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テレビのデジタル移行は、長期的に国民全体に大きな便益をもたらすが、そのためには全国でテレビ1億台強、録画機5,000万台に加え、放送局設備の大半を入れ換える必要があり、緻密な戦略を要する大事業である。米国では本年6月に大過なく(しかし多数の「小過」を伴って)移行を完了した。日本では米国にくらべて、移行期間が短い、ケーブル普及率が低いので移行の影響を受ける視聴者の割合が大きい、デジタルチューナーの配付が生活保護受給世帯に限られている、などの理由から、2011年7月のアナログ放送の全面停波には無理な点がある。しかし、他方で放送事業者によるアナログ放送継続のための負担を考えると停波を無方針に延期するわけにもゆかず、いわばジレンマ状態にある。
本稿では、まず予定どおりに停波した場合にどのような事態が起きるかにつき、デジタル普及率などのデータを使った予測を試みる。最大の問題は、停波直前におけるデジタルチューナー、テレビ機、レコーダーなどの需要急増・供給不足から来る市場の混乱と、早期移行に伴う不公平や低所得者が蒙る「被害」と考えられる。これらの問題を最小限の犠牲・出費で乗り越えるための方策を提案する。
(★は内容が最新のものであることを示す)
デジタル移行、デジタルテレビ、アナログテレビ、サイマル放送、放送停止、停波、アナログ停波、一斉停波、部分停波、デジタル・チューナー、所得移転、デジタル配当、補償、クーポン計画、オークション、電波利用料、公共放送、受信料、民間放送、地上放送、衛星放送
★ 一括ダウンロード [PDF: 1,052KB]
★ 目次 (部分ダウンロード)
- 表紙
- 目次
- 詳細目次
- 図表目次
- 要約(Executive Summary)
- まえがき
- I. 「アナログ停波問題」とは(?)
- <表紙、目次等、要約、まえがき、I ダウンロード> [PDF: 533KB]
- II. デジタル移行とその効果・影響
- III. デジタル移行の制度的背景と海外情勢
- <II、III ダウンロード> [PDF: 588KB]
- IV. デジタル移行準備の現状と予測
- V. デジタル移行の受益と負担および国民経済全体の得失
- VI. 「2011年7月停波」の結果予測
- <IV、V、VI ダウンロード> [PDF: 625KB]
- VII. 移行問題の解決方策(提案)
- 参照資料
- 付録A. 放送跡地電波の「価値」の推計
- 付録B. デジタル受信機の普及予測とチューナー費用の推定
- <VII、他 ダウンロード> [PDF: 540KB]
★ 詳細目次
- 表紙
- 目次
- 詳細目次
- 図表目次
- 要約(Executive Summary)
- まえがき
- 第I章 「アナログ停波問題」とは(?)
- テレビのデジタル移行
- アナログ停波の背景
- デジタル移行の準備
- アナログ停波の結果1――視聴者の消極的対応:「テレビ離れ」
- アナログ停波の結果2――視聴者の積極的対応:「デジタル受信機等へのスパイク需要」
- 2011年7月停波の問題点
- デジタル非視聴世帯についての問題
- デジタル機器市場の混乱についての問題
- 移行負担と跡地電波の利用から生ずる「不公平」の問題
- 停波時点の選択がマクロ経済的に不利であることの問題
- デジタル移行の現状と望ましい対策
- 現状と移行直前の予測シナリオ
- 移行の混乱・困難の原因は何か(?)
- 総務省の対応
- 望ましい方策
- デジタル移行費用の補償と跡地電波の利用
- 第II章 デジタル移行とその効果・影響
- 移行の長期メリットは大きい
- 移行の短期的負担
- 放送事業者の負担
- 視聴者の負担
- その他関係者の負担・影響
- 電波資源「創出」の利益
- デジタル移行による「電波上げ」
- 電波上げにおける放送局の立場
- 電波上げにおける視聴者の立場
- 放送跡地電波からの所得創出
- 跡地電波から創出された所得の配分
- 第III章 デジタル移行の制度的背景と海外情勢
- デジタル移行計画
- 移行方策の決定まで
- アナ・アナ変換とアナログ停波期限の設定
- アナログ停波期限をめぐる問題
- 停波期限設定時の議論と停波期限の延長
- 移行計画作成と実施経過の考察
- 移行計画作成経過の再考
- デジタル移行についての立場と意見
- 当事者の立場
- 視聴者の立場
- デジタル移行にかかる視聴者の権利・義務と「補償の必要」
- 概要
- 補償の常識的議論
- 補償に関する法令規定
- 補償に関する政府方針
- 電波利用に関する権利・義務の明確化の必要
- デジタル移行に関する海外の情勢
- 世界各国のデジタル移行
- 米国のデジタル移行(DTV Transition)と日米比較
- 第IV章 デジタル移行準備の現状と予測
- デジタル移行の準備
- 概要
- 視聴者によるデジタル移行準備
- ケーブルによるデジタル・アナログ再送信
- ケーブルによるテレビ視聴
- ケーブル事業者による再送信
- DA再送信
- 日本のDA再送信
- 米国のDA再送信の実現経過
- デジタルチューナー、コンバータ活用の意義
- 「デジタル非受信世帯」がどれだけ残るか
- デジタル非受信世帯
- 米国の非受信世帯
- 非受信防止施策の日米比較
- 非受信率の許容水準
- 非受信率の現状と予測
- デジタル受信ができない(アナログ)機器がどれだけ残るか
- 概要
- テレビ受信機・録画機の保有と買い換え
- 買い換えの現状と予測
- DA再送信と残存アナログ機
- 第V章 デジタル移行の受益と負担および国民経済全体の得失
- 概要
- デジタル移行(2011年7月停波の場合)による所得の増減
- 概要
- 放送事業者の受益・負担
- 視聴者の受益・負担
- 放送跡地利用事業者の受益・負担
- その他の受益・負担
- 国民全体の受益・負担とその意味
- 停波延期の経済的得失
- 停波1年延期の影響
- 停波時点変更の経済効果: 2010~2018年
- 第VI章 「2011年7月停波」の結果予測
- 停波がもたらす「迷惑・損害」
- 予測の前提
- テレビ非受信世帯
- デジタル非受信機器
- スパイク需要とデジタル受信機等市場の混乱
- 概要
- スパイク需要とそのマイナス効果(テレビ受信機、録画機、受信設備)
- 概要
- スパイク需要が無い場合(需給均衡)
- スパイク需要がある場合(需要のすべてを充足)
- スパイク需要がある場合(需要の一部を充足)
- 2011年7月停波によるスパイク需要と「不況」の規模
- スパイク需要(全部充足のケース)
- スパイク需要(半分充足のケース)
- チューナー増産によるスパイク需要の処理
- チューナーへのスパイク需要(予約なしの場合)
- チューナーへのスパイク需要(予約購入による需要の前倒し充足)
- 第VII章 移行問題の解決方策(提案)
- 概要
- 法令面からの「背水の陣」状態の緩和
- 現状とその評価
- 方策
- アナログ放送停波の一部延期
- 一斉停波期日の変更
- 一斉停波延期後の停波実施
- 公共放送(NHK)
- NHKの事業目的
- 受信料収受への影響
- アナログ放送の継続
- 財源
- 民間放送
- 概要
- 停波の部分的・一時的延期
- 残存アナログ局の選出・決定
- 入札方式の例
- 既存送受信設備の活用
- 概要
- ケーブルテレビによるDA再送信
- 共同視聴におけるDA再送信
- 「デジタル受信機器の販売促進」について
- 視聴者に対する移行援助
- 概要
- チューナー購入費用の補償
- アンテナ設置費用の補償
- 受信回線取換費用の補償
- 跡地利用事業者からの利用対価・徴収
- 概要
- 電波利用の「新しい考え方(New)」と「古い方式(Old)」
- 電波の所有者と利用目的
- 電波利用の規律・規制
- 稀少な電波の取扱い
- 営利目的に新規利用される稀少電波の取扱い
- 電波の直接利用者と一般国民の利害
- 結果
- 跡地電波の「利用対価」の徴収
- 停波延期と跡地電波の利用
- 周波数割当を全国で共通におこなう(地域免許を発行しない)場合
- 周波数割当を地域別におこなう(地域免許を発行する)場合
- 参照資料
- 付録
- 付録A. 放送跡地電波の「価値」の推計
- 付録B. デジタル受信機の普及予測とチューナー費用の推定
- 図表
「テレビのデジタル移行とアナログ停波の問題を考える」
★ 情報通信学会誌(28(1)、2010年5月、pp.70-72):
- 原稿 ワード文書 [PDF: 237KB](改訂: 2010.3.18)
★ 情報通信学会・九州経済学会・合同シンポジウム(2009年12月5日):
- プレゼンテーション資料 ワード文書 [PDF: 370KB] (改訂: 2009.12.24)
- プレゼンテーション資料 ワード文書 [PDF: 362KB] (発表時使用)
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Hajime Oniki