TRIZ論文: TRIZ シンポジウム 2010 テーマ講演
TRIZ活用の知財戦略と実践
片岡 敏光 (株式会社 パットブレーン)
日本TRIZ協会主催 第6回日本TRIZシンポジウム、テーマ講演、
2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川厚木市
同 紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) 2010年12月22日 (英文)
掲載:2010.12.30; 2011. 9.25

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編集ノート (中川 徹、2010年12月28日)

本稿は、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日) に、テーマ講演 (すなわち、招待講演) の一つとして発表されたものです。その発表スライドはすでに日本TRIZ協会の公式サイトに掲載されていますが、このたび中川の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2010」 の一部に紹介記事を書きましたのを機に、著者の了解を得て本ホームページに紹介いたします。

本ページはつぎのものを掲載しております。  [発表スライド(和・英) を本サイト内に収録しリンクを張りました(2011. 9.25)]

和文ページ (このページです) 英文ページ
拡張概要のHTML 版
同 PDF 版
概要のHTML版
発表スライドのPDF版へのリンク(日本TRIZ協会公式サイト)
同 (本サイト内) (2011.9.30)
発表スライドの英訳PDF版 (英訳: 宮下今日子、津波古和司)へのリンク (日本TRIZ協会公式サイト)
同 (本サイト内) (2011. 9.25)
-- 中川による紹介 (Personal Reportからの抜粋)
著者からメッセージ (片岡敏光、2010年12月26日) --

なお、発表スライドは著者に著作権があり、日本TRIZ協会はシンポジウム主催者として非排他的な著作権の譲渡を受けて掲載しています。すべての発表と同様、それぞれの著作権を尊重いただけますようお願いいたします。


[1] 拡張概要

TRIZ活用の知財戦略と実践

片岡 敏光 (株式会社 パットブレーン)

日本TRIZ協会主催 第6回日本TRIZシンポジウム、テーマ講演、
2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、埼玉県厚木市

概要

日経メカニカル誌1997年3月3日号に、「超発明術TRIZ爆発的普及へ ロシア生まれの手法に米国脱帽」とのタイトルでTRIZは紹介されました。同誌が機械関係専門誌であったことも影響して、多くの人は、TRIZを技術的問題解決の有力なツールとして受け止めました。以来、10年ほど経過しますが、状況は変わりません。知財関係者の多くも同様な見方をしており、TRIZを知財問題解決の有力な武器とは見ていません。どの部門の人も、知財権取得、知財問題、知財戦略となると、法律絡みだからと、TRIZ以外の手段に頼って問題解決しようとします。まことにもったいない話です。TRIZは、経営戦略、技術戦略、知財戦略のベクトル方向を整え、相互補完させます。そこで、事例をもとに、TRIZがいかに知財戦略に役立つか解説致します。

内容説明

TRIZを特許戦略的に活用した日本で初めての事例は、TRIZホームページ上からアンリツにおけるTRIZ活動事例かと思います。当時、この三菱総研のIMユーザミーティングでの発表やTRIZホームページ掲載記事を見た多くの知財部門関係者は、TRIZが出願件数増加に役立つ、発明創出、現場(技術部門)の問題開発ツールと受けとめたようです。
A社、B社、その他の会社の知財担当者から問い合わせを頂いた覚えがあります。
この発表を見て、TRIZを知財に活用することの本質的なことを見過ごし、勘違いされた人も多いようです。

今もって、知財部門関係者には、TRIZは自分の問題解決ツール、知財戦略ツールとして使えるということに気づかず、TRIZ普及にエネルギーを注ぐより、知財本来の仕事?をした方が評価されるというアンチTRIZ人間も多くなったことを残念に思います。ここに知財部門におけるTRIZ普及の難しさがあります。

 例えば、私が普及活動を行った前記会社でのTRIZ活動が討ち死に状態であり、ほかにも、大企業のC社、D社、・・と推挙に暇がなく多くの企業が挙げられます。

当初、このようなことは、日本特有の現象かと思いましたが、そうでもないようで、韓国でも欧米でも共通しているようです。世界中で、特許の分析から生み出されたTRIZであるのにもかかわらず、TRIZは問題解決ツールとのイメージの方が強く、世界的な「プロパテント時代」という名のもとに流行した、法律至上主義、法律万能の波に押され続けています。今でも、その状況は変わらず、あいかわらず、TRIZは多くの大企業の知財部門からは疎まれていると思われます。  

そうした中、これまで、日本知財学会や日本創造学会での諸発表を通じて、TRIZが知財活動に役立ち、知財部門の知財戦略ツールとして使え、専門技術と特許法をはじめとする法律知識とを結びつけ、橋渡しする機能を持っていることや、TRIZは問題解決の共通言語として、経営陣が要求する戦略的思考を知財部門が身につけるのにも役立つことを発表し、もっと多くの人、企業に知っていただきたいと思っております。

 ということで、TRIZを単なる問題解決ツールというより、技術部門、知財部門、営業部門、経営者間の共通言語として使え、知財戦略、知財戦術に役立つツールという観点から、大企業向けというより、知財への取り組みに熱心な中小企業や、初心者向けにわかりやすく、入門編という位置づけで話させていただきます。

 

 

拡張概要  PDF 

[2] 発表スライド:      [発表スライドを本サイト内に収録しリンクを張りました(2011. 9.25)]  [日本TRIZ協会 公式サイトへのリンク] 

発表スライド 和文 (48 スライド、PDF 2.4 MB) (本サイト内)   (協会サイト)   (公開、変更禁止、コピー禁止、印刷許可)

発表スライド 英文 (48 スライド、PDF 2.2 MB) (本サイト内)   (協会サイト)   (公開、変更禁止、コピー禁止、印刷許可) [英訳: 宮下今日子; 津波古和司(日立GST) ]


[3] 中川による紹介 (英文):

Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2010,
Part G. Patent Studies and Tools
中川 徹 (大阪学院大学)、2010年12月25日 (掲載: 2010.12.30)

==> 片岡論文の英文ページ内 (英文)


[4] 著者からのメッセージ (片岡 敏光、2010年12月26日) :

ここ10数年間、日本の国際競争力は低下の傾向にあります。時同じくして、「知財立国」を標榜してからも、10数年経つが、日本の知財戦略は功を奏していないという旨を記述した著作や発表が、昨年からあいついで発表されています。
日本勢の敗因の理由として、経営上の意志決定遅延、責任転嫁、標準化戦略、知財戦略の失敗など、様ざまな理由が挙げられ、経営戦略、研究開発戦略、知財戦略の三位一体を機能させればよいと唱えられています。
しかし、一朝一夕で経営戦略、研究開発戦略、知財戦略の三位一体を機能させることができないのは、10数年経過しての知財立国の実情を見れば明らかです。
今こそ、大局的な観点に立って、TRIZを戦略的に用いるとはどういうことかについて考え、TRIZを知財戦略に活かす行動することが必要と考えています。

発表者は、特許部門へ異動した頃に、日本で唯一冊、昭和47年頃に発行されたアルト・シュラー著『発明発想入門』を読んでいました。日本で初期の頃のTRIZに触れるという幸運に恵まれ、特許業務という非技術分野でのTRIZ適用をここ30数年、無意識に行ってきたことになります。多くの知財業務経験をする中で、TRIZを知財戦略に適用することの効果の顕著なことを身に染みて感じています。

知財業務は、守秘義務との関係でオープンに出来ないことが多く、各組織とも、TRIZを知財戦略に適用した事例の発表は困難と思います。
幸い、本テーマ講演で発表できた案件は、当該特許権が消滅しており、会社自体も当該事業から撤退し、守秘義務という発表制限が無く、しかも、技術的にシンプルで誰にでもわかりやすい事例であり、その経済効果も桁はずれの効果を挙げていますので、このまま埋もれさせるのは、国家的、世界的にももったいないということで、思い切って発表させていただきました。

例えば、磁気テレホンカードの場合は、売上げが3兆円を超えたことや、その後を引き継ぎ、次の技術進化トレンドとして花咲くはずの技術が、残存価値を知ることができないというコンシュマーを無視した技術優位の考えの失敗で、市場から撤退せざるえなくなり、少なくとも数十億円もの投資を無にしたこと。
この壮大な事業撤退というテストマーケティングと事実によって、穴と数値列というシンプルなアイデアの価値がクローズUPされるという幸運にも恵まれたこと。TRIZ流には、このアイデアの価値は、非対称原理、局所性質原理、アバウト原理、薄膜原理、多次元移行原理など、複数の発明原理の組み合わせからなると説明できると知ったとき、もっと早くTRIZを知っていれば、特許権取得までの期間の短縮にも役立てることができたと思います。また、LCR(最安値回線自動選択装置)の発明を、孫ソフトバンク社長の発明よりも、先に出願し権利化できたことなども、TRIZ流の考えと照らすと感慨深い思い出です。

今回発表した事例を通じ、考えを整理する中で、私自身が恵まれた環境の中にあり、多くの経験をすることができたことを改めて感じ、関係者の皆様に心から感謝致しております。

最後に、このようなテーマ講演の機会を与えていただいた日本TRIZ協会、ボランティアでスライドを丁寧に英訳いただいた宮下今日子さんと津波古和司さん、並びに、本テーマ講演についての紹介の記事を執筆していただいた中川先生に心から感謝致します。

 
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最終更新日 : 2011. 9.25    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp