TRIZフォーラム: 読者の声
読者の声 (2013年8月〜10月)

石濱正男 (神奈川工科大学)、  長谷川陽一 (神奈川県在住)、  熊坂治 (産業革新研究所)、  海野誠 (元 川崎重工業)、  林利弘 (林技術士事務所)、  佐々木伸一 (仙台高専)、  山口栄一 (同志社大学)、他

責任編集: 中川 徹(大阪学院大学)

英文ページ(8月〜10月)も参照下さい (2013.10.20) 。「読者の声」(和・英)一覧ページ (2013.12.23) 

掲載:  2013.10.20; 更新:2013.12.23

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  編集ノート (中川 徹、2013年10月 9日)

読者の皆様から、折に触れて感想・ご意見をいただいており、大変励みになり、感謝しております。ここに、今年の8月以降にいただきましたものの中から、まだ独立ページに反映できていず、多くの読者の方にも読んでいただくとよいと思いますものを集めて掲載いたします。掲載を許可いただきました皆様にお礼申し上げます。海外からのものも同様に英文ページにしましたので、ご参照ください。

トピックは、大部分が『TRIZホームページ』での掲載記事に関連しています。その他に、私が書きました学会発表論文の原稿を数名の方に送ってご意見をいただいたことがあります。また、それに関連して海野誠さんと長谷川陽一さんとの間で、数往復の長文の意見交換があり、貴重な討論がありました。長文ですので、近日別ページに掲載できるとよいと考えております。==> 別ページ「読者の声(往復書簡):創造的問題解決の諸技法の統合に関して (海野誠&長谷川陽一)」として掲載しました(2013.12.23)

読者の皆様からの、さまざまなトピックでの、ご意見・ご投稿をお待ちしております。より親しみがあり、分かりやすく、有益なものにしていきたいと考えております。   

追記(2013.12.23、中川): 「読者の声 一覧ページ(2013年〜)」を作成しました。和文・英文とも、一ページに複数の方のメールなどを掲載しておりますが、できるだけ埋もれないようにしたいと思っております。

 


   『TRIZホームページ』更新(2013/08/04付け) 

高原利生論文「技術と制度における運動と矛盾」、大河雅奈論文「科学者の責任」、韓国GTC2013学会参加報告(中川 徹)

 

  石濱 正男 (神奈川工科大学) さん      2013/08/08    技術者倫理について

いつもながら精力的にTRIZの発展やその関連の諸問題に取り組まれていることに 敬服いたします。 朝顔という身近なものに一瞬の涼を感ずる日本の文化。グローバルなんとかと盛 んにおっしゃる方々には、まずこのあたりから世界にPRしてもらいたいものです。

さて、技術者倫理の問題について、技術者内部の問題と外との関係の問題などに 切り分けて整理することは、社会全体として必要と思います。

自動車の故障と事故に関して、報道記者や裁判所からコメントや鑑定を頼まれる ことがしばしばあります。 どの場合も「泥縄」的で、「"その"事故の責任問題」をいきなり対象としてとり あげてきます。 しかし、技術者の倫理や責任を適用する活動は、日常的に今も世界中で行われているので、日常の活動が、十分な教育を受けた技術者が適切に仕事をしているか どうかに思いをいたすべきであると、コメントをしています。

 

福島原発の事故のあと、東電や原子炉メーカー、あるいは原子力工学科をもっていた東大の教授陣から、一向に原子炉設計開発や保全についての全体像が示されないのは、なぜなのか疑問に思っております。

本年は他の学会と日程が重なったために、石濱はTRIZシンポには参加できませんが、大学院生3名が興味をもって参加予定です。
9月からの後期授業では、SONYの池田昭彦非常勤講師が創造的問題解決法という 実習スタイルの授業の3年目を始めます。

ここで、気になっているのが、産業界でTRIZの普及に苦心されている方々の処遇や将来の進路です。他の工学分野の仕事であれば、論文集に数本の論文を掲載し て論文博士号をとることができますが、TRIZ推進という分野ではどうなのでしょ うか。大学教員としての一種の責任を感じていますし、TRIZについて産学共同が うまくいくには、個人個人の利益を重視すべきとおもうのであります。後輩は見ていますので。

 


   中川 徹 (数名の読者の方(長谷川陽一さん、熊坂さん、海野さん、林さん他)に出したメール)   2013/08/16   '創造的問題解決の一般論' 原稿

猛暑の中ですが、お元気でご活躍のことと思います。

昨年来提唱してきました、「創造的な問題解決・課題達成のための一般的な方法論」について、平易でまとまった原稿を作りました。日本創造学会の研究大会(10/26-27)への論文 です。(TRIZ シンポでの発表は、構成法を主にしており、今回の方が内容的に進んでいます。)    [注: この論文は10/03に掲載しました。]
ご一読いただき、コメントいただけますと幸いです。

 

 長谷川陽一 (神奈川県在住) さん      2013/08/17    '創造的問題解決の一般論'に関して

中川先生  こんばんは。長谷川です。
 
いただきました原稿の 表2が 新しく&分かりやすく 感じました。

問題解決を なるべく短時間で行うためには(多少 手順が前後しても良いものの)おおむね 下記手順に従うべきだ、と少なくとも、  TRIZ、KT法、ロジカルシンキング  等の論理的・系統的問題解決の推進者の方々は考えているのではないか? と 私は思います。

・まず 目的−手段階層 (機能−手段階層) を考える
・次に 原因−結果連鎖を考える 【分析段階】
    ↓
・理想をイメージする
    ↓
・手段コンセプトが発案される 【発案段階】
・手段を具体化する
    ↓
・二次的(改良)課題を見つけ、解決する

この手順が 表2に現れている、と 私は感じました。
 
-----
 
どの企業でも 困っている共通点
として

 <目的−手段系>
      ×: 目的−手段が階層を成していることを知らない人がいる
      ×: 目的−手段階層間が飛びすぎている。
      ×: 目的達成の為の必要and条件が欠けたまま 具体化に走る
      ×: 目的達成の為に必要でないことをmustにして 高コストになる
      ×: 目的−手段階層の 各階層内がMECE [ダブりなく漏れなし] になってない。
               具体的には、 階層内の情報の次元が揃ってない・対表現になってない。
                  なので 目的達成の為の十分or条件が漏れている。

 <原因−結果系>
       ×: 結果の原因を考えることの重要性を知らない人がいる。
       ×: 原因−結果連鎖の把握に飛びがありすぎる。
                連鎖の飛び部分を把握すると 別手段を発案できることを知らない。
       ×: せっかく不具合原因を把握しても 採りうる解決手段を挙げ漏れる。
                 (原因をなくす/ロバスト性を上げる/結果を打ち消す のうち 後者2つを忘れがち。)

があるのではないか? と私は思っています。
 
この<目的−手段系><原因−結果系>の基本を知らない人に、いくら部分的テクニック (例.矛盾マトリクス、分離原理・・・) を教えてもなかなか問題解決スピードは上がらない、と痛感しています。
 
 
一方、私は知財部所属なのですが、主な特許性要件は 片手で足りるほど数少ないにもかかわらず
     ・ 先行技術に対する新しさ (新規性・進歩性)
     ・ 記載要件 (サポート要件・実施可能要件・明確性要件)
これらを全て満たした万全な出願をしている人は 非常に稀有です。
 
せっかく 論理的・系統的問題解決法に熟達して 発案が速くなっても、 特許性を満たせなければ すぐ競合状態になり、 なかなか成果(利益)を挙げられません。
 
こう考えると、 問題解決技法間の理論統合だけでなく、 特許性充足までも理論統合することを 目標にするのが良いのでは? と 私は思っています。


  熊坂 治 ((株)産業革新研究所) さん      2013/08/18     '創造的問題解決の一般論' に関して

中川先生、 いつもお世話になっております。 投稿に先んじて原稿を拝見させていただき 誠に光栄に存じます。

問題解決の一般化は、当方も常々関心を持っている分野であり そこに一石を投じる事は、この分野の研究活動として 意義深い事と考えます。

一方多忙な企業人や社会人に実際これを使ってもらう事には 多くの困難が予想されます。 正しい事が受け入れられるとは全く言えない事はご存じかと思います。

世の中には数多くの方法論が提案され、 支持を得るために主張し合っています。 その事がさらに一般人を混乱に巻き込み、 彼らが行動に至らない理由にもなります。

タグチメソッドが比較的マジョリティを握っている理由は、 人によっては宗教的とも評される 田口玄一氏の絶対力によって、 プロセスが比較的統一されていたことがあります。 SN比の考えが統計的には正しくない あるいはよりシンプルで汎用的な表現などの主張もありますが 田口氏が設定した考え、方法がいまだに普及しています。 仕組みは単純とは言い難いものの、 始めてしまえば迷いがありません。

私の知っている限り、アイデア発想法は、 数ある技法の中でも種類が最も多いのですが、 それだけ需要と応用分野が広いためでしょう。 皆さん工夫して提案し、いずれも興味深いものです。

小異を捨てて大同につき、関係者の総意で 標準プロセスを社会に提案すれば、 かなり落ち着く可能性がありますが、 関係者が極めて多いために なかなか容易ではない作業のように思います。 厳密性と容易性は通常背反するため、 状況に応じて優位性が変化しますし、 自然科学分野と社会科学分野、さらにそれを細分化した分野でも 優位性が変わってきそうです。

最善で提案した上で、いかに賛同者を増やすか そんな俗人的なことがポイントにも思えます。

  

 海野 誠 (元 川崎重工業) さん   2013/08/21      '創造的問題解決の一般論'に関して

ハイレベルな論文、ご議論を拝見させていただき、 大変ありがとうございます。

日常の改善活動的な視点のコメントで恐縮ですが、 以下の点が気になりました。

企業実務の中での2日程度の短時間活動では、 表2において、 「現状システムの理解」の段階 (分析など・・) から→ 「望ましいシステム(理想?要求?)をイメージする」 段階への移行のプロセス的?説明に苦労しております。  

TRIZにおいて、  「理想をイメージする」といっても、幅が広く、日常的実務で  進化トレンドを大がかりに調べるのも負荷が高すぎます。 あまり長期的な理想でも、通常業務にはそぐわないし 具体的アイデアに繋がりにくい・・   

この辺の一般的プロセスをもっとご説明いただけると、うれしいのですが・・・

 

 林 利弘 (林技術士事務所)  さん      2013/08/22        '創造的問題解決の一般論'に関して

中川先生: 返事遅くなりました、皆さんと議論する内容でないので、先生のみへの返信とさせていただきます。

CrePSとしてステップが具体的に示されており、各内容は説得力のある内容になっているのではないかと思いました。

一方、論文の記述とし理解しにくかった点について下記させて頂きます。(以下略)

[注: 中川の当初の論文原稿は、CrePS主要部 (思考の世界に対応する第2箱から第5箱まで)を先に説明し、その後で現実世界に対応する初期部(第1箱から第2箱へ) と後続部(第5箱から第6箱へ)を説明していました。林さんはこれを、初期部、主要部、後続部の順に説明するのが良いと指摘されました。中川は、林さんのコメントに従って論文原稿を改訂しました。]

 


 

   『TRIZホームページ』更新(2013/08/28付け) 

中川徹 韓国GTC2013学会講演スライド 「創造的な問題解決の一般論の確立のために」

 

 佐々木伸一 (仙台高専 & 一関高専) さん      2013/09/02    高専における知財教育

中川先生  ご無沙汰しております。  いつもTRIZホームページのご案内ありがとうございます。  

一関高専では今年度もパテントコンテストに向けて様々な発明のトレーニングを行っておりますが、悩みは尽きません。最近の傾向としては、  

@ テーマ選定に時間が掛かる。   
改善したいこと、困っていることなどがあまりないのでしょうか。なんでも手に入る時代?  

A 改善の深堀りができない。
IPDLの使い方を教えると、すぐ、他の人が既にやっているから 、とそれ以上の追求をやめてしまう。 個々の特許(発明)も完全じゃないよ、技術文献として読んでみなさい、と言ってもダメ  

B リーダーに頼りすぎ。
リーダーシップの問題もあります。リーダーがマネージャーではなく一選手になってしまい、何でもかんでも自分でやらないと進まない。

このような状態を打破するために、授業をどのように進めていくかが課せられた問題です。(個々には解決策があると思いますが、限られた時間内でどのように指導していくか)

来年は「仮想企業」を創ることなどから知財授業をやってみようかなとも考えています。

またご指導のほどよろしくお願いいたします。(先生の資料の中でUSITの身近な適用例はすぐに学生に受け入れられそうです)

 

 A社技術広報室の方 から      2013/09/11  書籍「TRIZ実践と効用 (2)新版矛盾マトリックス」に関して

突然のメールにて失礼いたします。
先生が翻訳されました下記の書籍を入手いたしたく、探しておりますが、 残念ながら出版社にも連絡がつかない状況です。 また、中古書にも辿りつけません。

  『 TRIZ実践と効用 (2)新版矛盾マトリックス』

弊社がこの書籍を入手できる手段がもしございましたらお教えいただけると幸いに存じます。誠に不躾なお願いではありますが、ご助言いただけますようお願いいたします。

 

 中川 徹 返信     2013/09/13    書籍「TRIZ実践と効用 (2)新版矛盾マトリックス」に関して

問い合わせいただきました件、ご不便をおかけしておりまして、申し訳ありません。以下の事情にあります。

(1) 「TRIZ実践と効用 (2)新版矛盾マトリックス」(Matrix 2003) は、完売しております。 出版社「創造開発イニシアチブ」は、昨年末に廃業いたしました。  
  本件の出版権は中川 徹が引き継いでおりますが、重版は計画しておりません。

(2) 上記の本の新版 『Matrix 2010』 をすでに中川が翻訳済みですが、まだ出版社を見つけることができておりません。できるだけ早くに出版したいと思っておりますが、実務的な体制が整っていず、滞っております。

当方の力量不足で、読者の方、ユーザの方にご迷惑をおかけしていて申し訳なく思っております。 とりいそぎ、状況説明いたします。

 

 

   『TRIZホームページ』更新(2013/09/20付け) 

Kaplan論文「小企業のためのビジネス戦略」、山口栄一講演録「FUKUSHIMA Report」

 

 林 利弘 (林技術士事務所)  さん    2013/09/21  福島原発事故、科学者の責任論について

中川先生: 『TRIZホームページ』更新の案内ありがとうございます。

1) 今回のTRIZホームページ掲載の 草の根事故調の報告の「東電原発事故の本質 ― JR福知山線事故との精神的類似性―」 参考になりました。

特にJR西の福知山線脱線事故の考察は技術経営の問題とありますが、さらに突き詰めると本質安全についての考察不足の問題を指摘しており、ともすれば制御安全対策で良しとする風潮への重要な指摘と思います。 本質安全の考え方はTRIZの基本的な思想とも通ずる思想であり、こういった考え方が日常的にできるような思考訓練が必要ではないかと思います。

福島原発事故に関しての問題指摘では、ECCSやIC等の最後の砦の活用不十分話がありますが、これはこれで重要な指摘ですが、この最後の砦もやはり制御安全の考え方の延長になっているようなので、やはり最後の砦の部分は本質安全的な砦がどうあるべきかの指摘があればなお良かったかなと思いました。(本質安全:重力を利用しての自然落下式注水システム等)

2) 日本における科学者の責任論の議論の系譜とその課題:

面白く読ませていただきました。私も日立時代には技術者倫理の全社研修をスタートさせ、私自身も色々と学ぶことが多くありましたが、この論文は科学者倫理のあり方について分かり易く問題提起しており、技術者倫理に関わる問題よりもその問題の拡がりが大きくなる科学者倫理の重要性を改めて認識しました。

USTREAMの放送も期待しています。30分では短いと思いますが、最近の欧米のインターネットによる無料の大学講義の普及をみているとこういったものの積極的活用が求められますね。

VCP−NetのSNSはまだ立ち上がっていませんが、こういったところでの議論を行うにあたってもインターネットでの当該技術の講義があってそれを受けてのSNSでの議論といった形が必要かもしれませんね。先生にはVCP−Net SNS TRIZセッションの主査をお願いしたいと考えていますので、その節はよろしくお願いします。

なお、先生のメールでの第9回TRIZシンポジウム紹介のところで、参加者約225名 とありますが、先日電話では125名とお伺いしましたが、いずれが正しいのでしょうか?
[==> 125名が正しい。中川の単純ミスです。HP、更新案内とも早速訂正しました。(中川)]

TRIZ Futureは出席されるのですね。結局私も1件の論文の査読をさせていただきました。

 

 山口栄一 (同志社大学) さん      2013/09/23     福島原発事故について

[ホームページでの掲載と反響の連絡に対して]  ありがとうございました。 完全に無視され続けているので、ほんとに心強いです。 日経新聞などは、出版直後5時間に及ぶインタビューをしたのに、けっきょくデスクのところでボツになりました。こういう所は、日本の後進性です。

 

 佐々木伸一 (仙台高専 & 一関高専) さん      2013/09/26     高専における知財教育

中川先生、いつもご連絡いただきありがとうございます。  
来月から東北6高専を順次往訪し、知財活動・教育について、情報交換・議論してきます。  今後共ご指導のほど、よろしくお願い致します。

 


 

   『TRIZホームページ』更新(2013/10/03付け)   

岡田守正報告「Southbeach Modellerの試用報告」 、
紹介ビデオ(中川 徹)、
中川徹論文「創造的問題解決の一般論のビジョン」

「中川の論文は、和文を日本創造学会の研究大会、英文をETRIA TFC2013で発表予定のものです。8月17日にこの和文原稿を数名の方に見ていただきました。]

 

 大澤 良隆 (住友電工) さん   2013/10/07      福島原発事故に関して

中川先生、いつもメールを送付くださいましてありがとうございます。  
FUKUSHIMA Reportは興味深いです。

 

本ページの先頭   海野―長谷川 往復書簡 「読者の声」ページ(和・英)の一覧(2013年〜)

英文のページ
[(海外)読者の声(8月〜10月)]

 

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最終更新日 : 2013.12.23    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp