資料紹介5 戦後日本の証券界を支えた人

「阿武隈川の流れ清し」阿部康二著の写真

「阿武隈川の流れ清し」阿部康二著 平成4年

 昭和26年8月 山一証券株式会社取締役調査部長兼外国部長であった阿部康二氏はニュ-ヨ-クでの取引契約締結を行うため渡米しました。その折、米国証券業務の調査にも奔走し、多くの証券資料を入手するとA.D.R(預託証券)研究に没頭し、10年後に「ADRの仕組みとその実績」に調査成果をまとめました。その後、ソニ-が日本のADR第一号として発売されたことは日本の証券界にとって大きなニュ-スとなりました。
 阿部氏は、明治36年、阿武隈川のある福島県に生まれ、慶應義塾大学卒業後、新聞記者生活を経て山一証券へ入社。戦後には金融制度調査会特別委員として当時の一万田日銀総裁からの信望も厚く、証券の民主化に貢献した人物です。昭和41年長期国債発行時には、証券団体協議会常任委員長を務めるなど、山一在任を含めて50年にものぼる証券人生がこの随筆にまとめられています。