Date: Wed, 10 Jan 2001 06:47:21 +0900 From: IKEDA Nobuo To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Subject: Re: 提言付属資料(を作るとして、そ)の起草の分担をお願い できませんでしょうか(?)。 Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp こんなもんでどうでしょうか。あとは鬼木さんが適当に直してください。 ちょっと東大のサーバの具合が悪いようですね。 -- Ikeda, Nobuo GLOCOM, International University of Japan. http://www.glocom.ac.jp World Wide Vision Initiative. http://www.wwvi.org付属資料:周波数オークション以外の配分方法  電波を効率的に配分する方法としては、周波数オークション以外にもいくつか提案されている。特定の周波数をオペレータに固定的に割り当てる方式は、電話のような回線交換の時代の制度であり、インターネットのようなパケット交換では一定の帯域を共有して使うことが効率的だからである。中でも有名なのは、技術評論家ジョージ・ギルダーやインターネットの創始者ポール・バランによって主張されている「免許不要論」と、コロンビア大学のエリ・ノームの提案する「オープン・アクセス」である 免許不要論  ギルダーは、スペクトル拡散などの帯域を共有する技術によって、特定の周波数を一業者に独占させる意味はなくなったとする(*1)。またセルラー無線のような技術を使えば、一つのエリアを分割して同じ周波数基地局ごとに使うことができるから、理論的には、基地局の数さえ増やせば無限に帯域を利用できる。  これが可能かどうかは、実際に無免許で使える帯域の状況を見ればわかる。2.4-2.48GHzの「ISM(Industrial, Scientific and Medical)バンド」として小電力用無線に確保されている帯域は免許不要で、無線LANにも使われているが、電波の管理が行われていないため、都市部では妨害電波などの干渉がひどく、IEEE802.11bでも数十bps程度しか出ない。スペクトル拡散は帯域を効率的に使うことはできるが、雑音が多いとエラー訂正などによってスループットがが落ちてしまうのである。もちろん、これも無限に無線局を増やせば解決できるが、今のところ公衆無線としては採算がとれない。  またバランによれば、周波数が足りないように見えるのは割り当て上の問題であって、実際に使われている部分はごくわずかである。したがって、端末側で周波数アナライザーを使って空いている周波数を探し、そこで使われている変調方式を選んで交信を行う「ソフトウェア無線」技術を使えば、事実上無限に近い帯域が利用可能なので、免許は不要だという(*2)。ソフトウェア無線は、技術的には近い将来に実用化すると見られているが、このような「海賊無線」的な使い方は、今の電波法では不可能である。 オープン・アクセス  ノームは、帯域をあらかじめ割り当てず、通信するたびに道路の通行料のような「アクセス料」を支払う方式を提案している(*3)。これは、電力では実現しており、固定通信でも専用線の帯域を売買する市場が生まれている。しかし無線の場合には、有線のように特定のノードを通る必要はないから、チェック・ポイントがない。帯域がどの程度使われているかをつねにモニターし、100%使われているとき入ってきて混雑の原因となるユーザーを特定して料金を取る「決済機関」を作ることは、技術的に困難であり、中央集権的な電波管理を必要とするだろう。また免許を完全に廃止すると、料金を払わないで通信を行う者を規制する法的な根拠が失われてしまうから、何らかの制限は必要であろう。  ただしパケット交換では、現在のように特定の周波数を占有する「無線通信免許」は必要なく、一定の帯域の中で出せる最大のデータ量(ビット・レート)を制限する「帯域利用権」でよい。これをオークションによって「帯域卸し売り業者」に一括して割り当て、その業者(無線ISP)が帯域をユーザーに「小売り」するような形でオープン・アクセスを実現することは可能だろう。 参考文献 *1 G. Gilder, "Auctioning the Airwaves", Forbes ASAP, April 11, 1994. *2 P. Baran, "Ending spectrum shortage", 1997. http://www.americasnetwork.com/issues/97issues/971101/110197_obdeck.html. *3 E.M. Noam, "Taking the Next Step Beyond Spectrum Auctions: Open Spectrum Access", 1995. http://www.columbia.edu/dlc/wp/citi/citinoam21.html