TRIZフォーラム: 学会参加報告(11):
TRIZCON2005: 
Altshuller Institute第7回TRIZ国際会議
    2005年 4月17〜19日, デトロイト近郊, 米国
     中川 徹 (大阪学院大学)
     2005年 5月31日 (英文)  [掲載: 2005. 6.14]
     概要和文 (2005年 6月13日)  [掲載: 2005. 6.13.]
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今回のTRIZCON2005は日本からの参加は産能大の児玉氏・黒澤氏と小生だけであった。学会の発表お よび論文集の論文の重要と考えるものをレ ビューして, 詳細な学会報告を英文ペーに掲載する。和文ではその概要だけをここに報告する。


   会議名称:  TRIZCON2005: The 7th Annual Altshuller Institute for TRIZ Studies Conference
                        (TRIZCON2005: Altshuller Institute 第 7回TRIZ国際会議)
    日時:   2005年 4月17日〜19日 
    会場:   デトロイト近郊, 米国  (Delphi Technology Center, Brighton, MI, USA)
    主催:   The Altshuller Institute for TRIZ Studies  Web site:  http://www.aitriz.org/
    後援:  Delphi Corp.
    参加者:   約150人  (うち約 70人がDelphi社からの参加)
  プログラム概要:
              4月17日 (日)                    Tutorial  (入門向け, 高度なもの, およびスペイン語での入門の 3コース)
              4月18日(月) 〜19日 (火)   シンポジウム (招待講演と発表 (2会場並行))

(1) 基調報告(Delphi社 Jean Botti) とパ ネル討論 2回 :  これらの内容はProceedings  には何も記載されていない。Delphi は、技術革新や品質向上のための多くの活動をしているという通り一遍のPR。パネルは「TRIZの理論と実践」 (ロシア出身5人 + Ellen Domb)、と「TRIZと他の問題解決ツールの統合」 (米国人 5人) 。米国ではいまだに、「TRIZを本当に理解しているのは、ロシア出身のTRIZマスターたち (だけ) であり、TRIZを西側の諸方法と統合しつつ実地に実践しようとしている米国のコンサルタントたちやユーザ企業リーダたちとは、格が違う」という風潮 (ロシア出身TRIZマスターたちの一部が流している風潮) がある。これが米国におけるTRIZの発展を非常に阻害していると、小生は感じる。

(2)  技術分野でのTRIZの適用のしかたに関して は、随分といろいろな事例が発表されてきている。記述の詳細さとTRIZの適用のしかたの豊富さの点で最も印 象深い事例報告は、韓国のサムソン電子で Valery Krasnoslobodtsev が行った (冷蔵庫・空調用の) コンプレッサの問題解決の事例である。一つの良い案を出して満足するのではなく、さらにさらにと工夫を重ねているやり方が参考になる。風力発電の羽根の改 良について、Darrell Mannらの報告と、Invention Machine社の Isak Bukhmanの報告とがあり、それぞれおもしろい。 GEN3社の Simon Litwin は、研究委託した顧客に「わぁ、すばらしい」といわせる要点を 4つの事例で示している (各事例の説明がすこし短いのがおしい)。

(3) TRIZの方法の理解・発展という点では、Boris Zlotin と Alla Zusman が「TRIZにおけるリソースの概念」という論文 (付録を入れて 60頁) を出している (ただし、ごとごとしていて難解)。Steven Ungvari が、TRIZと Lean Engineering (すなわち、トヨタ生産方式の基本思想) とを統合させて説明しているのが、参考になる。顧客が求める質 (「Ilities」 =  「〜性」) を高め、それでいて、製品開発のライフサイクル全体で必要なさまざまなコト (「Ings 」 ) を最小限にする、というのが解くべき「主要な矛盾」であるという。また、これらのコト (「Ings」) を要求する根源の問題点 (たとえば、複雑さ、精密さなど) の克服を考えるべきだという [このような観点の説明は、日本でこそするべきであった]。また、中川が発表した 「TRIZ/USITにおける創造的問題解決の全体構造」という概念は重要な寄与であったと思う。

(4) 会計士として中小企業コンサルティングをしている Jon (Jack) Ezickson の論文は非常に実際的で重要である。製造業の会社においても、技術部門、研究開発部門の役割は一部にすぎない。営業も人事も財務もすべて大事な部門であ り、経営トップがさらに大事である。「これらのすべての部門でTRIZが使えるのだ」と説得し、そして実際にその有効さを見せることが、本当の意味の TRIZの普及になるのだ、という。

このTRIZCON報告を書きながら思うのは、日本におけるTRIZの「理解」はもうすでに随分高くなっ ているし、日本における適用事例の質も高くなり、活動の事例も豊富になってきている。自信をもって進めて行ってよい。ただ、それが海外にはほとんど発表さ れていない。韓国からの発信が着実に進んでいるが、日本からの英語での発信が少ない。日本の TRIZコミュニティは、もっと積極的に海外/世界に発信していくことが求められていると思う。

上記で紹介した優れた論文数編の和訳許可を各著者からすでに貰っている。日本への翻訳紹介に協力していただける方 (数名) を求めています。

 

 本ページの先頭 中川論文(1)
TRIZ とSE
中川論文(2) TRIZ/USIT全体構造  同左(和文)
TRIZCON2004報告 ETRIA TFC2004 報告 本報告英文ページ


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最終
更新日 :   2004. 6.14.    連絡先: 中川 徹 nakagawa@utc.osaka-gu.ac.jp