競争政策のための基本的枠組みとNTTグループ再編成について 「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」に関する意見表明 2000年9月19日 鬼木 甫 大阪学院大学 I.  概要  本稿は、「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」とりわけ、(1)ネットワーク構造、電気通信事業の将来像、(2)競争の基本的枠組み、(3)NTTグループの位置付けと公正競争の確保、(4)ユニバーサルサービスの確保の4項目について筆者の意見を表明する。まず「競争政策」のための基本方針を述べ、次いで政策目標を「長期目標」と「当面の目標・施策」に分けて述べる。基本的視点は、電気通信業務の性質に着目して可能なかぎり技術進歩に中立な枠組みを作り、これに基づいて長期目標を考えること、そして長期目標に照らして現状の改革方向を求めることである。具体的には、数年以内に電気通信業務、とりわけ今後の成長が求められるアクセス業務を上下に2分割あるいは3分割し、公正競争が実現できる業務範囲をなるべく拡大する(独占要素を持つ範囲を小さくする)ことである。NTTの再編成の方向についても、この方策の帰結としての具体案を提示する。  なお、本稿に提示された筆者の論点の詳細は、末尾の参考文献中に述べられている。 II.  「競争政策」の策定と実施のための基本方針(方法論) A.  「競争政策」の内容と意義  IT革命の推進のためには競争市場のパワーを活用し、民間企業・ユーザの自発的努力と創意工夫を発揮させることを政策の基本とするべきである。 1. 政府の主たる役割は「競争環境」の創成・強化にあり、政府による市場への介入・規制(補助金給付を含む)は必要最小限においてなされるべき副次的役割である。 2. 政府は生産者(事業者)・消費者(ユーザ)の双方について平等の立場に立つべきである。しかし実際には、事業者の利害と比較してユーザの利害は(たとえばパブリックコメントにおいて)表明され難い傾向があるので、政府はユーザの利害を守ることに留意するべきである。 3. 一般に競争市場のパワーはユーザの利害を守る方向に作用するが、例外的に競争だけでは達成できないユーザ利害も存在する(たとえばユニバーサル・サービスの実現)。その場合に政府は、政策目標と手段・方策を明示した上で、市場への介入・規制を必要な程度までおこなうべきである。 B.  長期目標と当面の目標・施策  IT分野の技術進歩は急速かつ多面的に進行している。そのため、IT革命のために望ましい競争政策を明らかにすることは容易ではなく、また時間の進行にともなってその内容が変化する。この事態に対処するためには、競争政策を「長期目標」と「当面の目標・施策」に区別して作成し、かつ技術進歩に応じてこの両者を継続的に見直すことが必要である。この意味で、「IT革命のための競争政策」は、複層的かつダイナミックなものでなければならない。 1. 「長期目標」は、可能なかぎり技術進歩の具体的内容から独立し、歴史的経緯や現状を必ずしも前提せず、また短期的な実現可能性に縛られない観点から作成するべきである。それは、その作成時点における「理想像」であり、具体的な「当面の目標・施策」の決定にあたって見通しと指針を与えるためものである。 2. これに対し「当面の目標・施策」は、現存する諸条件を考慮に入れて作成する具体的な政策・方針である。それぞれの項目について実施期日が明示されることが望ましく、またごく短期間内に実施する項目については、そのための法律案・政省令案が付せられていることが望ましい。 3. 「長期目標」「当面の目標・施策」の両者とも、内容的には一回かぎりの報告書作成・答申で終わるべきものではく、継続して維持・改訂されるべきものである。そのため、報告書作成・答申時点において、その内容のうち、直接に施策を指示する部分を説明の部分から区別した上で明文化するべきである。またそれらに対する提案等を受け入れる体制を整えておくことが望ましい。(従来の慣例には反するが、直接に施策を指示する部分は法律案・政省令案の形式で表明されることが望ましい。) C.  国民参加・情報公開に基づく政策作成  立法・行政活動に対する国民参加・情報公開は、それが有効に働くための必要条件になりつつある。とくにIT分野においては、その内容が多様・豊富であり、また進歩・変化が急速であるため、内外から広く衆智を集める意義が大きい。そのため、現在の「パブリックコメント」方式をさらに組織化・合理化することが望ましい。 1. 今回を含め、「パブリックコメント」実施時には、原則として提出された意見(全文)を公開するべきである1。また他者に公開された意見と、何らかの理由で公開されない意見は区別して取り扱うべきである(他者に秘して自己のみの利益をはかることを防ぐため)。 2. 具体的には、コメント提出者の「カバーレター」の内容(氏名・住所等、提出文書一覧、同公開・非公開の区別、公開文書の閲覧方式、非公開の場合はその理由)をすべて公示する(インターネット上WWW形式および政府窓口における閲覧)。提出文書本体については原則公開とし、公示方法は提出者に選択させる2。 3. 非公開が選択された提出文書(の部分)については、それぞれについて非公開の理由を明示し、その旨をWWW形式および政府窓口における閲覧によって公示する。 4. また報告書作成・答申前だけでなく、その後においても継続してパブリックコメントを募集することが望ましい。前述のように今回の検討は一回かぎりで終わる性質のものではなく、継続検討が必要と考えられるからである。 III.  情報通信産業構造――競争の基本的枠組み(長期目標とその背景) A.  技術進歩に中立な事業分類  「長期目標」を定めるためには、そもそも政策実施の対象(たとえば規制業務の範囲)をどのような原則によって捉えるかを明らかにする必要がある。デジタル化を中心とする急速な技術進歩によって、従来においては当然と考えられていた捉え方が崩れはじめているからである。 1. まず第1に、従来の「事業者」に代わり、「事業(サービス)」を施策の基本対象とすることが必要である。単一の事業者が多数のサービスを供給し、また従来のどの事業者の定義とも対応しない新しいサービスが出現しているからである3。 2. 次に施策対象となる多数の事業(サービス)を、可能なかぎり技術進歩に中立であり、かつ競争環境の形成に便利な基準で分類・区分する必要がある。具体的には、図1の簡単な例が示すように、ネットワーク構成区分(水平区分)とサービス・レイヤ区分(上下区分)という2個の規準による分類が便利・有用と考えられる。この分類(以下「事業分類」と呼ぶ)が合理的であり、かつ政策形成のために有用であると考えられる理由、およびその詳細については参考資料4および5を参照されたい。下記図1は、最も簡単な事業分類の例であるが、より詳細な区分は、図2、図3に示されている。以下事業分類の各項目(各セル)を、「事業種別」あるいは「サービス種別」と呼ぶことにする。 3. 事業分類の粗密の程度、すなわちそれぞれのサービス種別の範囲は、技術進歩の程度や市場の実状に応じて、政局当局によって決定されるべきものである。また事業分類の改訂は、長期的観点から慎重におこなうべきである。 B.  政策実施の基本方針  政府によって決定された事業分類・事業種別について、下記を基本的政策とする: 1. 同一の事業種別に属するサービスには、同一条件下で競争できる環境を与えるべきある(公平・公正競争)。 2. 上記1.の例外として、特定の事業種別においてあらかじめ定められた法令に基づき政府が「独占状態」と認定したサービスは、同種別の他のサービスと区別した取扱いを受けることとする(独占の認定と規制)。 3. 異なる事業種別に属する複数のサービスについては、それぞれが実質上独立した状態で供給されることを原則とする(内部補助等の制限)。したがって同一事業体・グループがこれらの複数のサービスを供給する場合は、政府が組織分離、会計分離、人事・情報交流の制限、内外差別の禁止などの規制を加えるべきである。必要な場合、政府は事業体・グループの分割を命ずることができる。(ただしこれらはすべて、あらかじめ設定された法令に基づいて実施するべきものである。) 4. 上記項目の帰結として、 a. 通信事業者(1、2種)、放送事業者、有線放送事業者等の区別は廃止するべきである。 b. NTT(グループ)の特殊会社方式を原則廃止し、一般の事業会社(株式会社)とするべきである。 W.  「当面の目標・施策」について A.ごく短期間内に実施されるべきもの 1. 当面の事業分類として、下記図4の区分を選択する。すなわち、まず第1に「サービス」と「伝送(インフラ)」の上下区分を採用し、第2に伝送部分については、アクセスと中継に区分する。 2. 「サービス(電話、インターネット、放送など)供給」については、原則自由参入・自由競争として、市場メカニズムのパワーを極力発揮させる。ただし電話・ISDNサービスについては、タリフによる全国一律料金(加入者の所在地による料金差別を禁止、距離・サービス別の差別は可)を義務づけ、かつ(売上高などの)シェアに対応して地域に関するユニバーサル・サービス義務を課する4。また、すべてのサービスについて、例外なく「サービス接続義務5」を課する。 3. 「アクセス部分の伝送」については、全国一律料金を義務づけ、上限料金を課し、かつユニバーサルサービス義務を課する。都会地などでの新規参入は、過渡的・実験的に認める。 4. 「中継部分の伝送」は自由競争とする。 5. アクセス伝送・中継伝送のいずれもサービスはタリフによる提供とし、特定顧客との契約料金は認めない。 6. 上記にしたがい、現在の東西NTT、NTTコム、NCC各社について、サービス業務とインフラ業務を分離する。会社分割とするか、(厳密な)会計分離とするかは、それぞれについての選択となる。現NTT3社のサービス業務を統合することは差し支えない(ただしシェアが大きくなれば、独占理由による規制が加えられることになる)。 B.  近未来(数年程度)における目標・施策 1. 数年程度の近未来においては、独占要因を含む図4の「アクセスインフラ」部分から独占部分を切り出し、競争メカニズムによって(広帯域通信のための)伝送媒体を拡張するため、図5に示すように同部分を上下に分割し、「(アクセス用)伝送媒体」と「(アクセス用)スペース・設備」のサービス種別を設ける。 2. まず「サービス供給」と「中継伝送」については、前項A.と同じく自由競争とする。 3. 「(アクセス用)スペース・設備」は、すべて公有のスペース資源の供給事業であり、公社あるいはこれに準ずる組織体によって管理されるものとする。そのサービスは、「リース・オークション(使用権オークション)6」によって競争的に供給される。これらのスペース資源・設備をオークションによって有料供給することにより、「(アクセス用)伝送媒体」種別における自由参入と公正競争(イコールフッティング、Level playing field)が保証される。 4. 「(アクセス用)伝送媒体」については参入の自由を含む完全な自由競争を保証し、広帯域アクセスの急速成長をはかる。伝送媒体を設置する際に制約要因となっていたスペース・設備が、オークションによってオープン化されているので、有線・無線を問わず、すぐれたアクセス媒体を提供できる事業者が成長できるものと期待される。 5. 上記を実現させるため、前項A.において「アクセスインフラ」を担当していた組織は、それぞれスペース・設備運用部分と、伝送媒体提供部分に分割され、前者は公社あるいは類似の性格の(公的)組織に統合される。 C.  NTTグループの再編成  上記A・Bの線に沿って改革が進む場合のNTTグループの再編成について、現行の特殊会社方式(およびそれに伴う規制)と、政府保有のNTT株式の処置が問題になる。 1. まず特殊会社方式については、その解消あるいは少なくとも縮小に向かうことが望ましい。同方式はいわばNTT公社時代からの遺物であり、現在のNTTが従事している業務の大部分において、マイナスの要因になっている。 2. したがって、特殊会社方式の適用範囲を、上記A.の段階においてはこれを現東西NTTの「アクセスインフラ」部分に縮小し、さらにB.の段階においては、その「スペース・設備供給公社」に限ることとするのが一法である。 3. 次に政府保有のNTT株式については問題が複雑である。現在の状態は、1985年のNTT民営化時に、株式市場の機能を十分に理解しないままで制度を作ってしまったことの結果であり、NTT株式の市場への総供給数が不確定(政府の売り出し決定の如何によって市場への株式供給が大幅に変化する)という変則的な状態にある。投資家は、NTTの業績だけでなく、政府の行動も考慮に入れなければならず、結果的にNTTへの投資にマイナスの影響を与えている。  まず政府は、なるべく早期に、政府保有のNTT株式の長期的な処分方策(いつ、どれだけの株式を、どの価格で(あるいは成りゆきで)手離すのか、あるいは永久に持ち続けるのか、また株主総会において積極的に株主権を行使するか否か)を明らかにする必要がある。このことによってNTTの株式に関する「政府行動に基づく不確実性」が取り除かれる。ただしこの場合、政府は、上記方策の発表直後における株式市場の混乱を最小限に抑えるため、充分の時間的余裕をもって、かつ方策内容を「小出しに」明らかにする必要がある。 4. 次に、上記B.における「スペース・設備保有公社」は、現在の東西NTTの一部を切り出して形成されることになるから、その「株式」についてもあらかじめ考えておく必要がある。名実共に「公社」にするのであれば、なるべく早い時期に、現在のNTT持株会社の株式に対する同公社(部分)の「シェア比率」を明らかにしておく必要がある(後の混乱を防ぐため)。また、形式は株式会社にとどめ、特殊会社として一般の株主権の行使を制限するのであれば、やはり早い時期にその旨を明らかにしておく必要があるだろう。これらはいずれも株主にかかる「不確実性」を取り除き、資金市場からNTTへの円滑な投資を保証するためのものである。 参考資料(いずれも筆者著) 1. 「電気通信事業における公的規制と競争政策のあり方ーー電気通信法制の新たな枠組みについて」(概要)、経済団体連合会・情報通信委員会、1999年10月。 (http://www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199910b.html) 2. 「情報通信産業における競争政策・公的規制のフレームワーク」、『競争政策と情報通信産業――持株会社と独占禁止法上の市場の捉え方――』、社団法人生活経済政策研究所、1998年12月、pp.64-89。(http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199812a.html) 3. 「情報通信のインフラ整備と競争メカニズム」、『経済セミナー』、No.504、1997年1月号、pp.22-31。(http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199701a.html) 4. 『情報ハイウェイ建設のエコノミクス』鬼木甫著、日本評論社刊、1996年2月、xviii+356pp.の7-8省。(http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199602b.html) 5. 「電気通信産業の『上下分離』構造について――問答形式による解説」、『InfoCom Review』((株)情報通信総合研究所)、No.5、1996年2月、pp.2-25。 (http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199602a.html) 6. 「ネットワークとしての電気通信産業――広帯域通信(BISDN)時代における電気通信産業組織」、南部、伊藤、木全編『ネットワーク産業の展望(郵政研究所研究叢書)』第7章、日本評論社、1994年3月、pp.151-188。 (http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/199403b.html) 7. 「『電波法の一部改正に伴う電波法施行規則、無線局免許手続規則及び無線従事者規則の各一部改正案』『電波法の一部改正にともなう関係省令の改正等』についての意見表明―― とくに『事業譲渡にともなう無線局免許承継・認定計画承継が周波数資源に実質的な私的所有権を成立させることを防止する必要』について」、郵政省(パブリックコメント募集)への意見表明、2000年8月、23pp.。 (http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/200008b.html) 8. 「米国における周波数資源の管理体制の変遷――政府の直接管理から『実質上の私的所有権』の成立へ:1910-1993」、『大阪学院大学通信』31巻9号、2000年12月(To appear)、18pp。(http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/jpn/publication/200009a.html) A. ネットワーク構成区分(水平区分) B. レイヤ区分(上下区分) アクセス 中継 サービス アクセス・サービス 中継サービス インフラ アクセス用インフラ 中継用インフラ 図1. 事業分類の簡単な例 図2.情報通信サービスの簡易区分(水平・上下区分による) A. ネットワーク構成区分(水平区分) B. レイヤ区分(上下区分)  加入者         アクセス                              中継      (放送型)      (通信型)              (通信型)       (放送型) サービス          [委託放送]      電話サービス、専用サービス [地上放送]      インターネットサービス(電子メール、WWW) ネットワーク                  加入者番号・IPアドレス管理                  チャネル管理                 トラフィック管理 共通線信号 [受託放送・配信・中継] 映像信号伝送            音声信号伝送 パケット・フレーム・セル伝送 設備・インフラ 電話端末・移動端末・PC          MDF、加入者交換機     ルータ    中継交換機 テレビ・ラジオ              無線基地局                        地上局・放送設備           アンテナ       トランスポンダ      電波         同軸ケーブル 銅線 光ファイバ     電波 衛星         電柱                トンネル・管路 衛星軌道上スペース  地上・地下・海底スペース              衛星軌道上スペース 註:[]は、そのサービスの一部のみを指定していることを示す。 図3.情報通信サービスの詳細区分(水平・上下区分による) A. ネットワーク構成区分 (水平区分) B. レイヤ区分(上下区分)  加入者     アクセス経路         アクセスノード     中継経路    中継ノード  制御ノード  コンテンツ供給      一方向(放送型) 双方向(通信型) (加入局・放送局)  近距離   遠距離                   ノード       無線 有線   固定 移動              有線 無線 有線 無線 サービス カストマー・サービス(代行) プラットフォーム  ワンストップ・ショッピング・サービス 情報生産・ 供給 WWWサイト                                                   WWWサイト 番組作成 情報伝送      委託放送     電話サービス(2者間接続)、専用サービス、会議サービス(多者間接続)        [CATV]       インターネットサービス(電子メール、WWW) ネットワーク ネットワーク管理・運用               加入者番号・IPアドレス管理        トラフィック管理 共通線信号      チャネル管理       ローミング管理                   [受託放送・配信・中継] 映像信号伝送                 音声信号伝送    ビット列伝送                     パケット・フレーム・セル伝送 設備・インフラ 電話端末・移動端末            加入者交換機・ルータ            中継交換機、ルータ テレビ・ラジオ               無線基地局装置               多重化装置 設備 パソコン(PC)   ヘッドエンド                                         スタジオ・放送設備       アンテナ、トランスポンダ          地上放送設備         地球局設備 伝送媒体 電波 同軸ケーブル 銅線 電波                電波            光ファイバ                  光ファイバ 基盤設備       衛星      電柱(架空スペース)        管路(地下・海底)  衛星                                 トンネル(共同溝・とう道) 共有資源・特権スペース 衛星軌道上スペース    衛星軌道上スペース          地上・地下スペース  地下・海底スペース 註:[]は、そのサービスの一部のみを指定していることを示す。 図4. 当面の事業分類 A. ネットワーク構成区分(水平区分) B. レイヤ区分(上下区分) アクセス 中継 サービス 電話、インターネット、放送など(自由競争) 伝送(インフラ) アクセスインフラ (独占) 中継インフラ (競争) 図5. 近未来の事業分類 アクセス 中継 サービス 競争(一律料金、ユニバーサルサービス義務) 伝送媒体 光ファイバ、無線チャンネル、衛星 競争 自由競争 スペース・設備 トンネル、電柱 周波数スペース、衛星軌道スペース 1 「パブリック」の語の意義もこの点にあり、非公開であればそれはプライベート・コメントになる。 2 たとえばカバーレター中で下記を選択・記載させる:窓口閲覧、郵送請求先・同条件【返信用封筒サイズ、切手、手数料支払い方法など】、Eメール送付請求先、文書掲示用WWWアドレスなど。 3 たとえば現在でも、「1種事業者から回線をリースして基本サービスを供給する2種事業者の規制」の問題があり、規制が煩雑化しはじめている。 4 一例として、新規参入のA社がサービス事業種別の10%のシェアを持つに到った場合は、都会・非都会地を平均して10%にあたる地域でA社のすべてのサービス供給をオファーしている義務を課する。 5 同種のサービス(たとえば電話サービス、インターネットサービス)を提供する他事業者から要求された場合、卸料金(タリフ)で接続に同意すること。 6 一定期間(たとえば5年)を限って、トンネル・電柱や周波数・衛星軌道などの使用権を与えるためのオークション。なお、既存事業者が次期のオークションに敗れる可能性から投資意欲を低下させることを防ぐため、オークション実行時をリース開始時の何年か前に設定するとか、既存事業者と新規参入者の間にオークション落札価格に前者に有利なような格差を設けるなどの工夫を要する。使用権の期間を限る(永久使用権を認めない)のは、スペース資源転用時の問題(土地収用時のゴネ得のような)を避けるためである。周波数オークションについては、参考資料7,8を参照。 1 Hajime Oniki 09/19/00 - 12 - oniki@alum.mit.edu www.osaka-gu.ac.jp/php/oniki/ D:\AaE0-Adm\AA-Web\oniki\download1\200009c.rtf