TRIZ論文: 
マイクロエレクトロニクスにおける40の発明原理

Gennady Retseptor (AVXイスラエル株式会社、イスラエル)

出典: TRIZ Journal, 2002年 8月
訳: 市川 旦典、 2008年10月22日
掲載:2008.11.16.    著者と訳者の許可を得て掲載。無断転載禁止。

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編集ノート (中川徹、2008年11月15日)

本論文は、いまから 6年前に、TRIZ Journal に掲載されたものです。それを、市川且典さんが、独自に翻訳下さり、本ホームページに寄稿して下さいました。このような論文を掲載できますのは、著者 Genady Retseptor 氏、TRIZ Journal、および、訳者 市川且典さんのご厚意によるものであり、深く感謝いたします。

以下に、訳者および著者とのメールのやりとりを収録して、読者の皆さんに、著者と訳者の気持ちをお伝えしておきたいと思います。

訳者 市川且典さんから中川への最初のメール (2008年9月 1日):

TRIZシンポでお忙しいことと思います。
お願いがあります。情報だけはTRIZシンポの前のほうがよいと思いメイルしました。

最近TRIZの半導体への応用が多くなってきました。マイクロエレクトニクスのTRIZ原理と事例の論文@と同翻訳案を添付しますので、TRIZシンポのあと暇になったら掲載をご検討くだされば幸いです。

さらに追加した文献の翻訳を行っており、のせる価値があれば近く翻訳文を送りたいがどうでしょうか。論文(品質管理の事例A、販売の事例B、教育の事例C)を添付します。 [文献リスト省略]

文献@、A、Bの著者はともにGennady Retseptorです。この三件は、現役時代開発者だったことによる興味です。教育は現役時代の最後に新人の教育を担当したことと、娘が千葉の大学で教育学を教えていることにあります。

翻訳掲載許可の依頼 (10月16日) に対する、著者 Gennady Retseptor 氏から中川への返信 (2008年10月16日):

I am glad to be advised about your interest in my article and your intention to publish it in Japan, especially, because I am working in the AVX Israel Ltd., the Thin Film Operation plant of AVX Corporation, the Kyocera Group Company.

I give you my permission to post the article "40 Inventive Principles in Microelectronics" in your Web site.  Receiving the link after publication would be appreciated.

Please, see below the links to my additional articles, which were published in the TRIZ Journal before November 2006:
      http://www.triz-journal.com/archives/2003/03/a/01.pdf
      http://www.triz-journal.com/archives/2005/04/01.pdf
If you are interested in the above articles, please, let me know.

I have also three articles, which were published after November 2006:
      http://www.triz-journal.com/archives/2007/01/04/
      http://www.triz-journal.com/archives/2008/01/03/
      http://www.triz-journal.com/archives/2008/09/04/
Regarding these articles, you have to apply to CTQ Media.

Best regards,
Gennady Retseptor, M.Sc.
ASQ Certified Manager of Quality/Organizational Excellence
Quality Manager
AVX Israel Ltd.

掲載にあたって、(中川からの依頼に応じて書いていただいた) 訳者 市川且典さんから読者へのメッセージ (2008年10月24日):

論文、Gennady Retseptor,”40 Inventive Principles in Microelectronics“の著作権について、著者のGennady RetseptorならびにTRIZ Journalとの交渉ありがとうございました。また、この論文の著者Gennady Retseptorの会社 AVX Israel Ltd.が日本の会社京セラのグループであることを知り驚くと同時に親近感を覚えました。

私がこの論文を翻訳しようと思った気持ちを述べます。

40の発明原理の事例について、自分の専門分野の事例を読むことが役に立つのかいろいろな見解があります。これに対し、私は自分の専門分野の事例を読むことは重要と思っています。

アルトシュラーは特許を分析する際に、5段階にランク分けして分析を行っていました。
      第一段階(32%) 既存技術の簡単な組み合わせ
      第二段階(45%) 既存技術の複雑な組み合わせ
      第三段階(18%) 高度の技術の簡単な組み合わせ
      第四段階( 4%) 異分野の高度な技術の組み合わせ(重要な特許になる)
      第五段階( 1%) まったく新しい原理の発見や発明(きわめて重要な特許になる)

このランク表から、発明の多く (95%) は自分の専門分野の技術の組み合わせにより解決されることが分かります。これが、自分の専門分野の事例を読むことが重要である第一の理由です。

自分の専門分野の事例は技術内容がよくわかるので、発明原理を理解しやすく勉強から活用までの時間を短縮でき効果を早く上げることができます。これからTRIZを本格的に進めていく人におすすめです。これが、第二の理由です。

自分の専門分野の事例を参考にすると簡単な発明しかできないとの批判もあります。私も、自分の専門分野以外の事例を軽視するものではありません。第四段階、第五段階(合計5%)の重要な発明については、自分の専門分野以外の事例やTRIZの教科書にあるような一般的な事例を読むことが必要になってきます。第一から第三段階と第四・第五段階は分けて対応すべきと思います。

私はリタイヤ前の会社で、半導体の開発をしており、前記マイクロエレクトロニクスの事例の論文を和訳し、いつも見ていました。

マイクロエレクトロニクス、半導体分野のTRIZ適用事例の発表はあまりありませんでしたが、先の第4回日本TRIZシンポジウム2008では半導体の世界トップ企業であるインテルから2件の発表がありました。これから半導体関連の領域でTRIZの活用が進むと思います。

このような折、半導体を含むマイクロエレクトロニクス事例の論文の和訳を中川先生のサイトに掲載していただき、マイクロエレクトロニクス分野でTRIZの活用が進む手助けになればと思い、中川先生に掲載のご検討をお願いしたものです。

なお、訳者の市川且典さんは、新電元工業株式会社を 2008年3月末に定年退職された技術者の方です。昨年に、ボランティアでつぎの2件の論文の翻訳をして下さり、本ホームページに掲載させていただいております。まことにありがたいことです。

「半導体デバイスとその製造時における静電気放電対策にTRIZを適用する」、Teong-San Yeoh (Intel Malaysia)、 TRIZCON2006 発表、市川旦典、中川 徹訳、TRIZホームページ、 2007年4月。

「スーパ・イフェクツ (Super Effects): TRIZ(発明問題解決の理論)の相乗効果: 絶縁ワイヤボンディング技術 X-Wire の意義」、Gunter Ladewig & Robert Lyn (カナダ) 、TRIZCON2007発表、市川且典・中川 徹訳、TRIZホームページ、2007年9月。

 

以下には、和訳の導入部だけをHTML で採録し、40の発明原理の多数の事例を示している本体部は (その書式を維持するために) PDFファイルで掲載します。また、英文テキストは、TRIZ Journal の原典をご参照下さい。

和訳全文:  PDF (244 KB、16ページ)

英文原典:  TRIZ Journal、2002年 8月。  URL:  http://www.triz-journal.com/archives/2002/08/b 

 マイクロエレクトロニクスのような新しい分野にTRIZが浸透していくためには、やはりそれぞれの分野での先例、事例、先駆者などが大変有効であろうと思います。この分野の人だけでなく、他の分野のひとたちも参考にしていただけますと幸いです。

 


マイクロエレクトロニクスにおける40の発明原理

著者:Gennady Retseptor
gennad@avx.co.il

著作権2002、Gennady Retseptor、AVXイスラエル株式会社 972-2-5720128、著作権保有。

出展:triz-journal.com/archives/2002/08/b

翻訳:  市川 旦典、 2008年10月22日

マイクロエレクトロニクスとTRIZは、共に約50年前、西側諸国、旧USSRにおいて別々に姿を現した。

マイクロエレクトロニクスは、すでに認められている20世紀のすばらしい業績のうちの1つである。TRIZが西欧諸国において拡がり始めたのはここ最近10年のことである。

マイクロエレクトロニクスの分野で働く人々にとって、自分たちの領域における技術的な解決策がTRIZの視点からどうとらえられるか知ることは興味のあることでしょう。

本論文は著者の試みとして、マイクロエレクトロニクスにおけるTRIZの発明原理の事例を分類し、要約したものである。

[TRIZ Journal] 編集者の注: 自分自身の分野以外の創造的問題解決の事例を読むことにより、より創造的になるかどうか、あるいは、多くの人々にとって、自分自身の分野における事例が、どのように40の原理が役に立っているのか理解し始めるために必要とされるかどうか議論の分かれるところである。TRIZ教師としての編集者の経験では、ほとんどの人々が、自分自身の分野と他の分野からの事例が一緒になったものを必要とする。したがって、多くの分野における事例のリストが公表されることは、私たちにとって非常に嬉しいことである。

 

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最終更新日 : 2008.11.16.     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp