関西大学 久保田賢一
7月14日 大阪産業大学
大学教育マルチメディア・コンテンツ開発研究会
· トフラーの『第三の波』→ 工業社会から情報社会へ:社会構造と価値観の変革
· 工業社会の枠組みから新しい枠組みへの転換、企業のリストラ
· 学校は100年前とほとんど変わらないシステム:外枠としての教室とそこで用いられる知識伝達型の教育方法、
· 100年前に、近代社会の建設に向けて、学校教育が確立された。
· マルチメディア社会では、新しい学校教育が求められている。
· 日本の大学に対する批判:日本の大学は世界水準にはない。閉鎖的である。
· 大学審議会の中間報告(6月23日、朝日):年限をもうけずに働きながら学べる『パートタイム学生』の制度、同時に複数の分野の学士号を取得、インターネットを通じた『バーチャル大学』
· ファカルティ・デベロップメント(FD)、学生による評価などアメリカの方法を導入するが、部分的な導入はかえってうまく機能しない。
· 遠隔授業は、大学の中では新しい方法であるが、教え方は従来の講義形式が中心であり、受講生はテレビを見ている感覚で授業に参加する。
· 学生の反応:おもしろくない。ビデオで十分に代替えができる。リアルタイムである必要はない。
· 遠隔学習は、経済効果という側面が注目される。遠隔学習の本来の効果は、多様なニーズに応える→たくさんの科目を用意して、受講生は自由に選択をすることができる。
· 遠隔学習の双方向性を生かした教育方法を導入する。そのためには、教員が十分な教授技能を備えるとともに、その技能を修得するためのインセンティブを用意する必要がある。
· 『学校での学び』と『社会で生きること』の分離:知識の転移が出来ない。学校で学んだことが社会に出て役に立たない。
· 社会科学におけるパラダイムシフト:客観主義から構成主義へ
· 行動主義心理学:刺激と反応を見る。外界の観察可能な変化を捉えることで、心を調べる。
· 情報処理アプローチ:脳をコンピュータのアナロジーで捉える。短期記憶、長期記憶。
· 知識を細かく分解し、その構造を捉えることで、教え方を考える。『もの概念』としての知識を捉える。システムズアプローチによる教授デザイン。
· 構成主義の基本概念:�@学習とは学習者自身が知識を構成していく過程である。�A知識は状況に依存している。�B学習は共同体の中での相互作用を通じて行われる。
· ピアジェの『同化』と『調節』。環境との相互作用による発達
· ヴィゴツスキーの『発達の最近接領域(ZPD)』
· デューイの『問題解決的思考』。環境に主体的に働きかけ、内省を行いながら『探求』していく学習者。
· ポストモダンの思想:相対化された立場
· 多様な知性:知性はIQだけでは計れない。言語的知性、論理数学的知性、空間的知性、身体運動的知性、音楽的知性、対人知性、心内的知性(ガードナー)。
· 『科学的技術の合理的適用』は、マニュアル化された方法を当てはめるだけの実践で終わってしまう。教師の『実践的知識』は文脈に依存している内省的な活動である(reflection-in-action)(ショーン)。
· キブソンの『アフォーダンス』の概念は、人と環境が相互作用をする一つの単位として捉える。『道具』あるいは『人工物(記号も含む)』と人の活動は常に一体となっている。『道具付きの思考』が日常での思考である。
· 文化集団への参加の過程そのものが学習である。参加する人の主体的な関わりの重要性。『正統的周辺参加』『認知的徒弟制』
· 意味のある行為としての『参加』。学びの共同体の形成に向けて。
· 学生相互の関わりをどのように高めていくことができるか。知の共有化 → 学びの共同体づくり
· 構成主義を取り入れる制度とシステム:教育を重視するインセンティブを用意。情報技術(IT)の活用。少人数の教育体制。
· 大学経営の経済主義からの脱却。効率主義ではない教育。
· 遠隔教育の経済学 遠隔教育は儲からない
· 教育の質とは何か。学び方のコンセンサス。
久保田賢一『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』関西大学出版 2000年