TRIZ論文: TRIZ シンポジウム2008 基調講演
TRIZの開発と適用の将来の方向
日本TRIZ協会主催 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖、滋賀県守山市
Sergei Ikovenko (GEN3 Partners / MIT, USA)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、2008年10月26日

[掲載:2009. 3. 8]

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編集ノート (中川徹、2009年 3月 6日)

本件は、昨年9月の 日本TRIZ協会主催 「第4回TRIZシンポジウム」での、基調講演です。

日本TRIZ協会は、第4回TRIZシンポジウムの基調講演について、その全文を日本TRIZ協会公式サイト (および日本TRIZ協議会公式ページ (本『TRIZホームページ』内) に英文と和文の両方で掲載することにしました。公式ページですので個別の紹介文はありません。(なお、TRIZシンポジウムでは、発表スライドの事前提出が必須ですが、論文はオプショナルであり、本件では論文が提出されていません。)

この『TRIZホームページ』では、Sergei Ikovenko 氏の優れた基調講演をより多くの読者に読んでいただけるように、このページを作り、中川の紹介を掲載します。紹介の文は、中川の学会報告「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2008」 (2008年10月26日、『TRIZホームページ』掲載 (詳細英文)) の中の関係部分を、このたび和訳したものです。なお、基調講演の発表スライドの和訳は小西慶久さんによるものです。

和文ページ (本ページ) 英文ページ
中川による紹介 (英文)中川による紹介
基調講演 発表スライド (和訳: 小西慶久) PDF (英文) 基調講演 発表スライド PDF
基調講演 発表スライド (和訳: 小西慶久) PDF (日本TRIZ協会公式サイト) (英文) 基調講演 発表スライド PDF (日本TRIZ協会公式サイト)

 


  基調講演の紹介 (中川 徹)  

「Personal Report of The Fourth TRIZ Symposium in Japan, 2008」、中川 徹 (2008年10月26日) から抜粋。和訳: 中川 徹、2009年3月 6日。(掲載: 2009. 3. 9)

 

Dr. Sergei Ikovenko (GEN3 Partners / MIT, USA) [K-2, I01]  が、第3日の朝に第2の基調講演を行なった。そのタイトルは 「TRIZの開発と適用の将来の方向」である。1997〜2000年頃、TRIZの日本導入の初期に、Dr. Ikovenko はたびたび来日して、TRIZ と ソフトツールTechOptimizer の講師をしてくれた。そのため、日本人参加者の多数がすでに彼に馴染みがあった。

この基調講演での彼の主たるメッセージは、「イノベーション (技術革新) をビジネス経営の目から考えよ」ということであった。この目的のためにTRIZは、製品に対する「技術の声」についての新しい見方を提供することができ、それを標準的な、しかしまだあまり確かでない、「顧客の声」のアプローチに加えるこどができる。

[訂正 (2009. 3. 6、中川 徹): 2008年10月26日に英文でこのPersonal Reportを掲載した際、右のスライドに間違った (他者の) スライドを載せました。ここに訂正して、謹んでお詫びします。]

「技術の声」を明らかにするための主要な概念を右図のスライドに示す。[「主要戦略価値パラメータ (MAPV)」という概念である。] 

右の図に示しているのは、戦略的MPV のレベルの概念をより技術に関連する用語にブレイクダウンしていく方法を例示したものである。

製品イノベーションのプロセスを右の図に示す。さまざまな手法がこの図に示されており、TRIZから来ているものも、その他の最近の方法から来ているものもある。

TRIZを進展させるべき諸方向をこの図にまとめている。図の中段には、より上流の市場分析や問題識別の段階で使うべき方法を左側に示しており、また右側にはより下流のコンセプトの具体化の段階で使うべき方法を示す。下段には、古典的TRIZのいくつかのツールでさらに発展させる必要があるものを記述している。上段に示しているのは、新しい応用分野でTRIZを使うニーズである。

さまざまなツールの構成要素を、右図がうまくまとめている。TRIZは、その目標、あるいは扱う問題領域を拡大しながら、「イノベーションの科学」を目指して進化しているのである。

討論の中で、「TRIZとはどれだけの範囲のものをいうのか?」という質問があった。Dr. Ikovenkoはつぎのように答えた。最近、「TRIZのBody of Knowledge (BOK、知識体系)」が、「アルトシュラーが承認したもの」として定義された。そこに含まれているのは、右図に赤丸で示した項目 [赤丸は中川が挿入] である。

 

Dr. Ikovenko はまた、S-カーブ分析の利用についても述べ、特に、TRIZ自身のS-カーブ分析について論じた。彼がいうには、世界全体で見るとTRIZはまだなお幼児段階にある。そのような段階にある製品がするべきことは、成長するための適切なニッチ市場を見つけることである。TRIZにとっての適切なニッチ市場が「技術分野における問題解決」の領域であことは疑いがない。だから、われわれは全力を尽くして、TRIZを適用して企業における技術的問題を解決し、その分野でTRIZを強くしていくべきである。

***[中川所感] 「TRIZが技術分野の問題解決に自分自身のニッチ市場を見つけるべきだ」という最後のメッセージは、明瞭な形で述べられた。だから、「TRIZの開発と適用の将来の方向」としてさまざまに面白く重要なものがあるにしても、われわれが覚えておかねばならないことは、技術分野の問題解決というTRIZのもともとの領域において、TRIZを強化し成功させていくことである。「主要戦略価値パラメータ (MSPV)」のアプローチもまた、この点を目指したものである。

 

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最終更新日 : 2009. 3. 8      連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp