紙搬送機構設計のUSIT活用による技術伝承 | |
深津 邦夫 (東芝ソシオシステムズ) |
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日本TRIZ協議会主催 第3回TRIZシンポジウム、2007年8月30日〜9月1日、東芝研修センター (横浜市港北区) | |
掲載:2008. 1.29. 著者の許可を得て掲載。無断転載禁止。 |
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編集ノート (中川徹、2008年 1月 6日)
本件は、今年8月末の 第3回TRIZシンポジウム
において、その第1日午後にシングルトラックで口頭発表されたものです。私の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2007」
で、この発表を紹介しました (2007.11.18)。
本論文は、現在の日本の技術/産業界での共通の問題である技術伝承の問題を採り上げ、それを真摯に考察したものです。
- 若い世代の技術者たちに専門知識を伝承していくために、著者は独自の設計方法論を創り、また技術知識を載せた充実した社内ホームページを作成した。
- しかしながら、ホームページ上の技術知識は急速に時代後れになり、それらの知識が却って新しいアイデアを創造することの障害に成りうると、著者は考えるに至った。
- 著者は最近TRIZ/USITを学び、その有用性を知った。そして、創造的な問題解決の能力こそ若い世代に継承する必要があると考えた。
- 著者がここに示しているTRIZ/USITの事例研究は、著者の専門分野でのものであるが、公募制で多数の企業からの参加を得て行われたトレーニングセミナーで行った事例である。
このような素晴らしい活動をし、シンポジウムで発表し、さらにWeb掲載を快諾いただきました、著者の深津邦夫さん、および東芝ソシオシステムズ社に厚くお礼申しあげます。
本ページは、以下のように構成しています。
[1] 著者による論文概要 (和文) (HTML版) および PDF 版
なお、並行した英文ページ
では、著者のAbstract、中川による紹介
(「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2007」の抜粋)、スライド全文 (英文)
を掲載しています。
本ページの先頭 | 論文概要 (和文) | 論文概要 (和文) |
スライド (和文) PDF |
スライド (英文) PDF |
TRIZシンポジウム2007 Personal Report (中川) |
英文ページ |
[1] 論文概要
紙搬送機構設計のUSIT活用による技術伝承
深津 邦夫 (東芝ソシオシステムズ)
概要
技術とそれを支える人材が大きく変化しようとしている現在、過去の技術や失敗事例を確実に伝える技術伝承の重要性は広く理解されている。本稿は、この技術継承の方法論としてUSITが紙搬送機構設計の領域で有用であることを示す。筆者らは過去30年の紙幣処理装置、郵便機械、自動改札機などの実際の製品開発での設計ノウハウや、失敗事例などの技術情報を蓄積、公開する社内的仕組みを構築してきた。これらの情報は改良設計には有用だが、逆に技術に枠をはめて、新たな発想を阻害する要因ともなり得ることに気付いた。技術継承にとって技術そのもの以上に、技術を発想する方法論の伝承が重要だと言える。筆者らの独自の方法論であった「仮想試作」や「概念崩し」から、より広く深い概念であるTRIZの世界を知り、その分かりやすく取り組みやすいプロセスとしてUSITを習得中である。その試行事例を紹介する。
内容説明
自動改札機が無線カード化する等、技術の重心が「メカトロ」から「IT」にシフトしてきている。そのなかで、システムを支えてきた特徴あるメカトロ技術を次世代の技術者が支えていかなければならない。そのために筆者らが1970年代以降開発に取り組んできた紙幣処理装置、郵便機械、自動改札機などの紙搬送機構設計の次世代への技術継承が求められている。従来型の技術伝承は、設計の標準的手続き、固有要素技術、失敗事例等の集積が中心である。筆者も社内ホームページ上にこれらの知識を公開するしくみを構築した。これらの知識は改良設計の役には立つが、新たな製品技術を生み出す力にはなりにくい。今後の技術要求は高度化していき、その発想には飛躍が必要であるが、伝承された技術知識がそれを阻害する可能性すらある。技術の伝承には、技術的発想の方法論の伝承が必要と言える。
筆者らは「仮想試作法」と称して、現金処理機器の後発メーカとして、他社に追いつくための製品企画や、構想設計段階での設計のアイデアの飛躍、特許増出の方法論を用いてきた。ブレーンストーミングと、詳細な仮想設計作業と仮想的評価からなる。これを近年、従来の延長形の設計では対応できなった製品に対する「概念崩し」プロジェクトで適用して成果を挙げている。第三者専門家がリーダとなって当事者の固定観念を取り除き、アイデアを創出していくものである。しかしこれらの方法論は、必ずしも定型化していないために、このやり方を伝承する困難に直面した。
最近、これらのプロセスとTRIZのより広く深い世界の近縁性に注目し、確立した手順で、「概念崩し」が行えるのではないかと思い至り、その分かりやすく取り組みやすいプロセスとしてUSITを習得中である。公開セミナーで、専門領域外のメンバーと共に「羽根車式紙葉集積機構小型化」事例を取り組んだ。(下図参照) その結果、社内専門家だけでは到達できないアイデア発想が可能になり、USITの有用性が確認できた。今後は発想方法論の伝承手段として社内適用の拡大を図っていきたい。
[2] 発表スライド 全文 (和文)
スライド (和文) PDF形式(37スライド、4スライド/頁、829 KB)
[3] 英文ページ
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最終更新日 : 2008. 1.29. 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp