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研究活動 

第一回研究会                         実施:2011年4月30日



   
    大阪学院大学 研究会が行われた2号館 
4月30日土曜日、大阪学院大学で「イラクとの塩害と砂漠化の環境史研究会」が行われました。プロジェクトリーダーの渡辺千香子さんを始め、日本各地から8人のメンバーが集まりました。そして、研究プロジェクトの概要とこれからの研究計画について、活発に議論が行われました。


まず顔合わせを兼ねて大阪学院大学の職員食堂で昼食を頂き、和やかな雰囲気で研究会が始まりました。その後、会議室へ移動し、渡辺さんから研究プロジェクトの概要について説明がありました。メソポタミア文明は、塩害によって農作物が取れなくなったことが原因で滅亡したという有名な学説があります。このプロジェクトは、この有名な学説に真っ向から立ち向かい、本当に塩害が起きていたかどうか客観的に検証しようとしています。しかも、地学・生物学・考古学といった文系・理系を問わない様々な分野の研究者が集まり様々な角度から分析を行おうという、一大プロジェクトです。このプロジェクトでは、メソポタミア文明の中でも、ウル第三王朝時代(紀元前2112〜2004年)に着目しています。この時代のメソポタミアは、人口増加と乾燥化という環境の変化に直面していました。これは、現在の人口爆発と温暖化によって環境破壊が起こっている状況に似ています。ウル第三王朝時代以来、4000年がたちます。文明は進んだのかもしれませんが、人間社会の直面する問題は、あまり変わっていないように思えます。


その後、それぞれの研究者の自己紹介を兼ねて、研究テーマを15分ずつ話しました。アッシリア美術、楔形文字、古代の農業、微細藻類、古生物、岩石等々、バラエティに富んだ内容でした。本当に様々な分野の研究者が、このプロジェクトのために集まっていることを感じました。


最後に、今後の調査計画について話し合いました。このプロジェクトでは、楔形文字が書かれた粘土板の分析、考古調査、文献調査をする予定です。粘土板の分析や文献調査はこれまでの実績や人脈があり、
 
これからの調査もスムーズに進みそうです。問題は、考古調査です。実際に中東で調査を行いたいのですが、現地の情勢がよくなく、どうなるか不透明です。寂しいことですが、学問の世界も様々な社会的な要因で制限されてしまうことも事実です。一日でも早く、当地の政治情勢が安定してほしいと思います。
今年度は、冬に二回目の研究会が予定されています。それまでに、ぜひとも良い成果を出したく思います。

                                                  (大金 薫)

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