大阪学院大学 外国語学部ホームページ
社会で活躍する卒業生の体験談や、留学中の学生からの現地リポート等が閲覧できます。

塩山 恵(外国語学部2001年卒業、北京語言大学大学院在学中)

夢は「日中友好の架け橋に」

私は今、北京語言大学大学院で漢言語文字学を専攻し、中国語の語彙や文法の研究をしています。さらに私の「核」である日本語を生かさない手はないと、中国語から言葉が渡ってきた際、どういう変化が起こり、どういう影響をあたえたかという「日本」の角度からも中国語をみつめています。

大阪学院大学で英語を専攻していた私が中国語を勉強したいと思うようになったのは、卒業論文でチャイニーズ・アメリカンの研究をしたことがきっかけです。研究が進むにつれ、中国本土にいる中国人との違いはなにかと思い始めた4年生の春、偶然にも中国大連で日本語学科の中国人大学生と交流できる機会を得ました。3日間だけの滞在でしたが、その日まで教科書上の「知識」としての中国と実際に自分の肌で感じた中国の違いに愕然とし、無知であった自分に恥じらいと憤りを感じました。中国に魅せられた私は、今の両国の関係改善のために何か働きかけがしたいと考えるようになりました。そこでまずは言葉を身につけ、通訳・翻訳などを通さず自分自身で生の、ありのままの中国を知るべきだというところから「中国留学をしたい」と強く思うようになったのです。しかし現実問題として、その時にはすでに就職が決まっていたこと・留学資金がなくこれ以上金銭面で両親に迷惑をかけたくないこと・社会を知ることの必要性を感じ、まずは仕事に就くことを決心しました。それから3年半後の2004年9月に、あの時抱いた気持ちと必死の思いで貯めた大学すべての学費・生活費を握りしめ、北京空港に降り立ちました。

北京語言大学では中国語と教育方面を主に勉強しました。というのも2007年には日中友好正常化35周年を迎えましたが、日本と中国の間にはまだまだ大きな壁が立ちはだかっています。記憶に新しい餃子事件も、食の安全問題にとどまらず、国際問題にまで発展しました。両国民がお互いに不信感を抱き、事件からはかなり飛躍した中傷、極論や暴言が繰り返されました。今両国間の不調和はもともとの問題に加え、情報交換不足やコミュニケーション不足からの理解不足が重なり、さらなる偏見や誤解を生みだしていると思います。

人の心と心が触れ合ったとき、言葉がなくても伝わる気持ちが確かに存在します。しかし誤解をできる限り少なく、より一層の理解を深めるためにやはり、言葉が欠かせないのも事実です。そこで私自身さらに言語を研究し、将来は教員になり、より多くの方に中国・中国語を紹介し、物事の始まりである「興味」をもっていただければと思います。言葉の力を借りて「日中友好の窓口を広げたい」「日中の懸け橋になりたい」、これが私の夢です。

留学中の大学1、2年生のころは成績も悪くクラスで最下位争いをしていました。そんな自分自身に苛立ち、自己嫌悪に陥り「もう無理だ。あきらめよう」と思うことが多々ありました。しかしそんなとき、大きな力を与えてくれたのが大阪学院時代の経験です。

在学中に英語劇、英語スピーチコンテスト、カナダ短期留学をはじめ、パソコン関連の検定取得などいろいろなことに挑戦しました。もちろんすべて成功を収められたわけではありません。例えばスピーチコンテストは、わずかの差で表彰台を逃してしまい、懸命であったがゆえに余計に悔しく、人目をはばからず涙しました。しかしその事実を受け止め反省をし、その後スピーキングの授業では先生にどんどん話しかけ、英作文は納得するまで何度も書き直しました。そのかいあってか、その後TOEICの点数が大幅に伸びました。

勝負には「勝ち」があれば「負け」が、結果には「成功」と「失敗」があります。誰でも負けや失敗は避けたいです。それでその恐怖心から挑戦をやめてしまったり、言い訳をすぐに探しがちになります。しかし一番大切なことは、どんな結果であってもその事実をしっかりと受け止めることだと思います。「負」ときちんと向き合えれば、それを次に生かすことができます。語学学習はそれがより顕著にあらわれると思います。「なんとなく伝わるから」とあやふやにせず、間違いは素直に認め訂正していく。その積み重ねが語学マスターの一番の近道だと思います。あの学院時代の経験があったからこそ、中国留学で落ちこぼれから卒業の時には成績優秀生に選ばれたのだと思います。

この大学4年間は、多くの方にとって学生として過ごせる最後の時間だと思います。その時間を大いに楽しみながら、「興味」という色々な「種」を心に植えていただきたいと思います。私も学院時代に植えた中国語の種が長い期間を経てやっと発芽をし、今ちょうど若葉が出始めました。これから大きな花を咲かせるために事実をしっかり受け止め、挑戦し続けていきたいと思います。

最後になりましたが、みなさんもこの大学生活で夢中になれる何かに出会えることを心から願っています。受け止める勇気があれば、みなさんが思い描く「花」はきっときれいに咲き誇るはずです。自分を信じて4年間を享受してください。