TRIZ/USIT教材
USITの解決策生成技法  (拡張版)
 −TRIZの解決策生成諸技法を整理して
       USITの5解法に単純化した
 中川  徹 (大阪学院大学), 
 古謝秀明・三原祐治 (富士写真フィルム),
  2002年 9月 9日
  ETRIA主催国際会議の投稿論文の付録部分の拡張版。 TRIZ Future 2002, ストラスブール (フランス) , 2002年11月 6-8日。
   [掲載: 2002年 9月18日]   [英文ページ作成掲載: 2003. 4. 3]
追記: 中川 徹  2012年12月19日

 
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編集ノート (中川 徹, 2002年 9月18日)

本稿は, ETRIA主催の国際会議 "TRIZ Future 2002" に投稿した論文の付録部分をさらに拡張して示したものである。論文本体およびその付録は, 下記のページを参照されたい。
中川 徹, 古謝秀明, 三原祐治:  「TRIZの解決策生成諸技法を整理してUSITの5解法に単純化する」, ETRIA TRIZ Future 2002 論文の和訳, 『TRIZホームページ』, 2002年 9月18日掲載。 (注: 原論文: "Reorganizing TRIZ SOlution Generation Methods into Simple Five in USIT", by Toru Nakagawa, Hideaki Kosha, and Yuji Mihara)
中川 徹, 古謝秀明, 三原祐治:  「USITの解決策生成技法 −TRIZの解決策生成諸技法を整理してUSITの5解法に単純化した」, 上記論文の付録, 『TRIZホームページ』, 2002年 9月18日掲載。
 上記論文の「要約」を以下に引用する。
「問題解決の解決策生成技法として, TRIZは多種の技法や原理を提供している。40の発明原理, 76の発明標準解, 技術システムの進化のトレンド, 分離原理などである。これはTRIZの内容の豊かさを示すものであるが, それはまた, 理解を困難にし混乱させる欠点にもなっている。本研究は, TRIZのこれら全ての解法を, USIT (統合的構造化発明思考法) の枠組みで再整理した。USITの解決策生成法は5種だけである。オブジェクト複数化法, 属性次元法, 機能配置法, 解決策組み合わせ法, および解決策一般化法である。TRIZの非常に多様な解法をUSITのこれら5種の解法に極めてスムーズに写像できた。USITの解決策生成法はTRIZ起源の諸方法によって大いに強化され, 明確なガイドラインをもっている。このようにして, 本研究はTRIZを再整理し, より簡単で有効な問題解決プロセスにしたのである。それがUSITである。」
本稿は, この研究の成果として作り上げた「TRIZの全解法を再構築した体系」であり, 同時に「USITの解決策生成法の体系」である。上記の分類で使ったTRIZの諸解法の (サブ原理レベルでの) 記述を, そのままに残している。TRIZの諸解法 (およびSickafusのヒューリスティックス) について, 本稿で用いた出典は以下のようである。[注: 今回これらのTRIZ諸技法を一覧として参照できるようにした。下記の各項目をクリックされたい。]

Yuri Salamatov 著, 'TRIZ: The Right Solution at The Right Time', Insytec 刊, (1999); 中川  徹監訳, 三菱総研訳: "超"発明術TRIZシリーズ5: 思想編「創造的問題解決の極意」 ,  日経BP社刊, 2000年11月。[出版案内と資料, TRIZホームページ, 2000年11月]
Darrell Mann 著, 'Hands-On Systematic Innovation', CREAX刊, (2002)。
Ed Sickafus著, 'Unified Structured Inventive Thinking: How to Invent', Ntelleck 刊 (1997)。

[注 (2012. 9.20 中川):  TRIZのツール (40の発明原理、76の発明標準解、および技術システムの進化のトレンド) はすべて、ゲンリッヒ・アルトシュラー先生の開発によるものです。(出典: G.S. Altshuller: "Creativity as an Exact Science"、Gordon & Breach、1984 )。ここでは、日本におけるアクセスの容易さを考慮して、英書と和書の揃っている、Salamatov の教科書およびMannの教科書の形式のリストを使用ました。]

TRIZを学習している人たちに, ぜひ上記論文と本稿とを読んでいただきたいと思う。TRIZには膨大な蓄積があり, その解法も多様で複雑である。TRIZを学習してから, この論文と一覧を読むと, TRIZの多様な解法が相互に協調しあい, また補いあっていたことを理解できるであろう。複雑だったものを, 整理しなおしてみると, ずっと分かりやすくなるのである。

USITの学習から入られた人たちにも, 本稿を読んでいただきたい。その人たちには, USITの解法として言っていることのバックに, 多くのTRIZの原理や解法の知識があることを知ってもらいたい。TRIZの蓄積を学び, 知識ベースを学ぶことによって, USITを実践する際のアイデアの幅がずっと広がることを理解してほしいと思う。  [注:  USITの初学者の人たちには, 本稿(拡張版) でなく, 「簡略版」をまず学ばれるとよい。]

なお, 本稿は, いままでの記事とは異なり, 「TRIZ/USIT教材」 (あるいは「TRIZ/USIT知識ベース」) という扱いにして, 将来的にメンテナンスし, 拡充していくことを考えている。USITから, TRIZの諸技法へのリンクを張り, また, いろいろな事例へのリンクを張っていけるとよいと考えている。全体的なやり方についても, あるいは技法の細部の記述についても, 読者の皆さんからご意見を頂いて改良して行きたいと考えている。

編集ノート 追記: 中川 徹 (2012.12.19) 

TRIZ と USIT の 解決策生成法 の相互索引のページ一式は、著作権に関する私の配慮不足のために、2003年4月9日以来掲載を一時停止しておりましたが、このたび関係者の許可を得て再掲載することができました。関係者の皆さまに改めてお詫びとお礼を申し上げます。下記の6ページから構成しております。

TRIZ と USIT の 解決策生成法 の相互索引 (親ページ)
(1) TRIZの『40の発明の原理』 (Salamatovの教科書による)
(2a) TRIZの『76の発明標準解』 (Salammatovの教科書による)
(2b) TRIZの『発明標準解』 (Mannの教科書による)
(3) TRIZの『技術システムの進化のトレンド』 (MannのTRIZ教科書による)
(4) Sickafus のヒューリスティックス

本ページでは USIT オペレータから上記のTRIZ諸技法への参照を記載しており、TRIZの各技法の全体の概要をこれらのページで理解いただくことができます。また、再掲載しました上記のTRIZ各種技法のページでは、それぞれの技法からUSITオペレータへの参照 (および他のTRIZ技法への参照) を記述しております。これにより、 USIT --> TRIZ 技法 および TRIZ技法 --> USIT の相互参照を可能にしておりますので、こ活用いただけますと幸いです。

 

本ページの先頭 目次 1. オブジェクト複数化 2. 属性次元法 3. 機能配置法 4. 解決策組み合わせ 5. 解決策一般化 注: 図記号
1a. ゼロに 1b. 多数に 1c. 分割 1d. 複数を一つに 1e. 新規/変容 1f. 環境から 1g. 固相を液相に
2a. 有害属性 2b. 有用属性 2c.強調/抑制 2d. 空間的属性と空間変化 2e. 時間的属性と時間変化 2f. 相と内部構造 2g. ミクロレベル 2h. システム性質
3a. 機能移動 3b. 機能分割 3c.機能統合 3d. 新機能導入 3e. 機能空間配置と空間的機能 3f. 機能時間配置 3g. 検出・測定 3h. 調整制御
3i.  別の物理原理
4a. 機能的組み合わせ 4b. 空間的組み合わせ 4c. 時間的組み合わせ 4d. 構造的組み合わせ 4e. 原理レベル組み合わせ 4f. スーパーシステム移行 5a. 解決策一般化/具体化 5b.解決策の階層的体系
 
ETRIA論文(TRIZを再整理してUSITに)  USIT解決策生成法一覧 (b) 簡略版 同 (c) 本版 (論文付録) 論文 論文付録 英文ページ

 

TRIZ と USIT の解決策生成技法の相互索引 (親ページ) TRIZ 40の発明原理 (Salamatov) TRIZ 発明標準解 (Salamatov) TRIZ発明標準解 (Mann) TRIZ進化のトレンド (Mann) Sickafus 21のヒューリスティクス

 



USITの解決策生成技法
 − TRIZの発明原理・進化トレンド・発明標準解を使いやすく整理した

表1.  USITの解決策生成技法の一覧 (目次)
(1)  オブジェクト複数化法

    (1a)    そのオブジェクトを消去する (ゼロにする)   (単純化, 「トリミング」)
    (1b)    そのオブジェクトを, 多数 (2, 3, ... , ∞個) にする
    (1c)    そのオブジェクトを, 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) する
    (1d)    複数のオブジェクトをまとめて一つにする
    (1e)*  新しい/変容させたオブジェクトを導入する
    (1f)    環境中のオブジェクトを導入する
    (1g)*   固体のオブジェクトを, 粉体, 流体, 液体, 気体などのオブジェクトで置き換える

(2)   属性次元法

    (2a)    有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする
    (2b)*  新しい有用な属性を, 使う (関与する) ようにする
    (2c)    有用な属性を強調し, 有害な属性を抑制する
    (2d)   空間に関する属性を導入・拡張し, また,  (有害/有用な) 属性およびその値を, 空間的に配置/変化させる。
    (2e)   時間に関する属性を導入・拡張し, また,  (有害/有用な) 属性およびその値を, 時間的に配置/変化させる
    (2f)*   オブジェクトの相を変える, 相変化を利用する, 内部構造を変える
    (2g)*  ミクロのレベルの属性・性質を使う
    (2h)*  システム全体としての性質・機能を向上させる

(3) 機能配置法

    (3a)    ある機能を, 別のオブジェクトに担わせる
    (3b)   複合した機能 (複数の機能) を分割して, 別のオブジェクトに担わせる
    (3c)   二つの機能を統合して, 一つのオブジェクトに担わせる
    (3d)* 新しい機能を導入し, オブジェクトに担わせる
    (3e)   機能を空間的に配置する/変化させる, また, 空間での配置/移動/振動の機能を利用する
    (3f)   機能を時間的に配置する/変化させる
    (3g)   検出・測定の機能を実現する
    (3h)* 適応・調整・制御の機能を導入/拡張する
    (3i)*   同種の機能を別の物理原理 (形態) で達成する

(4)   解決策組み合わせ法

    (4a) 機能的に組み合わせる
    (4b)   空間的に組み合わせる
    (4c)   時間的に組み合わせる
    (4d)   構造的に組み合わせる
    (4e)   原理レベルで組み合わせる
    (4f)*   スーパーシステムに移行する

(5) 解決策一般化法

    (5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる
    (5b)   解決策の階層的な体系を作る

注:  *印:  本研究で大幅に強化 あるいは新規に導入したもの
 
 

USITの解決策生成技法    (掲示用)
1)  オブジェクト複数化法
  a. 消去する
  b. 多数 (2, 3, ... , ∞個) に 
  c. 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) 
  d. 複数をまとめて一つに 
  e. 新規導入/変容 
  f. 環境から導入
  g.  固体から, 粉体, 液体, 気体 へ

2) 属性次元法
  a.   有害属性を使わない 
  b.  有用な属性を使う 
  c.  有用を強調, 有害を抑制 
  d.  空間属性を導入, 
           属性(値)を空間変化
  e.  時間属性を導入, 
           属性(値)を時間変化 
  f.  相を変える, 内部構造を変える
  g.  ミクロレベルの属性
  h.  システム全体の性質・機能

3) 機能配置法
  a.  機能を別オブジェクトに
  b.  複合機能を分割、分担
  c.  二つの機能を統合
  d.  新機能を導入
  e.  機能を空間的変化, 移動/振動
  f.  機能を時間的に変化
  g.  検出・測定の機能
  h.  適応・調整・制御の機能 
  i.  別の物理原理で

4)  解決策組み合わせ法
  a.  機能的に 組み合わせる 
  b.  空間的に 
  c.  時間的に
  d.  構造的に
  e.  原理レベルで 
  f.   スーパーシステムに移行

5) 解決策一般化法
  a.  用語の一般化と具体化
  b.  解決策の階層的な体系


(1)  オブジェクト複数化法

   各オブジェクトを「複数化」する。英語の「複数」は, 1以外のすべての数 (0, 2, 3, ..., ∞, 1/2, 1/3, ..., 1/∞,  など) を意味する。新しい/変容させたオブジェクトを導入することも含む。

(1a) そのオブジェクトを消去する (ゼロにする)   (単純化, 「トリミング」)
  

現システム中の副次的なオブジェクトを消去し, 単純化したシステムで, 機能分担を考え直す。

(1b) そのオブジェクトを, 多数 (2, 3, ... , ∞個) にする 
現在のオブジェクトを複数に増やし, それらのオブジェクトの性質を (少しずつ, 異なるように) 変容させて一緒に使う。

(1c) そのオブジェクトを, 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) する 
現在のオブジェクトを複数の部分に分割し, 分割した部分部分に (少しずつ, 互いに異なる) 変更を加えて, 再統合して一緒に用いる。

(1d) 複数のオブジェクトをまとめて一つにする。 
現在のシステム中で関連する複数のオブジェクトをまとめて, 構造的・機能的に統合し直した一つのオブジェクトにする。

(1e) 新しい/変容させたオブジェクトを導入する。 
既存のオブジェクトの性質や構造を変容させ, あるいは, 新しいタイプの (新しい性質・機能をもつ) オブジェクトを導入して, 望ましい効果・機能を実現する。

(1f) 環境中のオブジェクトを導入する。 
環境とは, 問題にしているシステムのすぐ周りにあり, 安価に入手しやすいものをいう。

(前項  (1e) でオブジェクトの変容/新規導入に用いるリソースとして, 見落とされやすく重要なので, 注意すべきものである。)



(1g) 固体のオブジェクトを, 粉体, 流体, 液体, 気体などのオブジェクトで置き換える。 

システム中のオブジェクトとして, 固体/固相のものを用いている場合に, それを粉体にし, さらに流体・液体・気体などのさまざまな形態のもので置き換えると, 流動性・柔軟性・操作性・反応性などいろいろの面で特徴のある性質と機能を得ることができる
これに対応して, 異なる適切な物質 (材料) を必要とすることも多く, 動作原理も異なることが多い。
前項 (1c) のオブジェクトの分割をさらに進めたものであるが, 大きな変化を必要とすることが多いで特記する。




(2)   属性次元法:

   各オブジェクト (や物質) はさまざまの種類の性質 (すなわち「属性」) を持っているので, その性質を新しく使う/使わなくする/強化・活用することを考える。特に, これらの性質の空間的配置 (内部構造を含む) や時間的変動を効果的に使う。システム全体としての性質の向上も大きな目標である。


(2a) 有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする。
  
システム中の有害な属性を判別し, 使わないようにする, 関係しないうにする, もはや有害でなくなるようにする, 有害なものから有益な効果を得る。

(2b) 新しい有用な属性を, 使う (関与する) ようにする。 
システムの既存のオブジェクトにおいて, いままで有効に使われていなかった有用な属性 (性質) を利用する (あるいは, 既存オブジェクトを変容させて有用な属性を導入する)。
さらに, 必要なら, このような有用な属性を持つオブジェクト (あるいは材料) で置き換え, それに対応した作用 (「場」) を導入する。

属性の種類は極めて多様であるが, 以下のようなものを考える:
      光学的性質, 熱的性質, 質量関連, サイズ・形状, 表面・構造・内部構造, 力学的性質, 電気的性質, 磁気的/電磁気的性質, 化学的性質, 物理変化, 機能的な性質, 操作的な性質, など


(2c)  有用な属性を強調し, 有害な属性を抑制する。 
有用な (しかしまだ不十分な) 属性を強調し, 有害な属性を抑制する。
使う属性の種類については, 前項 (2b) のものと同様である。

(2d) 空間に関する属性を導入・拡張し, また,  (有害/有用な) 属性およびその値を, 空間的に配置/変化させる。 
空間に関する属性でいままで使われていなかったものを導入し (あるいは使われていたものを拡張し), また,  空間での位置 (あるいはオブジェクトの部分) に応じて, 異なる属性を使ったり, 同じ属性の異なる値を使ったりする。

(2e) 時間に関する属性を導入・拡張し, また,  (有害/有用な) 属性およびその値を, 時間的に配置/変化させる。
  
システムの動作段階, 処理時間, 時間周期などの時間に関する諸属性を導入・拡張し, また, それらに応じて, ある時と別の時とで, 異なる属性を活性化したり, 属性の値を変化させたりする。

(2f) オブジェクトの相を変える, 相変化を利用する, 内部構造を変える。 
オブジェクトの相 (凝集状態) を変え, 相変化を利用し, また微細レベルでの内部構造を作りその諸属性を利用する。

(2g) ミクロのレベルの属性・性質を使う。 
マイクロメートルスケール, ナノメートルスケール (さらに微細スケール) での構造・性質・相互作用を考慮して, 原理レベルから考えて問題を解決する。

(2h) システム全体としての性質・機能を向上させる。 
( システムの構成要素としてのオブジェクト単位での属性や機能とは別に,)  システム全体としての性質 (属性) と機能を考え, それらを向上させるようにシステム全体および部分を設計し, 改良・実現していく。





 (3) 機能配置法

    システムの主有用機能を達成するために, それを支える有用な諸機能 (および副次的に現れる有害な諸機能) を, 既存および変容させた/新規導入の諸オブジェクト間で適切に配置/再配置することを考える。諸機能の移動, 分割, 統合, 導入を伴う。諸機能を空間的に, また時間的に, 適切に配置/変化させることが必要であり, 適応・制御などの高次の機能がシステムをうまく働かせる鍵である。

(3a)  ある機能を, 別のオブジェクトに担わせる。 

既存の機能を, より適切な別のオブジェクト (既存または新規導入のもの) に移す。

(3b) 複合した機能 (複数の機能) を分割して, 別のオブジェクトに担わせる。 
既存の複合した機能を分割して, 別の (既存/新規導入の) オブジェクト (またはその部分) に移す。

(3c) 二つの機能を統合して, 一つのオブジェクトに担わせる。 
複数のオブジェクトの複数の機能を統合して, それらの機能を一つのオブジェクトに担わせる。

(3d) 新しい機能を導入し, オブジェクトに担わせる 
システムの目標を達成したり, 問題を解決したりするために, 新しい機能を導入し, 既存または新規導入のオブジェクトに担わせる。

(3e) 機能を空間的に配置する/変化させる, また, 空間での配置/移動/振動の機能を利用する。 
機能 (群) を空間的に秩序をもって配置し, その空間的自由度を増す。また, オブジェクト (あるいはオブジェクトの属性) を空間的に配置する/移動する/振動させる機能を利用/強化する。

(3f) 機能を時間的に配置する/変化させる。 
機能を働かせる時間 (タイミング) を適切に設定する。一つの機能についてそれが働く時間帯 (トリガーとなるもの, 動作条件), (比較的長時間での) 時間的変化, および短時間での変化 (パルス的, 周期的, 周波数) を適切に設定し, さらに, 複数の機能についての前後関係や相互のタイミングなども適切に設定する。

(3g) 検出・測定の機能を実現する 
検出・測定に際しては, できるだけ簡易・迅速にする (できれば, 検出・測定不要にする), また, 敏感で正確な属性を用いる。 [注: 次項 (3h) 参照]

(3h)  適応・調整・制御の機能を導入/拡張する 
 システムに適応・調整・制御などの機能を導入・拡張し, システムを高度化・知能化する。

(3i)  同種の機能を別の物理原理 (形態) で達成する 
ある機能 (特に力学的な原理で実現した機能) に対して, より効率的で制御しやすい原理を用いて同種の機能を実現する。





 (4)   解決策組み合わせ法

   複数の解決策を, 機能的に, 空間的に, 時間的に, 構造的に, また, 原理レベルで, などのさまざまな観点から組合わせることにより, 長所を生かし, 短所を補い, また矛盾を克服した, 新しい解決策を作るこどができる。さらに, スーパーシステムに移行して, 解決する。


(4a)  機能的に組み合わせる。 

複数の解決策を, それらの機能を関連づけることによって組み合わせる。特に, 因果関係でつながっている複数機能を組み合わせ, また, 相補的・対照的な複数機能を組み合わせる。

(4b) 空間的に組み合わせる。 
複数の解決策を, それを適用する空間に関して組み合わせる。(干渉のない) 別の場所で, 分散した状態で, 横に並べて, 前後に繋いで, 上下にして, 同じ場所で交互に, 入れ子にして, 内部構造として,  など。

(4c) 時間的に組み合わせる。 
複数の解決策を, それを適用する時間に関して組み合わせる。順次に, 事前に, 同時に並行して, 事後に, 逆順に, 交互に, パルス的に, 周期的に, 間歇的に, 条件に応じて割り込み/切り換えて,  など。

(4d) 構造的に組み合わせる。 
複数の解決策を, 異なる条件下で実施したり, 異なるレベルで実施したりするなど, 解決策を (階層) 構造的な観点から組み合わせる。

(4e) 原理レベルで組み合わせる。 
異なる基本原理に基づく複数の解決策を, 過渡期の対策として, ハイブリッドにして, 妥協させて, バックアップとして, バックグランドで実施するなどのやり方で組み合わせる。

(4f) スーパーシステムに移行する。 
現在問題としているシステムの果たすべき上位の主要機能/目的を考え, その目的のために存在している周辺のシステムと共同し・統合して, 上位のシステム (スーパーシステム) を構成・改良することにより問題を解決する。




(5) 解決策一般化法

   各具体案を一般化して表現し, 解決策の雛形にして, 解決策のアイデアを連想的に発展させる。また, 解決策の階層的な体系を作る。

(5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる。 

解決策の中の技術的用語を一般的・総称的な用語におきかえて, 解決策の平易な雛形を作り, 新しい解決策を連想的に考え出すようにする。

(5b) 解決策の階層的な体系を作る。 
多数の解決策をその概念の一般化/具体化の観点から階層的に分類・体系化し, 解決策の全貌を示す図を作り, 解決策検討の網羅性を向上させる。

 
以上

注:   模式図に使っている記号について

左端の模式図:   基本的なシステムを示す。
                           楕円で示すオブジェクトが, 長方形で示すオブジェクトから, 矢印で示す機能を受けている。
                            [TRIZの用語では, 対象物質(S1)が, ツール物質 (S2) から, 「場」 (作用) (F) をうけている。]

オブジェクト:   楕円:   オブジェクト  (特に, 対象オブジェクト (機能の作用を受けるオブジェクト))
                    長方形:   オブジェクト  (特に, ツールオブジェクト (機能の作用を施すオブジェクト))

属性:  属性とは, オブジェクトの性質の種類 (すなわち, 性質のカテゴリ (値ではない)) を意味する。
             各オブジェクトについて, さまざまの色やパターンで (関係する) 属性を示す。
             上図の中央部のパターンはつぎのような属性を意図している。
                   固体, 粉末, 液体, 気体, 有害な属性, 空間的に変化している属性, ミクロレベルの属性。

機能:   さまざまの形式の矢印で示す。
               実線の矢印:  有益な機能
               破線の矢印:  (有益だが) 不十分な機能
               太った矢印:   過剰な (だから, むしろ有害な) 機能
               クロス模様の矢印:   有害な機能
               他の3本の異なるパターンの矢印:  異なる機能であることを示す。

解決策:    角を丸めた長方形で示す。
 
 



 
本ページの先頭 目次 1. オブジェクト複数化 2. 属性次元法 3. 機能配置法 4. 解決策組み合わせ 5. 解決策一般化 注: 図記号
1a. ゼロに 1b. 多数に 1c. 分割 1d. 複数を一つに 1e. 新規/変容 1f. 環境から 1g. 固相を液相に
2a. 有害属性 2b. 有用属性 2c.強調/抑制 2d. 空間的属性と空間変化 2e. 時間的属性と時間変化 2f. 相と内部構造 2g. ミクロレベル 2h. システム性質
3a. 機能移動 3b. 機能分割 3c.機能統合 3d. 新機能導入 3e. 機能空間配置と空間的機能 3f. 機能時間配置 3g. 検出・測定 3h. 調整制御
3i.  別の物理原理
4a. 機能的組み合わせ 4b. 空間的組み合わせ 4c. 時間的組み合わせ 4d. 構造的組み合わせ 4e. 原理レベル組み合わせ 4f. スーパーシステム移行 5a. 解決策一般化/具体化 5b.解決策の階層的体系
 
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最終更新日 : 2003. 4. 3    [追記: 2012.12.22]   連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp