私が「TRIZに思う」こと

  「補足」でも述べたように、解決策生成技法については、かなり自由度が高い。
  知っておくとよいものばかりであるが、現在の自分の抱える問題にどれが適用できるのかを的確に判断することは難しい。
  また、ひとつひとつ生成法を当てはめることで、いくつもの解決策を生み出し、それらをまとめ解決策を生成するものであるが、
  私は生成法に頼りすぎてしまうのもよくないのではないか。

  TRIZという技法の一番大きな部分であり、大切な部分であるが、
  大事なのは、「過去を生かす」ということだけではないので、
  「新しいものを作り出す」という心を常に持ち、自由に発想を膨らました方がよい。
  よって、科学によってカテゴリー化された、解決策生成技法の枠内だけにとどまることは避けたほうがよいと私は思う。

  TRIZは、「思考法」と分けられる分野のものでもあり、「思考」とは実質、「自由」なものである。

  TRIZ/USITには、たくさんの思考の方法(生成技法の数多く)があり、とても膨大で、過去のいくつもの特許・発明から抽出し、
  体系化したものなので、生成技法は、自分の知識を超えた幅広い解決案の生成に役割を果たすものであり、もちろん無視はできない。
  しかし、「体系化」=「ある制約のもとに、限りのある幅で分けたもの」であるので、そこには「分類という壁」が存在することを知るべきだ。

  現状の科学知識でカテゴリー分けされた、『解決策生成技法』から、案を生成するだけにとどまるのでなく、
  あまりとらわれずに考えたほうがよいと思う。また、それのほうが面白い。
  解決に参与してくれる一つの方法としてTRIZ・USITなどの技法を捉え、使っていくことが大事であるのではないか。

  私が思うのは、「もっと自由な発想のために、もっと幅広くやわらかい形ででまとめることも可能では」、ということである。
  科学的なカテゴリー化ではなく、もっと違う抽出の仕方で分けられれば、「学生向け」として、
  もう少し簡単な表現のものになり、一般的なものとして考えることも可能ではないかと思う。
  それについては、これから、私自身が考えていきたい課題である。

  また、アイデアのヒントをくれるのが「TRIZ・USIT」であり、決して「TRIZ・USIT」が、解決案をまとめたものではない。
  現在問題にしている状況と、過去からの抽出データ、また、自分の経験や、思いついたことをうまく照らし合わせ、
  選び出すのは自分(問題解決に挑む私たち挑戦者)なのだから、自分自身にあったカテゴリー化ができることが大事である。
  一般的にもっと考えやすいカテゴリーをすることで、「TRIZ」と言う考え方が持つ力は大きくなると感じる。

  また、私たち自身が、TRIZから得た影響はとても大きなものであった。
  TRIZやUSITの技法から得たものは、決して技法だけではなく、「思考する」ことの大切さであったり、
  「思考法」や「アイデア」とはどういったものなのかという考え方であった。
  これは、私の中では、日常の「何か普通にものを考えるときの問題に対する姿勢」にも影響するようなことであり、
  正直、何よりもそれが、まず私の興味になっていた。

  そういった面から、学生に限らず、TRIZを学ぶことで、「私自身が、ひとりの人として何を学ぶことができるか」を考え、
  「思考法」や「技法」の幅を超え、「学ぶ」ことへのアプローチをもっともっとすることが、TRIZには必要だと思う。
  さらに受け入れられやすく違ったスタイルで体系化し、「学び、習得すること」の意義を芯として太くすれば、
  現状の、「科学技術開発のひとつの方法であり、内向的な研究分野のような気がしてしまう、閉鎖的なイメージ」を奪回し、
  TRIZは、難しく硬いものでなく、もっとオープンで、とても広く使われるようになる(一種の学問の要素をもった)ものであると私は思う。
  すなわち、TRIZは、誰もが広く使えるような姿になれる可能性を秘めているものだと思う。

  生活に密着したような感覚で技法を学べ、また、そう思いながら、学べることが、TRIZ・USITから私が感じた最大の魅力である。

  学生に教えるときなどは、技法を教えるだけではなく、そういった「自由に発想する」といったことをベースに、
  もっと「思考法」と言う部分で基礎を組み立てていくことで、興味や関心がよくひけ、習得にも促進をさせるのではないかと感じた。

  これらが、学生向けTRIZホームページを作成するに当たって考え、分かったことであり、
  また、大学で中川ゼミナールで学び、TRIZについて感じることである。

    [作成者:肥田真幸、大阪学院大学情報学部 02S 0012、作成:2007.3.17]