機能配置法
・・・システムの主有用機能の達成のため、それを支える有用な諸機能(副次的な有害諸機能)について、
既存、または変容/新規導入のオブジェクト間で、適切である配置/再配置を考える。
時間的、空間的に適切な配置や変化をさせることが必要であり、適応/制御がシステムを動かす鍵になる。
有用な機能や、副作用で起こる有害機能を、既存/変容導入/新規導入のオブジェクトの中で、
空間、時間について適切な配置や変化をさせることで、システムをうまく動かすことを考える方法。
a)ある機能を、別の機能に担わせる。
b)複合した機能(複数の機能)を分割し、別のオブジェクトに担わせる。
c)二つの機能を統合し、ひとつのオブジェクトに担わせる。
d)新しい機能を導入し、オブジェクトに担わせる。
→下田の研究「針と糸の研究」
e)機能を空間的に配置/変化させる。
また、空間での配置/移動/振動の機能を利用する。
f)機能を時間的に配置/変化させる。
→下田の研究「針と糸の研究」
g)検出、測定の機能を実現する。
h)適応、調整、制御の機能を導入/拡張する。
i)同種の機能を、別の物理原理(形態)で達成する。
a)ある機能を、別の機能に担わせる。
→既存の機能を、より適切な別のオブジェクト(既存のオブジェクト、または新規導入したもの)に移す。
・不十分/過剰/有害なシステムの機能の一つを見つけ、その機能を有効/有用/無害にする。
干渉部分のひとつを分離する
起こしたい作用を既存のオブジェクトや部分では実現できない場合に、中間の媒体を利用する
システム周りの環境中に存在する場を活用する
・システム中の有用な機能を、より制御しやすく効率になるように別の物理原理における同種の機能で置き換える。
伴い、「場」を組みにして置き換える。
システムの背後にある機能的原理を、別の物理原理で置き換える(光学/音響/磁気/電磁気/熱的原理など)
固体の代わりに、気体や液体を利用する(エアクション、流体静力学、流体力学的など)
b)複合した機能(複数の機能)を分割し、別のオブジェクトに担わせる。
→既存の複合した機能を分割して、別のオブジェクト(既存/新規導入)に移す。
・ひとつのオブジェクトが担っている複合した(未分化の)機能を分割し、各機能をそれぞれ別の機能に分担し、効率よくする。
一つのオブジェクトが二つの機能を担い、問題が起きる場合は、二つの部分に分割し、担わせる。
c)二つの機能を統合し、ひとつのオブジェクトに担わせる。
→複数のオブジェクトの複数の機能を統合して、それらをひとつのオブジェクトに担わせる。
・新しい一つのオブジェクトが、複数のオブジェクトが担っていた複数の機能を同時に果たすようにする。
またそれらが、冗長になっていれば除去する。
d)新しい機能を導入し、オブジェクトに担わせる。
→システムの目標達成や、問題解決のために、新しい機能を導入し、既存又は新規導入のオブジェクトに担わせる。
・システム(またはその部分)に新しい機能を導入するにあたり、その機能の入手元については、次の指針がある。
−すでに存在する周囲の環境から、「場」を活用する。
−システム中の既存のオブジェクトが持つ性質を活用する/親和性があるような「場」を導入する。
−新しい物質とそれに対応する新しい「場」とを組みにして導入し、有用/有効な機能を実現する。
−システム中の他の機能と協調/強化/補助/防止/保護/保障/制御などの関連のあるように、新しい機能を導入/調整。
新しい「場」、環境中にすでに存在する新しい「場」を導入、中和のために新しい「場」を導入、
媒体/ソースとして働く「場」を導入、中和のために有害物質にある物質を添加しそれに対応する「場」を導入、
特殊な性質を持つ物質とそれに対応する「場」を導入、指定された機能と逆の機能を実行する、
有害な要因を利用する、最大の実現がきない場合は添付した物質に作用するような「場」の向きを変える
・システムに新しく導入するとよい機能は極めてたようである。
それらを生み出すもととし、TRIZの「場」の認識から次の観点で考えるとよい。
−力学的な「場」に関連する機能
−熱的な「場」に関する機能
−電気的な「場」に関する機能
−磁気/電磁気的な「場」に関連する機能
−光学的な「場」に関連する機能
−化学/生化学的な「場」に関連する機能
−視覚、聴覚、味覚、嗅覚などに関連する機能、その他の機能
揚力を提供するオブジェクトを導入し一つのオブジェクトの重さを補償する、
空気力学的/流体力学的揚力をもたらす環境の中に置く、遠心力を利用する、
機械振動の代わりに電圧振動を利用する、超音波振動(またはそれを電磁気と組み合わせ)を利用する
磁場を導入しシステムの効率を上げる、色彩を導入/活用する(単色から2色/3色/.../フルカラー)認識機能を発展する
変換(エネルギー、情報をひとつから複数の形態に変える。センサー/変換機)
e)機能を空間的に配置/変化させる。
また、空間での配置/移動/振動の機能を利用する。
→機能を空間的に秩序を持って配置し、その空間的自由度を増す。
また、オブジェクトやその属性を空間的に配置/移動/振動/機能利用/強化する。
・効果的/効率的に機能が作用する配置(秩序/空間的構造/空間変化)を作り、空間的自由度を増し、また時間的な変化可能にもする。
均一/無秩序な空間→均一でなく秩序のある「場」に変換する、
システムの動作/作用の場につき、点を→二次元平面/三次元表面にする、
システムの動作等の空間的な自由度を増大させ、より自由にする、
システムの操作対象/構成を平面構造から、一般2次元構造/軸対象3次元構造/フル3次元構造に展開する など
・オブジェクトを空間的に配置/移動/移動させる機能を利利用する。
オブジェクトを傾ける、回転運動を利用する、一つの線に沿った移動を2次元空間内での移動にする、
ひとつの面内で移動を3次元空間内での移動にする など
・オブジェクトを振動させる。共鳴振動や超音波振動を利用する。
オブジェクト(またはその一部)を振動させる、振動周波数を大きくする、共鳴振動を利用する
超音波振動を利用する、機械的振動の変わりに圧電振動を利用する など
f)機能を時間的に配置/変化させる。
→機能を働かせる(タイミング)を適切に設定する。
※機能が働く時間帯、時間的変化(および短時間での変化)、さらに複数の機能の前後関係や相互のタイミングなども適切に設定する。
・機能(または機能群)を時間的に変化/配置させる。
均一/無秩序な「場」→秩序のある「場」へと変換する(時間的に変化するもの/永久的/一時的なものであってよい)
システム中の時間変化する要素に合わせて「場」を変化させる、非均一/秩序のある磁場に移行する、
システムの自然なリズムに一致した時間的変動な磁場を用いる、有害作用に応じて「場」をon/offにする物理的効果を用いる、
同じオブジェクトの中で異なる時間において、異なる属性を活性化する など
・単純に行うと支障がある主たる作用の実現には、事前に予備g的な処理をし、臨時的な保護処理/事後処理をする。
または、作用の順番を変更したり、反転させたりする。
事象の開始を早く(遅く)する、事象の順番を変更/反転する、
環境から有害要因を受ける場合、事前に正反対の作用をオブジェクトに与え、有害作用を保障する、
オブジェクトの変更必要のある場合(または、しかしそれが難する場合など)は予め、要求される変更を与えておく、
要求される変化を正確に実現できない/ある機能を果たすことができない場合、問題を再定義する、
または要求よりも少し少ない変化(機能)/ちょっと多く変化(機能)させ結果を達成する、
最小作用が実現不可な際、最大の作用を適用させ、余剰を除去する、
オブジェクトと、要求させる作用を与える別のオブジェクトとを一時的に組み合わせ、後に分解する、
あるプロセスから有害/危険な作用を受ける場合、そのオブジェクトを高速で実行する など
・外部条件が変化する場合にも、システム中のオブジェクトが連続して望ましい動作ができるようにする。
オブジェクト全ての部分を連続的に動作させる、すべての無負担運動を無くす、動作中にオブジェクトの消耗部分を修復する など
・機能を実行する速さを速くする。パルス的に作用させる。周期的に作用させる。共鳴周波数に合わせた周期で作用させる。
事象の速さを導入/増加/減少/除去する、連続的な作用の代わりにパルス的作用を利用する、
周期性を導入/増加/減少する、条件に合った周期性にする、(振動する場合)振動周波数を大きくする、共鳴振動させる など
・複数機能(作用)のタイミングを調整し、協調して同時/順番に、あるいは干渉しないように交互に働かせる。
事象の順番を多重化する、対象物質に「場」の周波数を一致させる、存在する複数の「場」に周波数を一致させる、
二つの作用が両立しない場合はひとつの作用の休止期間にもう一つの作用を実行する、
パルス間の休止を利用し、他の作用を行う など
g)検出、測定の機能を実現する。
→できるだけ簡易/迅速な検出/測定にする(できるならば、それらが不要にする)。また、敏感で正確な属性を用いる。
・システムを変更し、検出/測定を不要にする。
・代わりになるコピー/画像/複製について検出/測定する。
・問題を変換し、逐次的に検出する。
・環境やシステムの状況を検知/認識するために、用いる感覚(認識する対象の属性)の種類を増やす。
h)適応、調整、制御の機能を導入/拡張する。
→システムに適応/調整/制御などの機能を導入/拡張し、システムを高度化/知能化する。
・システムの高度化の基本とし、人間の関与を減少させる。
・システム中に、より制御しやすい「場」を導入する(または置き換える)。
・適応可能で、より制御しやすい材料のもので、オブジェクトを置き換える。
・選択的な作用を適用的に起こすために、物質を選択的に配置して誘導する。
・システムの動作/作用の機能、およびタイミングを調整したシステムにする。
・システムの機能調整/制御のために、フィードバックシステム、その他の調整/制御機構を導入/強化する。
・オブジェクトが、セルフサービスで、自身の動作を調整/調節/修復する機能を備えるようにする。
i)同種の機能を、別の物理原理(形態)で達成する。
→ある機能(特に力学的な原理で実現した機能)に対し、より効率的で制御しやすい原理で実現する。
・システムやオブジェクトの背後にある機械的原理を、別の物理原理で置き換える。
光学的、音響的、磁気的、電磁気的、熱的原理 など
・固体のオブジェクトの代わりに、気体や液体を利用する。
膨張式で液体を入れたもの、エアクッション、流体静力学的、流体力学的 など
私たちの事例から適用例
下田の研究「玉留めの問題」
・熱で溶ける糊(接着剤の役割をするもの)を導入し、玉留めしたいところでアイロンがけをするアイデア。
→(d) 新しい機能を導入し、オブジェクトに担わせる。
糸に「接着する」と言う機能をを持たせることで、「留める」という機能を果たす。
・「玉留め」を作業の途中でしておくことで問題を解決するアイデア。
・「留める」という働きをするタイミングをずらすアイデア。
→(f)機能を時間的に配置/変化させる。
早い段階で玉留めをしておくことで、問題を有利にすすめる。
最後ではなく、違うタイミングで「留める」。