TRIZ論文 & 事例:
TRIZ のためのSSAアプローチ と 航空安全問題への応用
Shahid Saleem A. Arshad (Applied Innovations, Sydney, Australia)、 2009年5月15日
紹介:  中川 徹、2009年6月16日
掲載: 2009. 6.16

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編集ノート (中川 徹、2009年6月16日)

5月15日に、私はオーストラリアのDr. Shahid Arshad から、第5回TRIZシンポジウムへの発表申込みのための論文概要を受け取りました。いま本サイトの英文ページに掲載します論文は、PDF で37頁のもので、この発表申込みの参考文献として送付されてきたものです。その論文を印刷してみて、航空機に関するいろいろな図があることはわかりましたが、多忙で読めませんでした。TRIZシンポジウムのために40編以上の論文の申込みを受け付け、概要をレビューし、プログラムを編成して、TRIZシンポジウムの参加募集の発表をするまで、随分多忙だったからです。Dr. Arshad の論文を読み上げたのは、6月8日で大学に出る新幹線の車中でした。その日大学に出ると彼からメールが来ていて、この論文を『TRIZホームページ』にできるだけ早く掲載して欲しいと依頼してきていました。

本論文の中で、Dr. Shahid Arshad は航空機の速度検知システムの問題を扱っています。現在の航空機での「ピトー+ 静圧管システム」 [注: ピトー管で動圧を測る] の弱点を説明し、それが歴史的に数件の大きな航空機事故の原因になったことを述べています。彼はこの論文で25件の改良/改革案の概念を記述していますが、それらの案が同等によいといっているわけでもなく、特に卓越した案だといっているわけでもありません。TRIZを使って生成されたこれらの案は、意図してさまざまな案を示しており、今後、方法を改良しつついくつかのフォローアップの論文を書き、その中でさらに比較し洗練していくつもりであるといいます。

皆さんがニュースでご存じのように、2009年6月1日にエールフランスのエアバスA330型機がブラジル沖で大西洋に墜落し、228人の人たちが犠牲になりました。この事故の真の原因が何かはまだ分かっていないようですが、「ピトー＋静圧管」の速度検知システムのトラブルが最も疑われています。そこで、Dr. Arshad は彼のこの論文をできるだけ早く、できるだけ広くに公表して欲しいと希望しているのです。

同氏がその論文の発表の場として日本のTRIZシンポジウムを選択し、論文の掲載の場として私の『TRIZホームページ』を選択してくれたことは、私にとって嬉しいことです。また、『TRIZホームページ』が、このような重要な論文をこのような時機に迅速に発表できる体制にあったことは、幸いなことでありました。

この論文は、もともと、TRIZ (発明問題解決の理論) を知っている人たち向けに、彼自身の問題解決の方法を示すことを意図して書かれたものです。同氏は、その技術者としての30年余の経験を通して、彼の方法(「Super-Stream Augmented Appproach」 スーパーストリーム強化法) を独自に開発してきていますので、本論文中の方法論的な部分の記述はTRIZを知っている人たちにも馴染みのないものです。しかし、それでも、彼がここで一貫して扱っている事例研究については、明確です。現在の速度検知システムを改良し、大幅に改革していくやり方の一つ一つのステップを追うことは、皆さんにも(困難なく) できるものと思います。

このWebページ (英文) には、まず本論文のアブストラクトを掲載します。
論文そのものは、PDF ファイルで掲載しています。

その後ろに、著者のプロフィルを記載しました。 これはこの論文の最後の部分から持ってきたものです。
そして最後に、Dr. Shhid Arshad の自己紹介を同氏の許可を得て掲載しています。これは、同氏とのかなりパーソナルなメールのやりとりの中で、5月26日に受け取ったものです。

論文  (英文) PDF  (37頁、1.1MB)  (掲載: 2009. 6.16)

 

英文ページ  (Dr. Shahid Arshad プロフィル など)     (掲載: 2009. 6.16)

 

 

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最終更新日 : 2009. 6.16     連絡先：　中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp