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研究活動

ワークショップ「粘土・粘土板・塩害」(於ウィーン)        実施:2013年8月15日



2013年8月上旬、ウィーンは記録的な熱波に襲われ、観測史上最高の39.9度という気温を記録していました。ワークショップは、ウィーン大学のゼルツ教授との共催により、ウィーン最古の修道院ショッテン教会のベネディクトゥス・ハウスにおいて開催されました。当日8月15日は「聖母マリア被昇天」の祝日で、カトリックの伝統が強いオーストリアでは休日です。そのため、ミサのたびに窓の外で鳴りひびく大音響の鐘の音で、発表がたびたび中断されましたが、今回のワークショップは時間制限なしに行なうことができたため、非常に充実した意見交換の場となりました。
テーマは「メソポタミアの粘土・粘土板・塩害」(Clay, Tablets and Salinisation in Mesopotamia)で、出席者は英国・ドイツ・オーストリア・日本の4カ国から合計7名でした。セッションは前半部の「粘土と粘土板」、ならびに後半部の「文献と塩害」に分けられ、高井啓介氏の司会でそれぞれ3件ずつの発表とディスカッションが行なわれました。はじめに、研究の概要説明と成果報告ならびに2013年3月に行なったスレイマニヤ調査の報告を筆者が行ないました。続いて、テイラー氏(大英博物館)は、粘土板が作られたプロセスに関する「粘土板の製作と改作(リメイク)」について発表しました。アルタウィール氏(UCL)は「メソポタミアの塩害に関するコンピュータ・モデリング」について、最先端の研究成果を披露しました。昼食をはさんで、午後の部は高井啓介氏の「初期王朝時代末期の都市国家ラガシュにおける耕作地における塩害とリーチング」の発表に始まり、G.ヴァン・ブーラール氏とM.ルッコ氏(ともにヴルツブルク大学)から「新アッシリア時代の文献資料における粘土と塩」についての報告がありました。最後に、アルタウィール氏と筆者が中心となり、プロジェクトの今後の研究目標と計画について全員で意見交換しました。

                                    (渡辺千香子)



 ワークショップのメンバー

 (左から井、アルタウィール、渡辺、テイラー、

  ルッコ、ブーラーレ)










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