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関西大学 大学院 総合情報学研究科

情報経済論(2002年度)

要項(詳細: 講義開始時に教室で配布)


[1]講義アウトライン(実際に講義する項目の候補)

最近における情報通信技術の急速な進歩(たとえばインターネットや携帯電話の普及)にともなって生じた社会経済上の変化(たとえばインターネットの成長・普及)を理解し、さらに進んでそれを分析するための手法を学ぶ。聴講生の興味を考慮し、下記の項目から講義トピックスを選ぶ。(1)情報通信部門の成長および「情報化」の現状の分析。(2)「情報化」がわが国および主要先進国のマクロ経済の成長に及ぼした影響、情報通信部門の生産性、同部門への投資効率の分析。(3)情報通信産業の特色と、そこにおける競争と規制をめぐる政策課題の考察。(4)情報通信技術の発展によって市場取引・企業間取引の電子化が市場メカニズムの効率化にもたらしつつある貢献の分析。(5)知識・情報あるいは情報通信システムなどの情報関連財についてその所有権・使用権をめぐる諸制度の経済的側面の考察。(6)インターネット・移動通信分野の現状とその急速成長の原因の分析。(7)デジタル放送の浸透と通信・放送の融合、(8)日本型組織の情報特性と現在の「日本病」の原因、など。

[2]講義トピックの候補

「教材ダウンロード」

( → 「投票結果(トピック項目選択)」)

  1. 情報の定義と機能
    1. 「情報」とは(?)――人間社会の基本要素
      1. 「情報」の定義
      2. 情報メディアと「体化された(embodied)」情報
      3. 情報の広汎な存在
      4. 「情報」の働きの認識の歴史
    2. 生物の進化と社会の進歩の情報的側面
      1. 生物と情報
      2. 動物・植物の区別と情報
      3. 脊椎動物には「情報センター」と「情報ハイウェイ」がある
      4. 哺乳類は「学習」ができる
      5. 人類は「社会的情報」を持ち、「情報を組織的に交換・蓄積」する
      6. 文明社会は「情報メディア」を持つ
      7. 生物の進化と社会の発展
  2. 経済活動と情報
    1. 経済主体の行動と情報――不確実性とリスク克服の努力
      1. 個別経済主体の行動と情報
      2. 不確実性下の経済学
      3. 不確実性と情報
      4. 「ショッピング(商品探し、職探し)」の経済分析
    2. 「経済システム」と情報
      1. 経済システムと情報――競争と協調の挧み合い
      2. 市場メカニズムと計画経済――「社会主義論争」
      3. 競争と規制――市場原理と計画原理のバランス:I
      4. 企業規模と企業の境界――市場原理と計画原理のバランス:II
      5. 不完全情報(情報の偏在・非対称性)から生ずる市場の失敗
      6. マクロ経済学と情報
    3. 社会経済の発展と情報
      1. 情報技術の発展と「情報化」の意義
      2. 日本にとっての「情報化」の意義
      3. 「情報化」はどのように実現されるか
      4. 「情報化」の統計データ作成・同計量分析
  3. 日本型組織の情報特性と「日本病」の原因
    1. 社会組織・経済組織のガバナンスとその手段
    2. 2種類の情報手段−−「音声型」と「文書型」
    3. 「深い協力」と「広範囲の協力」
    4. 日本社会の情報特性
      1. 「幕末と明治維新」、「第二次大戦と戦後経済成長」の情報特性
      2. 平成不況・停滞の特色
      3. 平成不況・停滞の情報特性
      4. 組織形成・運行の「道具箱 (toolbox ) 」――情報手段
      5. 「組織統治(ガバナンス)技術」を獲得しよう
    5. 具体的ケース
      1. 終身雇用制
      2. 縦割り組織
      3. 組織決定の硬直性
  4. ディジタル技術とその応用
    1. 情報と情報処理
    2. アナログ情報のディジタル化とエラー処理
    3. 情報処理と大規模集積回路(LSI)
  5. コンピュータ産業――日米比較
    1. コンピュータ・システムの概要
    2. パーソナル・コンピュータ(パソコン、PC)の構造と機能
    3. コンピュータの歴史と現状
    4. PC産業の特色
    5. 日米のPC産業の現状と歴史
    6. PC産業の構造
    7. 日米間のPC産業構造の差の生成理由
    8. PC産業と企業組織の日米比較
  6. テレコム産業――国営・独占・規制から市場と競争へ
    1. テレコム技術の進歩
    2. わが国電気通信産業の歴史
    3. わが国電気通信産業の組織――1985年の改革
    4. NTT分離・分割とその後
    5. 米国・英国の電気通信産業
  7. 放送産業――ディジタル化のインパクト
    1. アナログ放送の歴史と現状
    2. 放送産業の問題――ケーブルテレビの現状
    3. ディジタル放送のインパクト
    4. 米国、英国、EU諸国の放送産業
  8. 電波資源(情報通信公共資源)の配分と競争
    1. 経済資源としての電波周波数
    2. 公共資源の配分・割当方式
    3. 米国の「電波」オークション
  9. マルチメディアとインターネット――融合と発展のトレンド
    1. インターネットの歴史と現状
      1. 草創期
      2. RFCによる基礎作り――「標準化のシステム形式における民主主義」
      3. Web(WWW)の急成長
      4. 「インターネット・ガバナンス」の問題
    2. インターネットの社会的インパクト
      1. 電子商取引(EC)、電子マネー
      2. 情報作成・情報公開と民主主義
      3. 「日本型組織」へのインパクト
    3. マルチメディアと高速広帯域通信
      1. 広帯域電話通信網とサービスの類型
      2. 経済の成熟と高齢化社会の到来
      3. 広帯域通信網への需要源
      4. 広帯域網インフラの建設
      5. 電話網建設の歴史は広帯域網建設の参考になるか

「教材ダウンロード」

[3]学習・評価の方法
  1. 講義方式
  2. 評価について
    1. 期末筆記テスト(与えられたテーマで小論文を作成)
    2. 自分でテーマを選び、レポートを作成・提出( → 詳細

    上記 A、B より一方を選択。


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Hajime Oniki
ECON, OU
04/21/2002
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