。 だから、40の発明原理を適用させたりして“言葉”で考えようとすると 上手く行かなくなる可能性があります。 “言葉”を使用すると“言葉”に引っ張られてしまいます。 例えば、40の発明原理を適用させる場合には、各原理の説明を読んだ後、 個人の頭の中に、 ある画像のようなイメージを描いて考えることが鍵になると思うのです。 先生の6箱方式の3番目の箱と4番目の箱に、 今注目されている深層学習がもしかすると適用できるのかも知れないと ワクワクしてくるアイデアが浮かびました。

深層学習の説明(ウィキペディアより):  特徴量とは、問題の解決に必要な本質的な変数であったり、 特定の概念を特徴づける変数である。 この特徴量を発見できれば、あらゆる問題の解決につながったり、 パターン認識精度の向上や、 フレーム問題の解決につながったりすると期待されている。 この階層的な特徴量の学習が、 ディープラーニングが従来の機械学習と決定的に異なる点である。

何か、深層学習とCrePSとの関係についてコメント頂けないでしょうか? よろしくお願い申し上げます。

 中川 徹 ==> 貞廣 哲 さん   2016. 9.29

メールありがとうございました。 「深層学習」「ディープラーニング」についてはよく勉強できておりません。  

ただ、 Ed Sickafus 博士の、次の論文がご参考になるかと思います。
夢想ヒューリスティックスを用いた潜在意識問題解決 (Ed Sickafus、訳:高原利生・古謝秀明・中川 徹) (2015.7.29) 同Q&A

とりいそぎ

 貞廣 哲 さん  ==> 中川 徹   2016. 9.29

資料を読ませて頂きました。
資料の中に“「構造化、論理化」はコミュニケーションのため”とありましたが、 私もそんな気がしております。“言葉”もどちらかというと 思考のためというよりも、コミュニケーションのためと思います。

その他、 意識⇒潜在意識を夢想と説明されていましたが、 自分の発明を思い出すと、潜在意識というよりは自覚して イメージを描こうとしていたように思うので、まだ理解できておりません。 深層学習につきましてもまだよく勉強できておりません。
概念世界に行って“言葉”を使わず、概念で捉えることが とても大切なのではないか?と思うようになっております。

ありがとうございました。

 


   『TRIZホームページ』更新(2016. 9.29 付け) 

「読者の声(8月〜9月)」(和文:読者4人+中川)、(英文:読者7人+中川)
「下流老人」について思うこと: 厚生年金保険への未加入の問題など(諏訪頼一)
札寄せ用具と図的思考:第3部:「札寄せ用具」の使用実践例:中川が行っている「見える化」のための札寄せ法(中川 徹)

 吉田 義史 (住友化学) さん  ==> 中川 徹   2016.10.12     化学、材料開発の分野でのTRIZ

お世話になります。 突然のメールご連絡にて失礼いたします。

TRIZについて勉強させていただいております。 化学工学の分野では、発泡樹脂に関する事例を先生も例示されております。
材料開発の分野でTRIZを活用された事例等はございますでしょうか? ご教示いただければ幸甚に存じます。

 中川 徹 ==> 吉田 義史 さん   2016.11.11

先月10月12日にお問い合わせのメールをいただいておりながら、すぐに返事をできませず、大変失礼いたしました。

ご質問のように、化学工学でのTRIZの使い方は、随分と明確になってきていると思いますが、化学あるいは材料科学分野にTRIZの考え方がどのように使えるのか/使われているのかは、十分に解明できていない領域であろうと思います。

(1) Web検索で得られる情報の簡単なものは、以下のようです。

[1]   40 Inventive Principles for Chemical Engineering
       Jack Hipple (Innovation-TRIZ, USA), TRIZ Journal  
       化学工学でのTRIZの40の発明原理の簡単な事例リスト

[2]   40 Principles – Chemical Illustrations
       Billy Grierson, Iain Fraser, Ails,a Morrison, Stuart Niven, Greig Chisholm (Ciba Specialty Chemicals)
       TRIZ Journal,  (Jul. 2, 2003)
       Chemistry 全般ですから、化学工学以外の材料科学的な事例も含まれます。

[注: これを和訳&拡張したものが、下記に掲載されています。
    TRIZ40の発明原理事例集(化学分野)、粕谷茂、ものづくり.com サイト内  ]

[3]   12 Principles of Green Chemistry
       Paul Anastas and John Warner (American Chemical Society)    
       これは、12の原理と言っており、TRIZの発明原理ではありません。ただ、この「原理」のリストアップのしかたは、
TRIZの考え方と親近性があり、TRIZが影響を与えているのではないかと思います。(よく調べてみないと分かりません。)

(2) 実は私自身も化学(物理化学)の出身ですから、「化学/材料化学 の分野に TRIZを有効に利用すること」ができないかというのは、私にとっても当初からの宿題でした。   

そのようなTRIZ適用事例の学会発表をあまり知りません。一つ参考になるのは、以下の事例報告です。

[4] TRIZ活用事例 − 造船における船体腐食防止のための新しい コンセプトの開発
Jan. R. Weitzenbock and Stefan Marion (Det Norske Veritas, ノルウェイ)、 ETRIA TRIZ 国際会議、2006年10月 9-11日、コルトレイク (ベルギー)
訳: 長谷川陽一 (富士フイルム)、中川 徹、『TRIZホームページ』掲載 (2007. 5.23)

一つの応用目的での材料科学の方向を具体的に考察しています。

(3) 新しい応用分野に、TRIZの考え方を拡張していくための一つのやり方は、IT/ソフト分野でのやり方が参考になります。   

それは、TRIZの発明原理を(多分野で)一般的に理解したうえで、化学(あるいは材料科学)での基本的な考え方や技術事例を、一般的に(すなわち化学用語よりももう一段一般化して) 記述することです。この記述には、TRIZの発明原理が有用です。   

これをIT/ソフト分野に対して実施し、非常にきれいな形でまとめたのが、Umakant Mishraの本です。

[5] 『TRIZ 実践と効用 (4) ITとソフトウェアにおける 問題解決アイデア集 −TRIZの発明原理で分類整理』
      Umakant Mishra 著、 中川 徹 監訳、クレプス研究所 発行、2014年8月。    
      詳細案内: 『TRIZホームページ』 

化学分野に対しては、上記[3]のまとめ方が参考になるでしょう。   

このような整理をきちんとしてみるとよいと思いながら、自分一人ではできずに18年間そのままにしています。残念なこと、また、社会に対して申し訳ないことです。

----  もっと早くにお返事をするべきことでしたが、ともかくいま 知っていること/考えていることを書き出しました。 一つの手がかり、きっかけにしていただけますと幸いです。

 

 


   『TRIZホームページ』更新(2016.10.19 付け)        [注: この回の更新案内(メルマガ)は出せませんでした。(中川)]

基礎理論: 世界観、生き方、人類の未来のための根源的網羅思考と一体型矛盾(高原利生)
ニュース: Altshuller Institute (米) が、TRIZCON2017 の開催計画を発表。2017年4月4-6日、ネバダ州ラスベガス 

 

 伊藤 孝道 さん  ==> 中川 徹   2016.11. 8      『下流老人』、札寄せによる「見える化」

お礼がたいへん遅くなりましたが、TRIZやCrePSの紹介資料と藤田さんの 「下流老人:...」の内容を見える化した資料をご恵送いただき、ありがとうござ いました。

小生、少子化の問題の原因は、幼児を含めた若年層と老人との間の予算の配分にある と、歪曲して考えていたのに気付かされました。少子化は政治的には老人の貧困の問題と同根です。

「札寄せ」によって、複雑多岐にわたる要因によって惹起されている現象が「見える 化」されるのに感心しました。「見える化」の手法は難しい問題に切り込む切れ味鋭 い、しかも丈夫な刃になりましょう。

小生の祖母は没落した貧乏士族の末裔で文盲でしたが、仕事の進め方を弁慶と牛若丸の話のたとえ話で教えてくれたことがありました。小生は、当時小学1年生で意味が 理解できませんでしたが、「続飯(そくい)(昔は一番強力な接着剤で、家具などを 作るのに使われた続飯(そくい)はご飯をすりつぶして作りました)を作る競争を弁慶と牛若丸がした時に、弁慶はご飯の塊全部をまとめて力任せにしゃもじですりつぶそうとし、牛若丸はご飯をすこしずつ分けてすりつぶそうとした。その結果、牛若丸の方が早く、全部のご飯を続飯にすることができた。」というのでした。昔の庶民の中には、今でいうQCの層別に似た知恵があったのでしょう。

TRIZとCrePSのサイクルの各段階を確実に回してゆくための分析の道具として 「札寄せ」があると理解しました。TRIZとCrePSは、広い範囲にわたる諸問題を対象として解決に導ける方法だと思います。

TRIZの貴ホームページも拝見しましたが、膨大な内容で、しかも今年の10月に更新されているのに驚きました。貴兄の熱意と努力に敬意を表します。

 中川 徹 ==> 伊藤 孝道 さん   2016.11. 8

メールいただき、本当にありがとうございます。

弁慶と牛若丸の話のたとえは私も聞いたことがあります。 「続飯(そくい)」という言葉は聞いたのかもしれませんが、覚えていませんでした。

「見える化」の方法を評価くださり、また、TRIZ や CrePS の方法/考え方を理解いただいていることは、うれしいことです。

QC、TQC、創造性技法、VE、トヨタ方式、それから最近のデザイン思考などのすべてを総合して、それらに関わっておられる方々の力をお借りして、新しいパラダイムでの「創造的な問題解決の一般的な方法(論)」を作っていくことができればよいと願っています。

そのような方法は、社会問題にも、その根底から考え直す力を与えてくれているのだと確信したのがこの1年の成果です。

今週また『TRIZホームページ』を更新する予定ですので、伊藤さんのメッセージも「読者の声」のページに掲載させていただきたく、お願いいたします。 年賀状のやり取り以上の交友ができるのはうれしいことです。

 


   『TRIZホームページ』更新(2016.11.12 付け)    

ETRIA TFC2016 発表: 社会の貧困の問題にTRIZ/CrePSでアプローチする: 人類文化の主要矛盾「自由vs. 愛」を見出した(中川 徹)
『TRIZホームページ』 の 満18年にあたって(中川 徹)。
読者の声 (2016年10月〜11月)

 

 池田 昭彦 (ソニー) さん  ==> 中川 徹   2016.11.14   

「TRIZホームページ」18周年おめでとうございます。 次は19年、そして20年を目標にこれからもご活躍下さい。

私も神奈川工科大学での授業が今年で7年目になりましたが これからも継続して若い世代にTRIZの考え方を伝えていきます。

先生に一つご相談ですが、学生で毎年のように留学生がいます。 そこで私のTRIZの英語スキルを上げる必要性を感じています。 そこでダレルマンの「体系と技術革新」やMat2003の書籍の 英語版を探しているのですが見つかりません。 入手方法をご存知でしたらお教え頂けると助かります。

 中川 徹 ==> 池田 昭彦 さん   2016.12.26

返信をすっかり忘れていて、申し訳ありません。

Darrell Mannの原書は、(もし Amazon.co.jp の洋書で見つからないなら) MannのHPで買うことができます。
URL: http://www.systematic-innovation.com/ 


 原田 明夫 さん  ==> 中川 徹   2016.11.14   

TRIZの進展に大いに期待しています。 人類の社会的理念の課題は、フランス革命以来、「自由・平等・博愛」とされてきま したが、 昨今の国際情勢を見ても、正に大きなものの考え方の転機かもしれませんね。 益々のご発展をお祈りします。

 中川 徹 ==> 原田 明夫 さん   2016.11.21

メールありがとうございました。

最近、粕谷友介著『「自由・平等」への異議申立人は 疎かにされてきた「愛」』を読み、大変参考になりました。

私は、この「平等」という原理は、基本的人権の根底をなすもので、私のいう「倫理」の中心をなすもの、第一原理「自由」、第二原理「愛」(=「博愛」)は その「倫理」をベースにして発展してきているものと考えるのがよいと、思っています。

人類文化は、何度も、沢山の大きな過ちをしていますから、奴隷制や封建制の中で、支配・服従・身分制があたり前で あったために、近代革命で「平等」のスローガンが必要であった。それは、基本的に、「倫理」の明確化であったと思います。

私が考える「倫理」は、「人に危害を加えない」(=>「平等」)だけでなく、誠意とか、勤勉とか、そういった人間性の基に なるものすべてを包み込んだものというのがよいように思います。その意味では、「倫理」が第0原理である、といってよいと思うようになりました。

「自由・平等・博愛」というのが、単に三つの、三方向の目標であるというのでなく、このような構造を持っているのだというのが、最近自分の中で明確になってきたことです。 個人の人格の中で、この「倫理」「自由」「愛」の三者がきちんとバランスを持って育っていく必要がありますし、その中身も人類の文化として発展してきているのだと思います。

同様に、一つのグループでも、一つの企業でも、一つの国でも、これらの三者がきちんと構成され、理解され、実践されていなければならないと、思います。この三者のありようは、まだまだ不明確なのだと思っています。

TRIZでは、矛盾の明確化とその解決ということを考えますが、それと同時に、システムが何層にも階層構造をなしており、それらが歴史的に進化していくと考えています。技術の世界のこの考え方は、社会の問題を考えるときにも有用な ベースになるという考えが、私の中で段々明確になってきました。

社会の問題はこの階層構造がものすごく多重で、沢山のシステムが入り組んでいるために、いろいろなことを分離せずに話してしまっている。それが混迷を深めている。いくつかの主要なレベルのシステムで、三者の原理的な本来あるべき関係を明確にするとよいのだ、と思うようになっています。  

前途遼遠のことを言っていますが、「人類文化の主要矛盾」という捉え方をした以上、少人数で、数年で解明できるはずのことではありません。大きな捉え方と、考える方略を考えるのが、今私がやっていきたいことです。 つい長々と書きましたが、ご助言いただけますと幸いです。


 前川 恒久 さん (日本品質管理学会)  ==> 中川 徹   2016.11.15

おはようございます。いつも楽しい情報をありがとうございます。 本当に急に寒くなったり、昨日のように夏に戻るのかと思えるほど 暑かったりで体調管理が難しいですね。

さて、今回も「工夫はたのしい」を楽しませて頂きました。 実は総務省統計局からの要望で小中学校の先生方に「データの採り方」 を体験的に学ぶための「折り紙」を使った教材を紹介しました。

そこで、 (1) おもしろいことがいっぱい、 (2) よく見て気づく、  (3) なぜだろうと考える、  (4) しくみを学ぶ、  (5) はたらきを知る、 (6) じぶんで工夫する、 (7) りそうを考える、 (8) いろいろな例をあつめよう、 というプロセスに近い考え方を紹介しました。

文部科学省が示している「アクティブラーニング」の事例をとのことで 私が企業内研修で行っていたもので、自分で折った折り紙の寸法を測り データを収集し、設計値との差異を把握、何故差異が発生したのかを 考える演習ですが、先生方が悩んでいる様子で貴重な体験でした。

御礼代わりにと言っては恐縮ですが、先週開催されたデミング賞の授与式 の模様をまとめた略報をお送りします。 今後ともよろしくお願い申し上げます。

 中川 徹 ==> 前川 恒久さん   2016.11.21

たびたび返信いただき、また品質管理関係の情報をお送りくださいまして、ありがとうございます。

「工夫はたのしい」のページと関連のページが、この1年半ばかりまったく更新できていず、申し訳ないことです。本当は、「工夫はたのしい」[第1部] (やさしい説明)のページを書けるとよいのですが、これは私よりももっと楽しく書いていただけるかたがないだろうかと、思っています。日本中を見回せば、そのような活動をし、またWebを作っておられる方もいろいろあるでしょうから、とにかくまずそのような方のサイトへのリンクを張らせていただくとよいのだと思っています。 ただそれができなくて、そのままでいます。

ますますお元気でご活躍ください。

 前川 恒久 さん (日本品質管理学会)  ==> 中川 徹   2016.11.22

おはようございます。 お忙しい中、ご丁寧に返信ありがとうございました。 このところ急に寒さが厳しくなり、イチョウの葉が一気に黄色くなりましたね。

11月は品質管理関係の行事が目白押しで毎日のようにあっちへ行ったり こっちへ出かけたり、アタフタ過ごしております。

先週は小中学校の生徒さんが応募した統計グラフ全国コンクールの 表彰式が代々木で開催され、審査委員を頼まれた関係で参加しました。 その模様を伝える略報をお送りします。 中川先生のおっしゃるとおり、グラフを作るについて、いろいろ調べ 工夫をしてデータを集めるとこんな楽しいグラフができるというような 小学生の発表を聞いて、会場内が感心したり、爆笑があったりと 楽しい大会でした。 お時間の許す時にご高覧のほどお願いします。 今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 


 鳥居 達生 さん   ==> 中川 徹   2016.11.16

ニュースありがとうございます。

高原利生さんの矛盾の統一の方法はすごいと思います。
       目的と手段。 認識と行動。 感情と論理。 内容と形式。 単一性と多様性。 集中と展開。 展開と深化。
       分析と合成。 思考と学習。 謙虚さと批判。 愛と自由。
どれも、これまでの哲学者が延々と論じた問題ではないでしょうか。

人類の大問題 愛と自由 をぜひ深めていただきたいと思います。 単に愛といえば、他を愛すること、他を自由にすることを連想します。 単に自由といえば、憲法的には、個人の尊厳を前提にして幸福追求の権利(自由)、生存の自由を思いだします。

生存競争があるように個々の生存の自由は互いに衝突する場合があります。 それを解決するのが、民主主義であり、道徳だと思います。 いずれも必然性、法則性に根拠がなければなりません。 ヨハネによる福音書に「真理はあなたたちを自由にする」とあります。

自己と他の共生、両立はむつかしい。しかし、そうしなければ、社会的存在である人間は生きていけません。 国も孤立しては生きていけません。共生しなければ。

 中川 徹 ==>鳥居 達生 さん  (CC: 高原 利生 さん)  2016.11.21

メールありがとうございます。

高原さんの矛盾の統一的な考え方について、 率直に 「すごい」 とおっしゃった方は (初期のEllen Dombさん、そして中川の他には) 鳥居さんが初めてでないかと思います。

沢山の方は、「用語が独特で、大きなことを言っている のは分かるが、難しい、理解できない。」と 言われます。 用語や論理をフォローすることには、(私自身も)誰も 苦労します。

しかし、 高原さんの論理はいま、その大きな成果として、 「一体型矛盾」という考え方で、 この例に挙げられているような非常に大規模な問題を 統一的に捉えたことにあると思います。 それらを統一的に考える手掛かりが得られた。 「それはすごいことだ!」 と私は思います。 この意義を鳥居さんがご理解下さったのだと、 うれしく思います。

ではこの「一体型矛盾」はどのような特徴を持ち、構造を持ち、 それを理解し解決していくにはどうすればよいのか?

「一体型矛盾」は「両立矛盾」(通常でいう矛盾)の中の 一つの形態です。 「両立矛盾」は、一見矛盾しているように見える要求を 何らかのやり方で(妥協でなく)両立させれば、 解決します。

「一体型矛盾」はこのような一度の両立の解決策では 収まらずに、 (空間的には)階層的ないくつものレベルがあり、 (時間的には)状況の変化・発展に伴い、 さらにまた矛盾が明確になる、ような特徴がある ように思います。

そこで、鳥居さんが言われた「共生」といった解決策 の状況が必要になります。 

これらのことの解明は、まだこれからです。 いま私は、二つのアプロ―チを試行しようと思っています。

一つは、「集中と分散」という一体型矛盾の具体例として、 「コンピュータと情報システムの進化における 集中と分散の展開(矛盾とその解決のダイナミズム)」 を考えたいと思っています。 これは技術発展を(社会需要の発展と並行して)捉えること であり、科学的・客観的にできる/するべきことです。

もう一つが、「自由 vs 愛」の問題です。 「人類文化の主要矛盾」ですから、非常に深く大きな問題 であり、人間と社会に関わるすべての科学とその応用 とが関係します。 しっかりと考え、学び、書いていかねばなりません。

両方の問題とも、いろいろな分野の沢山の方が、共に考えて くださるとありがたいのですが。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 鳥居 達生 さん   ==> 中川 徹   2016.11.25

メールありがとうございました。

個人あるいは国の(生存の)自由は、他の自由と往々にして対立します。 孤立して生きていけない個人あるいは国は、この対立、矛盾を 法律、道徳、民主主義、愛で解決しようと努力してきました。

しかし、これは歴史的難題です。矛盾の解決に向かって前進あるのみです。 もちろん、後退もあります。暴力や戦争による一時的、表面的解決は本質的に後退です。

矛盾を「見える化」によって多くの人が自覚できるように。 矛盾の社会的解決と、それに向かって個人の課題の「見える化」によって 歴史は大いに進歩するのではないでしょうか。

 


   『TRIZホームページ』更新(2016.11.23 付け)    

ビジネスとマネジメントのためのTRIZによるブレークスルー思考 (Valeri Souchkov; 和訳:中川 徹)

 


   『TRIZホームページ』更新(2016.11.28 付け)    

「レポートの作り方・書き方」研修セミナーを指導して (中川 徹)
研修講義資料: 創造的な問題解決の考え方 (中川 徹)

 朽津 耕三 先生 (東京大学名誉教授)   ==> 中川 徹   2016.11.29

「レポートの作り方・書き方」研修セミナーを指導して についての 見事な資料を拝受しました。有難うございました。いつもながら隅々 まで行き届いた「レポートの模範的な作成のしかた」を、老若様々な 世代の人々に身をもって提示しておられるご努力に感服の至りです。 ますますのご活躍を期待します。とりあえずお礼まで。

 中川 徹 ==> 朽津 耕三 先生   2016.11.29

朽津先生  メールありがとうございます。
「レポートの作り方・書き方」の記事を評価いただき、ありがとうございます。 森野先生と朽津先生に添削・ご指導いただきました結果であり、感謝しております。

朽津先生の Chemical Physics Lettersのお仕事や、大学院生の指導のお仕事などは、きっと沢山のノウハウや教訓が込められていることでしょうから、具体的な添削例の記録をお残しいただけるとよいと思いました。

注(中川、2016.12.26): 朽津耕三先生が、Chemical Physics Letters のAdvisory Editorial Board として、日本人研究者の速報誌論文原稿の編集・添削助言をされたときのノウハウは、下記の記事で公表されています。

「よい速報論文を迅速に発表するには」、朽津耕三、 『現代化学』(東京化学同人) 2001年2月号(No. 359) pp. 62-67

先生は東大教授のj時代から、卒寿(90才)を迎えられた今年まで、この速報誌への論文掲載を編集・指導されたのが、合計2000件近くになるとのことです。いまもなおお元気で、沢山の(若い)研究者の指導をしてくださっているのは、本当にありがたいことです。先生のますますのご健勝をお祈りします。


 前川 恒久 さん   ==> 中川 徹   2016.11.29

おはようございます。 毎回、興味深く読ませて頂いております。 お返しにはなりませんが、先週末に開催された日本品質管理学会の通常総会の 略報をお送りします。

実は中川先生から送って頂いた「レポートの作り方、書き方」については 私は新入社員当時の最初の上司の指導により、現在の略報があることを 思い出しました。 新入社員当時の上司ですから、もうちょうど半世紀前の話になりますが その方は傷痍軍人で左足に銃弾を受け、足が不自由だったため、何かというと その上司の指示であちこちの部署とのコンタクトや会議のお手伝いなど、 使い走りをしておりました。

その方は私の父が戦死していることをご存じでしたので、大変かわいがって下さいました。 最初の指導は「毎日、仕事が終わったら、報告しろ」ということでした。 例え1行でも良いからと、不要になった用紙の裏側に1行の報告を書き提出 しておきますと、翌朝、コメントが戻ってきました。

また1行書いて提出するとコメントが戻りましたが、数日するとお前は 1行しか仕事していないのか?他にもあるだろうというので、数行の報告を書いて出したところ、数週間後に報告書の書き方が解っていないようなので 基本を教えておこうと、A4の紙の上から3/4ほどに報告事項を書き提出、下の空欄にコメントが書かれて戻されるという習慣が身に付きました。

同期入社の数人でまじめに書いたのは私だけでしたが大変役立ちました。 この習慣がその後の人生に役立ち、現在は道楽で日本品質管理学会の 広報担当理事を頼まれ、QCサークル京浜地区ではNEWSの作り方などを 幹事会で指導したり、大会のNEWSなどを制作しています。

ということで「レポートの作り方」は大変重要だと思いました。 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 伊藤 武彦 さん   ==> 中川 徹   2016.11.29

お世話になっております。伊藤武彦と申します。 TRIZメールを購読しております。

日常の忙しさに追われて 立ち止まって考える時間が必要と思っております。 そのようなとき先生のメールはとても啓蒙されます。 大切な情報を有意義に、人間の知恵をもっと引き出して 理論を身につけ世の中の問題、自分の身の回りの問題・課題を解決する 力が出せたら一番の幸せと思っております。

寒さが厳しくなってきております。 お体大切にご自愛くださいませ。 それでは失礼いたします。

 

本ページの先頭 谷川陽一 貞廣 哲 ホームページ更新(2016. 9.29)

吉田 義史

  ホームページ更新(2016.10.19) 伊藤 孝道        
ホームページ更新(2016.11.12) 原田 明夫 前川 恒久 鳥居 達生 ホームページ更新(2016.11.23) ホームページ更新(2016.11.28) 朽津 耕三 前川 恒久    

「読者の声の索引ページ」

英文ページ

 

総合目次  (A) Editorial (B) 参考文献・関連文献 リンク集 ニュース・活動 ソ フトツール (C) 論文・技術報告・解説 教材・講義ノート (D) フォーラム Generla Index 
ホー ムページ 新着情報   子ども・中高生ページ 学生・社会人
ページ
技術者入門
ページ
実践者
ページ

出版案内
『TRIZ 実践と効用』シリーズ

サイト内検索 Home Page

最終更新日 : 2016.12.27