オブジェクト複数化法
・・・オブジェクトの数を変えることで、問題をよい方へ動かす(解決する)ことを考える。
解決策生成方法の一つで、矛盾した部分に関わるオブジェクトの数に対して考える方法である。
複数化とは、数を増やすことだけを意味するのでなく、消去、また1/2など減らすことも含まれる。
a)消去する[単純化する、トリミングする]
b)多数にする[2,3,4...∞]
c)分割する[1/2,1/3...1/∞]
→下田の研究「玉留めの問題」
d)複数をまとめて一つにする
e)新しいもの、変容させたものを導入する
→下田の研究「玉留めの問題」
→肥田の適用例「ギターの音を抑える」
f)環境中から導入する
g)オブジェクトの形態を変化させる[固体→粉体、液体、気体]
a)消去する[単純化する、トリミングする]
→サブシステムを消去し単純化したシステムで、機能の分担を考え直す。
・サブシステムの除去
・・・複雑な構成の現システムの場合、サブシステムを消去し、単純化したシステムで、機能の分担を考え直す。
除去で必要な機能が失われるなら、既存または新しいオブジェクトでその機能を担う。
・一部、またはそのオブジェクトの除去
・・・機能を果たした後、それが不要になる場合、それを溶解、蒸発などにより除去する。
または、外部環境や、物質の一つを分解し、不要な方を除去する。
a)オブジェクトを消去する
b)多数にする[2,3,4...∞]
→現状のオブジェクトを複数に増やし、それらの性質を互いにわずかに異なるように変容させて併用する。
・現在のオブジェクトを複製し、共に用いる
・・・システム中に、類似のオブジェクトを複数同時に用いる。
複数にしたオブジェクトは少しずつ(大きく)性質を変容させ組み込む。
・入れ子構造のオブジェクトの数を増やす。
<入れ子構造>複数の物体やシステムを他のものの内部に置くこと。
・オブジェクトを再配置して、単層の代わりに多層配置にする。※立体駐車場、数枚入るCDコンポのように。
→オブジェクトを複数にして、性質を(大きく)変容させ、組み合わせて複数オブジェクトとし、新しい性質、機能を実現する。
・均一材料の代わりに、複数材料を利用し、機能的な要求に最適化する。
・熱膨張率の異なる材料を利用する。
→現在のオブジェクトに異なる特性を持つオブジェクト、さらには逆の特性のオブジェクトを導入する。
これによってさらに複雑・高度な性質と機能をもったシステムとする。
→類似オブジェクトを複数用いる場合、その数を極めて多数にする。
・極限へ:一次元で、数個から無限大へ
・極限へ:一次元の無限大から、二次元の無限大へ
b)オブジェクトを多数にする
c)分割する[1/2,1/3...1/∞]
→現状のオブジェクトを複数の部分に分割し、分割した部分に変更を加え再結合し用いる。
オブジェクトを分割するときの指針は---
---相互に独立した部分にし、それぞれが独自に機能する。
---容易に分離し、再度組み立てられる。
---特定の部分を、破損・磨耗などで取り替えられるようにする。
---相対的に運動できるようにする。
---柔軟性を持たせる。 など
→オブジェクトの一部に望ましくない性質がある場合や、
一つのオブジェクトの持つ複数の部分間(または機能間)で相互に望ましくない関係を生じる場合、
そのオブジェクトを複数の部分に分離し、干渉をなくすことで、望ましい性質や機能を持たせる。
→オブジェクトを細分化し、それを集合として用いる。細分化の指針は
---個々の部分の移動・取り扱いが容易になる。
---重量あたりの表面積が増大し、相互作用が増える。
---独立に動けて、作用に柔軟性ができる。 など
c)オブジェクトを分割し、変更を加えて再結合し用いる
d)複数をまとめて一つにする
→現システムに関連するオブジェクトをまとめて、構造、機能を統合した一つのオブジェクトとして用いる。
→同種(異種)の複数オブジェクトを、時間的・空間的にまとめて一つの複合オブジェクトとして用いる。
→異なる機能を果たす複数のオブジェクトを統合して、複数の機能を同時に果たす単一オブジェクトを作る。
→細分化された多数のオブジェクトを連結して、一つの連続体オブジェクトにする。
d)複数をまとめて一つにする
e)新しいもの、変容させたものを導入する
→既存のオブジェクトの性質や構造を変容させることで、望ましい効果・機能を実現する。
あるいは、新しいタイプのオブジェクトを導入して、望ましい効果・機能を実現する。
○導入/変容するためのオブジェクトの入手源についての優先順位 (どこから導入するものをもってくるとよいか)
@当該オブジェクト(導入したい部分に現存のもの)
A当該システム以外で、現システム中のオブジェクト
Bシステムの周りにある入手容易なもの(環境または、上位のシステムから)
C現システムの「場」(作用)を有効にりようするような新しいオブジェクト
D全く新しい属性や機能を持ったオブジェクト
○新しい/変容させたオブジェクトの導入先(導入するところ)についての優先順位 (どこに導入するとよいか)
・システムの問題の部分(or主要な機能)
@システムの問題の部分(or主要な機能)が対象とするオブジェクト内部(orオブジェクトそのもの)に導入する。
Aシステムの問題の部分(or主要な機能)が対象とするオブジェクトの表面(外部に付加する形で)に導入する。
Bシステムの問題の部分(or主要な機能)の作用をするツールオブジェクト内部(orそのオブジェクトそのもの)に導入する。
Cシステムの問題の部分(or主要な機能)の作用をするツールオブジェクトの表面(or外部に付加する形で)に導入する。
Dシステムの問題の部分(or主要な機能)の対象オブジェクトとツールオブジェクトの間(仲介/媒体・・・などの役割で)に導入する。
Eシステム内の機能に関係するその他のオブジェクトの内部・表面・間に導入する。
Fシステムが置かれている環境を形成するオブジェクトの内部・表面・間に導入する。
Gシステムとその環境との間(仲介/隔壁などの役割)に導入する。
e)新しいものや変容させたものを用いる
f)環境中から導入する
→問題システムの周りにある安価で入手しやすいもの(環境)を導入する。
(上記eのリソースとして見落とされやすいので注意)
・入手しやすいリソース(道具)や、廃棄したリソースを利用する。
・外部環境を代替/変更/分解して、導入する。または導入する物質を作る。 など
f)環境中からの導入
g)オブジェクトの形態を変化させる[固体→粉体、液体、気体]
(オブジェクトを固体、液体、気体粉体などで置き換える)
→システム中のオブジェクトを形態を変化させて有効に用いる。
形態の変化によって、流動性、柔軟性、操作性、反応性など、さまざまな特徴のある性質を得ることができる。
・固体、粉体、液体、気体・・・
・柔軟な殻、薄い膜
・プラズマ
・分割した流体 ・・・
など
g)形態を変化させる
私たちの事例から適用例
下田の研究「玉留めの問題」
・針が二つに分かれ、短くなるアイデア
→(c)分割する[1/2,1/3...1/∞]
オブジェクトが分割することで、針を短くし、それによって玉留めを可能にする。
・新しいリソースを取り入れることで、実現するアイデア(ストローを使う、留め金を用いるなど)
→(e)新しいもの、変容させたものを導入する
周囲にある道具や、新しい道具を使い、「留める」機能を担わせて解決する。
肥田の適用例「ギターの音を抑える」
スポンジ(吸音材)によって、音を吸音させる。
→(e)新しいもの、変容させたものを導入する
スポンジを用いて、ギターの振動を押さえ、また、適度な具合に吸音させる。