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OGU Special Interview

西山寛商事 代表取締役社長 西山進さん

昭和46年に本学商学部を卒業し、
現在はスーパーマーケット「NISHIYAMA」の社長として活躍されている西山進さん。
企業経営に携わる卒業生で組織する大阪学院フェニックス倶楽部の会員として、
学生のキャリア形成支援にも積極的にご協力いただいています。

スーパーマーケットを始めたきっかけ

 大学卒業後は、兵庫県の消費生活協同組合に就職しましたが、しばらくして実家が営んでいた西山寛商事株式会社に入社しました。もともと西山寛商事株式会社はお菓子問屋だったのですが、問屋を続けていくだけではいけないと思い、世の中で何が求められているのかを客観的に考えた結果、スーパーマーケットを展開することに決めました。
 そんな時、日本で最初にスーパーマーケットという業態を始めたと言われる会社を知人から紹介してもらい、スーパーマーケットの経営のために必要なことを勉強させてもらうようになりました。様々なことを勉強させてもらう中で、当時その会社の会長を務められていた方に気に入られ、秘書という身近な立場で学ばせてもらえるようになりました。
 しばらくすると、私と同じようにスーパーマーケットの経営を学びたいという人達に、どのようなことを学んでいるのかを教える機会が増えました。しかし、その人数が多くなり、直接教えることが困難になったので、私は会長にスーパーマーケットの経営に関するノウハウをまとめた本を出版してはどうかと提案しました。すると、会長は私に本を書くことを勧め、私はその本の執筆を通じて、改めてスーパーマーケットの経営について理解を深めました。この時の経験は、現在スーパーマーケット「NISHIYAMA」を経営する上で、とても役立っています。

強みを活かすことの重要性

 私はスーパーマーケット「NISHIYAMA」が、どのようにしたら大手の大型スーパーマーケットと戦っていけるのかということを、常に考えています。これからの日本は、さらに高齢化や人口減少が進み、業界の競争もますます激しくなることが予想されます。私はこの競争に勝つために、中・小型スーパーマーケット間の連携が必要不可欠であると考えています。
 現在、私は日本全国のスーパーマーケットの経営者を集め、勉強会を毎月開催しています。この勉強会に参加する会社は、それぞれ競合することのない商圏を持つところで構成されています。この勉強会は、経営について学ぶのはもちろんですが、それぞれのスーパーマーケットが持っている強みを共有する場でもあります。私はこの勉強会の開催を通じて、地域ごとのローカルブランドこそが、中・小型スーパーマーケットの最大の強みになると感じました。そして、このローカルブランドという強みを組み合わせることで、他に真似できないスーパーマーケットの経営を可能にし、大手の大型スーパーマーケットに対抗していけると考え、実践しています。

社会での生存競争を勝ち抜くために

 このような「強みを活かす」というのは、何も経営だけに言えることではありません。私は学生の皆さんにこそ、社会に出てから活かせる強みを大学生活の中で身につけてもらいたいと思っています。
 大学は生きていく上で必要なスキル、つまり「実学」を学ぶ場所であると考えています。これは、数学や語学のように講義の中で学ぶものではなく、普段の生活や様々な人との関わりの中から学ぶものです。
 私はより多くの学生に、大学で主体的に学んでもらいたいと思っています。大学は非常にたくさんの情報や知識で溢れています。しかし、人から教えてもらうという受動的な考え方では、自分が本当に学びたいことを学べる機会は少なくなりますので、大学を活用するという能動的な考え方を持ち、的確に取捨選択をして学ぶことが重要だと考えています。
 大学は“知の宝庫”です。多くの選択肢の中から、自分自身が知りたい、学びたいと思うことを選択し、学ぶことができるのです。また、学びたいことを深く掘り下げていくと、形は様々ですが、新たな人脈を広げることができます。人脈を広げることは、新たな考え方に触れることであり、自分自身の能力を高めることにも繋がります。
 社会に出るということは、生存競争の始まりを意味します。そして、どのようにすれば社会で生き残っていけるのかを考えると、自ら学ぶという姿勢が重要になります。私自身、大学で能動的に行動し、様々な実学を自ら学んだことが、現在の社長業に役立っています。学生の皆さんには、大学生活の中で様々なことに自ら挑戦し、強い精神力や技術を身につけ、生存競争を勝ち抜いてもらいたいと考えています。

【インタビュアー・ライター:弘田 葵、カメラマン:谷口智紀】

西山進さん

西山進さん プロフィール

中学、高校、大学とスキー競技を行う。大学卒業後、兵庫県の消費生活協同組合での勤務を経て、スーパーマーケット「NISHIYAMA」を展開する西山寛商事㈱に入社。後に代表取締役社長に就任する。 著書は『関西スーパー北野祐次の完全主義経営』(昭和58年9月、商業界)、『人生の正体』(平成23年3月、商業界)。また、商品開発研究会の会長を務める。座右の銘は、「少年老い易く、夢成り難し。今日一日、今一時を軽んずべからず」。