TRIZ/USIT 紹介
TRIZで矛盾の壁をブレークスルー
中川徹 (大阪学院大学)
(社) 日本機械学会 設計工学・システム部門主催講習会:
「市場で勝ち抜く上流設計」〜市場と技術力を結びつける設計の考え方と手法〜
2011年 2月23日、東京大学工学部11号館講堂 (東京都文京区)
掲載:2011. 3.21

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編集ノート (中川 徹、2011年 3月14日)

本稿は、表記のように日本機械学会の講習会 (2月23日) でのTRIZの紹介 (より正しくは、TRIZ/USITの紹介) です。1時間での紹介ですが、資料としては2時間分あると思って下さい。昨年末 (12月18日) に日本創造学会の研究会で行ったTRIZ/USITの紹介と、重複する部分が多いのですが、かなり違った話し方をしています。[同紹介についての編集ノート後記も参照ください。]

今回は企業技術者を対象とし、また、「上流での設計」を全体テーマとして7件の講演がある中でのTRIZの紹介でした。そこで、「企業技術者が、上流での設計の中で、困難な技術的課題を克服して創造的な解決策のコンセプトを創り出すのに、どのようにTRIZ/USITを使うとよいか」ということに集中して、紹介をしました。[下記のスライド目次のうちの 「(2) TRIZにおける問題解決の方法」までをきちと話し、(3)〜(4)を簡単に話しました。]

背景として、この講習会のプログラム構成を書いておきます。

はじめに: 「設計工学と Design for X (DfX) 方法論」  (大阪大学 藤田喜久雄教授)

第1部 世界で勝てる製品のための設計技術
(1) 「お客様の声を技術の世界へ展開」 (玉川大学 大藤 正 教授)
(2) 「コンセプトの生成と選択のための体系的方法論」 (大阪大学 藤田喜久雄教授)

第2部 アジアの低価格競争を勝ち抜く設計技術
(3) 「生産からリサイクル現場のための組立性・分解性設計」 (東京造形大学 山際康之 教授)
(4) 「TRIZで矛盾の壁をブレークスルー」 (大阪学院大学 中川 徹 教授)

第3部 不良を回避するための設計技術
(5) 「設計段階での仮想的Fault Tree Analysisによる高信頼性設計」 (東京大学 村上 存 教授)
(6) 「製品製造・使用の変動要素に対応するRobust Design」 ( ソニー(株) 関 研一 担当部長)

この中での、私の発表の概要と目次を次項にまとめます。また、発表スライドをPDF で掲載しました。このような掲載を許可いただきました日本機械学会 (http://www.jsme.or.jp/index.html) に感謝いたします。

 


[1] 概要と目次

概要

TRIZ(トリーズ)は、技術革新のための問題解決の方法論です。現システムの機能と属性の分析から、技術的問題の根底にある矛盾を明確にします。「矛盾を明確にしたら、確実に解決できる」のが、TRIZの驚異の方法です。理想のシステムをも考えて、矛盾を克服した解決策を導き出す多様な方法があります。また、解決策の具体化には、科学技術の原理や事例を参照するTRIZソフトツールを活用できます。

発表スライドの目次と構成

(0)  はじめに

技術の「壁」をブレイクスルーするには?従来 、   TRIZ (発明問題解決の理論)、  
TRIZの発展: 西側文化との融合

(1) TRIZの全貌

(1a) TRIZの思想、 
(1b) TRIZにおける問題解決の考え方(技法):  TRIZの問題解決の基本モデル、 
            TRIZの全体プロセス
(1c) TRIZの知識ベース
(1d) TRIZのソフトウェアツール
(1e) TRIZの普及状況

(2) TRIZにおける問題解決の方法

(2a) TRIZの基本的方法:   「4箱方式」、  モデル(手本)を中心に考える方法の問題点
(2b) 創造的問題解決の新しい方式 (USITの「6箱方式」)
(2c) 新しい全体プロセス (やさしいTRIZ = USITプロセス):   USITの全体プロセス(フローチャート)
(2d)      身近な適用事例: 裁縫で短くなった糸を止める方法:  問題を定義する、問題を分析する、
                  解決策を生成する
(2e)       身近な適用事例: 子ども二人を安全に乗せられる自転車:  最近の典型的な市販品、
                  その機能分析の図、  改良したシステム案の機能分析の図、 新しいシステムの案
(2f) USITの解決策生成法の体系と使い方:   TRIZの諸解法をばらして再編成した、 
                  USITの解決策生成法一覧表(「USITオペレータ」)、 
                  USITオペレータの例 ((1c) オブジェクトの分割、(5a) 解決策の一般化 )
(2g)       適用事例: 額縁掛けを傾きにくくする問題:  空間・時間特性分析、
                  USITオペレータの適用例、  解決策の一例の多義的解釈
(2h) 矛盾を解決するアルトシュラーの方法:  適用事例: 「節水型トイレ」:  課題、
                  アルトシュラーの方法 (「分離原理」による「物理的矛盾」の解決)、  解決策の例

(3) TRIZの種々の知識ベースとその活用法

(3a) 「物理的効果」の知識ベース
(3b) 「機能目標から実現手段を探す」知識ベース:  そのソフトウェアツールの例
(3c) アルトシュラーの「40の発明原理」:    例: 発明原理10 先取り作用
(3d) 「矛盾マトリックス」 (「技術的矛盾」の定式化)
(3e) 「技術システムの進化のトレンド」の知識ベース:  適用事例: 絶縁ワイヤボンディング法

(4) TRIZの習得・実践と普及の状況

(4a) 中川が推奨していること、  USITトレーニングセミナー(2日間)、 
(4b) TRIZの導入の具体的方法と「勘どころ」、 
(4c) TRIZの効果を実証した事例、 
(4d) TRIZ の日本での現在の普及状況
(4e) TRIZ/USITの意義
(4f) TRIZの情報源

付録: 創造的な問題解決の「新しいパラダイム」について (新旧の比較)

比較(1) 手順、  比較(1A) 分析/モデル化、  比較(2) アイデアの生成(発想)、 
比較(3) 解決策の空間、 比較(4) 実世界との関係、 比較(5) エキスパートの理想像、
比較(6) 能力の基盤、 まとめ


[2] 発表スライド

発表スライド PDF   (スライド 64枚、1.4 MB)

 

本ページの先頭 概要と目次 発表スライドPDF    日本創造学会でのTRIZ/USIT紹介 (2010年12月) 英文ページ

 

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最終更新日 : 2011. 3.21     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp