TRIZ論文: TRIZシンポジウム2007 論文
日立グローバルストレージテクノロジーズにおける
開発エンジニアのためのTRIZ推進活動とその実務適用例

有坂 寿洋、 津波古 和司、 鈴木 博之 ((株)日立グロ−バルストレージテクノロジーズ)

日本TRIZ協議会主催 第3回TRIZシンポジウム、2007年8月30日〜9月1日、東芝研修センター (横浜市港北区)
掲載:2008. 3. 9.    著者の許可を得て掲載。無断転載禁止。

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編集ノート (中川徹、2008年 2月29日)

本件は、今年8月末の 第3回TRIZシンポジウムにおいて、その第3日午後のポスターセッションの中で発表されたものです。私の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2007」で、この発表を紹介しました (2007.11.18)。いまは関連部分の全体を和訳する時間がありませんが、その紹介の最初の段落と、そして最後の段落とだけを和訳しておきます。

この発表は3つのトピックスを紹介している。
(1) ハードディスクトライブ (HDD) の分野で仕事をしているエンジニアたちにTRIZをアクセスしやすくするために、HDD分野の技術用語をTRIZの矛盾マトリックス中の標準のパラメータに解釈し直した表を作り、さらにHDD分野でのTRIZ適用事例をTRIZの40の発明原理に対応させてリストアップした。
(2) TRIZの実地適用事例: 低回転速度での動作を使った、HDDの故障修復メカニズム。
(3) もう一つのTRIZ実地適用事例: アクチュエータ機構における新しい設計。
これらのトピックスは3つとも貴重である。ここでは(3)のトピックスについてだけ説明しよう。

・・・・・

***  [中川所感]  この発表は、一つの特定の分野 (この事例では HDD技術の分野)にTRIZを普及させていくときの、着実な優れたやり方を示したものである。

著者たちの発表では、日立GST社は2005年からTRIZの本格的な導入を始めたということですから、全社導入を進めている日立グループの中では比較的後発なようです。しかし、その分だけTRIZの導入普及のやり方は着実で、比較的短期にここに発表されているような実地問題での素晴らしい解決策 (特に、意外な、発想の逆転を必要とし、矛盾を解決した解決策) を得ているように見えます。このような素晴らしい活動をし、シンポジウムで発表し、さらにWeb掲載を快諾いただきました、共著者の有坂寿洋さん、津波古和司さん、鈴木博之さん、および (株)日立グロ−バルストレージテクノロジーズ社に、厚くお礼申しあげます。

なお、TRIZシンポジウムのプログラム編成に際して、本件は著者たちの希望でポスターセッションでの発表にいたしました。幸いなことに、スライドの英文化がなされておりますので、ここに和文と英文とのページを作り、本『TRIZホームページ』に掲載させていただきました。多くの読者の方に参考になるものと思います。

本ページは、和文および英文で、以下のように構成しています。

和文ページ 英文ページ
論文概要と説明  (和文) Extended Abstract (英文)
-- 中川による紹介 (Personal Report 抜粋) (英文)
発表スライド(全) (和文) 発表スライド(全) (英文)  
 
本ページの先頭 論文概要 (和文) 論文概要 (和文) スライド (和文) PDF スライド (英文) PDF TRIZシンポジウム2007 Personal Report (中川) 英文ページ

 


[1] 論文概要

日立グローバルストレージテクノロジーズにおける
開発エンジニアのためのTRIZ推進活動とその実務適用例

有坂 寿洋、 津波古 和司、 鈴木 博之 ((株)日立グロ−バルストレージテクノロジーズ)

概要

日立グローバルストレージテクノジーズ(日立GST)では、2005年よりTRIZの推進活動を展開している。 研究および製品開発のエンジニアを対象にセミナーを行ない、また外部講師によるイベントを開催して普及浸透につとめた。初心者エンジニア向けに、主に矛盾マトリックスの使い方を中心にセミナーを行い日常業務での展開を図ったところ、TRIZに慣れていない初心者には製品開発の技術的パラメータと一般化された矛盾マトリックスのパラメータを結びつける段階が隘路になっていることがわかった。 そこでデータベース上で製品開発の技術的パラメーターに相当する矛盾マトリックスのパラメーターの候補をリストアップして、エンジニアが日常業務での問題点を容易に矛盾マトリックス上での問題に容易に変換できるように適用手順の円滑化を行なった。

本発表では、当社におけるTRIZ推進活動の概要と、エンジニアによる実務適用例を紹介する。

内容説明

日立GSTは、ハードディスクの開発・製造を行なっている。研究開発のエンジニアの日常業務の技術的問題には、ハードディスクのソフトエラーレイト、ベンチマークパフォーマンス、波形変動等々の技術用語が出てくる。これらの問題を矛盾マトリックスにおけるパラメータを用いて、いかにして現実問題を一般化するかがTRIZ初心者のエンジニアにとって最初の関門であった。 これをスムーズに行なえるように下記にあるようなハードディスクの専門用語と矛盾マトリックスのパラメータの相関表を作成し、容易に日常の技術問題を、矛盾マトリックスにおける一般化問題へと変換できるようにした。

表1 技術専門用語と矛盾マトリクスパラメータの相関表の例

Key Word of HDD parameter TRIZ 48 Parameters
Bit length on the Disk Length of stationary object(4)
Error Rate Loss of Time (26)、Loss of Information (28)
Seek Time Duration of Action of Moving Object (12)
Weight Saving Weight of Stationary Object (2)
Sound Noise(29)
Thermal Stability Stability(21)
Track Per Inch Information (11)

また本報告では、当社におけるTRIZ推進活動において実際の製品開発業務に対する適用例について紹介する。

1.低速回転時のエラーリカバリー方法

ハードディスク装置においては、磁気ヘッドを搭載したスライダーを数ナノメートルの間隔でディスク上を浮上させている。低速回転時の浮上量が低い状態では、磁気記録の品質を向上させることができる一方で、ディスク上の微小な突起やゴミによって磁気ヘッドへのダメージが懸念される。これに対して矛盾マトリクスを用いたリカバリー方法のアイデア創生について報告する。

2.高精度位置決め制御用アクチュエータの設計

ヘッド位置決め用のアクチュエータにおいては、制御性能を上げるために必要な機構系の振動特性を改善する必要がある。機構系の設計指針に対して、従来の設計法に対する心理的障壁を打破して新しい設計法を考案した例を示す。またこのような設計フローに対してクラシカルTRIZツールの機能グラフを用いた分析を行った。

論文概要 (和文) PDF 形式 ( 1頁、125 KB)    


[2] 発表スライド 全文 (和文)

 

スライド (和文) PDF形式 (16スライド、2スライド/頁、562 KB)

 


[3] 英文ページ

英文ページ

スライド (英文) PDF形式 (16スライド、2スライド/頁、493 KB)

 
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最終更新日 : 2008. 3. 9.     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp