[EcInfCom]   New | Contents | Home | OGU Home


「わが国および産業におけるIT投資の効果発現メカニズム――日本型シナリオの特徴の探索」(論文)(実積寿也、三友仁志と共著)、『地域学研究』Vol.32、No.1、日本地域学会、2002年10月、pp. 231-244。

[概要]

企業のIT化投資は、まず当該企業の生産性・収益性に影響を及ぼし、競争や付加価値連鎖を通じて産業分野、さらには経済全体に波及していくが、その経路は様々な要因の影響を受ける。1980年代以降、米国では、本経路の機能不全に関し、「IT生産性パラドクス」の名の下に様々な議論が行われた。その後、90年代に入り、労働生産性成長率の急回復を経験した米国では、パラドクスの存否に関する議論は終息した観がある。翻って、IT化投資を積極的に進めつつも米国のような景気回復を経験しないわが国の状況はまさに、IT生産性パラドクスに支配されている状況を示している。技術的には同様のIT化を進めた日米両国においてその帰結がこれほどまでに対照的な理由は、IT化の進展度の格差に求めることが出来るのか、あるいは日米両国の産業構造の差で説明できるのか、または、両国の経営スタイルといった文化的・社会的要因に起因するのかについては未だに明らかではない。
本発表において筆者らは、わが国における個別企業のIT化がミクロ的効果を生み、さらに集約されてマクロ経済指標にインパクトを及ぼすルート(micro-macro linkages)の各段階における制約要因を指摘し、その一部について米国との対照を考慮しつつ検討を加える。アンケート結果と財務諸表データによる分析からは、わが国のIT投資は米国と同様、生産性にプラスの影響を与えていることが示されたが、組織のフラット化などの経営環境改善施策は米国と異なり所期の効果をあげていないこと、また、産業別の生産性上昇がマクロ経済の生産性に貢献する寄与度は日米両国で差異が存在しそれがマクロ経済のパフォーマンス格差の一部を説明する可能性があることが明らかになっている。

[キーワード]

IT投資、投資効果、マクロ的効果、ミクロ的効果、IT生産性パラドクス、労働生産性、日米比較

[目次]
  1. はじめに
  2. IT投資の効果発現メカニズム
  3. IT投資効果の格差発生の原因
  4. 実証分析
    1. 仮説及び検定モデル
    2. 推定結果及びその分析
  5. IT投資効果の格差発生の原因
[発表用レジュメ]
[発表用資料]
[全文][HELP]
[Abstract in English]
[その他]

研究成果インデックスへ戻る


Top of Page | New | Contents | Home | OGU Home

Hajime Oniki
ECON, OGU
6/24/04
HTML4.0