From: "M. Okuno-Fujiwara" Date: Sun, 07 Jan 2001 14:00:04 +0900 To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Subject: Re: 提言第一稿 Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp IKEDA Nobuo wrote: >奥野さんの教科書を久しぶりに読み直してみたら、この結論は「固定費用が存在 >しない(限界費用=平均費用)という仮定に依存している」と注に書いてありま >すよ。普通の経済学のロジックで、平均費用が価格決定にきいてくるというのは >考えにくいですね。もちろん、ごく少数の寡占市場なら、レントを乗せた暗黙の >「相場」が形成されることはありうるでしょうが、3Gの場合は低コストのGSMと >の競争があるので、むしろ完全競争に近い状態になると思います。 (私自身も含めて)ちょっと混乱しているように思うのですが、われわれが考えて いるのは、リースオークションですから、ダイナミックなゲームです。まず第一に 、その解として何を使うべきか、議論が分かれます。実験結果からはサポートされ ないのですが、理論で普通使うのはサブゲーム完全均衡(あるいはクローズドルー プ解)です。従って以下では、電波を使える最後の期について、まず考えてみます 。 そうすると、すでに支払ったオークション費用は、すでにサンクされていることに 間違いはありません。しかし、寡占状態が成立している(もちろん、代替サービス の市場が価格つり上げ行動の頭を押さえることは事実です)訳ですから、(ゼロに 近い)限界費用以上の価格がつくことになると私は思います。また、談合などによ って、あまりにも高い独占利潤がつく場合には、独禁法違反になるでしょう。この ような状態は、その前の期も、その前の期も起こるだろうと思われます。 このようなbackward reductionを経て、最後にたどり着くのが、最初の期、つまり オークションを行う時点です。企業は、上記の論考を経て、将来得られる利潤の割 引現在価値が正常利潤を上回るなら、その超過額分だけを入札額として提示するは ずです。もし、将来利潤の割引現在価値が正常利潤を下回るなら、誰も入札しない はずで、そうならば、政府は割り当てる電波の量を少なくして、より独占的状態を 作り出し、得られる割引現在価値が正常利潤を上回る水準にするという形で解決さ れるのではないでしょうか。 ただし、以上は完全予見、利潤最大化、合理的行動などの、おそらく現実の企業行 動を反映しない仮定を含んでいます。ですから提言では、この点はあまり深入りせ ず、さらっと流しておいて良いかと思います。ただし、「ドイツの例は、ドイツ・ テレコムが市場支配にこだわった結果であり、日本のオークションを考える上であ まりこだわらない方が良い」という程度は、いっておいた方が良いかもしれません 。 奥野拝 <><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><> Masahiro Okuno-Fujiwara, Faculty of Economics, University of Tokyo Tel: +81-3-5841-5647, Fax: +81-3-5841-5521 (Faculty of Economics)