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編集ノート (中川 徹、2014年11月 5日)
本稿は、一昨年5月以来私が提唱してきています「創造的な問題解決・課題達成のための一般的な方法論」(略称:CrePS (クレプス)) について、その要点を述べたうえで、この1年間の研究活動の成果と今後の計画を述べています。いろいろな適用事例といろいろな(TRIZとTRIZ以外の)技法を、CrePSの「6箱方式」で記述・整理することが、その研究活動の中心です。ただ私は、この1年、『TRIZ 実践と効用』シリーズ全4巻(5種)の出版活動と、本『TRIZホームページ』のリニューアルに注力していましたので、CrePSの内容の進展は十分ではなかったと思っております。今秋の3つのTRIZ関連学会では、(発表原稿の提出時期がほぼ同時で前後しておりましたこともあり) 同一タイトルで、内容を少しずつ調整・改良して、投稿・発表させていただきました。
3学会への提出物(スライド、論文など)と発表物(スライド)および会場配布資料の一覧を下表に示し、それらの学会公表状況、本ホームページでの掲載状況を注記します。
なお、上の表の最下行は、これら3つの学会発表をまとめて最新のものを、本サイトのHTMLページとして、和文ページおよび英文ページに掲載しているものです。
-- 英文論文は、ETRIAがElsevier Procediaとして公表予定であるため、その公表を待ってから本サイトに掲載(またはURLを掲載)する予定です。2ヶ月(余)お待ちください。
-- 学会会場での配布資料として、「本ホームページのリニューアルトップページ」を3学会で配布し、また、「公共サイトのグローバルネットワークの提案」をETRIA学会で配布しました。これらの発表の要点は、(学会ごとに(提出/発表の)時期・聴衆による違いがありますが)ETRIA TFCでの発表スライド #8 にまとめていることです。
今までに明確になったこと (CrePS/TRIZ/USITの研究):
創造的な問題解決と課題達成のための一般的な方法論 (CrePS)・ CrePS は、「6箱方式」を基本パラダイムとして、実現可能である。
・ TRIZ 他の種々の方法を統合して、CrePS として再構築できる。
・ USIT は、CrePS の 6箱方式を実践する簡潔な一貫プロセス(の一つ)である。CrePS開発のための実践中の研究活動:
(1) CrePS の適用事例集を作る。(既発表の諸事例を利用できる)
(2) TRIZ その他のさまざまな技法を理解して、CrePS の枠組みで記述する。
(3) 「現実の世界」の種々の活動に CrePS を位置付ける。
(4) CrePS の種々の適用目的を分類し、 各目的に沿った簡潔な CrePS プロセスを提案する。
(5) CrePS のビジョンの普及を図る。
発表論文(日本創造学会) 目次
本ページの先頭 | 論文の先頭 | 4箱方式==> 6箱方式 | CrePSの骨格 | CrePS構築の現状 | CrePS適用事例集の作成 | 種々の技法をCrePSで位置づける | おわりに | ||
論文(創造学会)PDF | スライド(TRIZシンポ) | スライド(創造学会) | スライド(ETRIA TFC) | 英文スライド(TRIZシンポ) | 英文スライド(ETRIA)PDF | 英文論文(ETRIA)PDF (未掲載) | 英文ページ |
発表論文 (和文) 日本創造学会 第36回研究大会 論文集 pp. 1-6 (2014年10月) PDF
創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論 (CrePS) の構築:
いろいろな適用事例と技法を「6箱方式」で整理するEstablishing General Methodology of Creative Problem Solving & Task Achieving (CrePS):
Organizing Different Methods and Their Application Cases with the Six-Box Scheme中川 徹 (大阪学院大学 名誉教授)
日本創造学会 第36回研究大会、 2014年10月25-26日、 産業能率大学自由が丘キャンパス(東京都世田谷区)
概要
「創造性技法」や「問題解決の方法」は従来から多く研究されているが、望まれるほどには普及してこなかった。それらが部分的でばらばらであり、全体としての骨組みを持たなかったからである。そこで筆者は一昨年来、「創造的な問題解決・課題達成のための一般的な方法論」(略称 CrePS (クレプス))を確立・普及させることを提唱してきた。
本稿では、CrePS方法論のビジョンをさらに明確にし、その確立のための研究の進展状況を報告する。CrePS方法論の骨組みには、創造的な問題解決の新しいパラダイム「6箱方式」を採用する。これが「現実の世界」と「思考の世界」の役割分担を明確にする。また、従来の科学技術での「4箱方式」とは異なり、6箱の各段階で明確にすべき情報を詳しく説明でき、ユーザをガイドできる。現在、創造的問題解決の既発表の諸事例を6箱方式で記述し直し、CrePS適用事例集を作成中である。また、CrePSの各段階で望まれる情報とその獲得方法を、階層的に詳細記述する作業をしている。これは、創造的な問題解決の方法論に関して、客観的・学問的に議論・考察するための共通基盤を作ると期待される。皆さんのご協力をお願いする。
1. はじめに
問題 (困っていること) を創造的に解決し、課題 (よりよくしたいこと) を創造的に達成することは、人類がその文化を形成するために、あらゆる領域 (社会、企業、技術、学術など) で、あらゆる時代や地域で、試行・実践・実施してきたことである。だから、われわれの身の回りのものから、社会や技術などのあらゆるものに、いろいろな時代にいろいろな人々が寄与した「創造的な問題解決と課題達成」の成果が込められている。
しかし、その成果に至るまでの試みや、それを成功させた「創造的な問題解決・課題達成の方法」は、必ずしも十分に意識されず、記録されてきていない。そのような方法は、個々のケースに依存して、正に千差万別であり、それらの諸ケースを抽象化して創られてきた方法・技法も、ばらばらで多くは部分的である。
創造的な問題解決の方法 (あるいはもっと大雑把に創造性技法) と呼ばれるものは、何百という数で知られている [1]。それらのアプローチには、次のような諸側面を強調するものがある。
- 科学技術知識の活用 (原理から特許まで)
- 事例に学ぶ
- 問題・課題の整理・分析
- アイデア発想を支援
- メンタル面の重視
- アイデアを具体化する
- 将来の予測、方向の提示
- 総合的な方法論
これらの諸側面はそれぞれに有益・重要であるが、各側面を強調する人たち、あるいは個別の方法を推奨する人たちが、往々にして互いに対立することがある。それは従来の方法や考え方がバラバラであり、全体をまとめる骨組みや、全体を統合する適切な方法論ができていないからであると、筆者は考える。
筆者は1997年以来、TRIZ (発明問題解決の理論) [2] および USIT (統合的構造化発明思考法) [3] の研究・普及に努めてきた。しかし、一昨年、これらの方法の普及状況の困難の反省から、個別の方法を越えたもっと一般的な方法論を確立し、それを適用・普及させることが必要・適切であると認識し、以下の目標を掲げた [4]。
「創造的な問題解決と課題達成のための一般的な方法論 (略称:CrePS) を確立し、
それを広く普及させて、
国中の (そして世界中の) さまざまな領域での 問題解決と課題達成の仕事に それを利用する。」さらに昨2013年には、この新しい方法論 (略称をCrePSと決めた) のビジョンを示し、この方法論を構築するための枠組みとしてUSIT から導かれた「6箱方式」が有効であること、またTRIZ/USITの研究をベースにしてこの方法論の内実を明確にしていけるだろうことを提示した [5]。
本稿は、CrePS の趣旨をさらに明確化し、CrePS の確立のための研究の状況を報告する。
2. パラダイム変換: 4箱方式 ==> 6箱方式
創造的な問題解決のための基盤・枠組みとして、いままで科学技術が採用してきたのが、「抽象化の4箱方式」である (図1)。
図1. (従来の科学技術の) 4箱方式
何らかの問題を解決しようとするとき、それを具体的なレベルのままで考えるのでなく、抽象化・一般化した問題にすると、(科学技術の知識や方法を使って) 一般化したレベルでの解決策が得られるから、それを自分の場合に具体化して、具体的な解決策にするとよい、という。この考えで、あらゆる分野で理論・モデル・知識ベースが作られ蓄積されてきた。
4箱方式は確立された分野の問題に対しては効果的に働くが、典型例がなく、分野を跨り、本当に「創造性」が求められるような場合には困難を生じる。 TRIZは、(技術的な) 全分野を横断して有効なモデル・技法・知識ベースを複数組構築して、ここに大きな寄与をした [2]。
しかし、複数組の各モデルへの適用が、モデルが指定する既存のカテゴリへのあてはめになっていて、抽象化が部分的で不十分になっている。このため、「一般化した解決策」として得られるものも、「解決策のためのヒント」にしか過ぎない。類比思考に委ねるという不十分さがある。
また、「4箱方式」の根本の弱点は、「一般化した問題」や「一般化した解決策」の中身が、それぞれのモデルに依存しており、一般的に (モデルの違いを超えて) それ以上の説明ができないことである。だから、「一般化する」ためにどのように考えればよいのかの指針を示せない。
「創造的な問題解決の新しいパラダイム」として筆者が提唱してきた「6箱方式」を、図2に示す [6]。その特徴は以下のようである。
図2. CrePS の6箱方式
(a) 図のように上下に二分し、「現実の世界」 と 「思考の世界」とで、それぞれの役割を明確にした。「現実の世界」は具体的な世界であり、社会・企業・技術などの多様な活動が行われており、それぞれの制約や判断基準がある。一方、「思考の世界」は制約から一旦離れて自由に考えることができる世界であり、技法が主導して、問題に対する解決策を提案する役割を持っている。
(b) 「問題状況」(第1箱)を認知し、取り上げるのは、「現実の世界」での活動 (例えば企業活動)である。何が問題であるか、その状況を認識する。
(c) 「取り上げるべき問題と課題」(第2箱)を、「現実の世界」で(具体的なデータに基づき、問題の重要性を判断して)明確にし、それを「思考の世界」に委ねる。「思考の世界」は、「現実の世界」の意図をここで的確に理解しておかねばならない。
(d) 「思考の世界」ではまず問題を分析する。それは第一に、「現在のシステムを理解する」ことであり、空間と時間に関わる特性、システムの構成要素(オブジェクト)とその属性(性質)と機能などを分析・理解し、それによってシステムのメカニズムと問題が起こる(根本の)原因を理解する。
さらに第二に、「理想のシステムの理解」を作ることが大事である。望ましい振舞い、望ましい性質が何であるか、(そこに到達する方法はまだ分からないが)理想の結果がどうあるべきかを理解する。
第3箱がこれら両方の理解を含むことが極めて重要である。これらを導出するには、標準的な問題解決技法が主導するが、その問題に対する具体的な (技術的)理解が必要である。
(e) 第4箱は、「新しいシステムのためのアイデア」であり、従来の4箱方式での「ヒント」の段階を超えたものである。このようなアイデアを創出するためのいろいろな技法が作られているが、前段の「現在のシステムの理解と理想のシステムの理解」を得ると、(その過程で我々の脳は活発に働き)いろいろなアイデアが「自然に出てくる」のが実際である。
(f) 第5箱は、上記のアイデアを取り入れて、それを基に組み上げた「解決策のコンセプト(複数可)」である。それは、「このようにすればきっと適切に動き、問題を解決するはずだ」という案である。その案を構築するには、(問題解決の技法より以上に) その分野の (技術的)素養が必要である。
(g) 「解決策コンセプト」を「思考の世界」から受け取り、それを評価し、実際の問題を解決する (商品/製造プロセス/サ−ビスなどに実現する) のは、「現実の世界」での活動である。
3. CrePS 方法論の骨格
昨年の本学会において、方法論 CrePS のビジョンを示し、6箱方式の各段階で整備するとよいと考える要件と方法を詳細に示した [5]。
その段階で明確に意識していたことは次の3点である。
・ CrePS は「6箱方式」を基本パラダイムとして実現可能である。(前節で論じた。)
・ CreP Sを構築する素材は、TRIZ をはじめ既存の種々の方法が十分に提供できる。
・ CrePS の6箱方式を実践する簡潔な一貫プロセスが目的に応じて必要であるが、USIT が汎用問題解決目的のそのようなプロセスの好例を提供している。
これらの見通しのもとにCrePSの構築を進めている。なお、最近描いた図で、新しい明瞭な示唆を与えてくれたものが、図3である。
図3. 6箱方式と現実の世界
これは「6箱方式」での、「現実の世界」と「思考の世界」の役割をより明確に表現している。現実の世界の (たとえば企業活動の) 大きな流れの中で、いろいろな段階で、いろいろな問題について、問題解決が必要となり、「創造的な問題解決」が (繰り返し) 行われる。そのような問題解決の活動は、特別プロジェクトや、小グループや、個人によって行われ、そこに「思考の世界」という「場」 (世界) が形成される。
この「6箱方式」は、「新しく提示された」ものではあるが、非常に自然である (と筆者は考える)。自然科学や技術の世界において、人々が常々やってきたことをそのまま素直に表現している。沢山の (研究や開発や問題討議などの)事例をこの図式で表現すると、成功の事例も、失敗の事例もいきいきと表現できるであろう。
4. CrePS 方法論構築の現状
昨年発表したCrePSのビジョン [5] を実現するために、当面実施しようとしていることは次の4項目である。
(1) CrePSの適用事例集を(既発表事例を利用して)作る。
(2) TRIZその他のさまざまな技法を理解して、その各要素をCrePS内に位置づける。
(3) 「現実の世界」の種々の活動にCrePSを位置づける。
(4) CrePS (が必要とされる)適用目的を分類し、各目的に沿った簡潔なプロセスを提案する。
本稿では以下に(1)(2)について(中間)報告する。(3)(4)については、図3をベースに考察を進めるつもりであるが、本稿では論じない。
5. CrePS 適用事例集を作る
「CrePS 適用事例」というのは、「創造的に問題を解決した事例」のことであるから、新しい事例を作るよりも、既発表の優れた事例を CrePS の枠組みと言葉で記述・表現するのが、効率的で効果的である。
ここで、適用事例として示すには、「結果が優れている」ことよりも、「問題解決のプロセスが分かりやすく記述され、その思考過程を多くの人が理解・フォローして、各自の問題解決の参考にできる」ことが大事である。
なお、多くの発表事例は、(鮮やかな)解決結果を導いた思考過程しか記述していない。その結果や過程が鮮やかであればあるほど、試行プロセス/思考プロセス (の記述) にジャンプがあるから、初心者の参考になりにくい点がある。各事例について、CrePS でのさまざまな考察を記述するように、補うことが (教育目的の適用事例集のためには) 必要である。
これらの点から、現在は筆者自身が発表してきた TRIZ/USIT の事例、特に学生たちと一緒に作った身近な問題の事例の記述をしている。また、USIT が CrePS を実施する簡潔な一貫プロセスの一つであるという認識から、USIT プロセスの範囲での記述を優先させている。
その記述を具体的に示すことは、紙数の関係でできない。ここには、身近な問題での問題解決の例を (事例の内容は説明済みであると仮定して) 「6箱方式」の図に簡潔に記述した形で示そう。
図4は、裁縫で針より短くなった糸を止める問題 [7] [8] のまとめである。
図4. 裁縫の問題:6箱方式でのまとめ
第4箱に注目されたい。新システムのためのアイデアになった一つは、「熟練の技として空中で糸を操うやり方が、理想の糸の配置と同じなのだから、その配置になるように糸を支えればよい」という着想であり、その配置図を x 印 (USIT の Particles 法の記号)で示している。第二のアイデアは、「いっそ針をぼきっと折ってしまおう」という案の意味を考察して得たもので、「今の段階ではもはや縫う必要がないのだから、針の先端は不要で、玉止め専用の短い針があればいいのだ」という着想である。問題の分析からアイデアの生成と解決策の構築へと進む一連の流れの中で、「新システムのためのアイデア」として何が最も寄与したのかを、理解させる好例である。
図5は、水洗トイレを節水化する問題の事例 [9] のまとめである。
図5. 水洗トイレ問題:6箱方式のまとめ
第3箱の現在のシステムの理解で、「水洗トイレで多量の水が要る原因は後部のS字管が邪魔をしているからであり、通常時に悪臭を防ぐためにS字管は必要だが、便を流すときには無いほうがよい」と理解した。これは TRIZ でいう「物理的矛盾」の認識である。そして理想のシステムの理解として、「通常時はS字管が存在し、便を流すときにはS字管が存在しない」という、時間で分離した状態のイメージを得ている。そして、第4箱で、問題を解決するには、「S字管とは管の途中が高くなっている状態を言っているのだから、管を変形可能にし、通常時は途中を上げていて、便を流すときには下ろせばよい」というアイデアを得ている。この事例は、TRIZ技法の中核にある「物理的矛盾」の方法について、物理的矛盾の認識、分離による理想解の認識、矛盾解決のアイデア生成の各過程を明瞭に位置づけて示している。
6. さまざまな技法を CrePS 内に位置づける
世の中には何百・何千という数の創造性技法/創造的な問題解決の方法が知られているのだから、それらを網羅して、分類して名前だけで示してもしかたがない (何も分からない)。
CrePS の「6箱方式」の各箱で表している一つ一つの段階の情報が、どのような概念・観点・表現形式を取るとよいか、それらの情報・理解を得るにはどのような方法を使うとよいか、について、いろいろな技法を参考にして記述していきたい。この趣旨で、既発表の CrePS ビジョンに従って、各箱で記述すべき項目を階層的に詳細化し、記述する形式を指定した (今後逐次改良予定)。まず TRIZ/USIT から記述を開始して、今後主要な技法 (とその要素技法) について順次記述を進める。その記述資料の公開を始めた [10]。
このように明確な枠組みの下に、さまざまな技法について複数 (多数) の研究者による記述を蓄積していくことができれば、「創造的な問題解決の方法論」を、客観的に(学問的に) 議論するための土台となることであろう。ただし、実際の作業はまだ遅々としている。
これらの詳細な記述に並行して、各技法/要素技法の位置づけを一覧できるようにする必要がある。現在試行している形式を以下の 2例で示す。
例示しているのは、USIT [3] (図6) とLarry Ball の階層化 TRIZ アルゴリズム [11] (図7)である。その出典や概要をまず記述し、そののちに特徴を評価して示している。
図6. CrePSでの位置づけ例:USIT
図7. CePS での位置づけ例: Ball の HTA
特徴の記述の前半は、プロセスのどの段階をねらったものか、どのような情報を明確にしようとしているのかを示す。一方、特徴記述の後半は、(プロセスの個別段階にはかかわらず)全体としてどのような思考基盤を利用しようとしているかを記述する。いわば、「タイプ分け」の観点である。これらの評価項目の選定が大事なことである。
これらの特徴の評価を、(0、1、2、3、4) の 5段階で大雑把に行い、個別の棒グラフの形式で表現した。各項目の評価が定性的で、評価者の (全体および当該技法の) 理解度に依存して主観的であることは、避けられない。なお、このような特徴評価を表示する典型的な方法は、放射状のレーダ図であろう。しかし本件では、各評価項目を諸技法について比較することを意識して、項目明示の棒グラフを採用した。
7. おわりに
以上に述べましたように、この一年間の CrePS 方法論の構築作業は遅々としていました。その理由の一端は、筆者が『TRIZ 実践と効用』シリーズの書籍出版 (主要4巻) [12] に注力し、『TRIZホームページ』の編集と改良(特に4種のエントリページ (子ども向け、学生向け、技術者初心者向け、実践者向け) の作成)に努力していたためです。これらは、CrePS 方法論の普及の土台を強化する仕事です。
本稿に書いてきましたように、「創造的な問題解決・課題達成のための一般的な方法論」を確立しようという大きなビジョンは、期間はかかりますが、着実に確実に達成できる、と私は確信するに至りました。
多くの研究者、実践者の皆さんのご賛同とご助力をお願いします。このビジョンを実現し、創造的な問題解決が社会の至る所で実践されるようにしたいと、願っております。
参考文献
[1] 例えば、『新編 創造力事典』、高橋誠編著、日科技連出版社 (2002年) 。
[2] 例えば、『TRIZ 実践と効用 (1A) 体系的技術革新(改訂版)』、Darrell Mann著、中川 徹監訳、クレプス研究所刊 (2014年)。
[3] 例えば、「連載: USIT入門: 創造的な問題解決のやさしい方法 (全5回)」、中川徹、『機械設計』誌、2007年 8月号〜12月号;『TRIZホームページ』再掲載 (2007年) 。
[4] 「問題/課題を捉えるための複数モデルによる考察法:創造的な問題解決/課題達成の方法の確立と普及のために」、中川 徹、第8回 日本TRIZシンポジウム (2012年); 『TRIZホームページ』再録 (2012年11月) 。
[5] 「創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論 (CrePS) −そのビジョン―」、中川 徹、日本創造学会第35回研究大会 (2013年); 『TRIZホームページ』再録 (2013年10月) 。
[6] 「創造的問題解決の新しいパラダイム−類比思考に頼らないUSITの6箱方式−」、中川徹、日本創造学会第27回研究大会 (2005年); 『TRIZホームページ』再録 (2005年11月) 。
[7] 「連載: 技術革新のための創造的問題解決技法!! TRIZ (第5回) TRIZ/USIT のやさしい適用事例 (1) 裁縫で短くなった糸を止める方法」、中川 徹、 InterLab 誌、2006年5月号; 『TRIZホームページ』再録 (2006年5月) 。
[8] 「創造的な問題解決/課題達成の一般的な方法論の確立のために」、中川 徹、韓国 Global TRIZ Conference 2013、2013年7月; 『TRIZホームページ』和訳掲載(2013年8月) 。
[9] 「物理的矛盾を解決した TRIZ の実地適用事例: フレキシブル・チューブを使った超節水型トイレ・システム」、HongSuk Lee、Kyeong-Won Lee、“TRIZ Journal”, 2003年11月; 『TRIZホームページ』和訳掲載 (2004年1月) 。
[10] 「創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論 (CrePS): 体系的な資料 (技術分野用)」、 中川 徹 編著、『TRIZホームページ』掲載 (開始2013年10月) 。
[11] 『TRIZ 実践と効用 (3) 階層化TRIZアルゴリズム - 初心者から上級者までの図で学ぶ教材−』、Larry Ball 著、高原利生・中川徹訳、クレプス研究所、2014年刊 。
[12] 「TRIZ関連出版案内: 『TRIZ 実践と効用』シリーズ、他」、中川徹、『TRIZホームページ』 (2014年) 。
注: 『TRIZホームページ』: URL: http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/
発表スライド
(和文) 日本TRIZ協会 第10回日本TRIZシンポジウム2014 PDF
日本創造学会 第36回研究大会 PDF
ETRIA 第14回 TRIZ Future Conference 2014 (和訳) PDF (本HTMLページにも掲載 (下記))
英文論文 ETRIA主催 TRIZ Future Conference 2014,Proceedings (2014年10月) PDF (ETRIA公表待ち);
英文ページ
英文スライド 日本TRIZ協会 第10回日本TRIZシンポジウム2014 PDF
ETRIA主催 TRIZ Future Conference 2014 PDF ; 英文ページにHTMLでも掲載
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最終更新日 : 2014.11. 7 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp