TRIZ/USIT 講義ノート
講義ノート: 創造的な問題解決の方法論 (全14回)

中川徹 (大阪学院大学)、
大阪学院大学情報学部 「科学情報方法論」 、
2010年度後期授業 2010年10月〜2011年1月

掲載:2012. 1.22

Press the button for going to the English page.

編集ノート (中川 徹、2012年 1月16日)

本稿は、大阪学院大学情報学部における、2年次後期配当の正規科目 (選択) 「科学情報方法論」の講義の授業資料一式を掲載したものです。学部創設時 (2000年4月) に正規科目として設定され、2001年後期から現在まで中川が引き続き講義してきました。初年度(2001年度) の講義ノート (全13回) を本『TRIZホームページ』に掲載いたしました。その後毎年、少しずつ改良を続けていますが、全体構成は少ししか変わっていません。2007年に、本講義を中心とした小生の教育実践をまとめて、大学の紀要ETRIA TRIZ国際会議、本ホームページで報告しています。

今回掲載しましたのは、2010年度の授業 (全14回) で学生諸君に渡しました講義資料の一式です。各回ごとにPDFファイルにしています。下記の一覧表からダウンロード下さい。また、授業の骨子が分かるように、各資料の節見出しを抜き書きして、末尾に目次の形で掲載しました。

なお、授業では、このプリントを渡し、同時にそれをプロジェクタで投影して、話しています (講義資料は、ベタ書きの形式でなく、改行・字下げ・空白行などを活用して、話しやすく聞き (読み) やすい形式にしてあります)。ところどころで学生に質問し、また小演習で複数の学生を出させてホワイトボードに書かせたりもしています。小規模な階段教室での授業です。

実は、この年度の授業を全回 DVDで撮影・録画して貰い、学内の「授業アーカイブズ」の第1号として、学内に登録しました。ところが、質問の際に学生の名前が出たり、小演習で個々の学生の姿が写ったりしているために、編集しないで公開するのは不適当という判断になっています。授業のしかた、撮影のしかた、動画の編集など、よく準備してしないと、録画を公開できないことを悟りました。本件、大学のITセンターのスタッフの皆さんにお世話になり、感謝いたします。


中川 徹: 「科学情報方法論」 2010年度後期 講義資料 一覧

月日
       テーマ 主資料 副資料
第1回 10/5(火) やさしい導入:技術革新に必要な 柔軟な考え方
第2回 10/12(火) 科学・技術の研究と学習の方法:「観察から」、「原理から」、「問題から」のアプローチ -
第3回 10/19(火) 問題を見つけて絞り込む, 情報を収集する -
第4回 10/26(火) 「発想」とは何だろう? 試行錯誤とひらめきと創造性 -
第5回 11/9(火) 「システム」とは:構成要素とその関係, 階層性, 技術システム -
第6回 11/16(火) 問題の分析(1) 問題 (困ること) の「原因」をつきとめる -
第7回 11/16(火)補講 レポート (論文) の作り方・書き方
第8回 11/30(火) 問題の分析(2) 技術システムの機能と属性の分析
第9回 12/7(火) 問題の分析(3) 空間と時間の特性; 理想解からイメージする
第10回 12/14(火) 解決策の生成法 (1) 知識ベースの活用 -
第11回 12/21(火) 解決策の生成法 (2) 「壁」を破る方法 (ブレイクスルー)
第12回 1/11(火) 解決策の生成法 (3) 解決策を生成する方法の体系 (USIT) -
第13回 1/18(火) 問題解決の身近な事例 と USIT 法のまとめ
第14回 1/25(火) 創造的問題解決の方法論のまとめ (2) TRIZ および 全体まとめ -

 


講義内容の目次:  中川 徹: 「科学情報方法論」 2010年度後期

月日
       テーマ   主資料

[1]

10/5

やさしい導入:

技術革新に必要な 柔軟な考え方

1.本講義『科学情報方法論』について (その1)

本講義の趣旨と概要(『講義要項』より)

2. やさしい導入 (技術革新と問題解決のいろいろな事例) 

[副資料] (PPT ) やさしい導入:技術革新に必要な 柔軟な思考

0. はじめに、いくつかの事例で学ぼう、 最近「創造的な問題解決のための方法論」が樹立されてきた、

1. 課題: ホッチキスの針をつぶれないようにしたい

2. 身近な適用例: 裁縫で短くなった糸を止める方法

3. 矛盾を解決するアルトシュラーの方法: 適用事例 「節水型トイレ」

4. 課題: コード、ケーブルが絡まる問題を解決したい

5.おわりに

3. 本講義『科学情報方法論』について (その2)

講義テーマと予定、 学習上の留意点

副資料

[2]

10/12

科学・技術の研究と学習の方法:

「観察から」、「原理から」、「問題から」のアプローチ

1. 科学と技術のアプローチの概要

2. 観察 → 経験的知識 → 仮説 → 実験検証 のアプローチ

科学は 観察と疑問から始まる、経験的知識から 仮説を得る、 仮説は実験で確かめる必要がある、観察 →経験知識 →仮説 →実験確認 のプロセスを「帰納」という

3. 原理・理論 → 科学的推論 → 応用 のアプローチ

「原理」は高度に抽象化され・検証された仮説である、原理からいろいろな分野の「理論」が導かれる、実際の問題に「理論」を適用して, 結果を推論する、原理・理論 → 科学的推論 → 応用 は「演繹」のアプローチである、「物理学は自然と生命の認識のすべての基礎である」

4. 問題 → 分析 → 解決策 → 応用 のアプローチ

「問題」の認識、問題を分析する、解決策を考え出す、 解決策を適用する、 問題 → 分析 → 解決策 → 応用 のアプローチ を「問題解決」という

[3]

10/19

問題を見つけて絞り込む,

情報を収集する

1. はじめに

2. 「人生の大事な問題」についての捉え方

3. 「心」の問題、生活習慣と生涯への心構え

4. 問題を捉えるための一つのヒント

5. 問題を適切に捉えるための諸観点

6. 問題の明確化のプロセス (USIT法の問題定義段階)

7. 情報の収集 (1) 学術情報の図書・雑誌による情報収集

学術上の情報の一次資料、2次資料・3次資料、

8. 情報の収集 (2) インターネットによる情報収集  **

[4]

10/26

「発想」とは何だろう?

試行錯誤とひらめきと創造性

1. はじめに:「発想」とは何だろう?

2. 「ひらめき」: 種々の逸話とその教訓

3. 試行錯誤による実験

4. 自由奔放な発想を促す技法: ブレインストーミング法

5. 「心理的惰性」: 創造を阻む自分の内面の要因

6. ヒントを探して活用する方法: 「市川亀久彌の等価変換理論」

7. 野口悠紀雄の『「超」発想法』 とその批判

8. 樋口健夫の「アイデアマラソン」法

9. 発想と問題解決の心理モデル (Ed Sickafus による図)

[5]

11/9

「システム」とは:

構成要素とその関係,
階層性, 技術システム

1. 「システム」という言葉

2. 「システム」の階層性

3. 「問題」の「体系 (=システム)」を捉えた例

       「大学生活で何をしようとするのか?」という問題の体系、
       「高層ビルの火災対策」の問題

4. 「ブラックボックス」としての「システム」の働き (機能) の表現

5. 技術的システムの捉え方

6. 「技術システムの完全性の法則」という考え方

[6]

11/16

問題の分析(1)

問題 (困ること) の「原因」をつきとめる

0. 「システム」のイメージ (復習)

1. 「問題 (テーマ, 課題)」の捉え方

「問題」を捉える重要性と選択の判断基準 (復習を兼ねて)、 (技術的問題における) 問題の明確化のプロセス (USIT法の問題定義段階)

2. 問題の分析のはじめに: 何が「問題 (困ること)」 なのか?

3. 「問題 (困ること) 」が起こる原因は何なのか?

4. 技術システムにおける原因分析の例

例: 「額縁掛けの問題」、例: 「発泡樹脂シートの製造における発泡倍率の増大の問題」 、例: 「トラックの燃料タンクが回転する問題」

5. 原因-結果のネットワークによる表現とその利用法

[7]

11/16

レポート (論文) の
作り方・書き方

1. 本日の講義の趣旨

2. 本講義の成績評価のための「レポート課題」

[副資料]  レポート (論文) の作り方・書き方

1. はじめに

2. レポートの目的を明確にする

文書の「性格」を明確にする、文書を書く「目的」を明確にする、 制約条件を明確にする、 課題の大枠を明確にする

3. 中身を作るための調査・研究などを行う

4. 執筆の準備と執筆活動

執筆の準備と構想メモの作成 、執筆の資料と基礎原稿を作る/ 揃える、 本文の執筆を開始する、 書いたものを推敲する

5. レポートの形式と記述すべき項目

表紙部分 (先頭部分)、 概要 (Abstract)、序論 (はじめに, 序, Introductionなど) 、 本論、結論 (Conclusion, まとめ, おわりに, 結語 など)、 参考文献・資料・付録など

6. レポートの記述の形式

7. 文章の書き方の要点

8. おわりに

9. 参考文献

副資料

[8]

11/30

問題の分析(2)

技術システムの
機能と属性の分析

[副資料] 問題の分析(1) 補足: 問題 (困ること) の影響と原因

[主資料]
1. はじめに: 「メカニズム」の理解のための各専門領域の知識とその限界

2. システムの機能分析 (その1: 記述ルールが簡単な表現法)

3. システムの機能分析 (その2: 有益/有害な機能を区別する表現法)

4. 「オブジェクト - 属性 - 機能」による分析 (シカフスのUSIT法)

「オブジェクト - 属性 - 機能」の概念、 シカフスによる機能分析の表現 (「閉世界ダイアグラム」) と適用例、 問題 (困ること) に関わる「属性」(性質) の分析: 「問題因子」と「抑制因子」、

副資料

[9]

12/7

問題の分析(3)

空間と時間の特性;

理想解からイメージする

[副資料] 問題の分析(2) の補足: 機能と属性についての簡単な演習 (宿題)

1. 「属性」の復習 (前回の演習のまとめ)

2. 空間と時間による特性の分析

「空間」の特性の表現、 「時間」の特性の表現、USIT法における空間・時間特性分析の例、

3. 「理想」の認識と技術システムの「理想性」 (TRIZにおける概念)

問題解決の探索における「理想」の認識の役割、「理想性」と「究極の理想解」 (TRIZの認識)、

4. 理想をイメージして問題を解決する具体的な技法 (USITのParticles法)

現状のスケッチと「理想」をイメージしたスケッチ、「Particles」をスケッチに記入する、「Particles」に託したい「行動」、 「Particles」に持ってほしい「性質」を列挙する、

副資料

[10]

12/14

解決策の生成法 (1)

知識ベースの活用

1. はじめに

2. 問題解決の基本モデル

3. 問題解決のための種々の「知識ベース」の枠組み (TRIZの全体像)

4. 「技術システムの進化のトレンド」とその利用

5. 技術の逆引き: 目標機能から実現手段を求める

6. TRIZの「40の発明の原理」

7. 「アルトシュラーの矛盾マトリックス」 (矛盾解消マトリクス)

8. TRIZの「76の発明の標準解」

 

[11]

12/21

解決策の生成法 (2)

「壁」を破る方法
(ブレイクスルー)

1. はじめに

2. 「矛盾」の克服: TRIZの「分離原理」の考え方

3. アルトシュラーの「賢い小人たちによるモデリング法」(SLP)

4. 「発明的解決策であるための二つの条件」: イスラエルのASIT法

5. USITの解決策生成技法 (その1)

5. 演習: 「授業をよりよくする方法を考えよ」

[副資料] 矛盾を解決するアルトシュラーの方法:適用事例: 「節水型トイレ」

副資料

[12]

1/11

解決策の生成法 (3)

解決策を生成する方法の
体系 (USIT)

1. (復習) 矛盾を解決するアルトシュラーの方法:適用事例: 「節水型トイレ」

2. USITの解決策生成技法の概要

3. USITの解決策生成法の簡単な適用例

いろいろな解決策のアイデアとUSITの解決策生成法の理解、USITの「解決策一般化法」を用いた連想的思考の例、

4. USITの「解決策一般化法」を用いた連想的思考の例

[13]

1/18

問題解決の
身近な事例 と

USIT 法のまとめ

(1) 問題解決の全体のプロセスと、解決策の生成法の種々のやり方 (まとめ)

問題解決の全体プロセスと 解決策生成の過程、「解決策の核になるアイデアを見つける方法」の流れ、

(2) 身近な問題での問題解決の事例

1. USIT (統合的構造化発明思考法) の全体像

2. USITの全体構造 (データフロー表現)

3. USIT法全体のフローチャート

4. USITの問題解決のプロセスの 問題定義段階

5. USITの問題分析段階

6. USITの 解決策生成段階

7. USITの問題解決の 6箱モデル

8. USIT法の企業への導入法

[副資料] TRIZ/USITによる身近な問題解決の事例

裁縫で短くなった糸を止める方法、
ホッチキスの針をむしゃげなくする方法

副資料

[14]

1/25

創造的問題解決の方法論
のまとめ (2)
TRIZ

および 全体まとめ

1. TRIZの概要

TRIZの歴史、TRIZの全体像、TRIZの主要な参考資料

2. TRIZのエッセンス (思想)

3. TRIZの知識ベース

技術発展の方向: 「技術システムの進化のトレンド」、 技術の逆引き: 「目標機能 → 実現手段」の体系と事例、「発明の原理」: 特許の事例から抽出した発明のアイデアのエッセンス40原理、矛盾マトリックス: 問題設定に応じて, 発明の原理を示唆する一覧表、「発明の標準解」: 問題を分類して, 問題解決の方法を示唆する、

4. TRIZの問題解決の方法

9画面法 (「システムオペレータ」) 、原因-結果の分析 と ネットワーク図、 機能の分析: 「物質-場」モデルと「物質-場」分析、技術的矛盾の解決: 矛盾マトリックスの利用、物理的矛盾の解決: 「分離原理」による、賢い小人たちによるモデリング (SLP法)、ARIZ (アリーズ): 「発明問題解決のアルゴリズム」、TRIZ/USITなどの問題解決技法の学び方

5. 創造的問題解決の意義: 技術開発と社会への応用

 

本ページの先頭 講義資料の一覧 講義内容の目次 初年度 (2001年度) 講義ノート 中川 の教育実践報告(2007) 英文ページ

 

総合目次  新着情報 TRIZ紹介 参 考文献・関連文献 リンク集 ニュー ス・活動 ソ フトツール 論 文・技術報告集 教材・講義ノート フォー ラム Generla Index 
ホー ムページ 新 着情報 TRIZ 紹介 参 考文献・関連文献 リ ンク集 ニュー ス・活動 ソ フトツール 論文・技 術報告集 教材・講義 ノート フォー ラム Home Page

最終更新日 : 2012. 1.22    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp