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編集ノート (中川 徹、2015年10月10日)
本ページは、藤田孝典著『下流老人』をテキストとして、その第3章を、「札寄せ」ツールを使って「見える化」したものです。本ページの趣旨については、親ページ(日本社会の貧困を考える、[A] 高齢者の貧困化)を参照ください。
第3章の構成は以下のようです。
『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』、藤田孝典著、朝日新書520、朝日新聞出版、2015年 6月30日刊、pp. 75-124。
第3章 誰もがなり得る下流老人−「普通」から「下流」への典型パターン
「普通」から「下流」へ陥るいくつものパターン
【現状編】
パターンT: 病気や事故による高額な医療費の支払い
人生における「高齢期」の長期化パターン2: 高齢者介護施設に入居できない
すさまじい老後格差、金がなければまともな介護も受けられないパターン3: 子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもりで親に寄りかかる
子どもが「ブラック企業」に、「檻のない牢獄」と化した実家パターン4: 増加する熟年離婚
熟年離婚の盲点、 仕事一筋できたならば夫は妻ににげられてはいけないパターン5: 認知症でも周りに頼れる家族がいない
認知症+一人暮らし+悪徳業者 ==> 下流老人コラム1: カネの切れ目が延命装置のスイッチも切る!?
「一億総老後崩壊」の時代、 もらえる年金が減る恐れ、 年収400万円以下は下流化のリスクが高い、 (「一億総下流」の時代がやってくる)、 強烈な格差の行きつく先、 昔と今の400万は価値が全然違う、 4割の世帯は老後の資金がほとんどない!? 非正規は下流に直結する、 非正規は正規の3分の1しかもらえない、 独居老人予備軍を増やす未婚率の増加
コラム2: 親が残した不動産に殺される!? (空き家問題)
手放したくても手放せぬ「不良資産」本ページには、第3章前半(HTMLと画像 および PDF) と 第3章後半(HTMLと画像 および PDF) を掲載しています。また、最後に、中川の所感を追記しました。
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『下流老人』(藤田孝典著) 「第3章 誰もがなり得る下流老人」 (「見える化」ノート、中川 徹)
この第3章は、前半の「現状編」と後半の「近い未来編」とから構成されています。「見える化」したプロセスは、今までと同様ですので、簡単に説明し、仕上げた図の詳細版をPDFで、また仕上げた図の簡略版を画像とPDFで掲載します。
A. 下流化の典型パタ−ン (現状編) ==> 詳細 PDF
(1) テキストの要点の抜書きと、そのラベル化。
(2) ラベルの札寄せ、全体構造の把握
(3) 札寄せによる「見える化」した図を仕上げる。(詳細版) PDF
(4) 札寄せによる「見える化」した図を簡略化して仕上げる。 (簡略版) PDF
B. 下流化の典型パタ−ン (将来編) ==> 詳細 PDF
(1) テキストの要点の抜書きと、そのラベル化。
(2) ラベルの札寄せ、全体構造の把握
(3) 札寄せによる「見える化」した図を仕上げる。(詳細版) PDF
(4) 札寄せによる「見える化」した図を簡略化して仕上げる。 (簡略版) PDF
所感(中川 徹、2015.10.10):
第3章に入って、著者(藤田孝典さん)は、いままで普通に生活していた人たちが、下流に陥る典型的なパターンを紹介しています。健康を損なう、高齢になって認知症が出てくる、など「自分は大丈夫」と思っていても、大丈夫の保証はありません。若い世代のワーキングプア、熟年離婚の増加、介護施設の不足、など、本当にそのとおりだと思います。
私の義母はアパートで元気にひとり暮らしをしていましたが、13年ほど前に、街中の小さな段に躓いて骨折入院してから、病院で認知症を発症し、終戦・引上げ時代の妄想が出て、妻はその介護に大変でした。約1年間介護施設に入ることができず、アパートでの介護は妻にとって地獄の生活でした。新しい特別養護老人施設ができて、入所できたのは実にラッキーで、義母は比較的穏やかな2年間を過ごして、他界しました。自宅介護の大変さ、介護サービスのありがたさ、施設の充実の必要などを、実感した次第です。
そして、今度は、自分たち夫婦が世話を掛けるときがもうすぐやって来るのだろうと思っています。いつまで(健康でいて) この自宅に住んでいられるのだろうかと思いつつも、具体的な準備は何もできていません。
高齢者介護施設の不足について、著者は、「高額な有料老人ホームがどんどん作られることと、介護保険適用の特別養護老人ホームがあまりつくられないこととは、(経営の論理として) 連動している」と記しています。政府の政策 (および政府の無策) がこの状況をもたらせています。また、高齢者層の貧富の二極化がこれを助長しているのだといいます。この見方は私にとっては新しいもので、今後の問題解決の手がかりを示唆してくれていると思います。
本章の後半で、「現在の現役・若年世代には下流化の危険がもっと大きい」と書いていますのは、知らなかったことではありませんが、やはりショッキングなことです。「昔の年収400万円と、いまの年収400万円とは、意味合いが違う」と著者が書いていますのは大事なことと思います。企業の福利厚生がどんどんカットされてしまっており、非正規雇用による低収入、低保障、不安定が大きな問題です。そして核家族化による家族支援の弱体化、未婚の増加と晩婚化が問題を大きくしていくだろうことがよくわかります。日本社会の問題は、高齢者の貧困化だけでなく、現役層、若年層、子どもたちそれぞれの貧困化に連動して、大きな、のっぴきならない問題になっていることを、この本を読んで改めて感じています。
この「見える化」の作業もようやく本書の半分まで来ました。だんだん問題の本質、解決を考えるべきことの焦点に迫ってきています。論点・観点が輻輳してきていますので、適切な「見える化」に努力していきたいと思っています。どうぞご意見をお寄せ下さい。
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最終更新日 : 2015.11.29 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp