■ UMass


 south college
言語学科の研究棟 South College

 私は、2006年8月より2007年8月までの1年間、米国マサチューセッツ大学アマースト校にて、客員研究員として生成文法について研究しました。生成文法は、その提唱者であるNoamChomskyがMITの教授であったことから、米国東海岸の大学、研究機関でその研究がさかんです。特に、ハーバード大学、メリーランド大学、MIT、コネチカット大学、マサチューセッツ大学の東海岸5大学は、共同でECO5(East Coast Workshop inSyntax)と呼ばれるワークショップを持ち、Ph.Dプログラムの学生や研究者が論文の報告をすることで、最新の研究成果を共有する共同体が形成されています。特に、数年前ChomskyがMITのフルタイムの教授職から引退し、名誉教授職に退いたこともあり、生成文法の拠点はMITからこの5大学に分散、拡大した感があります。

 私が過ごしたマサチューセッツ州アマーストは、ボストンから車で2時間、距離にしてボストンのほぼ真西150qの所に位置するのどかな学生街です。普段人口17,000人ほどの田舎町が、大学の授業期間中はその人口が学生で3倍以上に膨れ上がります。地域にある数ある大学の中で、マサチューセッツ大学、アマースト大学、マウント・ホリーヨーク大学、スミス大学、ハンプシャー大学の5大学は、five collegesconsortiumという同盟を形成し、単位互換、施設の共用、各大学間を結ぶバス路線、各大学の図書館をまるで1つの大学の図書館のように自由に検索・借り出しが出来る制度等を有し、密接な結びつきを持っており、そのため、アマーストはしばしばtown of fivecollegesとも呼ばれます。

 マサチューセッツ大学は、Amherst校、Boston校、Lowell校、Dartmouth校、Worcester校の5つの大学からなるUniversity ofMassachusettsSystemの中で最も歴史が古く、その中心的存在となっています。学部生約2万人、大学院生約5,000人、専任教員1,000人強の中規模の総合大学です。州立大学のため、マサチューセッツ州出身の学部学生は学費が半額になります。そのため、学部学生は地元マサチューセッツ州出身者が圧倒的に多いようです。でも、学部学生の同大学大学院への進学を認めていないため、大学院生の出身地は逆にマサチューセッツ以外の全米の各地や、海外からの者が多数を占めています。州立大学として学部学生の受け入れに関しては、地域に開かれた大学としての役割を果たすと同時に、大学院生の受け入れに制限を課すことで、全米および海外から優秀な大学院生を受け入れ、大学としての教育・研究レベルの高さを維持する意図がうかがわれます。

connecticut river
Mt. Sugarloafから望むConnecticut River
amtrak
Amtrakのアマースト駅