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「『電波有効利用政策研究会 最終報告書 (案)~電波利用料制度の見直しについての基本的な考え方~』(平成16年7月)に関する意見」(パブリック・コメント)、2004年8月。

[目次・概要]
Ⅰ.まえがき
 本意見表明者(筆者)は、電波有効利用政策研究会電波利用料部会の構成員である。本意見は、パブリック・コメントの形をとっているが、同時に筆者による同部会の少数意見である。

Ⅱ.電波資源の管理に関する基本的な考え方 本報告書は、電波の分配・割当をどのような制度・手続きで行うかという基本問題についての明確な記述を欠いたままで電波の利用料・使用料という具体的問題を論じており、論議の基盤が未検討状態で残っている。

Ⅲ.政府による金銭の徴収について
 一般に政府による国民からの金銭の徴収は、その根拠・理由によって3種類に区別できる。第1は行政サービスの費用を受益者から徴収する場合、第2は政府が国民との間で財産・権利などを「取引」する際の代価、第3は受益者を特定できない行政サービス(公共財)の費用を徴収する場合(租税)である。金銭徴収に際してはこれらを明確に区別して透明性を実現し、それぞれのルールに服することが必要である。

Ⅳ.現行「電波利用料」の検討
 本報告書は現行「電波利用料」制度の内容を、「利用料額の安定性」という消極的理由から現状どおり存続させるとしている。現行制度に不公平・非効率性が含まれていることは、今回検討が開始される契機であった。現状維持の提案には、より積極的な説明が必要である。また現行電波法は、条文中に「共益費用に充てるために電波利用料を徴収する」旨の規定と、共益費用としては到底説明できず、実質上の目的税と解する他はない「無線局均等負担分(年540円)」の規定を含んでおり、法律条文中に矛盾がある。この矛盾を解消するための改正を行い、共益費用等の合理的な負担制度を再構築すべきである。

Ⅴ.経済価値に基づく使用料について
 本報告書の提案する「経済価値を考慮する使用料」は、「電波の経済価値を正しく反映して市場メカニズムの長所を発揮させる使用料」としての要件を欠いており、実質的に「政府による租税(目的税)」徴収の提案になっている。内容に合致する名目によって、すなわち目的税として提案し、意見を問うべきである。

Ⅵ.「納付義務者の範囲」について
 免許不要局および国・地方公共団体を電波利用料の納付義務者の範囲に加えることについては、原理的には反対しない。しかし本件は、上記Ⅳ・Ⅴ節の問題が解決された後に検討されるべきである。

Ⅶ.結論
 本報告書は、上記Ⅳ・Ⅴ節の問題点を抱えているという理由から再検討を必要とする。さしあたっては「現行電波利用料制度の問題」について検討を重ねるべきである。

[キーワード]

電波、周波数、利用料、使用料、共益費、価格メカニズム、目的税

[全文][HELP]

[他リンク]

総務省「電波有効利用政策研究会 最終報告書(案)」に対する意見の募集意見提出者の一覧

上記中の鬼木意見(本サイトの分と同一内容)[PDF: 850KB]

[その他]

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Hajime Oniki
ECON, OGU
10/21/04
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