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「『NTT施設設置負担金』の廃止について」(論文)、『大阪学院大学経済論集』、20巻1号、2006年6月、pp. 47-77。情報通信学会2007年大会で発表、2007年6月。

[概要]

 すでに報じられているように、情報通信審議会(「審議会」)は2004年10月に、これまでNTT固定電話(「電話」)の新規加入者から徴収していた施設設置負担金(「負担金」)を段階的に廃止する方針を総務大臣に答申した 。 またこれを受けてNTTは、旧来の「負担金」7万2千円を2005年3月から3万6千円に半減した 。さらに将来においてNTTは、これを5年程度で撤廃するよう検討中と伝えられている 。

 負担金が廃止され、負担なしでNTTの固定電話に加入できることになれば、電話加入権の価値はゼロになり、その取引の必要も失われて加入権市場は消滅する。これまで加入権を財産と考えてきた個人ユーザや、これを資産として計上してきた法人ユーザから、とまどいと反撥の声が上がっており、また加入権の取引業者は死活問題であると訴えている。

 審議会「答申」は、「加入権と負担金は別個のものである。かりに負担金を支払って加入権を入手したとしても、加入権の価値は経済情勢によって変化する。電話の新規建設費用として徴収してきた負担金の意義は、電話網の拡充が終わった現在すでに失われており、これを廃止することが適切である。(したがってその結果、加入権の価値がゼロになってもやむを得ない。)」という趣旨の説明をしている 。

 また答申は、「負担金は加入者が毎月支払う基本料の前払金(NTTの前受金)である」としているが、他方で「負担金は実質的に加入者によるNTTへの出資金である」と考えることも可能であり、両者の根拠や含意、さらにこれを表現する「負担金の会計上での取扱い」について検討する必要がある。

 本稿では、主に事業者(NTTなど)の立場から書かれている答申に対し、加入者の立場から「負担金」の実質的内容について考え、公正・公平基準を満たすその廃止方策を提案し、併せてこの問題の意味するところを考える。

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Hajime Oniki
ECON, OGU
6/18/2007
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