Date: Sun, 07 Jan 2001 09:09:38 +0900 From: Tatsuo TANAKA To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp Subject: Re: 提言第1稿 Cc: tatsuo@glocom.ac.jp Reply-To: itme-auction@e.u-tokyo.ac.jp 田中です。 以下のコメントは鬼木先生の「用語の確認」6日午後21時以降の議論を読まな い段階で書いたものです。現在自宅の電話が不通となり、公衆電話からかけてい て、遅れてしまいました。すでに議論が進んでいて以下の文はout of dateの部 分も多いです。が、議論が高速で進んでいるので、修正せずに流します。 ーーーーーー 田中辰雄です。 反応が遅くなり、申し訳ありません。 提言内容が明瞭で基本的に大賛成です。そのうえでコメントします。 1)再配置問題について IKEDA Nobuo wrote: > 鬼木さんの比喩でいうと、「土地収用」の問題ですね。具体的には、今は既 > 存業者が無制限に居座る事実上の権利を持っているわけですが、その権利の内容 > や再配置の手続きを規定することです。これと(収用した土地の)オークション > を一体で提案したほうが、携帯電話業者の強い賛同が得られるでしょう。 "M. Okuno-Fujiwara" wrote: > �G提言の中に、「すでに免許を与えた電波で、その免許終了期限が3年以上のものについ > ても、2003年度末に免許を終了させ、その段階でオークションなど新たな仕組みで電 > 波を再配分することを、現時点で公表する」という項目を付け加えてはどうでしょうか? 再配置問題の重要性は私も同意見です。しかし、この点を第一提言内で正面から 扱うにはもう少し準備をしてからの方がよいのではないでしょうか。ちょっと考 えてもいろいろ論点が出てきます。 (1)制度上は免許更新を拒否できるといっても、これまで拒否したことがほとん どないので抵抗は大。これを乗り切る制度の提案をする必要はないか。そしてそ の制度設計を考えるとするといろいろの問題が出てくる。 (2)再配置は国がやるのか、それともオークションで落札した新規事業者がやる のか。言い換えれば、成田空港のように公的に収用するのか、電波版の地上げ業 者がやるのか。 (3)再配置に応じるインセンティブとしての電波利用料をどう設定するのか。言 い換えれば電波版の固定資産税の設計。 (4)小檜山さんによれば、テレビはまだ効率的な方で、実際の不効率はむしろ他 の用途(警察無線、防衛無線、タクシー無線、船舶、アマチュア無線など)で発 生している。しかし、これらの用途では安全がからんだり、共同利用したりして いてテレビより扱いが難しそうである。 土地問題で言えば、東京都の土地を時価で国が買い上げ、再度入札することがで きれば土地利用の不効率性は大半は解決するでしょう。それが困難なところが問 題なわけで、再配置問題は別途提言を考えるだけの価値があり、また考えた方が よいように思うのですが、どうでしょうか。  具体的には、第一提言のオークション提案では再配置問題の「存在」に触れる にとどめ、第二提言で「オークションの前提として、再配置の効果的な方法を検 討する必要がある。そのために、電波資源に関する一層の情報公開が必要」とい う書き方です(これは小檜山さんの提案と同じです)。  第一提言のなかで再配置問題ついてあまりたくさん書くと、そこに読者の関心 ・質問が集中してしまい、提言の本来の趣旨であるオークション制度の採用の方 から関心がずれるのではないかということを危惧しています。  #杞憂かもしれませんが・・。 2)リースオークションについて 最大公約数的にして賛同者を増やすために、リース・オークションへの特定化を 弱めるという池田さんの意見に賛成です。ただ、少し弱めるだけでよく、     「リース・オークション「を」提案する」 という一文をはずし、代わりに落札額の高騰対策として     「リース・オークションという方法「も」ありうる」 として、いわば選択肢のひとつとして示すと言う形にすれば、このままでも賛同 者を広く募れるのではないかと思います。 3)価格転嫁問題について "M. Okuno-Fujiwara" wrote: > �E価格転嫁の問題については、できるだけ理論武装をした方が良いと思います。落札額が > サンクされてしまうというのが、田中さんなどの御意見ですが、「サンクされるのは落札 > 額が回収不能だという場合」です。しかし、ここではリセールを明示的に主張しているの > ですから、サンクされるのはリセールで回収できない(つまりwinner's curseや予測の誤 > りに基づく、正常価格からの超過額)部分だけになるはずです。私は、できれば「専門家 > の間で諸説が分かられている」というのは、読者に対する説得力を失わせるので、われわ > れの意見をこのMLで火曜日までに決定し、それを最終案に繁栄したいのですが、如何で > しょうか。(>田中さん、今井先生、その他の方々、どう思われますか?) この点ですが、あれから考えまして価格転嫁は起こりうると思い直しました。 奥野先生のおっしゃることを理解しているかどうか不安なのですが、私なりに理 解していることを書いて見ます。 競争均衡が限界費用(反応曲線)だけで決まる教科書的な状況では、まず落札後 の携帯電話市場での均衡価格(の予想値)が限界費用に応じて決まり、そのとき の利益に応じて落札価格が決まります。限界費用には落札費用は含まないので転 嫁は起こらないはずです(この点はjohokaMLで柳川さんが要約していたとおりで す)。 しかし、競争均衡が限界費用だけで決まると言うのはいかにも教科書的な状況で、 昨今の携帯電話市場のように価格の引き下げ競争が激化する状況では、平均費用 (これには落札費用を含む)も効いてくると思われます。すなわち平均費用に近 い(あるいは等しい・・競争のしかたによる)水準に価格が決まる。平均費用に は落札費用も反映されますから、結果として価格転嫁が起こることになります。 すなわち企業は、落札費用は平均費用を通じて価格に反映されることを知って、 落札額を決める。もし企業が合理的なら、回収可能な水準に落札額を収めるだろ う。 奥野先生は上で「サンクされるのは落札額が回収不能だという場合」とおっしゃっ ていますが、これを逆に言うと「回収される落札額はサンクされない」という事 になります。それはこのこと(企業が合理的なら)「落札額を回収できる水準に 決める」ことをさしていると解釈しているのですがどうでしょうか。 上の私の理解(限界費用で決まるか、平均費用で決まるかという区別)が正しい かどうかわからないのですが、仮に正しいとします。 そうすると価格転嫁は起こりうることになります。しかし、必ず起こるわけでも ないです。転嫁の有無は、落札後の市場でどのような競争が行われるかに依存す ることになります。 そうだとして提言の書き方ですが、奥野先生のおっしゃるように、提言の文章の なかで「価格転嫁の問題については、専門家の間で諸説が分かれている」という のは読者への説得力を失わせると思います。そこで「価格転嫁が起こるかどうか は、落札後の市場の競争がどのようなものになるかに依存する」とあっさりと書 いて、その後すぐに「しかし転嫁が起きても移転であって国民全体の負担にはな らない。なぜなら・・・」という論点を力をいれて詳しく述べてはどうかと思い ます。 以上