一心寺(大阪)に 高口恭行長老を訪ねて |
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掲載: 2018.10.16 |
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編集ノート (中川 徹、2018年10月11日)
私は、先月9日と10日に大阪市天王寺区の一心寺に高口恭行長老を訪ねました。ちょうど10日〜12日に大阪国際交流センターで日本創造学会主催の国際会議ICCI2018が行われたのを機会にしたものです。
実は、私と高口さんは、小学校5年生のときから家が近くで、中学・高校を共に甲陽学院(兵庫県西宮市)で学び、軟式テニスのペアを組んでいた親友です。大学以後は私が東京に出て、物理化学とコンピュータをやり、一方、高口さんは京都大学で建築を修め、縁があって一心寺住職となり、奈良女子大学の教授と建築設計事務所の所長という三足の草鞋で大奮闘されました。分野が違い、居住地域が東西に分かれていましたので、毎年の年賀状と、高校の同窓会やほんの時々の訪問などで互いに奮闘ぶりの消息は知っていても、本当に語り合えるときはあまり多くありませんでした。今回の訪問で、高口さんの凄さ、素晴らしさを再認識した次第です。そこで、いろいろお願いをして、高口恭行師の活動や成果、そして考えておられることを本『TRIZホームページ』で紹介いただけることになりました。
このホームページは、もともとロシア生まれのTRIZ技法をテーマとして扱い、技術分野、大学や産業界での教育や適用などを掲載してきましたから、読者の方々には最初は「場違い」の感じがあるかもしれません。それでも私が近年、TRIZをもとにした「考え方」(思考法)を社会分野に適用して「人類文化の主要矛盾」といった大きな新しい考えを気づくに至りましたので、高口恭行師の記事を紹介できることは、非常にありがたいことと思っています。少しお読みいただけば、意のあるところが分かっていただけるだろうと思っております。
一心寺の概要
一心寺は、1185年法然上人の開基になる、由緒正しい浄土宗のお寺です。その沿革、活動、アクセスなど、詳しくは一心寺ホームページ: http://www.isshinji.or.jp/
をご覧ください。その特徴のいくつかを挙げますと:
・ 法然上人二十五霊場第七番札所
・ 慶長19年(1614)の大坂冬の陣では徳川家康公の本陣が当地におかれました。
・ 江戸時代末期からは年中無休で施餓鬼法要を行う「おせがきの寺」として賑わいました。(宗派を問わず)
・ 宗派を問わず納骨をお受けし、10年ごとにお骨佛(遺骨で造られる阿弥陀如来像)を造立。明治20年より。
・ 新しい感覚の寺院建築: 仁王門、信徒会館(日想殿)、講堂(三千佛堂)など(高口恭行師設計)。
・ 月例行事: 日曜学校(月1回)、写経会、ヨーガ練成会、柔道教室、一心寺門前浪曲寄席 など
・ その他: ラジオ放送「一心寺がおくるちょっといい話」ABC朝日放送日曜朝8時(10分間)、一心寺の本。
高口恭行師の経歴
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中川 徹 高口恭行 師 2018年 9月10日 一心寺 三千佛堂 入口(外ローカ) にて |
日輪名号 「南無佛」 (高口恭行師 書)
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日輪名号 一心寺の歴史は文治元年(1185)法然上人がこの地において「観無量寿経」に説かれる「日想観」と言う西の海に没する太陽の光の中に阿弥陀仏の大きさと極楽浄土の輝きを実感する「行」を行われたことに始まります。一心寺本堂裏に造ったサブの小本堂「日観亭」ではグループの特別回向法要を致しますが、このお堂では上記エピソードに因んで太陽とその中の仏様に向かって祈ります。 新規造作のため私が筆を持ちました。しかし私と言う小さな個性が表れる場面ではありません。私が筆を執っても私の思うようにはならない「竹筆」を持ちました。私の個性は出ようがない仏様に書いて頂いた「南無佛」です。 |
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高口さんは、学部時代に一心寺前住職の一人娘の典子さんの家庭教師をしたのが縁で、恋愛結婚したといいます。その後、浄土宗の正規の修行を積み、書道も「一から」教えを受けたとのことです。この日輪名号は、「日観亭」のものと同時に書かれたもので、「存牟堂(ぞんむどう)」という一心寺の史料館に掲げられていました。高さ2mほどの堂々たる書です。浄土宗では通常「南無阿弥陀仏」と唱えますが、ここではもっと広く「南無佛」と念じます。 (中川) |
一心寺 講堂「三千佛堂」 内部 (高口恭行師 設計) [写真をクリックして拡大]
三千佛堂 古くからの「一心寺境内」外側の公道に面して開け放たれていて、午前9時から午後4時までどなたの出入りも自由のお堂です。まさに「開かれたお寺」で、インドの神々の山ヒマラヤ連峰に聳え立つ正面壁画の阿弥陀仏、観音・勢至両菩薩像と対面ご参拝出来ます。 ここでは毎月の第四日曜に文化パフォーマンスと僧侶のお話―「日曜学校」が開催されるほか種々の催し物が開催されます。「何時でもお参り出来て、仏様にお出会いして坐り、安らぎを頂戴出来る様な場所、、、本来、お寺はそんな場所であるべきと構想し、場所を得て、2002年に落慶致しました。ホールの外ローカの壁は神の山須弥山を模して大小千体の仏様が並ぶ蓮台が出来ています。100年間逐次皆様のご寄進で増加し1000体になる予定です。 内陣が一番光り輝くお堂、高い天井から天空の光を頂くお堂、、、、この形を描き切るために、インドのお堂、トルコのお堂(イスラム風)、 ベニスのビザンチン様式(キリスト教風)などから、すべてに共通する雰囲気を抽出しました。日曜学校では出来る限り「分かりやすいお説教」を心がけています。250人の参加者と共に「仏教聖歌」を歌います。最後には「今日の日はさようなら」の歌で、、、。
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建物の外壁は普通の窓無しのビルなのですが、開け放たれた扉を一歩中に入ったときに眼に飛び込むのが、この内陣です。まさに息をのみます。やわらかに内側に湾曲した二つの円筒形の堂で、奥側が全面壁画の内陣、手前が250人のイス席です。 壁画の阿弥陀三尊図は、京都金戒光明寺の山越阿弥陀図(重文)を下敷きにしたものです。ヒマラヤ連峰を忠実に再現し、その手前は古代に仏教が栄えた砂漠地帯で(写真では切れていますが左手に)バーミヤンの石仏が描かれています。この砂漠と山を越えて、阿弥陀仏が私たちの救いのためにまさに来迎されたという図です。 このお堂に入ったいろいろな国の人たちが(インドの人も、イスラムの人も、ヨーロッパの人も)、自分の国のお堂のようだ、心が洗われると感激するとのことです。本当に素晴らしいと思います。
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最終更新日: 2018.10.16 連絡: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp