大阪学院大学 外国語学部ホームページ
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森 聡臣(2008年ドイツ語学科卒業) -ドイツ留学の勧め-

私は大阪学院大学の交換留学生として、ドイツ西部のトリア大学に留学しました。トリアはドイツで最も古い由緒ある都市です。今留学のことを振り返って思うことは、ドイツ語学習に限らず、トリアでの一年はとても充実していたということです。今までの自分のドイツ語の能力を伸ばすことができ、ドイツで知り合った日本人やドイツ人、他の国から来ていた留学生と関わることで、様々な文化に接し、自分自身を成長させることが出来たからです。

ドイツを留学先に選んだのは、実際にドイツで生活して生のドイツ語を聞きたかったからです。大学ではドイツ語学科でずっとドイツ語を専攻として勉強してきましたが、日本にいる限りドイツ語を使う機会はめったにありません。初めは、「海外なんていったことないし留学とか絶対無理やわ」などと思って自分で諦めていました。そんな時、私の背中を押してくれたのが、先輩や先生でした。その方たちからたくさん勇気をもらって、後悔はしたくなかったので思いきって決心しました。

私がドイツに留学したのは2006年8月から2007年の7月までの11ヶ月ですが、私がドイツ語や留学のことでよく相談していた先生の勧めで、学習よりは生活になれることを目的に、最初の1ヶ月はミュンヘンにある語学学校に自費で通い、そのあと9月から留学先であるトリアに行きました。そして10月から、200名ほどいる留学生がペーパーテストで10クラスに分けられ、約3週間オリエンテーションを兼ねた授業が始まりました。そのオリエンテーションでは銀行口座を開設したり保険に入ったりと、日本語でも手間がかかりそうな手続きの連続で、本当に正しく手続きができているのか不安でした。たった3週間でしたが、とても疲れたのを覚えています。

そのあと10月末に、本格的にドイツ人学生も授業が始まり、四段階にレベル分けされ、一クラス15名から20名のクラスで学ぶことになりました。私は最初の半年は下から2つ目のクラスでした。当然のことながら授業は(一番下のクラス以外)すべてドイツ語で、しかも例年より全体の留学生のレベルが高かったこともあって、聞き取りや語彙などの点で、周りについていけず、かなり苦労しました。

同じクラスだった他の留学生は、様々な国々から来ていましたが、やはりヨーロッパ圏内からの留学生が大半を占めていて、言語のルーツが似ているからか、レベルの高い人は最初からかなり流暢に話していました。その反対に韓国などのアジア圏内の人にはかなり不利なのかなと思いましたが、努力するしかないので学校が終わってから家で熟語を覚えたり、日本人やドイツ人の友達に助けてもらったりした結果、留学最後のテストでは何とか自分なりに、満足のいく点数がとれるようになっていました。今思えば、文法は大阪学院大学の授業でかなり把握していたので問題はなかったのですが、語彙や熟語の勉強を怠っていたのが苦労の原因だったのです。実際に通用するドイツ語力について考えの甘さを思い知らされました。

生活面では、トリア大学の寮の一人部屋で、キッチンやユニットバス、家具なども設備されていたので、部屋ではかなり落ち着け、毎日日本食などを作って自炊していました。最初はドイツ人と話すときでも、思っていた以上にドイツ語でのコミュニケーションがうまくいきませんでした。ドイツ語で話しかけてもわかってもらえないだけでなく、何か聞き返されても理解できず、結局英語で話されてしまうことが何度もありました。それに初めて海外に行ったということもあって、ドイツでは全てがとまどいの連続でした。スーパーでの買い物の仕方、交通機関の利用の仕方など、日本での常識がドイツでは通用しないことがよくありました。例えば、日本では電車は時間通りに来るのが当然だと考えられていますが、ドイツでは10〜15分の遅れはいつものことです。そして、一番カルチャーショックが大きかったことはサービスの悪さでした。帰国の際、空港で荷物を預けるため15分ほど並んでいたのですが、ようやく順番がまわってきたと思えば、「ここはもう閉めるので隣に並んでください。」と言われたときは正直信じられませんでした。日本は世界的に見てもサービスが良いと言われていますが、その時確かにその通りだと感じました。

今となってはたくさんの苦労や嫌なことも全て良い思い出です。そう思えるのもやはり周りにいた友達のおかげだと思います。時には宿題などを助け合ったり、時にはみんなでバーベキューやパーティをして思い切り楽しんだりと、1年という短い時間でしたが内容はすごく濃い留学生活でした。ドイツでは多くのドイツ人をはじめ、日本人や他の国の人たちと知り合い、多くのことを学びました。本当に充実した楽しい時間を過ごせたので、その人たちには心から感謝しています。私は今俳優になることを目指し、日々努力していますが、ドイツで体験したこと、学んだことを活かしていきたいと思っています。

もしこの文章を読んでいる人の中に、留学に興味を持った人がいましたら、ぜひ挑戦してほしいと思います。中には、初めから諦めてしまう人もいるかもしれませんが、私自身留学が自分とは縁遠いことのように考えていた一人でした。でも実際留学して本当によかったと思っています。先生や先輩に励まされ一歩踏み出した私が、今度はためらっている人の背中を押してあげたいと思っています。何もせず卒業してから後悔するくらいなら、挑戦して失敗するほうがいいと思います。留学に限らず他に何かしたいことがあれば、今できることを少しずつでもしてほしいし、すぐに結果が出ないことや些細なことでも、何かやってみることで学べるものがあるはずです。何をするにも良いこと悪いことはあると思いますが、面倒なことも嫌々するだけでは意欲がわかず悪循環なので、楽しみながら、たまには息抜きしながら、コツコツ努力することも大切だと思います。みなさんが将来、「あの時やっておけばよかった」ではなく、「あの時やっておいてよかった」と感じてもらえれば光栄です。そして私自身も後悔しないよう今から少しずつ夢に向かって進んでいきます。