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野嵜 光和 ― 韓国での1セメスターを終えて ―

今の僕の率直な気持ちは、韓国に来てからのこの3ヶ月は思っていた以上にあっという間に過ぎていったということです。3ヶ月前関西空港で飛行機を乗るのを待っていた時の僕の心の中は向こうの環境になじめなかったらどうしよう、外国人との交流がうまくいかなったらどうしようなどマイナスなことばかりを考えていました。さらには、こんなに不安になるのだったらもっと勉強しておけばよかったという後悔や、正直行きたくないという気持ちが初めはありました。

韓国に到着した時、日本とあまり変わらない風景だったので外国に来たという感じが全くしませんでした。しかし留学生が生活する寮についた途端、向かいの部屋に住むことになったアメリカ人が僕の方に歩いて来ました。その子が僕に挨拶をしに来るのがわかりました。英語に関してはそれなりに準備をしているとそのとき自負していたので、挨拶をするときの英語のフレーズを思い出しながらその子が近づいて来るのを待っていました。そしてその子が “Nice to meet you. I’m…” と言ってきたので、僕も自分の名前を言ってうまくいったと思った途端、その子が “After … today … so …” と言って来ました。1年次の時英語を上達するためのプログラムに参加していた僕は毎日のようにネイティブの英語を聞いて来ました。そして自分はリスニング力が上がっていると思っていました。今ならあの時こんなことを言っていたとわかりますが、ファーストコンタクトの時は全く彼の英語が聞き取れず、体が固まってしまい何も答えられないまま “Bye!” とだけ言って自分の部屋に戻ってしまいました。これが本当のネイティブが使う日常会話かと初めて実感しました。

しばらくの間は、ネイティブの彼らと英語でコミュニケーションを取るのは出来ないと思っていました。ところが、意外にも日本のことが好きな外国人が多くて、彼らは日本のこんな食べ物が好きだとか、日本のここに行った事があるなど、英語があまりできない僕に積極的に話してきてくれました。そのおかげで、僕は彼らにきちんと日本のことを伝えてあげたいと思うようになり、その思いが英語をもっと話せるようになりたいというモチベーションに変わっていきました。1ヶ月過ぎた辺りからゆっくりですが言葉のキャッチボールが出来るようになってきました。そこからいろいろな人と話すようになり友達の幅がみるみる増えていきました。ご飯を食べたり、旅行をしたり、授業を受けたり、夜遅くまで話したり、お酒を飲んだり、パーティーをしたり・・・。僕の人生の中で一番の刺激がここにあると感じました。

3ヶ月間過ごした中で一番の自分の変化は人格が変わったことです。これは悪い意味では無く、良い意味の人格変化です。どういうことかというと、こちらに住んでいる日本人の友達にこんなことを言われました。「君、日本語を話しているときより英語を話しているときの方が優しく見える。」これを僕なりに考えてみました。母語を話すときは何も考えなくても言葉がすっとでます。ときには考えて話すときはあるとは思いますが、僕が思うに、日常会話の時などは考えているようで考えていないと思います。でも母語ではなく他の言語を話すとき、特にまだその言語を学習中の人などは、日常会話でさえ考えて考えてそのシチュエーションにあったワードを出します。そして相手が傷つかないように、失礼にならないように、言葉を選んで話していると思います。さらに言葉が出ない場合は話すよりも先に行動で示そうとします。そしてこれはなぜかわかりませんがまだその言語に慣れていないときはその言語を話すとき優しい口調になっている気がします。このような理由で母語以外の言語を話すとき良い意味で人格が変わるのだと思います。

僕は2セメスター留学で来ているので、来学期も引き続き韓国で学びます。一方、この学期で自分の国に帰って行く友達もいるので寂しくなります。ですが、またいつかその友達と再会したときに今以上に会話をスムーズに出来るように勉強を続けていきたいと思います。

                                       2015年12月(2014年度生)