情報経済論(鬼木)各章概要・項目 I.「情報のはたらき」を理解する A.「情報」とは(?)――人間社会の基本要素(「テキスト」1章2) 1.「情報」の定義   「情報」と「物質」と「エネルギー」   ――世界を構成する三大要素 a.形式面の定義   記号(symbols)あるいは符号(codes, coding)の系列(sequences)   音声、文字、図形、コンピュータ・ビットなど b.作用面の定義   要素の存在や要素間の関係、あるいはそれらの変化を「記述」し、「制御」する   「約束ごと(メタ定義)」が必ず存在する 2.情報メディアと「体化された(embodied)」情報 a.「メディア(媒体)」   記号・符号の系列を表現する物理的手段   実際の「メディア」にどこまでの範囲が含まれるかは、一義的には決まらない   「メディア」の併列構造・階層構造   メディアは、情報内容自体が重要であるのとは別の意味で、重要な役を果たす b.「体化された情報(embodied information)」   情報が実際の製品に「体化」 c.人間に「体化」された「抽象的情報」   仕事の「こつ」「技能」「ノウハウ」など 3.情報の広汎な存在   「情報」は広い範囲に存在し、人間生活のあらゆる側面に現れ、作用する   個人の家庭生活、仕事   政治・経済・行政・文化・福祉などの諸活動に情報が伴っており   マス・メディア   人間生活はそのほとんどが「情報活動」 4.「情報」の働きの認識の歴史   情報の作用の明確な認識――第一次大戦後   諸現象(話し、文章、音楽など)の背後で作用する「黒幕」として a.シャノン(C. E. Shannon)   通信回線の「容量(キャパシティ)」 b.ウィーナー(N. Wiener)   動物の運動・生体維持機能と機械の作用   「サイバネティックス」 c.コンピュータの試作・実用化   1950年代   「数値計算用機械」から一般的な情報処理機械へ   「情報」自体を処理する機械 d.ワトソン(J. D. Watson)とクリック(F. H. C. Crick)   生物の遺伝子の二重らせん構造を発見 e.情報技術の社会経済面への影響   「情報化」現象   梅棹忠夫――1960年代前半   「情報文明」、「情報産業」 f.マハループ(半)、ド・ソラ・プール(半)   政治・経済分野と情報 g.「通信」との融合   「インターネット」 5.経済学と情報   情報的側面を捨象した経済理論が多い   しかしほとんどすべての経済活動に情報が関連している   情報的要因をも考慮に入れた「統合経済モデル」     ――困難な作業 B.生物の進化と社会の進歩の情報的側面(「テキスト」1章3) 1.生物と情報 a.「遺伝情報」   「生命現象」はすべて遺伝情報によって支配   ダーウィン(C. Darwin): 進化論   メンデル(G. J. Mendel): 遺伝実験  ワトソン・クリック: 「二重らせん」型の遺伝子を発見 b.生物と無生物の区別   「細胞」と核   遺伝情報: 核の中に「二重らせん」構造を持つ細長い線形の構造体   遺伝子情報の「素子」は4種類のアミノ酸(ACGTの4文字)   遺伝情報は4文字のアルファベットで書かれた長大な「文」   遺伝情報は分裂してできたそれぞれの細胞にコピーされる   それぞれの細胞は自己の持つ遺伝情報を読み、そこに書かれた「設計文」に    したがって身体の各部分を形成する 2.動物・植物の区別と情報   生物は植物と動物に大別   動物は感覚を持ち、自ら運動する――「神経」による   遺伝情報とは別に「感覚・運動のための情報」がある   情報の「2層構造」 3.脊椎動物には「情報センター」と「情報ハイウェイ」がある   多数の神経細胞が集積された頭脳――「情報センター」   中枢神経が脊椎を通って体の各部分に行き渡っている――「ハイウェイ」   動物の個体は「有機体」 4.哺乳類は「学習」ができる   子供がその生後に学習――「学習本能」による   環境に適応して生きてゆくための情報を親から受け取る   3層の情報構造    遺伝情報、中枢神経系、後天的情報   人類――「一人前」に生きてゆくための情報のほとんど全部を生後に獲得 5.人類は「社会的情報」を持ち、「情報を組織的に交換・蓄積」する   人類の情報面での質的な特色――    社会を構成し、個人間で情報を交換して相互協力を実現 a.社会的活動   「分業」と「協業」、協力 b.世代の経過による進歩の実現   世代から世代へ情報を伝達・蓄積   後天的に獲得した情報の蓄積によって実現される進歩   短い時間で達成    「指数曲線的な」進歩 6.文明社会は「情報メディア」を持つ   未開社会と文明社会   「情報メディア(手段)の発明と使用」 a.「音声」――直接の人間関係に使用 b.「文字」   時間の経過、場所の移動を伴う情報伝達を実現   「理解力や考える力」を増大   社会的規模の「教育」   手書き文字、木版・石版による印刷、活版印刷術 c.情報の「大衆化」・マスメディア普及   オフセット印刷、コピー機の出現   PCやワードプロセッサーの実用化   インターネット、電子メール・WWW d.音声情報・ビデオ情報   電話・ラジオ   テープレコーダー・ビデオレコーダー 7.生物の進化と社会の発展   社会発展の基盤の一つは「情報」にある a.「情報化」の意義   「情報化」は、われわれの社会の発展のための必要条件   しかし十分条件ではない b.人類社会の発展のそれぞれの段階における「情報化」   エジプトの「パピルス」   中国の紙   17世紀の活版印刷術の発明 c.日本社会の発展と「情報化」   漢字の輸入、訓読みの発明、かなの発明   江戸時代後期の木版本――読書の普及   庶民レベルの「寺子屋教育」   明治以降の普通教育   大正以降の電話とラジオの普及   日本人の「識字率」は世界最高レベル   しかし「文書力」は先進国中で低い   戦後における中等教育(中学校・高等学校)の普及   高等教育(大学・大学院)の拡大   1960年代に汎用コンピュータが実用化   インターネットの普及   今日の「情報化」諸政策