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「情報経済学入門」、鬼木甫・西村和雄・山崎昭編『情報経済学入門』、富士通ブックス、1997年、pp.3-94。

[概要]

最近、多様な展開を見せている「情報経済学」の諸分野を概観する。本章は特定のテーマを掘り下げるのではなく、情報と経済にかかわるいくつかのテーマの研究の展開経過・現状紹介である。

まず「情報」という考察対象について、その概略を説明する。情報は人間生活のほとんどすべての側面にかかわる。情報の定義、同概念の成立プロセス等を述べ、次いで生物の進化と人間社会の進歩を情報的観点から記述し、「情報的なアプローチ」「情報的側面からの考察」の重要性・普遍性を示す(第1~3、8節)。

次に、個人や家計、企業などの個別経済主体の行動を考え、そこにおいて情報が果たす役割を考える。とりわけ、情報活動と一般の経済活動の相異を述べ、情報経済学の分析が困難である理由を説明する。これに続き、「経済システム」の運行とそこでの情報の意義を説明する。情報は、それぞれの経済システムの構成要素間の相互関連を規定するので、そのパフォーマンスを決める重要な要因であり、一般に情報の増大がパフォーマンスの改良をもたらすことを述べる。さらに、情報が市場経済の中で「財」として売買の対象となることから生ずる問題、すなわち「知的財産権」をめぐる問題を論ずる(第4~6節)。

最後に、社会経済の変動・発展と情報の関連を考える。情報技術の急速な発展と普及(情報化)は、現代の社会経済に大きな影響を及ぼしつつある。情報の生産・供給・伝達・使用の便宜をはかる「情報産業」が成長し、一般の産業が工場・オフィス・サービスポイントなどで情報化され、国民経済や世界経済の成長に貢献していることを指摘し、「情報化」と「情報産業」の含意を議論する(第7節)。

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[キーワード]

情報経済学入門、情報的なアプローチ、経済システム、情報化、情報産業


[目次]

第1章 情報経済学入門

  1. はじめに
  2. 「情報」とは(?)――人間社会の基本要素
  3. 生物の進化と社会の進歩の情報的側面
  4. 経済主体の行動と情報――不確実性とリスク克服の努力
  5. 「経済システム」と情報――競争と協調の挧み合い
  6. 「財」としての情報
  7. 社会経済の発展と情報――「情報化」と「情報産業」をめぐる政策問題
  8. おわりに

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Hajime Oniki
ECON, OGU
03/23/04
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