From: "M. Okuno-Fujiwara" Date: Mon, 08 Jan 2001 10:07:32 +0900 To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Cc: tatsuo@glocom.ac.jp Subject: Re: 提言第一稿 Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Tatsuo TANAKA wrote: > >池田さんは価格は限界費用で決まると考え、奥野さんは価格は平均費用で決まる >と考えています。 > >"M. Okuno-Fujiwara" wrote: >> 完全情報の世界で、事前にベルトラン競争(競争入札)を行えば、固定費用分を損するこ >> とになるまで入札価格は下げません。逆に、事後的には、寡占が成立していますし、次の >> リース期間までは新規参入のない寡占状態が続く訳ですから、(一時的なシェア拡大競争 >> が起こることはあっても、長期的に)損をするような価格がつくわけがないと思います。 >> 従って、私は価格は平均費用に落ち着くと思っているのですが・・・・ > > ここで、奥野先生の議論での最後の一文がわかりません。損をする価格がつく >わけはないのはそのとおりですが、平均費用に等しくなるとは限らず、平均費用 >以上の価格がついてもかまわないのではありませんか。自由参入がなく、密接な >代替財もない寡占市場ではそのほうがむしろ自然ではないでしょうか。 > 以下、内容的には同じ事ですが言い換えます。 > 引用されておられるのは、昨日の2番目のメイルで、おっしゃるとおり論理なしに結論だけを 述べたので、その論理を説明した最後のメイルをお出ししたわけです。 ただ、それから池田さんがアップされた資料等を見て、また考え直しています。下記に、現在 時点での私の思考を書きますから、できればそれに対して池田さんや田中さん、他の方々が示 される反応を是非お知らせいただきたいと思います。 (1)昨日の最後のメイルでも書いたとおり、オークションが終わった後の事後の電波フロー の市場を考える必要があります。ここでは、電波需要者が、オークションの結果電波フローの (リース期間中の)所有者から電波を買うことになります。制度設計をちゃんと行っておけば 、この電波フローの所有者は複数おり、彼らが所有する帯域も近接するはずですから、これら 売買される電波は、密接な代替財(ほとんど同質財)になるでしょう。 (2)売買される方式は、所有者側の談合などがなければ、オークションに近い形になります 。ということはベルトラン型の競争で、しかもオークション落札額はサンクされていますから 、価格は、限界費用に、スウィッチングコスト部分と正常利潤部分を加えたものになると思わ れます。「正常利潤は経済学ではゼロだと定義する」習慣(事実、経済学の思考法を使えばゼ ロになります)になっているので、需要者側が周波数を変えることで発生するかもしれないス ウィッチングコストを無視すると、池田先生や普通の議論にある「価格は限界費用に等しくな る」ということになります。この結果、所有者が得られる利潤は、結局正常利潤になります。 (3)さて、以上のことが起こると正確に予想できるとして、事前の電波リース・オークショ ンを考えてみましょう。この市場では、事後と違って売り手が政府、買い手が(事後的に電波 の所有者になる可能性を持った事業者)です。ここでもほとんど同質的な電波が売買されるわ けですから、ベルトラン競争が行われるでしょう。(繰り返しになりますが、この事前の入札 に関するベルトラン競争と、先に述べた事後の電波利用に関するベルトラン競争をきちんと分 けていなかったのが、私の昨日の混乱の最大の牽引です。) (4)その結果、電波リース・オークションでは、事後的に電波所有者になろうとする事業者 達が、当該電波から得られる利潤の割引現在価値で入札額が決定されることになるはずです。 それは、(2)で述べたように、単なる正常利潤の割引現在価値分です。ただし、それは winner's curseや期待の誤りを除いての話ですが・・ 以上のストーリーで私は一応納得したのですがみなさんは如何でしょうか? つまり、結論から言うと、電波オークションで得られる政府収入は、本来、リース期間中に事 業者が、電波を使うことによる正常利潤の割引現在価値でしかない。従って、本来物事が正し く運営されるのなら、事後的な(サンクされた固定費)というのは、(正常利潤はゼロですか ら)実質的に存在しないことになります。 そこで、次の応用問題は、もしwinner's curseや予想の誤りなどで、過大な価格で電波オーク ションの落札が決定された場合、それが事後的な電波フローを利用した市場で転嫁されるかど うかと言う問題にゆくことになります。 (5)この場合でも、上記の(1)と(2)の結果は代わらないので、電波所有者は、正常利 潤しか手に入れられないことになります。ということは、電波自体の入札で過大な評価額で落 札した事業者は、その過大評価分を自らかぶる必要が起こるわけで、体力のある企業ならそれ を自分でかぶる、そうでなければ破産するので銀行を始めとした、当該事業者に対する債権者 がかぶることになります。 言い換えると、電波オークションにおける高値落札は、電波を利用したサービス価格に転嫁さ れることはなく、他方、高値落札した部分は、落札事業者やその事業者への債権者から、財政 収入という形で国民一般に再分配されることになります。 というわけで、みなさんを混乱させてしまい申しわけありませんでした。ずーっと池田さんが 正しかったわけですよね。でも、少し理論を整理したメリットはあったかもしれないので、間 違いメールを出し続けたことをお許し願えれば幸いです。 奥野拝 <><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><> Masahiro Okuno-Fujiwara, Faculty of Economics, University of Tokyo Tel: +81-3-5841-5647, Fax: +81-3-5841-5521 (Faculty of Economics)