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「周波数オークションについて」(発表概要と論文)、財務省財務総合政策研究所: 効率的な政策ツールに関する研究会、2014年8月1日。

[概要]
2014年春の時点における「周波数オークション概観」の発表記録と論文。
[キーワード]
電波、周波数帯、電波の稀少化・逼迫、電波の有効利用、電波の配分・割当・再配分、電波価格、周波数オークション、海外の電波オークション、(米)700MHz帯オークション、(米)インセンティブ・オークション
[発表概要・資料](2014年3月19日)

「周波数オークションについて」

  • ワード文書(概要)[PDF: 44KB

  • ワード文書(図表)[PDF: 2.13MB

  • 目次
  •  
    1. 背景
    2. 電波利用の歴史と周波数オークション
    3. 海外諸国におけるオークション導入
    4. オークション実施例
    5. 電波利用規制(電波管理)――オークションの前提
    6. オークション導入・実施手順
    7. オークションの効果
    8. 政策課題
    9. 参考
    10. 参照資料

    「新規執筆事項 (本サイト内での)」

     上記発表概要のうち下記および付属する図表

  • IV.A.  米国700MHz 帯オークション(2008)
  • IV.B.  英国LTE オークション(2012)
  • VIII.A. 周波数オークションに関連する最近の課題(日本)
  • VIII.B. なぜ日本で周波数オークション導入が遅れているのか(?)
  • IX.E.  周波数オークションに関する「誤解」
  • [論文](2014年8月1日)

    周波数オークションについて」、『効率的な政策ツールに関する研究会 報告書財務省財務総合政策研究所、2014年8月1日、第6章。

  • ワード文書(全文)[PDF: 2.44MB

  • 目次
    1. はじめに
    2. 電波利用の歴史と周波数オークション
      (1) 電波利用の歴史   
      (2) 周波数需要の急増とオークション導入
      (3) 電波利用効率の現状
    3. 海外諸国におけるオークション導入
      (1) オークションのはじまり
      (2) 3G(=第3 世代携帯電話)オークション
      (3) LTE(=4G、日本では3.9G)オークション
      (4) オークション導入国と未導入国   
      (5) 各国のオークション結果   
      (6) 日本で実施した場合の落札額推定
    4. オークション実施例
      (1) 米国 700MHz 帯オークション(2008 年)
      (2) 英国 LTE オークション(2012 年)
      (3) 米国 600MHz 帯インセンティブ・オークション
      (4) オークションの「失敗」例 
      (5) 日本におけるオークション導入の試み
    5. オークションの効果
      (1) 所得移転効果   
      (2) 携帯市場に及ぼす効果   
      (3) 市場競争による成長促進効果   
      (4) オークション導入効果の実証分析例
    6. オークション導入と既存・新規事業者間の公平競争
      (1) 従来方式  
      (2) 「イコール・フッティング」
  • 要旨

     本章では、主として経済政策・同事情の観点から「周波数オークション」を概観する。周波数オークションとは、周波数帯ごとの電波利用権(免許)の割当を同希望者による入札・競りの結果によって決定することである。電波利用は20世紀初頭の無線通信に始まったが、1980年代後半からの移動通信(携帯電話)の成長によって電波資源が稀少化し、オークションによる周波数帯割当が導入された。

     日本ではまだ導入されていないが、海外ではオークションによる電波割当が普及している。2014年現在、OECD加盟34国のうち31国が導入済で、未導入は日本を含め計3国だけである。世界全体では204国のうち、69国で導入済、135国が未導入である。なお世界各国における2014年までの携帯電話用オークション落札単価を平均し日本で実施した結果を推定すると、1MHz幅で62億円、300MHz幅で1兆8,600億円程度に上る。

     次にオークションの実施例として、米国700MHz帯オークション(2008年)、英国LTEオークション(2012年)、米国600MHz帯インセンティブ・オークション(2015年予定)の概略と特色を説明する。またオークションの失敗例と、日本での導入の試みにも触れる。

     オークションを導入することから生じる効果であるが、まずオークションは「落札額支払」の形で携帯産業から政府への所得移転を生ずる。次に携帯電話は寡占市場だが、暗黙の協調等により高水準の価格が継続している状態ではオークションが寡占事業者の利潤を減少させるほか、消費者への影響は少ない。他方で価格切り下げ競争状態では、事業者が落札金額の一部を消費者に転嫁するので携帯サービス価格が上昇する。

     上記とは別に、オークション導入は携帯産業に市場メカニズムの機能を作用させて競争を促進し、長期的に携帯産業の成長を加速する。オークションは電波を消費者・国民に支持され最大利益を実現できる事業者に割当て、周波数帯利用権のリース・転売を(規制範囲内で)可能にし、電波利用の節約誘因を与え、事業者にサービス改良や技術開発の誘因をもたらし、新規参入を促進する。

     オークション実施時に既存事業者が優位に立ち、新規事業者が公平な競争をすることが困難なことが多い。そのため、オークション時の新規参入についても市場メカニズムを作用させる「イコール・フッティング」方式、すなわちオークションによらない周波数帯割当(以下既割当分)を既に受けている既存事業者がオークション対象周波数帯(以下新割当分)を落札した場合に、既存事業者に対して、新割当分の落札単価を既割当分に適用した代価を、オークション代価に加えて納入する義務を課すことを提案する。

  • [他リンク]
  • 財務省財務総合政策研究所 効率的な政策ツールに関する研究会

  • 効率的な政策ツールに関する研究会 報告書
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    Hajime Oniki
    ECON, OGU
    8/4/2014
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