TRIZフォーラム | |
「札寄せ」しながら考える (7) 〜 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (2) 下流老人の現実: 事例と背景 | |
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中川 徹、2015年 9月27日 |
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責任編集: 中川 徹(大阪学院大学) | |
掲載: 2015. 9.30 |
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編集ノート (中川 徹、2015年 9月27日)
本ページは、藤田孝典著『下流老人』をテキストとして、その第2章を、「札寄せ」ツール (および独自に図式表現)を使って「見える化」したものです。第2章の構成は以下のようです。
『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、朝日新聞出版、2015年 6月30日刊、pp. 45-73。
第2章 下流老人の現実
生活困窮者の現状、異口同音に「想定外」
ケース1 (飲食店などで働くも、野草で上をしのぐ加藤さん(仮名)): 正社員の仕事を辞め 親の介護、「こんなに年金が少ないとは思わなかった」
ケース2 (うつ病の娘を支える永田さん(仮名)): 「年金だけが生活の命綱」、自分は順風満帆でも自分以外の「想定外」で
ケース3 (事務職員をしてきた山口さん(仮名)): 「3000万円なんてあっという間に消えちゃった」
ケース4 (地方銀行に勤めていた藤原さん(仮名)): 銀行員・大企業の社員も例外でない
下流老人をめぐるいくつかの資料から、働いて稼いでいる額は全収入のせいぜい2割、支援しても減らない下流老人
注: なお、このたび、片平さんの札寄せツールの英語版が公開され、日本語版も 2.08版に更新されました。ダウンロードしてお使い下さい。 (2015. 9.30)
編集ノート追記 (中川 徹、2015.11.29) 本ページの英文での紹介を、英文親ページに掲載しました。
本ページの先頭 | 日本社会の貧困(親ページ) | 「生活レベルの個人履歴図式」 ケースA | ケースBCD | 背景 | 下流老人の現実PDF(前半) | PDF(後半) | 英文ページ |
『下流老人』(藤田孝典著) 「第2章 下流老人の現実」 (「見える化」ノート、中川 徹)
この第2章は、前半の(まえがきと)具体的事例 4ケースの紹介、そして、後半の現実の背景のまとめから成っています。それを「見える化」したプロセスを説明し、その結果を掲載します。
A. 下流老人の現実: 具体的な4つのケース ==> 詳細 PDF
(1) 事例の記述の抜書きと、時間経過による整理、そのラベル化。
(2) 各事例について、個人の生涯履歴を「生活のレベルと下流化」の観点で独自に図式化した。
テキストの記述を読み取って、定性的ではあるが、独自に図式化した。(この図式は中川のアイデア)
この図式では以下のように表現しようとしている。
縦軸は、「生活の質」を、主として経済的な安定性の面から、定性的に(大雑把に)表現する。収入と貯蓄と資産、およびそれらの将来の可能性(例えば、能力、健康、職業、など)に基づいたものである。収入や蓄積に見合った支出があり、生活が行われていることを想定している(あるいは、そのような意味での、支出可能なレベルをこの縦軸が表現していると考えてもよい)。生活の豪華さ、派手さ、質素さなどを表すものではない。上流/中流/下流の値は、大まかなものである。本書に従って、「生活保護レベル」以下を「下流」とし、国民の(中央値でなく)平均値の2倍以上の程度を「上流」と考えておく。基本的に、扶養する世帯の単位で考える。
横軸は、その人の年齢を示す。年齢が人の生涯とその生活を最も基本的に規定するからである。またそのすぐ下に、年代(西暦)を示し、時代背景を考えるための手がかりにする。成人するまでの期間は、親の(子どもを養育する)生活レベルを表現することになる。
一つの白ブロック矢印で、継続している生活期間を示す。収入の上昇や、貯蓄・資産などの蓄積が進めば(少し)右上がりで表現される。職業や家族などで大きな変化があれば、新しい矢印で描く。灰色のブロックは、生活の質が下降している状況を示す。その状況や理由は、説明を注記している。下向きの黒矢印は、短期間の大きな変化(損失)を表す。
(3) 他の 3ケースについても、同様の図式化を行った。図を示す。 (詳細は、PDF参照)
このケースでは、自分たち夫婦の生活レベルに対して、成人した後の長女が自立していないことが大きな影響を与えている。そこで、夫婦の生活レベルを示すブロック矢印と、長女の生活レベルを示すブロック矢印とを併記した。
このケースでは、退職後に散財し、熟年離婚になっている。離婚では、「二人では食べていけても、一人ずつ半分では食べていけない」状況になるので、黒色下矢印で示している。
所感(中川、2015. 9.27): この図式は、非常に明瞭・雄弁である。このような図式を、もっといろいろなケースで作れるとよい。
-- 本当は、多数の人たちの図を重ね合わせて、日本社会の全体的な大きな動向を示せるとよいと思う。しかし、それには、縦軸を定量的に表現する必要があり、表現の定義式が作れない、絶対値(あるいは相対値) が得られない、貯蓄・資産などの個人データが得られないなどの、困難がある。
-- あるいは、定性的データのままでの活用法を考える方が良いのかもしれない。大雑把であることを踏まえたうえでの(複数の)指標を考えるとよいのかもしれない。そのような指標を作り、何人もの人たちに、インタビューして、図式化してみるとよいのかもしれない。また、ここの図のように説明を付記することも大事であろう。
B. 下流老人の現実: その状況と背景 ==> 詳細 PDF
第2章の後半の部分を「見える化」したノートを以下に示す
所感(中川、2015. 9.27): 著者はいくつかの統計資料を引用しながら、ここの比較的短いまとめを書いている。その一つ一つの項目は、誰でもが知っている。「初めて知って驚いた」ということではない。しかし、このような全体像をきちんと理解し、意識しておくこと、が必要である。高齢者の生活を、60歳(あるいは65歳)から75歳ころまで、そしてさらに、その後の20年間程度を推量して考えることが、個人にとっても、社会にとっても大事なことと思われる。
著者が、「社会問題として、根本から対策を立てる必要がある」と言っているのは、大事なことである。
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最終更新日 : 2015.11.29 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp