From: "M. Okuno-Fujiwara" Date: Wed, 10 Jan 2001 10:15:37 +0900 To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Cc: tatsuo@glocom.ac.jp Subject: Re: 提言第一稿 Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp 奥野です。 >ただ、この価格転嫁の話題はそろそろ打ち切り、別の話題、あるいは提言の賛同 >者集めなどに移った方が効率的と思います。以下、忘れないうちということで一 >応返信しますが、再返信はなしでもかまいません。まずは、付属文書を書いてみ >ますので、それを見てまたコメントしてください。 私もおっしゃる方が建設的かと思いますが、これは考えているうちに文書にしてしまった 方が能率的なこと、私が間違っている可能性も高いこともあり、あえて返信します。 > >> 私が、参入退出がなくとも、また、代替財の供給が充分になくとも、正常利潤に落ち >> 着くと思うのは、電波のキャパシティが充分にとれるだろうと推測するからです。( >> これが違えば、当然結果は異なることになると理解しています。)キャパが充分にあ >> れば、ベルトラン競争によって価格が引き下げられ、すでにサンクしてしまった落札 >> 額を考慮に入れず、限界費用(プラス正常利潤)まで価格引き下げ競争が続くだろう > >電波のキャパが十分というのがわからないです。通常は、ある地域のある周波数 >帯に3個〜6個程度の免許を設定し、それを事業者がオークションで取り合いま >す。参入が無く、代替財もなければ、落札した事業者の間での普通の寡占均衡(ベル >トランかクールノーかわかりませんが)になりますから、価格は寡占レン >トを含む高い水準(寡占価格)になるはずです。それがキャパが大きいと、そう >ならずに限界費用(+正常利潤)まで価格引き下げ競争が続くというのですよね。 >このときのキャパとは何でしょう。帯域は固定、事業者数も少数に固定されてい >る状態で、大きいキャパとはなにをさすのでしょうか。 キャパといっているのは、2段階目の競争におけるキャパシティです。いま、XとYの業 者が事業を行っており、Xが限界費用以上の価格で電波を需要家に売っているとします。 このとき、もしYが余ったキャパシティを持っているとすると、Xの価格より少し低い( しかし限界費用より高い)価格で需要かを引っ張ってくることで、(サンク分を除いて) 正の利潤を出すことができます。取られたXは、あいたキャパシティを有効活用下げるた めに、Yの価格より少しでも低い価格をつけようとします。このようなプロセスを通じて 、価格は限界費用に間で切り下げられます。 なお、キャパシティ制約がある場合、この種のゲームには純粋戦略均衡が存在しないこと が知られています。また、上記の結論は、談合が成立せず、非協力ゲームの解が成立する ことも仮定しています。 >> ちょっとこの部分の文章の意味を解しかねているのですが、私の趣旨は次のようなも >> のです。上記の、所有電波を需要者に提供したときに得られる利潤は、限界費用(+ >> 正常利潤)であり、限界費用は費用に等しいから、結局得られる利潤額は、正常利潤 >> 額でしかない。つまり、オークションの際に合理的な(潜在的)事業者が考えるのは >> 、電波を落札しても、正常利潤の割引現在価値分の利益しか得られないと言うことで >> す。そうだとすると、非合理な参加者やwinner's curseの問題を除けば、オークショ >> ンの落札額は(経済学の言葉で言えば)ゼロだということになります。 > >結局得られる利潤は正常利潤(つまりゼロ)であるという点は同意します。しか >し、それでも転嫁がおきるかどうかについては意見がわかれるということは、正 >常利潤に落ち着くメカニズムとして、奥野先生と私とで違うものを考えていると >いうことだと思います。「キャパが大きければ」ということの意味がわかりませ >んので、違いの原因はこれ以上わかりません。 もう一度繰り返しになりますが、ここで「得られる利潤は正常利潤である」といったのは 、2段階目の(独占ではない非協力ゲームと仮定した)ゲームです。そこでは、オークシ ョン費用はすでにサンクされているので、田中さんがたぶん考えられておられる「オーク ション費用を含んだ正常利潤」とは違って、「オークションを含まない正常利潤」がゼロ になると主張しているのです。 前回も申し上げたと思うのですが、このことは結局、理論的に考えて落ち着くべき入札価 格は、(winner'scurseや予想の誤りを除いて)第2段階目の電波事業者と需要者間の市場 で成立する正常利潤の割引現在価値でしかないはずだ、というものです。とはいえ、5年 間の正常利潤の割引現在価値は充分に大きいものですから、財政的にも意味があります。 そして、また、電波割り当ての透明化・公正化にも大きく資すると考えられます。 奥野 > > ただ、上では奥野先生が考えるところを要約されているので、私も考えるとこ >ろを要約しておきます。以下は内容的にはこれまでの主張の繰り返しですので、 >すでに話はわかったという方は、読み飛ばしてくださっても結構です。 > >通常は、参入も無く密接な代替財もない寡占均衡では、クールノーにしろベルト >ランにしろ限界費用で価格が決まると考えますから、サンクコストである落札額 >と独立に価格が決まります。ゆえに、落札後の市場での利潤(寡占利潤)も決ま >る。オークションのときには、企業はその確定した利潤(の割り引き現在価値) >を知っているわけですから、その額で落札することになります。 > >しかし、参入があるか、密接な代替財があるか(あるいは同質財なのに価格引き >下げ競争が行われるか)などの理由で価格が平均費用まで押し下げられるとする >と、価格は平均費用に等しくなります。平均費用は落札額の費用を含んでいるの >で、価格は落札額に依存することになります。オークションのときには、企業は >この価格と落札額の間の依存関係を知り、落札額を決めることになります。 > > >以上 > > > <><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><> Masahiro Okuno-Fujiwara, Faculty of Economics, University of Tokyo Tel: +81-3-5841-5647, Fax: +81-3-5841-5521 (Faculty of Economics)