From: "M. Okuno-Fujiwara" Date: Tue, 09 Jan 2001 10:03:45 +0900 To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Cc: tatsuo@glocom.ac.jp Subject: Re: 提言第一稿 Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp 奥野です。 私が間違っているのかもしれませんが、今現在私は次のように考えています。 Tatsuo TANAKA wrote: >奥野先生のロジックでは正常利潤額が先に決まり、これにしたがって入札額が決 >まります。このロジックがわかりません。 単にバックワード・リダクションを使っているだけです。入札後に、「所有電波を需 用者に提供したとき、いくら利潤が得られるか」というのが、私の第一の設問で、そ れは正常利潤に近いだろうと推測し始めています。(もちろん、電波所有者は寡占状 態でしょうから、そうでない可能性もあります。) > > ここでの正常利潤とは何でしょうか。私の理解するところでは、正常利潤とは、 >自由な参入退出あるいは密接な代替財の十分な供給があって、価格が平均費用ま >で引き下げられたあとの利潤です。奥野先生のおっしゃるように経済学の慣例で >はこれはゼロです。 私が、参入退出がなくとも、また、代替財の供給が充分になくとも、正常利潤に落ち 着くと思うのは、電波のキャパシティが充分にとれるだろうと推測するからです。( これが違えば、当然結果は異なることになると理解しています。)キャパが充分にあ れば、ベルトラン競争によって価格が引き下げられ、すでにサンクしてしまった落札 額を考慮に入れず、限界費用(プラス正常利潤)まで価格引き下げ競争が続くだろう 。 > しかし、この平均費用への引き下げメカニズムは、入札額がいくらであっても >生じ、達成される正常利潤は入札額とは無関係です(だからこそ正常利潤は慣例 >でゼロとされる)。つまり、入札額が100億円でも、500億円でも、落札後 >は平均費用への価格引き下げメカニズムが同じように生じ、正常利潤は同じ値 >(すなわちゼロ)になる。ただし、価格が引き下げられて向かっていく先の平均費 用 >の水準は、当然入札額が100億円のときとより、500億円の方が高くなる。 >したがって、結果として入札額が価格に転嫁されることになります。つまり転嫁 >は起こる。 > > #なお、このままでは落札価格によらずに常に正常利潤が確保されますか >  ら、落札価格の均衡値は決まりません。すなわち、企業は入札価格をど >  んどん上げていくでしょう。落札額の決定は、(ぼんやりした言い方で >  すが)需要曲線の限界につきあたることでなされることになろうと思います。 > ちょっとこの部分の文章の意味を解しかねているのですが、私の趣旨は次のようなも のです。上記の、所有電波を需要者に提供したときに得られる利潤は、限界費用(+ 正常利潤)であり、限界費用は費用に等しいから、結局得られる利潤額は、正常利潤 額でしかない。つまり、オークションの際に合理的な(潜在的)事業者が考えるのは 、電波を落札しても、正常利潤の割引現在価値分の利益しか得られないと言うことで す。そうだとすると、非合理な参加者やwinner's curseの問題を除けば、オークショ ンの落札額は(経済学の言葉で言えば)ゼロだということになります。 ただし、この結論は、 (1)非合理な参加者がいないこと、 (2) Winner's Curseが存在しないこと (3)事後的な競争で談合などの不正行為がないこと、 (4)事後的な競争で充分な空きキャパシティが存在すること (5)事後的な競争がベルトラン型の価格競争で行われること (6)オークション自体が適切に設計されること (7)参加者が異質(の計画を立てており)で、それに関する情報の非対称性が存在 しないこと。つまり、情報レントが存在しないこと。 (8)人々が、われわれ「経済学者が考える合理的な人間」として行動すること。 などに依存します。しかし、これらはいずれもきつい仮定なので、現実に起こること はかなり私の予測と異なるでしょう。 奥野 <><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><> Masahiro Okuno-Fujiwara, Faculty of Economics, University of Tokyo Tel: +81-3-5841-5647, Fax: +81-3-5841-5521 (Faculty of Economics)