USIT教科書事例 
額縁掛けの問題
 Ed Sickafus (Ford Research Lab. & Ntelleck):
  "Unified Structured Inventive Thinking: How to Invent", Ntelleck, 1997, pp. 403-432.
 :中川  徹 (大阪学院大学) 2001年 3月 9日
  [掲載: 2001. 3.23。無断転載禁止。]
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和訳掲載にあたってのまえがき (中川, 2001年 3月21日)

USITによる問題解決の方法を, 開発者Dr. Sickafus自身の記述したものでできるだけ分かりやすく紹介することは, 本サイトの編者にとっては一つの懸案であった。USIT法の中身の解説は, 1997年の教科書に詳細に述べられている以外には, 開発者自身が紹介した論文がないからである。もちろん, USITの教科書の翻訳を考えたこともあったが, 488頁という大作なので手をつけないでいた。先月16日に丸一日のUSITセミナーをしたとき, 参加者のアンケートの中に, USITの解決策生成技法をもっと分かりやすく話してほしいという意見が何人かあって, 再度USIT教科書を読み直してみた。最後の数十頁が, 実は読み残しになっていて, 今回初めて読んだ。ここに訳出したのは, 教科書の最後に書かれている事例の中の最後のものである。

この事例は, 分かりやすく, USITの特長がよく出ている良い事例だと思う。高校生へのセミナーの話を拡張したものとのことであり, Altshullerの教科書の一つ ("And Suddenly the Inventor Appeared") が同様に高校生向けであったのと好対照である。その中で, 問題のメカニズムを捉える (理解する) ことが, 高校生にも分かる現象論的な説明で進められている。問題分析の手順を追って進めること。そして, いろいろな解決策生成の観点・方法を駆使して, 多数の解決策のコンセプトを創り出している。これらを読みながら, 読者自身もさらに新しい解決策を見出されることであろう。一つの良いアイデアがでたらそれで終わりというのではなく, さらに良いアイデアを複数出そうとするのがUSIT法の最大の特長である。

翻訳に当たって, いくつかの工夫をしてある。一つは, 節に番号をつけたことである [原著では, 見出しの文字の大小などの区別をしているが, 必ずしも節の構造が明確でない]。 また, 細部の訳注を [  ] 内に示した。

しかし, USITの発展に伴う変化のために, 一部で分かりにくい所があるだろう。 自分の方法のことを, USITと呼ばずに単にSIT と呼んでいたりする。さらに, 用いる手法の取り上げ方やその力点に最近のものと違う点がある。これらの点を補うために, 別ぺーじとして「USITの成立と進化」(Sickafus & 中川) を掲載したので, 参照されたい。

和訳と本サイトへの掲載をSickafus博士に願いでたのが 3月 2日であった。返事が来ないのを気にしながら, 訳出完了したのが 9日で, 再度メールを出そうとして, 先便を博士の退職前のアドレスに出していたことに気がついた。そこで, 「USITの成立と進化」の英文原稿にメッセージをつけて, 現アドレスにメールしたのが3月10日であった。3月11日にSickafus博士から, 掲載の快諾の返事と, 小生の原稿についてのコメントを得た。このような教科書の一部を翻訳してWWW上で掲載するのは異例なことであり, 無断で他に転載しないという条件で,快諾いただいた Sickafus博士に心より感謝する。

なお, Sickafus博士は, 2000年4月にFord社を停年退職し, 現在はNTELLECK社を興し, 独自にUSIT法セミナーを行い, また企業での研修を行っている。連絡先は以下の通り。

     Dr. Ed N. Sickafus  (NTELLECK)   http://ic.net/~ntelleck/     "Ed Sickafus" <Ntelleck@ic.net>
 
 
本ページの先頭  1. 問題の定義  2. 問題の分析  3. 解決策生成  解説: USITの成立と進化  English page



 

USIT教科書 (Sickafus, 1997): 事例研究No. 9 (403〜432頁)

額縁掛けの問題
 

まえがき:

フォード研究所のブログラムの一つとして, 理科系の高校生のためにセミナーをして, SIT法のデモをした。以下に記すのは, そのときの記録をもとに一部拡張したものである。このデモの目的は, 構造化発明思考法 (SIT)のいくつかの部分を例を使って示すことであった。その中には, 問題の核心に焦点を絞るということの意味, 閉世界条件の概念, 技術教育を受けた非専門の人たちがSITの方法論をどのように適用できるのか, そして, 発明の好機にひとが分析を行うときどのような思考プロセスが典型的に生じるのか, といったことが含まれている。非専門の技術教育とここで言っているのは, 概念レベルにまで持ち上げられた諸問題が, 一般的な技術的理解を用いて処理できることを意味している。そのプロセスは, 定量的な分析でなく, 現象論的な分析を強調する。高校生たちは後者のような分析の力をより多くもっている。

この演習事例はUSIT [統合的構造化発明思考法]のプロセスのハイライトの一部だけを示していることに注意されたい。


 

1.  インフォメーション  [情報の収集 = 問題の定義]

USIT のプロセスは, 情報の収集から始まり, 次の 3つの重要な要素を含む。

   (a) 問題状況の記述
   (b) 問題の根本原因の記述
   (c) 関連するオブジェクトの同定

これらのプロセスを一つの例題の問題を使って説明しよう。
 

1.1  問題状況    [問題状況から問題定義へ]
 
 

Pix-Frame社の新製品

Pix-Frame社 [架空] は絵の額縁と額縁掛けとを販売している。同社は, 額縁掛けの良い市場をもっていて, 額縁掛けでよく儲かっている。額縁掛けのキットは単純なものであり, 2本の丸目ネジ (ネジの頭が丸い輪になっているもの)と 少々のひもと 1本の釘からなっている。その製造は安価であり, 高い利益で売れる。ところが, 別の会社がずっと安いキットを作って新たに市場に出てくるという情報がPix-Frame社に飛び込んできた。同社の市場シェアを食ってくることは明白であった。Pix-Frame社はなにをすべきだろうか?

Pix-Frame社では, 額縁を掛ける新しい方法を開発する必要があるという結論に達した。何か革新的な方法で, 額縁を掛ける問題に対するよりよい解決策を提供するものであるべきだった。焦点を絞って, この新しい製品では, 掛けた額縁が決して傾いてしまわないように掛けることができるように, [従来の]問題を解決するべきことを決定した。これができれば市場で商品を差別化でき, つぎのようなモチーフで宣伝できるはずである -- 「自分で向きが正しくなる額縁」, 「きちんと掛ければ, いつまでも傾かない」, あるいは 「向きの調節は簡単」 などである。

さて, どのようにして実現できるだろうか?

たしかに, 額縁を壁に永久的に固定するとか, 絵を壁に直接描くとかは, この問題に対する概念的な解決策である。しかし, いまからすぐに示すように, SIT法は, 与えられた問題状況を取り上げ, オブジェクトたちを定義し,それらで創造的な解決のための一つの世界を作ることを教えている。この事例では, 現状の額縁掛けのキットという, 一つの解決策を持っている。そこで, これらが提供しているオブジェクトたちを使ってどんなことができるのかを考えてみよう。

SIT法は情報の収集から始める。それは, 問題を理解し, 簡単な, 焦点を絞った問題宣言文を創ることを意味する。

上の枠に括った問題説明文は, この問題を解決するように指名されたこの会社の技術者に対して与えられるだろうような情報である。以後のプロセスを創造的にするためには, 技術者はまずこの問題の核心に焦点を絞らなければならない。焦点を絞るための最初のステップは, 問題状況を説明するのに関連する情報を集めて, 一つまたは少数の文にすることである。
 

凝縮した問題宣言文:

絵を掛けるための, 釘と紐と丸目ネジからなる現在のシステムを改良し, 傾くことがないようにせよ。

この情報収集プロセスを実施するには, 二つの指導原理がある。
     (1) 問題の核心を理解するための情報を集めよ。
     (2) なにもかもを含めようとするな。問題に焦点を絞ったプロセスにせよ。

この集めた情報の中には, 問題の核心を捉えた何らかの図やスケッチを含むべきである。これらの単純な言葉と図による宣言を基礎にして, 発明的な問題解決の筋道を展開するように, SIT 法プロセスは構造化されている。
 

簡単なスケッチ

図1.  額縁を壁に掛けるのに使われている額縁掛けのキットの部品。側面図(左)と正面図(右)。
        [釘, ひも, 丸目ネジ, 額縁, 壁]
 
 

1.2  [根本原因と問題のメカニズムの理解]

(a)   明確に定義された問題

一つの問題状況に対して, それを見る見方は多数ある。効果的に焦点を絞るためには, 分析の最初に根本原因を理解することが要求される。[根本原因は]明確に定義された問題 (a well defined problem) を創りだすのに不可欠である。

根本原因がもし与えられていないなら, それをまず決定しなければならない。場合によっては, 問題分析者は, ほかの情報が不足している中で, あり得そうな根本原因の記述を自ら作りだす必要があろう。これをする能力は, 科学に対する現象論的な理解を基礎にすることが多く, 理論的・数学的な理解に基づくことは少ない。

あり得そうな根本原因たちを創り出す (発明する)ことは, 非常に有用なプロセスであり, 問題解決者が実践できるように学んでおくべきことである。そのプロセスは, 問題分析者に問題状況を深く集中して調べることを強制し, 問題のもっとも細部までの理解を明確にし, どこの情報が欠けているかを示し, 創造的な思考プロセスを身につけるようにさせる。

(b) 根本原因

あり得そうな根本原因たちを見出すには, 現在のシステム (釘とひもと2本の丸目ネジ)で, どうして絵の額縁が傾いてしまうのかを問うところから始めよう。二つの状況を思い描くことができる。第一は, 額縁がうまく掛けられない状況であり, 第二は, 額縁が正しく掛けられた後で, 外部からの要因が働き, ずれが生じる状況である。後者には, 非常に多くの予測不能の原因 (例えば, ぶつかられたため) が関与し, 額縁掛けの設計者が制御できる範囲ではない。一方, 最初にきちんと掛けることができないという第一の状況は, 賢明な額縁掛けシステムによって直せるかもしれない。そこで, われわれは初期のずれ (傾き, 不整列) の問題に焦点を絞ろう。

ノート:  問題の分析を始めるプロセスは難しく, 心理的障害のために困難に遭うことがある。すぐ上の段落でもそのような心理的障害に遭遇した。すなわち, 問題の複雑さである。この困難は, われわれが分析の焦点をあてる問題を, 単一の特定のものに指定したことによって克服した。問題の分析における第二の大きなステップが根本原因を同定することである。

[以下の (c), (d), (e)で問題のメカニズムを考察する中で, 根本原因を探っていこう。]

(c) 本来の設計

図1に示したように, 釘と二つの丸目ネジからなる現行のシステムは, 額縁の 2点と壁面の1点とからなる 3点懸垂システムをなす。[また,] 額縁の下辺が壁面と線接触をしている。壁との接触は, 額縁が壁から離れて傾く自由度を制限しており, 振り子のように揺れるのを抑えている。ひもは, 丸目ネジのところで額縁の 2点に固定され, 真ん中の位置で釘に掛けられて, 二等辺三角形をなす。これは幾何学的な理想の配置である。この理想配置においては, 三角形の水平の底辺が額縁の配置の基準として使える。あるいは, 額縁の水平または垂直の縁を基準に使ってもよい。
 

図2.  3点懸垂におけるひもの三角形。額縁の重心を釘の真下にもってくる。


この三角懸垂の概念は単純であり, 図2に示すようである。額縁が正しく配置されているとき, 額縁の 2点, すなわち二つの丸目ネジが水平な線をなす。壁面の釘と額縁の重心とが垂直な線をなす。二つのネジと額縁は剛体であるから, この懸垂により, 額縁の重心は壁面の懸垂点の真下になる。額縁にとって最も安定な位置は, 額縁の重心が壁面の懸垂点の真下にあることである。

しかし, 額縁の重心を釘の真下にもってくることなら, 実はもっと単純なシステムで実現できる。釘とひもと一つの丸目ネジで, そのネジを重心を通る垂直線上の (重心より上の)どこかで額縁に固定しておけばよい。それなら, どうして, 二つの丸目ネジを使っているのだろうか?

(d)  2点懸垂の設計の弱点

この質問に答えるためには, 2点懸垂がうまくいかない場合の解析をする必要がある。すなわち, この設計の弱点は何だろうか?
 

図3.  額縁の 2点懸垂 (一点は壁面, もう一点が額縁)。左図は手を離す前の額縁の状態; 右図は手を話した後の平衡状態を示す。

額縁に一つだけの丸目ネジをつけてひもで壁面の釘に結んだ場合の明らかな問題点は, 額縁の重心を通り, 額縁を二等分する垂直な線上に丸目ネジが正しくとりつけられないかもしれないということである。もしネジの位置がずれると, 額縁は自然に少し傾き, 壁面の懸垂点を通る垂直線の位置に重心が来るようになる。このような傾きが生じると, 2点懸垂の設計では最終調整をする余地がない。

(e) 3点懸垂はどのように機能するのか?

いまや, どうして 3点懸垂が使われるのかが明瞭になった。それはひもを釘のところで滑らせて, 微小な調節を可能にしているのであり, それにより, 部屋や壁面の水平または垂直な基準線に対して, 額縁の辺の向きを調整できるのである。釘は, 力やトルクがバランスする支点として機能する。

二つの少しだけ違った 3点懸垂の様子を比べてみよう。一方は額縁に全く正しく取り付けられている場合であり, 他方は丸目ネジの一つが理想的な位置からずれてとりつけられている場合である (図では, 効果をはっきりさせるためにずれを誇張して描いている)。
 

図4.  3点懸垂の 3つの場合。左図は理想的な幾何学配置の場合。中央図は額縁の懸垂点が水平にずれている場合であり, 右図が懸垂点がずれている額縁の平衡位置を示す。


第一の[左の]図は完全な対称性を持ち, 額縁の重心が釘の真下に位置している。平衡がとれ, 安定なシステムである。第二のシステムでは, ひもの中央に釘が来るようにして釘にかけると, ひもが二等辺三角形になって額縁が正しい向きになるが, このとき, 額縁の重心は釘の真下には来ない。それで手を離すと, 額縁は揺れて, 重心が釘の真下になる位置まで動く。この変化に対応するように, ひもは釘のところで滑り, ひもはもはや二等辺三角形ではなくなるだろう。その結果, 額縁が傾く。

この額縁を正しく配置する方法は, ひもを滑らせて中央の位置に戻して二等辺三角形にし, 額縁を壁面に静かにもたれかけさせて下辺が壁に触るようにして, そっと手を離すことである。壁との接触による摩擦が額縁が滑るのを防ぐだけ十分あれば, 額縁は正しい向きにおさまるだろう。そうでなければ, 懸垂位置のずれにより生じるトルクに対処するために追加的な手段が必要になるだろう。

3点懸垂の位置ずれの原因についてのもう一つの見方は, フック [丸目ネジのこと] の位置を水平または垂直にずらせることである (つぎの図を参照)。そのようなシステムを壁のところにもってきて, 額縁の重心が釘の真下にくるように, ひもを[二等辺三角形からずらせて] 配置し, そして静かに手を離したとすると, 額縁にはアンバランスなトルクが働くだろう。その平衡位置は, 額縁が回転した (傾いた)位置で, 重心は釘の真下にあり, ひもは辺の長さが異なる三角形になるだろう。釘はバランスしたトルクの支点として機能する。
 

図5.  ずれた位置にあるフックをもつ [3点]懸垂の二つの配置。左図は[フック位置が]水平にずれており, 右図は垂直にずれている。


丸目ネジの位置ずれから生じるこの配置のずれの扱いは, 一般的であり, 懸垂システムのその他の誤差に対しても同様に適用できる。すなわち, 重心が懸垂システムの幾何学的な中心の真下に来ないような種類のエラーはすべて, 額縁を傾けさせることになる。そのようなエラーには, 丸目ネジの位置のずれ, 額縁の形や質量分布の非均一性, 丸目ネジのサイズの有限性 (無限小の点ではないこと), などがある。

3点懸垂システムの設計の弱点を考察すると, われわれの頭には, いろいろな解決策のコンセプトが直ちに生じてくる。それについては, もうちょっと後でやろう。解決策を見つけることを始める前に, まず, USIT法のプロセスのそのつぎの部分を説明しよう。その理由は, やみくものブレーンストーミングに向かってしまわないで, 構造化されたアルゴリズムに従って実行することを強調するためである。
 

1.3  オブジェクトたちのリスト

情報を収集し問題宣言文とスケッチを作った後に, [関連する] オブジェクトたちを選択する。これらはまた問題の核心を捉えるべきものであり, 少ない数に限定すべきである。

この例題に対して, 可能性のあるオブジェクトたちをいくつもすぐに列挙することができる。

水彩画
無反射ガラス
傾斜をつけた縁のマット
絵の台紙とマット
木製の枠 *
ニッケルメッキした釘 *
真鍮の丸目ネジ *
ひも *
壁 *
真鍮の丸目ネジは面白いオブジェクトである。この言い方は金物店で買うときに使う言い方であるが, この問題におけるオブジェクトの実際の機能をあまり表現していない。真鍮製であることはこの問題を理解し解決するのに無関係である。ここに有効な一般化の機会がある。「ネジ」という特徴も, この丸目ネジが額縁に固定されている方法を示しているにすぎない。額縁に接着剤で固定していても, この問題での機能を十分提供するだろう。あきらかに, ここでの機能は, ひものためのフック (あるいは固定点) として働くことである。それが丸い目の形をしていることもまた無関係てある。そこで, これを「フック」と呼ぶことにしよう。

問題の核心を捉えるのに必要な本質的なオブジェクトたちの決定

上記で興味あるオブジェクトたちがいくつも列挙されたけれども, そのすべてが問題宣言文に関係しているわけではない。USITプロセスでは, 少数の本質的なオブジェクトたちだけを選択する。上記で列挙したオブジェクトたちは問題状況の中に存在するものであるが, そのすべてが [この問題に本質的に] 関係しているわけでない。 [本質的に] 関係しているものは上記のリストに *印をつけて示した。以後の分析において, これらが閉世界のオブジェクトセットを構成するだろう。

USITのオブジェクトに関する見方で興味深い特徴は, インフォメーション(情報) を一つのオブジェクトとみなすことである。この事例の問題において, 額縁掛けキットの目的は額縁をきちんと [正しい向き・場所に] 配置する (掛ける) ことである。きちんと配置されているという概念は, 情報の一つの形である。だから, このキットの目的はインフォメーションを生成することだと言える。ここでは実際, インフォメーションが最も重要なオブジェクトである。この理解のもとにわれわれは, もともとのオブジェクトのセットから, きちんとした配置のインフォメーションを生成するのに寄与するものだけに集約することができる。

もちろん, キットのもう一つの目的は額縁を支えることである。だから, 額縁掛けのキットは二つの機能をもっている。支えることと配置を調節することである。いま考察している事例においては, 支える機能は問題ではなく, 配置が問題なのである。 3点懸垂の場合には, 配置の方が支えることよりも重要なのである。そうでなければ, もっと簡単な 2点懸垂の方法を使えばよかったのだ。

ノート:  問題をより狭く定義していくにつれて, われわれの焦点は改良されていく。


 

2.  [閉世界法による問題の分析]
 

2.1  閉世界ダイアグラム

オブジェクトたちの閉世界セットから, 閉世界ダイアグラムを作成し, これらのオブジェクトの間の相対的な機能を示す。このダイアグラムを作成する観点は, システム (この場合で言えば, 絵の額縁掛けキットシステム) のもともとの設計者の観点である。オブジェクトたちは互いに機能的関係に従って関連づけられている。絵を掛けるという状況で言えば, いくつかのオブジェクトが互いを支え, そして最終的に絵を支えるのに必要なように見える。しかし, [支えるという機能と配置するという機能の] 二つの中で, 額縁の配置調節を可能にすることがより大事な機能であることは, 先に学んだとおりである。このことから, 非常に簡単な閉世界ダイアグラムが得られる。

図6.  絵の額縁と額縁掛けシステムのための閉世界ダイアグラム
[図中の機能の記述にミスがあり, 修正した: Sickafus, 2001. 3.11]
 

閉世界ダイアグラムを作るのは理屈っぽいプロセスであり, 分析者は各オブジェクトの [ダイアグラム上の] 位置をルールのセットに従って理由づけて (正当化して) いくのである。ここでは [簡単のために] つぎの二つのルールだけを考慮しよう。(1) ダイアグラム中で隣接する二つのオブジェクトはシステム中で接触していなければならない。(2) ダイアグラム中の下位のオブジェクトは, 連結されている上位のオブジェクトを機能的に支持していなければならない。これら二つの条件があれば, 閉世界ダイアグラムを作ることが, 分析者を機能についての興味深い考察に導き, また, 直観的には予想しないようなダイアグラムを作り出すかもしれないことを, 例示するのに十分であろう。

以下の考察が図6の閉世界ダイアグラムの構築に導いたのである。
 


壁はまた額縁に接触している。そして, 壁が額縁の下辺に摩擦を与え, 振り子のような動きを規制して, 額縁を安定化させている。この作用は配置に関係している。しかし, 設計者の観点では, 壁のもっとも重要な機能は釘を支えることである。

以上に示したように, 閉世界ダイアグラムはオブジェクト間の機能的関係を確立する [一つのヒューリスティックな技法である]。二番目のヒューリスティックな技法は, OAFダイアグラム (オブジェクト-属性-機能ダイアグラム)であり, 機能に対してそれを支える属性を明らかにし, その属性を提供する特定のオブジェクトを明確にする。
 

2.2  OAFダイアグラム    [オブジェクト-属性-機能ダイアグラム]

[上記の] 閉世界ダイアグラムは, オブジェクトの機能, 特にそれらの主機能を捉えるが, 属性の役割は明確にしない。OAFダイアグラムは, この [属性の役割を明確にする] 目的に用い, また, 根本原因をさらによく発展させるために使う。最初にいままでの分析結果のすべてを使ってOAF宣言文を定式化し, ついでOAFダイアグラムの形式にまとめる。

額縁を最初に掛けるときには, ひもを釘のところで滑らせて額縁の配置を調節し, それから額縁を静かに手から離して, 底辺が壁に付くようにする。釘の位置でのトルクのバランスが, 額縁の平衡位置を決める。額縁の重さによって, 壁と額縁の底辺との間に摩擦が生じ, 額縁の位置を安定化させる (振動によって動かされるまで)。額縁の形 (長方形) は, 配置の最終調整をするのに重要である。典型的には, 長方形の額縁に対して, 二つのフックが額縁の上辺または底辺に並行な線上にあるものと仮定される。

以下のリストは, オブジェクト (太字で表現)とその属性 (斜体字で表現)とを関係づけ, それらの機能 (下線付きで表現)を定義するものである。諸機能は, 根本原因をより明確にするために, 閉世界ダイアグラム中のものよりも拡張されている。
 

  1.   額縁オブジェクトの配向 (位置) 属性が, インフォメーションオブジェクトの並行性属性と相互作用して, インフォメーションオブジェクトの整列配置属性を生成する

    ノート:  棚に置いてある使っていない額縁は, 整列配置属性を生成しない。額縁掛けのキットと組み合わされ, 壁面に掛けられたときに, この [整列配置という] 属性が活性化される。

  2.  
  3. フック剛性属性が, 額縁重さ属性と相互作用して, フックにおける重さ分配するという機能を支持する。

    ノート: 使っていないフックは分散荷重という属性をもっていない。使用中のフックはこの属性を活性化させることができる。荷重の分散は, 額縁が掛けられるまで生じない。

  4.  
  5. フックオブジェクトの (分散)荷重属性が, ひもオブジェクトの「支点」 [属性] (すなわち, ひもの中心支持点の位置 [という属性])と相互作用して, フックトルク [属性] を活性化して, トルクを生成するという機能を支持する。

    ノート:  使っていないフックはトルク属性を持たない。

  6.  
  7. フックオブジェクトの (分散) 荷重属性が, ひも [オブジェクト] の弾性 [属性] と相互作用して, ひも応力 (張力) [属性] を生成するという機能を支持する。

  8.  
  9. オブジェクトの剛性属性が,ひも [オブジェクト] の応力 [属性] と相互作用して, ひも [オブジェクト] の 支点 [属性] を生成する

  10.  
  11. ひも [オブジェクト] の応力 [属性] が, ひも [オブジェクト]の形 (角度) [属性] と相互作用して, トルクをバランス [機能] し, ひも [オブジェクト] の 形 (角度) [属性] に影響する。

  12.  
  13. ひもオブジェクトの (小さな)摩擦属性が, [オブジェクト] の表面粗さ [属性] と相互作用し, 滑りにより位置決めする [機能] を支持して, ひも [オブジェクト] の [属性] に影響を与える。

  14.  
  15. [オブジェクト] の剛性属性が, [オブジェクト] の剛性属性と相互作用して, ひもオブジェクトを支えるという機能を作り, ひも [オブジェクト]の位置属性に影響を与える。

  16.  
  17. [オブジェクト] の摩擦属性が, 額縁 [オブジェクト] の重さ属性と相互作用して, 額縁 [オブジェクト] の位置 [属性] を安定化させるという機能を作り出す。

    ノート: これらのOAF宣言文の中で言及されているオブジェクトの属性の多くは, この特定の応用中に使用されていないときには, そのオブジェクトの中に存在しなかった属性たちである。これが, 「属性を活性化する」ということの意味である。

  18. 閉世界ダイアグラム中で識別した機能のすべてがOAF宣言文の中に入ってきたわけではない。特に変化が生じたのは, 複合オブジェクトの詳細を展開した場合である。


[上記のOAF宣言文は一定の形式で記述されていて, それを一覧表の形式にしたのが, つぎの表である。]
 

 

表1.  額縁掛けキットに対するOAF宣言文
 

OAF宣言文の一つの目的は, システムの設計者が, システムの望ましい機能を実現するために, オブジェクトや属性たちをどのようにリンクしようとしたのかを, 視覚化できるようにすることである。この演習に顕れたようなオブジェクトの連結のパスの複雑さは, システムを単純化 [して改良] する好機となるものである。

[表1のOAF宣言文を, オブジェクトと属性のマトリクス上に視覚化して表現したのが, つぎのOAFダイアグラムである。]
 

図7.  額縁掛けキットに対するOAFダイアグラム。上記のOAF宣言文のうち #8, #9は単純化のために省略した。[各OAF宣言文に対応して] 短い線分が相互作用する属性の対を結び, その線分の中点から描いた弧の先に, 影響を受ける属性を示す。
 

図7のOAFダイアグラム [オブジェクト-属性-機能ダイアグラム] が示しているのは, どんな属性を各オブジェクトがシステムに持ち込んでいるか, そしてそれらがシステム内の諸機能をどのように支えているか, ということである。
 

2.3  定性変化グラフ

定性変化グラフ (QCグラフ) は問題の多様な観点を捉えるのに用いる。各グラフがそれぞれ異なる観点を与える。定性変化グラフを作るには, 問題状況の中の望ましくない効果を [まず] 探す。望ましいあるいは要求されている変化をシステム中のどれかの変数に施したときに, 望まない方向に変化したり, 制御できなくなったりするような効果 [を探すの] である。

この事例の問題状況に対する定性変化グラフは, 額縁のずれ (傾き) をなんらかの根本原因と関連づけるべきである。上記の根本原因分析から, ずれ (傾き) が起こるのは, 額縁の重心が額縁の対称性の中心にないとき [訳注: より正しくは, 額縁の重心が, 額縁掛けキットのひもが作る垂直な対称軸の上にないとき] だと言える。(これを「重心のずれ」と呼ぶことにしよう。)
 

図8.  額縁掛けの問題に対する定性変化グラフ。重心のずれによって生ずる額縁の望ましくないずれ (傾き) の関係を示す。


根本原因の議論において認識されたもう一つの点は, 壁と額縁の底辺との間に十分な摩擦が必要であり, それによって, ずれを内蔵している額縁がその最も安定な位置 (すなわち, 重心が懸垂点の真下にくる位置) に滑っていこうとするのを防ぐ [必要がある] ことである。
 

図9.  額縁掛けの問題に対する定性変化グラフ。壁と額縁の間の摩擦が, [額縁の向きの正しい配置に] 望ましい変数であることを示す。

2.4   [問題分析のまとめ:]  3点懸垂の弱点

3点懸垂の弱点に関する先の議論は, いままで, 閉世界ダイアグラム, OAFダイアグラム [オブジェクト-属性-機能ダイアグラム], そして定性変化グラフを完成させるために, その結論を延ばしてきた。これまでの議論で明確になったことをまとめると以下のようである。

   (a) 重心のずれが額縁のずれ (傾き) を起こす根本原因であることを見出した。

   (b) ひもと二つのフック [丸目ネジ]の主機能が配置機能であることを発見した。

   (c) 壁と額縁間の摩擦が額縁の配置を安定化させるのに必要であり, それによって, ずれを内蔵している額縁がひもを釘上で中点になる位置から滑らせて [平衡位置になるように] 補正しようとするのを防ぐことができること, を見出した。

この [3点懸垂] システムには, 少なくともつぎの二つの弱点がある。

一つの弱点は振動に関係している。壁が振動して, 額縁が壁から瞬間的に離れることがもし起こると, その間にひもが釘のところで滑ることができるかもしれない。このような短時間の効果が長期間に渡って蓄積されると, 額縁が目に見える程度にずれる (傾く)ことが起こる。よって, この設計の弱点の一つは, 壁-額縁間の摩擦という信頼できないものに頼っていることである。

もう一つの弱点は, 懸垂点たちの「数学的な意味の点」としての位置に, クリティカルに依存していることである。すなわち, フックの厚さやひもの太さ, そしてひもをフックにどのように結んだかというだけによって, 各懸垂点の有効位置が微妙に変わってしまう。だから, 製造や取り付けにおけるそのようなばらつきに対して, この設計は頑健性に欠けている。

3.  解決策コンセプトの生成
 

3.1  [定性変化グラフから導かれる解決策]

一つの定性変化グラフがつくられると, それから解決策を生成するのに関連して, いつでもつぎの二つの問いかけをすることができる。

(1)  (グラフの横軸で表されている) 独立変数を取り除くことができないか?
(2) 独立変数に関する欠点を使って, それを長所に変えることができないか?


この問題の例では, 二つの望ましくない変数 (望ましくない効果)が根本原因に関連して識別されており, 定性変化グラフに表されている。重心のずれおよび壁-額縁間の摩擦の不十分さである。根本原因としては特に重心のずれが認識されている。 3点懸垂の分析は, 壁の振動が問題であること, 部品の製造誤差および額縁へのフックとひもの取り付けの誤差についての頑健性が欠如していることを, 明らかにした。

振動:  振動の [有害な] 効果を起こらないようにする自明な方法は, 振動を減衰させることである。それをするには, 額縁と壁との間に, スポンジ, ゴム, 柔軟性のある接着材その他の振動減衰物質の小さなものを設ければよい。この材料は額縁掛けのキットの中に含ませることができよう。 (以下には, 解決策に番号をつけて, 解決策xxのように示す。)
 

解決策1.  額縁の下部の裏側の縁で壁に接触するところに, 弾力性のある材料を額縁に付けて, 額縁にかかる力の振動成分を減衰させる。


壁と額縁の摩擦は, 壁と接している他のオブジェクト (すなわち, 釘) からの摩擦によって補うことができる。ひもと釘の間の摩擦はわれわれが制御できるものの一つである。これは一つのアイデアを思いつかせてくれる。釘の表面をざらさらにすることが, もう一つ別の解決策コンセプトになる。
 

解決策2.  釘の表面を粗くして, ひもと釘との間の摩擦を増大させる。


表面を粗くした釘に, ひもを一周以上巻き付ければ, ひもが滑るのに対する抵抗をさらに増大できるであろう。

この解決策コンセプト (解決策2)は, 振動によって額縁の配置がずれる問題をたしかに解決するが, 滑らかな釘の上でひもを滑らせることによって配置を調節するという特長をなくさせる。この問題を解決するには, 釘の軸を, 釘の頭のすぐそばでは滑らかにし, その他の所ではざらざらにすればよい。そうすると, 配置を調節するときには, ひもを釘の頭のすぐそばにして滑らかな面を使い, 調節が終わってからひもをざらざらな面のところに動かせばよい。
 

図10.  軸の表面がざらざらの部分と滑らかな部分を持った釘
 

解決策3.  釘の表面の一部の領域を滑らかにして, 調節のためにひもが滑るようにし, また, 残りの領域を粗くして調節後にすべることを防ぐように, 釘を設計する。
 

この解決策が単純であり, また, それが閉世界の中に留まっている事実から, 非常に興味深い解決策である。

解決策3は, (機能)分配の解決策プロセスからも見つけることができたかもしれない。(調節と安定化という) 矛盾する機能は, 二つの異なる性質 (低い摩擦と高い摩擦) によって実現できるが, それを一つのオブジェクトの中で空間的に分離する (すなわち, 分配する) ことによって実現したのである。

つぎに, USITの解決策生成技法を吟味し, それらをこの問題に適用してみよう。
 

3.2  解決策生成技法 (1) ユニークネス [特異性, 特性]

とりわけ二つの面を, 特異性の観点から必ず検討するべきである。それらは, 時間的特徴と空間的特徴である。

3.2.1  時間的特性

この問題における特異な時間的特徴は, 最初に掛けた後に, 安定化させている摩擦がなくならない限り, 配置のずれが起こらないことである。[壁の] 振動がこの摩擦の損失に寄与している。解決策1のコンセプトがこの問題に向けられている。

もともと正しいバランスであった額縁が, ずれてセットされる場合を考えることができる。例えば, 配置を微調節するときに, 誤差が生じたと考えよう。すなわち, バランスされている額縁が, (完全には正しくない) 位置に配置されて, 静かに壁に付けられそこで安定化したとしよう。壁の摩擦力はこの額縁をそのような正しくない位置に保持するだろう。その後振動が起こると, 徐々に, 額縁を正しく調整された位置に持っていく傾向になるだろう。もちろん, このような完全にバランスがとれた組み立てというのは稀な例外である。この例は振動が有用なこともあり得る場合を例示しているが, 所詮はあまり起こりえない状況である (特許にできるアイデアではない)。

3.2.2  空間的特性

この問題の空間的な特異な特徴の一つは, 額縁の重心と壁上の懸垂点とを通る直線の重要性である。

もし, 額縁の重心が [額縁の] 幾何学的な中心と一致しているなら, 2点懸垂がいつもバランスする [ように設定できる] ことは明白である。一本の釘と, ある長さのひもと, 重心の真上に付けられた一つのフックとで, 額縁をバランスよく正しい配置に掛けることができる (静止した振り子のように)。

もし重心が, 長方形の額縁の幾何学的な中心になくても, 額縁を垂直に二等分する線上にあるなら,  2点懸垂はまだなおうまく働く。しかしながら, フックをとりつける位置は, 重心の位置またはその真上になければならない。額縁の垂直な対称軸の線上に重心が位置しているような額縁を, 「完全な」 額縁と呼ぶことにしよう (このことは, 一つの興味深い問題を示唆する。この完全な額縁をどのようにして作るかという問題である)。

この問題の空間的側面での一つの特異性として考えられるのは, 壁がいつも存在することである。壁というのは壁掛けキット製品の一部ではないけれども, 額縁を掛けるほとんどすべての状況で壁が存在する。実際, このキットの目的は額縁を壁に掛けることなのである。おそらくこの壁をうまく利用することができるであろう。壁は隣接する [すなわち, 環境中の] オブジェクトであり, 問題解決の思考プロセスにおいて見過ごすべきでない。

OAFダイアグラムが示しているのは, 釘とひもが, 釘+フックという複合オブジェクトを支えて, 配置の情報を生成していることである。これから面白いアイデアが浮かんでくる。これらのオブジェクトのうちの二つを消去してみるアイデアである。すなわち, フックとひもとを除去すると, 額縁と釘が残って, 情報を生成する。一つの自明なコンセプトが出てくる。額縁を壁に釘で打ちつけて, 永久に配置してしまうことである。

OAF宣言文で分かるように, 額縁が重さを, 釘が支点を提供して, これらが共にバランスしたシステムを作るのに必要なのである。 (このことから, 「釘」という語よりも, その機能を表す「支点」という語のほうがより一般的で良かっただろうことが分かる。) そこで, 額縁を支える支点というコンセプトを吟味して, バランスする条件の本質的な特性を明確にしてみよう。

つきつめると, 支点という型の支持方式は, 一つの剛く固定した (「地球に固定した」) 点があり, その上にもう一つの別の物体の一点があって, その物体がこの接触点の周りに自由に回転できるように構成されているものである。ぶら下がっている [あるいは支点上に置かれている] 物体の重心がこの支点の真下にある場合に, 平衡状態ができる。額縁の中にあって, そこでバランスをとって水平にしたい一つの面 (例えば, 上部の枠木の底面) を, 額縁の重心 (図でc.g.と表す) の真上で, 支点に直接接触するようにできる。支点を壁に固定することができ, 回転中心をぶら下げる物体 [すなわち額縁] 上に設けることができる。
 

図11.  壁に固定された支点で支えられた額縁。このケースでは, 額縁の重心が幾何学的な中心点にあるという意味で完全な額縁であるとする。
 


壁に取り付けた回転 [して固定] 可能な腕木の端に支点を設置すると, 腕木を動かすことにより支点が描く円弧に沿って, 懸垂点をさまざまな位置にすることができる。この効果は額縁の位置の別種の調整を可能にする。すなわち, 額縁が正しい向きにバランスが取れたままで, 懸垂点が空間で動くのである。ここでは, 額縁はもうすでに (水平に) まっすぐになっていて (すなわち, 重心が支点の真下になるように調節されていて), その向きを崩さないままで水平位置をわずかに調節する必要があるケースである。そのような必要が起こるのは, 複数の額縁を横に並べて掛け, それらの間隔を特定の距離にしたい場合などである。[腕木の] 角度の調節が小範囲であれば, (円弧に沿っての) 連動する垂直方向の変位は気がつかない程度であろう。
 

図12.  壁に取り付けた腕木の端にある支点。支点を支える腕木を回転してできる円弧が, 可能な位置調整の範囲を示す。
 

支点コンセプトの具体化の一つの可能性は, 下に向いた尖端を持つ [曲がった] 釘を額縁に固定し, この釘の先端を支点にすることである。第二の釘で頭部が平らなものを壁に固定し, 上記の額縁固定の釘の支えにする。 この額縁固定の釘は, その釘の先端が額縁の基準線上に来るように, 予め調節しておく必要がある。もし基準線上になければ, この額縁固定の釘をねじって, 額縁の重心を支点の真下にもってくればよい。
 

図13.  額縁に固定された, 下向きの先端を持った釘が, 壁に固定された第二の釘の, 水平な頭部の上にその先端を置いている。右の二つの図は 額縁の裏面を示す。一つは, 釘と重心とが対称軸の上にある場合, 他方は重心が対称軸からずれている場合である。
 

解決策4.  下向きの先端を持つ釘を額縁に固定する。釘の先端は, 壁に固定された水平面の上に置く。例えば, 水平の平らな頭部を持つ第二の釘を [壁に固定しておく]。 釘の下向きの先端は, 額縁の基準線上になければならない。もしずれている場合には, その釘を掴んでわずかにねじり, 先端点を基準線上に持ってきて, 額縁の向き (傾き) を正しくする。水平面の凹みがあれば, 尖った釘が滑るのを防ぐであろう。 (接触の形はこの他のいろいろの変化形であってもうまく動く。)
 

図11に示す支点コンセプトは単純である。あまりにも単純なので, これを有効に利用するように額縁のメーカーが製造時の許容度を制御することができるのでないか, という考えが起こる。壁に固定された上向きに尖った釘と, 額縁の中心線上に開けられた額縁上の穴とで構成した懸垂システムで十分であろう。製造誤差を制御して, 穴の中心と額縁の重心が常に額縁の垂直な対称軸の線上に来るように保証する必要があろう。このような本来的にバランスが取られている額縁は, 壁と額縁の摩擦によって容易に安定化できるであろう。
 

図14.  壁に固定され上向きの先端を持つ釘が, 額縁の穴の中にその先端を入れて額縁を支えている。
 

解決策5.  上向きの尖った先端を持つ釘を壁に固定する。額縁の中に設けた穴に [釘の] 上向きの尖端を入れて, 額縁を置く。穴の上部と額縁の重心は, 額縁の垂直な対称軸上になければならない。
 

これらの釘による懸垂配置を一般化すると, 一つの線 (額縁の面に垂直な線) あるいは点による懸垂になる。そこで, 一つの線または一つの点で接触する二つの固体で, 上記の釘および支持平面に取って代えることができる。例えば, 水平な釘の円筒軸は一つの平面と線接触する。だから, 下向きの尖端を持つように釘を曲げることも必要ない。まっすぐな釘の軸で同じ効果が出せるのである。
 

図15.  釘の軸が水平な頭の釘の上に乗せられている [線] 懸垂。右の挿入図は, 釘の軸の方向から見た端面拡大図。
 

解決策6.  額縁に固定した釘の軸を, 壁に固定した [もう一つの] 釘の水平な面の上に乗せる。
この配置はもちろん, 完全な額縁にしか有効でない。支持点で額縁が回転して額縁の向きが正しくなるのを許している。もし重心が垂直な対称軸から横にずれている場合には, 正しく調整することはできない。

通常のひもによる 3点懸垂では, ひもに明瞭な中心点はない。もし, 懸垂の望ましい位置に凹みが付けられるなら, 状況を改善することができるだろう。そうすれば, 理想的な [完全な] 額縁を望ましい懸垂位置に容易に配置できるだろう。
 

解決策7.  額縁の裏面に, 鋸歯状の留め金を水平に取り付ける。ついで鋸の刃を, 歯の凹みから凹みへと動かし, 額縁の向き (傾き) が正しくなる位置を見付ける。
 
 

図16.  額縁の裏面に固定する鋸歯状の留め金で, 懸垂用の釘を止めるための複数の凹みを提供する。
 

ノート:  短い鋸歯形の額縁掛けで, 額縁の裏面最上部に取り付けるように設計されたものが, 市販されている。

さて, われわれは, 「ひも」の比喩 (メタファ) を一般化し始めたのであり, 解決策のコンセプトを生成するために, それに新しい属性を与えているのである。

鋸歯と釘との間に摩擦がないことが, まだ傾く原因になるであろう。壁と額縁 [の裏面下端] が十分に粗い (ここでも新しい属性) ならば, 壁と額縁間の摩擦でこの問題は克服できるかもしれない。このことは, 一旦 [額縁を正しく] 水平に設定したあとで, 額縁と壁との相対位置を一定に保つように, 両者間に引力を導入することを示唆する。この機能に関していくつかの可能性を思いつく。両面 [接着] テープ, 額縁と壁の間に粘着性のあるパテ, チューインガム, あるいはさらにVelcro [突起のある布] などである。
 

3.3  次元法  [属性次元法]

複数の凹みのあるシステム (すなわち, 鋸歯のコンセプト) の一つの困難点は, 凹みが有限の間隔をもっていて, それが懸垂点の位置決めの精度を限定していることである。これは, 解決すべきもう一つの技術的矛盾を示唆する。すなわち, 鋸歯の周期が増大するにつれて, 配置 (位置決め) の精度が減少するが, 各スロット (位置) での釘の安定性は増大する。われわれは, 鋸歯の周期の如何にかかわらず, よい位置決め精度と安定性がほしいのである。
 

図17.  定性変化グラフ。鋸歯の周期に対して, [額縁の傾きの] 配置の精度および釘 (位置) の 安定性を図示し, これらが技術的矛盾をなすことを示す。
 

鋸歯の [属性の] 次元を増すことによって, [位置決めに] 無限大の分解能を達成することができるだろう。これは配置の精度の課題に対するものである。それは歯の周期を, 現在のような欠点としてでなく, われわれの長所になるように利用することを意味するものであろう。

鋸歯についての問題は, 凹みの間の空間が, 凹みの位置の精密調節に使えないことである。凹みを必要に応じて横にずらせることができれば, この問題を解決して, 釘の安定性のために大きな間隔を維持できるであろう。凹みの位置を動かす一つの方法は, 鋸の歯をナットの中で回転して, 刃全体を横に変位させることである。あるいは, 単純にボルトを鋸の刃の代わりに用いればよい。ボルトのネジ山の間の空間が鋸の刃の凹みの役割を果たす。この解決策コンセプトは, フックとひもの両方の [属性の] 次元を増大させている。
 

図18.  ボルトとナットによる懸垂で, 位置決めの分解能を無限大にする。
 

解決策7.  額縁の裏面に, 水平にボルトをナットでとりつける (フックの代わりとする)。[位置決めの] 調節にはボルトを回して懸垂点を動かす。


額縁を正しい向きに配置する一つの手段は, 液体と浮きからなる水準器から導かれるかもしれない。液体の表面 [水面] を使って「水平面」を決め, その上に額縁を浮かせよう。われわれはこのアイデアを得たので, それを閉世界に持ち込み, 閉世界オブジェクトたちから [属性の] 次元を増大することにより, その [アイデア] を [再] 構築することができるだろうか?  このプロセスを始めるには, この解決策コンセプトを, それからもっと他のコンセプトを導き出すことができるような, 比喩 (メタファ) と見なす必要がある。

この比喩 (メタファ) は二つのステップを示唆しているように見える。最初に, 水平面を確立できること, そして第二に, 額縁をこの基準面に取りつけることである。まず, どうしたら水平面を定義できるだろうか? すでに示唆されている一つの方法は, 静止している液体の表面である。第二の方法は, 水平面を作るある種のバランス [天秤] を利用することであろう。ここの問題は, 重さを等しくさせる天秤を, 水平基準面を作るのに使えるかどうかを明らかにすることである。
 

図19.  浮き利用の水平化システム。左が正面図, 右が側面図。
[訳注:  原書に正面図が載っていない。図20が改良案の正面図である。]


液体と浮きを市販の額縁掛けキットのパッケージ中に入れることができるだろうか? それらは掛けられた額縁にずっと一緒にある部品なのだろうか, それとも使い捨ての補助手段なのだろうか? どのようにすればそれができるのか, 明らかでない。しかし, このような考え方はUSIT法で奨励している思考プロセスにおいて典型的なことである。このアイデアの構成部分とそれらの機能をみることによって, われわれの頭の中に解決の好機を認識させるきっかけになるかもしれない。

浮きのパッケージの一つのアイデアは, 液体と二つの浮きとを入れたU字型の管を, 壁面に固定することであろう。これら二つの浮きには, 垂直に伸びた棒がついていて, 二つのフックを支持しているだろう。棒は,  (液体を保持するための) フェルトのようなストッパーを突き抜けて, フックとの接触点まで伸びているだろう。
 

図20.  液体を入れたU字型の管。液には二つの浮きがあり, それぞれから棒が伸びていて, 額縁上のフックにとりつけられている。
 

解決策8.  U字型の管に入れた液体で水準面を作る。管の両端で液面に浮いている浮きがそれぞれ棒を支えていて, それらの棒がフェルトのような栓を通り抜けて伸び, 額縁上のフックに固定されている。
 

壁と額縁に, 「[表面の] 粗さ] という属性を付加することにより, [属性の] 次元を増大させると, 安定化についての上記の議論を拡張した解決策の可能性を示唆する。それは, 「くっつく壁」 [というメタファ] である。これを実現する一つの方法は, 壁にVelco [マジックテープ] の大きな (しかし額縁よりも小さな) 布を貼り付け, 額縁にも同じように貼ることであろう。額縁をまず目視か, 機械的手段かで水平に合わせ, それからVelcoに押しつけて, 傾くことのない永久の壁掛けを実現する。かくて, 新しい壁掛けキットは 2片のVelco だけになるだろう。
 
解決策9.  くっつく壁と額縁により壁掛けシステムができる。Velco [マジックテープ] または粘着性のある弾性体を使って, 額縁を支持し安定化できる。
フックの [属性の] 次元の増大は, 形を変えるといった簡単なものでもよい。フックの正しい位置からのずれの効果を考察すると, 新しい好機が明らかになってくる。以前に示したように, ずれた位置にあるフックは (縦のずれでも, 横のずれでも), 壁面の懸垂点を通る垂直線から額縁の重心をずらせてしまう効果がある。額縁から手を離すと, ひもが釘の所で滑り, 額縁の重心が釘の真下になるまで額縁が回転する。このことは問題の特性として定性変化グラフの一つに描かれている。定性変化グラフにおいては, 重心のずれは, 有害な条件として示されている。フックの [属性の] 次元を増大させ, その形状の属性を変化させることにより, この害を益に変換することができよう。

フックの形状属性を変化させ, 益として働くようにするのは, フックが「正しい位置」 (すなわちずれのない位置) にとりつけられているかのように「見せる」ことである。実際, 曲がったフックを用いてこれは実現できる。すなわち, 曲がったフックで, それを回転させると, フックの端がその [取りつけ] 軸の周りに円を描いて動くものである。そのようなフックを回転させれば, フックの先端を [有効的に正しい位置, すなわち] あたかも曲がっていないフックが正しい位置に置かれたときに示すのと同じ懸垂効果を示すような位置に, もってくることができる。
 

図21.  額縁に取りつけた後に回転させることができる曲がったフック。回転によりフックの有効位置を変え, 完全な額縁の配置が可能になる。


曲がったフックをほぼ正しい位置に設定しておけば, 完全な配置を実現するには簡単な手続きを踏めばよい。すなわち, まず, フックを額縁に取りつけ, ひもをそれらに結びつける。ついで, 釘を壁に固定し, 額縁の裏面が正面に来てフックが見えるようにして, ひもを釘に掛ける。ひもを釘上で滑らし, 最初のフックの位置で額縁の配置ができるだけよくなるような位置を見つける。つぎにフックたちを回わして, フックのずれた先端がひもを完全な配置を形作るようにする。それが見つかると, その位置にフックを固定し, 全体を釘から外して, 額縁を正面向けてから再び設置する。
 

解決策10.  曲がったフックをほぼ正しい位置に取りつけ, それらにひもを結んで, それからフックを回転させて有効的に完全な配置になるようにする。
これは発明的な解決策である。閉世界の中に留まっており, 同時に, 定性変化グラフの条件を解決している。

「曲がったフック」の変形で, [重心の] ずれを望むように制御することができる解決策がいろいろある。この問題は学習者の演習として残しておく。
 

3. 4  [機能の] 配分

[属性の] 次元の増大と [機能の] 配分 (統合)とは, 時として同様のコンセプトを導く。くっつく壁 [というコンセプト] は, 壁の [属性の] 次元を増大させたと見ることもできるし, 新しい力の概念を一つのオブジェクトに統合したと見ることもできる。

くっつく性質はまた, 磁力を思い付かせる。大きな頭の強磁性の釘を壁に打ち込み, 額縁の受けの中に磁石を入れておく。額縁の位置決めをする間は, 指先を使って額縁を壁から少し離して持つ。水平にしてから, 額縁を壁に押しつけ, 釘と磁石を接触させる。この額縁掛けキットは大きな頭の釘1本と磁石 1個からなるだろう。同じ会社で製造した額縁には磁石を予め挿入しておいたり, あるいは, 薄い磁石片を額縁掛けキットの中に入れておいたりする。第二の磁石片は釘の代わりになる。

この解決策コンセプトは, フックの [属性の] 次元を増大させて磁石にしたと見ることもでき, 釘の [属性の] 次元を増大させて磁石にしたと見ることも, また, 磁力 [という機能] をフック [の機能] と統合したと見ることもできる。
 

図22.  額縁に組み込んだ磁石が, 壁に組み込んだ釘に吸いつけられる。
 

解決策11.  永久磁石を額縁の中/面に組み込みあるいは固定し, 強磁性の釘を壁に固定する。
 

このアイデアの一つの改良は, 大きな面積の釘と大きな面積の磁石を用い, その向かい合う面を粗くすることである。これにより, 額縁を位置決めのために回転することができ, また, 鍵と鍵穴のような関係の摩擦を作り出して, 望ましくない振動の効果を減少させることができる。
 
解決策12.  磁石と釘の頭の表面を粗くして, 鍵-鍵穴型の摩擦を作り出し, 振動に対してよりよい安定化を実現する。
調節のために必要な横の動きと, 固定した懸垂点 [の機能] とを統合して, 釘とボールの組み合わせにすることができる。ボールを釘で串刺しにして緩く [回転できるように] 取りつけることができる。額縁の上部の枠をボールの上に置き, 横に動かして, 額縁をバランスさせる懸垂点を見つけ出す(このセットの安定化には, 前に議論したように額縁の下部の枠 [と壁との摩擦] を使うことができる)。これは支点コンセプトの変形である。
 

図23.  釘の上で回転するボールの上に懸垂させた額縁。側面図と正面図。
 

解決策13.  釘に緩く取りつけたローラーボールが額縁の上部の枠を支え, バランスを取るために横の調節を許す。
 
 

3.5  [オブジェクトの] 複数化

[オブジェクトの] 複数化は, オブジェクトを多数にすることと分割することとを含み, 新しい部分を [やや] 異なるように用いる。すなわち, 新しい属性や機能を持ち込む。

釘を多数化することでどんなことが考えつくか? 壁に 2本の釘を使えば, 水平の基準線をより正確に決定できるだろう。解決策11の改良案が示唆される。
 

解決策14.  二つの永久磁石を額縁の中/面に組み込みまたは固定し (額縁工場で正確にできる),  2本の強磁性の釘を壁に固定する。これにより, 各釘に対する荷重を減らし (重い額縁には有益), また, 額縁の配置決めの課題を二つの釘の位置決めの問題に置き換える。これは, 額縁に対して作業するよりも, おそらくより簡単であろう。
壁面に 2本の釘で水平の基準線を確立した後に, 額縁の望ましい基準線上に二つのフックを取りつけることができよう。これらにより, 釘のうえにフックで掛ければ, 永久の水平を保証できるだろう。明白な短所はいまやユーザが壁に1本ではなく 2本の釘を打たねばらないことであり, 追加の労力が必要なために恐らく反対が出るであろう。

一列に並んだ多数の釘は, 一つの棚を示唆する。おそらく, 長い棚のような頭をもった一本の釘や, 両端に釘がある板を, 額縁を掛けるのに採用できるだろう。一本の釘で, 長い水平の頭を持ち 2本の突起が壁の反対方向に出ているものは, フックを掛けるための 2本の釘として使えるだろう。そうすると, 一本の釘を取りつけるだけで 二つのフック掛けが得られる。バーの両端の突起は短い釘の先端になっていて, 壁に少しだけ刺さり安定化に役立つ。それでも, ユーザは中央の釘だけを壁に打ち込むだけでよい。
 

図24.  長い棚のような頭を持ち, 両端に突起をもった, 一本の釘。壁側への突起は壁に刺さり, 安定化と支持に役立つ。それらの反対側への突起はフックを取りつけるのに使う。(これは平面図である。)
 

解決策15.  棚のような頭部を持ち, 両端に二つの突起をつけた, 一本の釘は, 水平の一次的な棚を提供する。釘を途中まで壁に打ち込み, 棚の上に水準器を置いて [この釘の頭の棚の] 水平を確かめる。そして, 釘をさらに最後まで壁に打ち込み, 両端の短い突起も一緒に打ち込む。これらの短い突起は, 支持強度を増し, ずれに対する安定性を増す。突起の他端は額縁上のフックを支える。
 

棚のような頭部には, 安価な液体水準器を組み込んでおいてもよい。
 
解決策16.  解決策15の拡張。安価な液体水準器を, 中央の釘の棚のような頭部に組み込む。
3.6  その他のアイデア

逆T字型フックがT字型の [頭の] 釘の上に設置され, 水平方向の調節を許す一方で, 額縁の回転の自由度を除く。[属性の] 次元の減少の例。
 

以上


 
 
本ページの先頭  1. 問題の定義  2. 問題の分析  3. 解決策生成  解説: USITの成立と進化  English page

 
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最終更新日 : 2001. 3.23    連絡先: 中川 徹  nakagawa@utc.osaka-gu.ac.jp