TRIZ/USIT論文 (付録), 教材 |
 
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USITの解決策生成技法
−TRIZの解決策生成諸技法を整理して
USITの5解法に単純化した |
中川 徹 (大阪学院大学),
古謝秀明・三原祐治 (富士写真フィルム),
2002年 9月 4日 |
ETRIA主催国際会議の投稿論文の付録部分。 TRIZ Future 2002, ストラスブール (フランス) , 2002年11月 6-8日。訳 2002年 9月 4日。
[掲載: 2002年 9月18日] [英文掲載: 2002.11.19] |
追記: 中川 徹 2012年12月19日 |
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編集ノート (中川 徹, 2002年 9月 18日)
本稿は, 表記のようにETRIA主催国際会議に投稿した論文の付録部分である。本稿の成立とその意義を記している論文本文は, 和訳して別ページに掲載しているので, 参照されたい。
「TRIZの解決策生成諸技法を整理してUSITの5解法に単純化する」: 中川 徹, 古謝秀明, 三原祐治
本稿は, TRIZの膨大な解決策生成技法 (特に, 発明原理, 発明標準解, 進化のトレンド) をすべてばらして, USITの観点から再整理して, 統合したものである。この再構築作業により, TRIZの全体系を, 明確で分かりやすいUSITの 5種の解決策生成法にまとめることができた。
本稿で枠組みとして用いたUSITの解決策生成技法は, 下記のものを参照されたい。
中川 徹: 「やさしいUSIT法を使ってTRIZのエッセンスを教え・適用した経験」 , TRIZCON2002論文の和訳, 『TRIZホームページ』, 2002年 1月掲載。
本稿の各項の詳細記述の末尾の [ ] 内に, TRIZの諸解法の寄与を示す。記号とその内容の出典は以下のものである。(詳細は論文を参照されたい。) [注 (2012. 9.20 中川): TRIZのツール (40の発明原理、76の発明標準解、および技術システムの進化のトレンド) はすべて、ゲンリッヒ・アルトシュラー先生の開発によるものです。(出典: G.S. Altshuller: "Creativity as an Exact Science"、Gordon & Breach、1984 )。ここでは、日本におけるアクセスの容易さを考慮して、英書と和書の揃っている、Salamatov の教科書およびMannの教科書の形式のリストを使用ました。]
[P] TRIZの (40の) 発明原理 [出典: Salamatov のTRIZ教科書 (訳, 2000)]
[S] TRIZの (76の) 発明標準解 [出典: Salamatov のTRIZ教科書 (訳, 2000)]
[T] TRIZの (31の) 技術システムの進化のトレンド [出典: MannのTRIZ教科書 (新著) (2002)]
[H] Sickafus の (21の) Heuristics [出典: SickafusのUSIT教科書 (1997)]
本稿中に掲載した図式に関しては, 論文中の説明 (3.3節) および本稿末尾を参照されたい。
なお, 「USITの解決策生成技法の一覧」については, つぎの 4種の詳しさのものを掲載した。目的に応じて使い分けていただきたい。
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(a) 目次 -- サブ解法までのタイトルの一覧 -- 習得済みの人が, 実践時に備忘メモとして使う (壁に張り出すスライドもこの目次の下に掲載している)
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(b) 簡略版 -- サブ解法までの説明と図入り -- USIT初心者の教育用
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(c) 本版 (本稿) -- サブ解法の詳細項目までの説明 (論文付録) -- USITの本格学習用
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(d) 拡張版 -- 関連するTRIZの諸解法のサブ解法を展開記述した -- TRIZ既習者がTRIZを学び直し, USITを学ぶための資料
さらに, 本ホームページへの掲載にあたり, TRIZ/USITの各種技法を学びやすくすることを目的として, TRIZの各種技法の資料/教材的なページを設けた。つぎの目次ページからアクセスされたい: TRIZの各種技法
[追記] 英文版を掲載 (2002.11.19): (a) 目次
, (b) 簡略版
, (c) 本版
英文の拡張版掲載
(2003. 4. 3); 英文でTRIZの各種ツールのインデックスを作成 (2003. 4. 3)。
編集ノート 追記: 中川 徹 (2012.12.19)
TRIZ と USIT の 解決策生成法 の相互索引のページ一式は、著作権に関する私の配慮不足のために、2003年4月9日以来掲載を一時停止しておりましたが、このたび関係者の許可を得て再掲載することができました。関係者の皆さまに改めてお詫びとお礼を申し上げます。下記の6ページから構成しております。
TRIZ と USIT の 解決策生成法 の相互索引 (親ページ)

(1) TRIZの『40の発明の原理』 (Salamatovの教科書による)

(2a) TRIZの『76の発明標準解』 (Salammatovの教科書による)

(2b) TRIZの『発明標準解』 (Mannの教科書による)

(3) TRIZの『技術システムの進化のトレンド』 (MannのTRIZ教科書による)

(4) Sickafus のヒューリスティックス

本ページでは USIT オペレータから上記のTRIZ諸技法への参照を記載しており、TRIZの各技法の全体の概要をこれらのページで理解いただくことができます。また、再掲載しました上記のTRIZ各種技法のページでは、それぞれの技法からUSITオペレータへの参照 (および他のTRIZ技法への参照) を記述しております。これにより、 USIT --> TRIZ 技法 および TRIZ技法 --> USIT の相互参照を可能にしておりますので、こ活用いただけますと幸いです。
USITの解決策生成技法
− TRIZの発明原理・進化トレンド・発明標準解を使いやすく整理した
表1. USITの解決策生成技法の一覧 (目次)
(1) オブジェクト複数化法
(1a) そのオブジェクトを消去する (ゼロにする) (単純化, 「トリミング」)
(1b) そのオブジェクトを, 多数 (2, 3, ... , ∞個) にする
(1c) そのオブジェクトを, 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) する
(1d) 複数のオブジェクトをまとめて一つにする
(1e)* 新しい/変容させたオブジェクトを導入する
(1f) 環境中のオブジェクトを導入する
(1g)* 固体のオブジェクトを, 粉体, 流体, 液体, 気体などのオブジェクトで置き換える |
(2) 属性次元法
(2a) 有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする
(2b)* 新しい有用な属性を, 使う (関与する) ようにする
(2c) 有用な属性を強調し, 有害な属性を抑制する
(2d) 空間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 空間的に配置/変化させる。
(2e) 時間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 時間的に配置/変化させる
(2f)* オブジェクトの相を変える, 相変化を利用する, 内部構造を変える
(2g)* ミクロのレベルの属性・性質を使う
(2h)* システム全体としての性質・機能を向上させる |
(3) 機能配置法
(3a) ある機能を, 別のオブジェクトに担わせる
(3b) 複合した機能 (複数の機能) を分割して, 別のオブジェクトに担わせる
(3c) 二つの機能を統合して, 一つのオブジェクトに担わせる
(3d)* 新しい機能を導入し, オブジェクトに担わせる
(3e) 機能を空間的に配置する/変化させる, また, 空間での配置/移動/振動の機能を利用する
(3f) 機能を時間的に配置する/変化させる
(3g) 検出・測定の機能を実現する
(3h)* 適応・調整・制御の機能を導入/拡張する
(3i)* 同種の機能を別の物理原理 (形態) で達成する |
(4) 解決策組み合わせ法
(4a) 機能的に組み合わせる
(4b) 空間的に組み合わせる
(4c) 時間的に組み合わせる
(4d) 構造的に組み合わせる
(4e) 原理レベルで組み合わせる
(4f)* スーパーシステムに移行する |
(5) 解決策一般化法
(5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる
(5b) 解決策の階層的な体系を作る |
注: *印: 本研究で大幅に強化 あるいは新規に導入したもの
USITの解決策生成技法 (掲示用)
1) オブジェクト複数化法
a. 消去する
b. 多数 (2, 3, ... , ∞個) に
c. 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ)
d. 複数をまとめて一つに
e. 新規導入/変容
f. 環境から導入
g. 固体から, 粉体, 液体, 気体 へ
2) 属性次元法
a. 有害属性を使わない
b. 有用な属性を使う
c. 有用を強調, 有害を抑制
d. 空間属性を導入,
属性(値)を空間変化
e. 時間属性を導入,
属性(値)を時間変化
f. 相を変える, 内部構造を変える
g. ミクロレベルの属性
h. システム全体の性質・機能 |
3) 機能配置法
a. 機能を別オブジェクトに
b. 複合機能を分割、分担
c. 二つの機能を統合
d. 新機能を導入
e. 機能を空間的変化, 移動/振動
f. 機能を時間的に変化
g. 検出・測定の機能
h. 適応・調整・制御の機能
i. 別の物理原理で
4) 解決策組み合わせ法
a. 機能的に 組み合わせる
b. 空間的に
c. 時間的に
d. 構造的に
e. 原理レベルで
f. スーパーシステムに移行
5) 解決策一般化法
a. 用語の一般化と具体化
b. 解決策の階層的な体系 |
(1) オブジェクト複数化法
各オブジェクトを「複数化」する。英語の「複数」は, 1以外のすべての数 (0, 2, 3, ..., ∞, 1/2, 1/3, ..., 1/∞, など) を意味する。新しい/変容させたオブジェクトを導入することも含む。

(1a) そのオブジェクトを消去する (ゼロにする) (単純化, 「トリミング」)
現システム中の副次的なオブジェクトを消去し, 単純化したシステムで, 機能分担を考え直す。
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複雑な構成をもつシステムにおいて, 副次的な役割をもつオブジェクト (またはサブシステム) を消去 (トリミング) する。必要な機能は, 既存のオブジェクト (あるいは, より単純な新しいオブジェクト) に担わせるか, スーパーシステムに委ねる。
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オブジェクトまたはその一部が, 機能を果たしたのちに (あるいはそれが生成したときに) 不要・不良・邪魔・有害などになった場合には, それを分解・溶解・蒸発・移送などにより除去する。
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[P34a. 部分の排除と再生]
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[S5-1.1.9 制約条件下における物質の導入]
(1b) そのオブジェクトを, 多数 (2, 3, ... , ∞個) にする。
現在のオブジェクトを複数に増やし, それらのオブジェクトの性質を (少しずつ, 異なるように) 変容させて一緒に使う。
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現在のオブジェクトを二つ,三つ, ... と複製し,(現在のものも含めて) それらの性質を互いにわずかに (あるいは大きく) 変容させ, それらをシステムの中に組み込んで共に用いる。
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[P7b. 入れ子構造, P17c. もう一つの次元]
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[T16. モノ-バイ-ポリ (類似物) , T17. モノ-バイ-ポリ (多様物)]
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オブジェクトを複数化して同時に用い, それらの性質を (大きく) 変容させて組み合わせることにより, 複合オブジェクトとする。これにより, 新しい性質, 新しい機能を実現する。
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現在のオブジェクトに加えて, それとは異なる特性を持つオブジェクト, さらには, 逆の特性を持つオブジェクトを導入し, より複雑・高度な性質と機能をもつシステムとする。
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類似のオブジェクトを複数用いる場合に, その数を極めて多数 (無限大) にする。
(1c) そのオブジェクトを, 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) する。
現在のオブジェクトを複数の部分に分割し, 分割した部分部分に (少しずつ, 互いに異なる) 変更を加えて, 再統合して一緒に用いる。
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オブジェクトを複数の部分に分割して用いる。分割の指針は
- 相互に独立した部分にし, 各部分が独自の機能を果たせるようにする ,
- 容易に分離し, また組み立てることができるようにする,
- 破損・磨耗・損傷などの場合に特定部分だけを取り替えられるようにする,
- 相対的に運動できるようにする,
- オブジェクト (またはシステム) に柔軟性をもたらす, など。
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[P1ab. 分割, P15b. ダイナミック性]
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オブジェクトの一部分に望ましくない性質がある場合, あるいは, 一つのオブジェクトの持つ複数の部分間または機能間で相互に望ましくない関係を生じる場合には, そのオブジェクトを複数の部分に分離し, 干渉をなくして, それぞれに望ましい性質または機能をもたせる。
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オブジェクトを細分化して, それらを集合として用いる。その指針は,
- 細分化により, 個々の部分の移動・取り扱いが容易になる,
- 細分化により, 重量あたりの表面積が増大し, 相互作用が増える,
- 細分化により, 独立に動けて, 作用に柔軟性ができる, など。
(1g)も参照のこと。
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[P1c. 分割]
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[S2-2.2 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上), S5-1.2 制約条件下における物質の導入]
(1d) 複数のオブジェクトをまとめて一つにする。
現在のシステム中で関連する複数のオブジェクトをまとめて, 構造的・機能的に統合し直した一つのオブジェクトにする。
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同種のあるいは異種の複数のオブジェクトを, 空間的・時間的にまとめ, 機能的連結を強化し, 一つの複合オブジェクトとして用いる。
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異なる機能を果たす複数のオブジェクトを統合して (解消し), それら複数の機能を同時に果たす単一の (汎用) オブジェクトを作る。
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細分化された多数のオブジェクトを連結して, 一つの(柔軟な) 連続体オブジェクトとする。
(1e) 新しい/変容させたオブジェクトを導入する。
既存のオブジェクトの性質や構造を変容させ, あるいは, 新しいタイプの (新しい性質・機能をもつ) オブジェクトを導入して, 望ましい効果・機能を実現する。
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導入/変容するためのオブジェクトを入手する源に関しては, つぎのような優先順位で考える:
- 現在のシステム中での当該オブジェクト (導入しようとするところに現存のもの) (これを変容させる )
- 当該オブジェクト以外で, 現在のシステム中にあるオブジェクト
- システムの周り (環境および上位システム) にある入手容易なもの
- 現在のシステムの「場」 (作用) を有効に利用するような新しいオブジェクト
- まったく新しい属性や機能を持つオブジェクト
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[S 5-1.1.9 制約条件下における物質の導入, S 5-5.1,2,3 物質粒子の獲得]
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新しい/変容させたオブジェクトを導入する所 (導入先) に関しては, つぎの優先順位で考える:
- システムの主要機能 (または問題となる効果) が対象とするオブジェクトの内部 (またはオブジェクトそのもの),
- システムの主要機能 (または問題となる効果) が対象とするオブジェクトの表面 (外部付加の形で),
- システムの主要機能 (または問題となる効果) の作用をするツールオブジェクトの内部 (またはオブジェクトそのもの),
- システムの主要機能 (または問題となる効果) の作用をするツールオブジェクトの表面 (外部付加の形で),
- システムの主要機能 (または問題となる効果) の対象オブジェクトとツールオブジェクトとの間 (仲介/媒体/障壁/保護などの役割で),
- システム内の機能的に関係するその他のオブジェクトの内部・表面・間,
- システムが置かれている環境を形成するオブジェクトの内部・表面・間
- システムとその環境との間 (仲介/隔壁などの役割で)。
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[P24a. 仲介, P30b. 柔軟な殻と薄膜, P39ab. 不活性雰囲気利用]
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[S1-1.2,3,7,8.1,8.2 "物質-場"モデルの合成, S1-2.1,3 "物質-場"モデルの分解 (有害効果の除去)]
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変容させた/新規のオブジェクトという形で導入するとよい性質や機能に関しては, 要するに, 既存のシステムでは不十分な/欠如していたもので, そのシステムの本来の目的を実現する助けになるものを導入する。(それは非常に多岐に渡るが,) 具体的には, 特につぎのものが挙げられる:
- 既存のオブジェクトと (当面の機能については) 同じ機能を持つが, 安価で扱いやすいもの (代替品, コピー, イメージなど),
- 本来の機能を強化・補助し, 取り扱いや制御が容易なもの
- 形状や構造が異なり, それが新しい性質/機能をもたらすもの
- 特殊な性質をもつ物質で, システムに望ましい性質や機能をもたらすもの, など。
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[P14b. 曲面性, P26abc. コピーの利用, P27. 高価な長寿命より安価な短寿命, P31bc. 多孔質材料, P40. 複合材料]
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[S2-4.1,2,3,5 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル), S4-1.2 測定・検出の代わりをする変更, S4-2.2,3 測定システムの合成, S4-4 強磁性を利用した測定システムへの移行, S5-1.1.7,1.8,3 制約条件下における物質の導入, S Mann Cc4 (D2)]
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[T2. 空間の分割]
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変容させた/新規のオブジェクトを導入するにあたって, 導入の形態・やり方に関して,
- 空間的な配置を工夫し, 性質・機能が効果的になるようにする
- 時間的な処置を工夫し, 性質・機能が効果的になるようにする。
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[P24b. 仲介, P31d. 多孔質原理]
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[S5-1.1.4,4 制約条件下における物質の導入]
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[T2. 空間の分割]
(1f) 環境中のオブジェクトを導入する。
環境とは, 問題にしているシステムのすぐ周りにあり, 安価に入手しやすいものをいう。
(前項 (1e) でオブジェクトの変容/新規導入に用いるリソースとして, 見落とされやすく重要なので, 注意すべきものである。)
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[P25b. セルフサービス]
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[S5-1.1.9 制約条件下における物質の導入]
(1g) 固体のオブジェクトを, 粉体, 流体, 液体, 気体などのオブジェクトで置き換える。
システム中のオブジェクトとして, 固体/固相のものを用いている場合に, それを粉体にし, さらに流体・液体・気体などのさまざまな形態のもので置き換えると, 流動性・柔軟性・操作性・反応性などいろいろの面で特徴のある性質と機能を得ることができる。
これに対応して, 異なる適切な物質 (材料) を必要とすることも多く, 動作原理も異なることが多い。
前項 (1c) のオブジェクトの分割をさらに進めたものであるが, 大きな変化を必要とすることが多いで特記する。
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[P29. 空気圧および水圧構造, P30a. 柔軟な殻と薄膜]
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[T4. オブジェクトの分割]
(2) 属性次元法:
各オブジェクト (や物質) はさまざまの種類の性質 (すなわち「属性」) を持っているので, その性質を新しく使う/使わなくする/強化・活用することを考える。特に, これらの性質の空間的配置 (内部構造を含む) や時間的変動を効果的に使う。システム全体としての性質の向上も大きな目標である。

(2a) 有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする。
システム中の有害な属性を判別し, 使わないようにする, 関係しないうにする, もはや有害でなくなるようにする, 有害なものから有益な効果を得る。
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[P2b. 分離, P22abc. 災い転じて福となす]
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[H15ab. 有害作用]
(2b) 新しい有用な属性を, 使う (関与する) ようにする。
システムの既存のオブジェクトにおいて, いままで有効に使われていなかった有用な属性 (性質) を利用する (あるいは, 既存オブジェクトを変容させて有用な属性を導入する)。
さらに, 必要なら, このような有用な属性を持つオブジェクト (あるいは材料) で置き換え, それに対応した作用 (「場」) を導入する。
属性の種類は極めて多様であるが, 以下のようなものを考える:
光学的性質, 熱的性質, 質量関連, サイズ・形状, 表面・構造・内部構造, 力学的性質, 電気的性質, 磁気的/電磁気的性質, 化学的性質, 物理変化, 機能的な性質, 操作的な性質, など
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オブジェクトの色彩・透明性・反射率・屈折率など, 光学的性質に関する属性を活用する。
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[P32a. 色の変化]
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[T21. 色彩の利用の向上, T22. 透明性の増大]
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オブジェクトの温度・熱膨張率・熱伝導率・比熱・蒸発熱など, 熱的性質に関する属性を活用する。
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[P35d. 物理的/化学的パラメタの変更, P37ab. 熱膨張]
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オブジェクトの重量・密度 (比重)・質量分布 など, 質量に関連する属性を活用する。
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[S5-1.4 制約条件下における物質の導入]
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[T7. 密度の減少]
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オブジェクトのサイズ (長さ・面積・体積など) ・形状などに関する属性を活用する。
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[P4ab. 非対称, P14b. 曲面性]
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[T8. 非対称性の強化 ]
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オブジェクトの表面・構造・内部構造などに関する属性を活用する。
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[P30. 柔軟な殻と薄膜]
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[T2. 空間の分割, T3. 表面の分割]
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オブジェクトの柔軟性・強度・硬度・振動特性 (共鳴周波数など) など, 力学的特性に関する属性を活用する。
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[P35c. 物理的/化学的パラメタの変更]
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[S4-3.2,3 測定システムの改良]
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オブジェクトの電導性・電気容量・電荷・電圧など, 電気的性質に関する属性を活用する。
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オブジェクトの磁性, 誘磁率などの磁気的/電磁気的性質に関する属性を活用する。
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[S2-4.1,2,4,6 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
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オブジェクトの材料・組成・濃度・化学反応性・溶解度など, 化学的性質に関する属性を利用する。
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[P33. 均質性, P35b. 物理的/化学的パラメタの変更, P38abcde. 強い酸化剤, P39ab. 不活性雰囲気利用]
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オブジェクトの物理変化 (相変化) または化学変化可能な性質を活用する。
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[S5-1.1.8,3 制約条件下における物質の導入, S5-3.1 相転移の利用, S Mann Da6 (D3)]
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エネルギー形態の変換, 情報変換などを含む特殊な性質, 機能的な性質を活用する。
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[S Mann Cc4, Ce3 (D2)]
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[T1. 賢い材料 ◎]
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[H21. 変換]
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システムとしての機能の実現をサポートするような一般的属性で, 操作性・制御性・製造容易性などの操作的な性質に関する属性を活用する。
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[S1-1.2 "物質-場"モデルの合成, S4-2.1 測定システムの合成, S5-1.1.4 制約条件下における物質の導入]
(2c) 有用な属性を強調し, 有害な属性を抑制する。
有用な (しかしまだ不十分な) 属性を強調し, 有害な属性を抑制する。
使う属性の種類については, 前項 (2b) のものと同様である。 |
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それぞれのオブジェクト (とその部分) および環境の諸属性を再設計して, それぞれが要求される/望ましい条件を満たし, 必要な動作・作用を行うようにする。オブジェクトの変容や導入, 機能の変更や導入を伴うことも多い。
(2d) 空間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 空間的に配置/変化させる。
空間に関する属性でいままで使われていなかったものを導入し (あるいは使われていたものを拡張し), また, 空間での位置 (あるいはオブジェクトの部分) に応じて, 異なる属性を使ったり, 同じ属性の異なる値を使ったりする。
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オブジェクト (群) の配置や構造に空間的な秩序・構造を導入・拡張する。
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[H 8abcd 空間的秩序, H 9ab 形状の変化, H 10abcd 空間的パターン変化の周期, H 13abc 空間的重ね合わせ/分離]]
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空間に関する属性でいままで使われていなかったものを導入・拡張する。
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[P7a. 入れ子構造, P14ab. 曲面性, P17cde. もう一つの次元]
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オブジェクトに空間的な構造・内部構造を導入し, 諸属性 (または属性の値) を所によって変化させる。
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[P3ab. 局所的性質, P40. 複合材料]
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[S5-1.1.5 制約条件下における物質の導入]
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[T8. 非対称性の強化, T9. 境界の除去]
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[H 10abcd 空間的パターン変化の周期, H 11abcd 対称性, H 12ab 局所化]
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オブジェクトの空間での動きに関する属性を導入・拡張する。
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[P13b. 逆発想, P15ac. ダイナミック性]
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[S2-2.4 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上), S2-4.8 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
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[T10. 幾何学的進化 (線形), T11. 幾何学的進化 (ボリューム的), T12. ダイナミック化 ]
(2e) 時間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 時間的に配置/変化させる。
システムの動作段階, 処理時間, 時間周期などの時間に関する諸属性を導入・拡張し, また, それらに応じて, ある時と別の時とで, 異なる属性を活性化したり, 属性の値を変化させたりする。
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システムの動作段階, 処理時間, 時間周期などの時間に関する諸属性を導入・拡張する。
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システムのさまざまの時間的条件に対応して, ある時と別の時とで, 異なる属性を活性化したり, 属性の値を変化させたりする。
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[H 1b フェーズの異なる諸機能の統合, H 14ab 時間的要素]
(2f) オブジェクトの相を変える, 相変化を利用する, 内部構造を変える。
オブジェクトの相 (凝集状態) を変え, 相変化を利用し, また微細レベルでの内部構造を作りその諸属性を利用する。
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オブジェクトの相 (固相・液相・気相など) ・凝集状態を変える。なお, これに伴い, 適切な材料 (物質) に切り換えることも考える。 [(1g) も参照]
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[P29. 空気圧および水圧構造, P35a. 物理的/化学的パラメタの変更]
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[T4. オブジェクトの分割]
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オブジェクトの物質の相変化を利用し, 相変化に伴う物理的効果や, 二相共存状態での特別な性質を活用する。
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[P36a. 相変化]
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[S5-3.1,2,4,5 相転移の利用, S5-4.1,2 物理的効果の利用]
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オブジェクト中に空孔 (細孔) を導入するなどして, 非均質で秩序をもった内部構造を作る。この内部構造がもたらす新しい性質や機能を活用する。
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[P31a. 多孔質材料] [T2. 空間の分割]
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[S2-2.3,6 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上), S 5-1.1.1 制約条件下における物質の導入]
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[T6. 網目とファイバー]
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複数の材料 (物質) で内部構造を持つオブジェクトを構成し, 複合内部構造材料として, 新しい性質と機能を作り出す。
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[P31d. 多孔質材料, P40. 複合材料]
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[T2. 空間の分割]
(2g) ミクロのレベルの属性・性質を使う。
マイクロメートルスケール, ナノメートルスケール (さらに微細スケール) での構造・性質・相互作用を考慮して, 原理レベルから考えて問題を解決する。
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通常のマクロのスケールから, マイクロメートルスケール, ナノメートルスケールへと, 空間的に微細化して, そのようなミクロレベルで見たシステムの構造・性質・相互作用を (原理レベルから) 考え, またそれに基づいたシステムを実現して, 問題を解決する。
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[S3-2.1 ミクロレベルへの移行]
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[T5. マクロからナノスケールへの進化 (空間的) ]
(2h) システム全体としての性質・機能を向上させる。
( システムの構成要素としてのオブジェクト単位での属性や機能とは別に,) システム全体としての性質 (属性) と機能を考え, それらを向上させるようにシステム全体および部分を設計し, 改良・実現していく。
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現在のシステムが, 技術システムとして機能するための最小限の構成さえも備えていない場合には, 欠如しているオブジェクトまたは機能を補ない, 技術システムとして機能させる。
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技術システム全体として, 望ましい性質および目標とする機能を設定し, それらの性質・機能を向上させるように, 設計し, 改良・実現していく。目標とする性質にはつぎのものかある:
- エネルギー使用効率
- 人間の関与の減少と知能化
- システムの理想性 (有用作用/(質量+サイズ+エネルギー消費+有害作用))
- ロバストネス
- 市場の需要と顧客満足度
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[P12. 等ポテンシャル]
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[T15. (外部条件に対応した) 非線形性, T23. 顧客の購入の焦点, T24. 市場の進化, T25. 設計の観点, T29. 人間の関与の減少, T30. 設計方法論, T31. エネルギー変換回数の減少 (ゼロに)]
(3) 機能配置法
システムの主有用機能を達成するために, それを支える有用な諸機能 (および副次的に現れる有害な諸機能) を, 既存および変容させた/新規導入の諸オブジェクト間で適切に配置/再配置することを考える。諸機能の移動, 分割, 統合, 導入を伴う。諸機能を空間的に, また時間的に, 適切に配置/変化させることが必要であり, 適応・制御などの高次の機能がシステムをうまく働かせる鍵である。
(3a) ある機能を, 別のオブジェクトに担わせる。
既存の機能を, より適切な別のオブジェクト (既存または新規導入のもの) に移す。
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システムの一つのオブジェクトが持っている機能で, 不十分/過剰/有害なものを見出し, その機能を有効/有用/無害にするように, 別のオブジェクト (既存または新規のもの) に担わせる。
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[P2a. 分離, P24a. 仲介]
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[S5-2.2 制約条件下における場の導入]
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システム中の有用な機能を, より制御しやく効率的になるように, 別の物理的原理に基づく同種の機能で置き換える。これに伴い, 関連するオブジェクトや「場」を組にして置き換える。
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[P28. 機械的原理の代替, P29. 空気圧および水圧構造]
(3b) 複合した機能 (複数の機能) を分割して, 別のオブジェクトに担わせる。
既存の複合した機能を分割して, 別の (既存/新規導入の) オブジェクト (またはその部分) に移す。
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一つのオブジェクトが担っている複合した機能 (未分化の複数の機能) を分割して, 各機能をそれぞれ別のオブジェクト (またはオブジェクトの部分) に分担させ, より効果的に機能させる。
(3c) 二つの機能を統合して, 一つのオブジェクトに担わせる。
複数のオブジェクトの複数の機能を統合して, それらの機能を一つのオブジェクトに担わせる。
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複数のオブジェクトが担っている複数の機能を統合して, 新しい一つの (複合) オブジェクトが, それらの機能を同時に果たすようにする。もしどれかのオブジェクトが冗長になれば, 除去する。
(3d) 新しい機能を導入し, オブジェクトに担わせる。
システムの目標を達成したり, 問題を解決したりするために, 新しい機能を導入し, 既存または新規導入のオブジェクトに担わせる。
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システム (あるいはその部分) に新しい機能を導入するにあたっては, その機能の入手元について, つぎのような指針がある:
- システムの他の部分や周りの環境にすでに存在する「場」を活用する,
- システム中の既存のオブジェクトが持つ性質を活用する/親和性があるような「場」を導入する,
- システム中に, 新しい物質とそれに対応する新しい「場」とを組にして導入し, 有用/有効な機能を実現する,
- システム中の他の機能と, 協調・強化・補助・防止・保護・保障・制御などの関連にあるように, 新しい機能を導入・調整する。
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[S1-1.7 "物質-場"モデルの合成, S1-2.4 "物質-場"モデルの分解 (有害効果の除去), S5-1.1.2 制約条件下における物質の導入, S5-2.2,3 制約条件下における場の導入, S Mann Ce3 (D2)]
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[P13a. 逆発想, P22a. 災い転じて福となす]
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システムに新しく導入するとよい機能は極めて多様であるが, それらの機能を生み出すもととしてTRIZの「場」の認識からのつぎのような観点で考えるとよい:
- 力学的な「場」 に関連する機能
- 熱的な「場」に関連する機能
- 電気的な「場」に関連する機能
- 磁気的/電磁気的な「場」に関連する機能
- 光学的な「場」に関連する機能
- 化学的・生化学的な「場」に関連する機能
- 視覚, 聴覚, 味覚, 嗅覚などに関連する機能, その他の機能。
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[P8ab. つりあい, P14d. 曲面性, P18def. 機械的振動, P36a. 相変化]
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[S2-4.1 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル), S5-3.5 相転移の利用]
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[T21. 色彩の利用の向上]
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[H 21 変換]
(3e) 機能を空間的に配置する/変化させる, また, 空間での配置/移動/振動の機能を利用する。
機能 (群) を空間的に秩序をもって配置し, その空間的自由度を増す。また, オブジェクト (あるいはオブジェクトの属性) を空間的に配置する/移動する/振動させる機能を利用/強化する。 |
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機能が作用する空間的な位置について, (システム中の複数の) 機能を効果的/効率的にするような配置 (空間的秩序/空間的構造/空間的変化) を作るとともに, その配置の空間的な自由度を増し, また時間的に変化することも可能にする。
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[S2-2.5 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上), S2-4.9 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
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[T10. 幾何学的進化 (線形), T11. 幾何学的進化 (ボリューム的), T26. 自由度の増大]
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オブジェクトを空間的に配置する/移動する/移動させる機能を利用する。
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[P14c. 曲面性, P17abd. もう一つの次元]
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オブジェクトを振動させる。共鳴振動や超音波振動を利用する。
(3f) 機能を時間的に配置する/変化させる。
機能を働かせる時間 (タイミング) を適切に設定する。一つの機能についてそれが働く時間帯 (トリガーとなるもの, 動作条件), (比較的長時間での) 時間的変化, および短時間での変化 (パルス的, 周期的, 周波数) を適切に設定し, さらに, 複数の機能についての前後関係や相互のタイミングなども適切に設定する。
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機能 (群) を時間的に配置/変化させる。
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[S1-2.5 "物質-場"モデルの分解 (有害効果の除去), S2-2.5 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上), S2-4.9,10 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
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[H 1b フェーズの異なる諸機能の統合]
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一つの主たる作用を行おうとするときに, それを単純に行うと支障がある場合は, 事前に予備的な処理をしたり, 臨時的な保護処理をしたり, あるいは事後処理をしたりする。また, 作用の順番を変更・反転させたりする。
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[P9a. 先取り反作用, P10b. 先取り作用, P16. 部分的な作用または過剰な作用, P21. 高速実行, P24b. 仲介]
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[S1-1.6 "物質-場"モデルの合成]
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[H 2ab 事象の順番, H 7ab 事象の開始]
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(外部条件が変動する場合にも) システム中のオブジェクトが (長時間) 連続して望ましい動作ができるようにする。
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[P20ab. 有用作用の継続, P34b. 部分の排除と再生]
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機能を実行する速さを速くする, パルス的に作用させる, また周期的に作用させる。特に, システムの共鳴周波数に合わせた周期で機能を作用させる。
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[P18bc. 機械的振動, P19ab. 周期的作用]
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[H 3abcd 事象の速さ,H 4abc 周期性]
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複数の機能・作用を働かせる時間を調整して, 協調して同時に/順番に, あるいは干渉しないように交互に働かせる。
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[P 19c. 周期的作用]
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[S2-3.1,2,3 リズムの調整による進化]
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[H 2c 事象の順番]
(3g) 検出・測定の機能を実現する
検出・測定に際しては, できるだけ簡易・迅速にする (できれば, 検出・測定不要にする), また, 敏感で正確な属性を用いる。 [注: 次項 (3h) 参照]
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[S4-1.1,2,3 測定・検出の代わりをする変更]
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[T20. 諸感覚の利用]
(3h) 適応・調整・制御の機能を導入/拡張する
システムに適応・調整・制御などの機能を導入・拡張し, システムを高度化・知能化する。
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システムの高度化の基本として, 人間の関与を減少させる。
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システム中に, より制御しやすい「場」を導入し, あるいは置き換える。
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[S2-1.2 複合型"物質-場"モデルへの移行, S2-4.11,12 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル), S2-2.1 "物質-場"モデルの進化 (システムの効率を向上)]
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システム中のオブジェクトを, 適応可能な, より制御しやすい材料のもので置き換える。
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[T1. 賢い材料]
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[S2-4.7 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
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選択的な作用を適応的に起こすために, 物質を選択的に配置して誘導する。
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[S1-1.8.1,8.2 "物質-場"モデルの合成, S5-4.2 物理的効果の利用]
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システムの動作・作用などの機能について, それらの機能およびタイミングを調整したシステムにする。
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[T13. 作用の調整, T14. リズムの調整]
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[H 6abc 事象の同期]
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システムの機能の調整と制御のために, フィードバックシステム, その他の調整・制御機構を導入・強化する。
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[P23ab. フィードバック]
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[S2-1.1 複合型"物質-場"モデルへの移行]
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[T15. (外部条件に対応した) 非線形性, T28. 制御性, T28. 制御性]
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[H 5abce フィードバック]
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オブジェクトがセルフサービスで自身の動作を調整・調節・修復する機能を備える。
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[P25a. セルフサービス, P34b. 部分の排除と再生]
(3i) 同種の機能を別の物理原理 (形態) で達成する
ある機能 (特に力学的な原理で実現した機能) に対して, より効率的で制御しやすい原理を用いて同種の機能を実現する。
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[P28. 機械的原理の代替, P29. 空気圧および水圧構造]
(4) 解決策組み合わせ法
複数の解決策を, 機能的に, 空間的に, 時間的に, 構造的に, また, 原理レベルで, などのさまざまな観点から組合わせることにより, 長所を生かし, 短所を補い, また矛盾を克服した, 新しい解決策を作るこどができる。さらに, スーパーシステムに移行して, 解決する。
(4a) 機能的に組み合わせる。
複数の解決策を, それらの機能を関連づけることによって組み合わせる。特に, 因果関係でつながっている複数機能を組み合わせ, また, 相補的・対照的な複数機能を組み合わせる。
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因果関係の面から継続している複数機能を, 時間的に前後にして作用させ, よりよい解決策を得る。
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[P16. 部分的な作用または過剰な作用, P25b. セルフサービス]
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[S1-1.6 "物質-場"モデルの合成, S4-1.2 測定・検出の代わりをする変更]
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因果関係の面から継続している複数機能を, 時間的に並行して作用させ, 機能的に拡張・強化・抑制・防止などをした, より優れた解決策を得る。
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[P18f. 機械的振動, P22a. 災い転じて福となす]
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[S1-1.8.1,8.2 "物質-場"モデルの合成, S4-2.1 測定システムの合成, S4-3.1,2 測定システムの改良]
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相補的, 対照的な複数機能を, システムの異なる部分に組み込み, あるいは統合して組み込む。
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[P3c. 局所的性質, P6. 汎用性]
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[T13. 作用の調整 ]
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複数の機能を, 適応・制御・学習などを含む機能的な階層構造をなすように組み込む。
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[S1-2.5 "物質-場"モデルの分解 (有害効果の除去), S2-1.1,2 複合型"物質-場"モデルへの移行, S2-4.11,12 複合型強制"物質-場"モデル (F"物質-場"モデル)]
(4b) 空間的に組み合わせる。
複数の解決策を, それを適用する空間に関して組み合わせる。(干渉のない) 別の場所で, 分散した状態で, 横に並べて, 前後に繋いで, 上下にして, 同じ場所で交互に, 入れ子にして, 内部構造として, など。
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[P7ac. 入れ子構造, P12. 等ポテンシャル, P17ce. もう一つの次元, P31d. 多孔質材料]
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[T2. 空間の分割, T3. 表面の分割]
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[H 13a, 13b, 13c 空間的重ね合わせ/分離]
(4c) 時間的に組み合わせる。
複数の解決策を, それを適用する時間に関して組み合わせる。順次に, 事前に, 同時に並行して, 事後に, 逆順に, 交互に, パルス的に, 周期的に, 間歇的に, 条件に応じて割り込み/切り換えて, など。
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主要解決策の事前に, 前処理としての解決策を行う。
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[P9a. 先取り反作用, P10ab. 先取り作用, P11. 事前回避]
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主要解決策の事後に, 後処理としての解決策を行う。
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[P34a. 部分の排除と再生]
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[S5-1.1.8 制約条件下における物質の導入]
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時間的に並行して (あるいは交互に) 複数の解決策を行う。
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[P19c .周期的作用, P34b. 部分の排除と再生]
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[T14. リズムの調整]
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条件に応じて, 時間的にダイナミックに変化して, 複数の解決策を行うように組み合わせる。
(4d) 構造的に組み合わせる。
複数の解決策を, 異なる条件下で実施したり, 異なるレベルで実施したりするなど, 解決策を (階層) 構造的な観点から組み合わせる。
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異なる条件下でそれぞれ実行するように, 解決策を組み合わせる。
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[P3d. 局所的性質, P15d. ダイナミック性]
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[T25. 設計の観点, T30. 設計方法論]
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全体と部分など, 異なるレベルで実行するように解決策を組み合わせる。
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[S3-1.5 二重システムおよび多重システムへの移行]
(4e) 原理レベルで組み合わせる。
異なる基本原理に基づく複数の解決策を, 過渡期の対策として, ハイブリッドにして, 妥協させて, バックアップとして, バックグランドで実施するなどのやり方で組み合わせる。
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[P28. 機械的原理の代替]
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[T29. 人間の関与の減少]
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[H 16 矛盾 (対立), H 20ab 単純化/複雑化]
(4f) スーパーシステムに移行する。
現在問題としているシステムの果たすべき上位の主要機能/目的を考え, その目的のために存在している周辺のシステムと共同し・統合して, 上位のシステム (スーパーシステム) を構成・改良することにより問題を解決する。
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[S2-1.1 複合型"物質-場"モデルへの移行, S3-1.1,2,3,4 二重システムおよび多重システムへの移行]
(5) 解決策一般化法
各具体案を一般化して表現し, 解決策の雛形にして, 解決策のアイデアを連想的に発展させる。また, 解決策の階層的な体系を作る。
(5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる。
解決策の中の技術的用語を一般的・総称的な用語におきかえて, 解決策の平易な雛形を作り, 新しい解決策を連想的に考え出すようにする。
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[H 18ab 一般化, H 19 解決策の雛形]
(5b) 解決策の階層的な体系を作る。
多数の解決策をその概念の一般化/具体化の観点から階層的に分類・体系化し, 解決策の全貌を示す図を作り, 解決策検討の網羅性を向上させる。
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以上
注: 模式図に使っている記号について

左端の模式図: 基本的なシステムを示す。
楕円で示すオブジェクトが, 長方形で示すオブジェクトから, 矢印で示す機能を受けている。
[TRIZの用語では, 対象物質(S1)が, ツール物質 (S2) から, 「場」 (作用) (F) を受けている。]
オブジェクト: 楕円: オブジェクト (特に, 対象オブジェクト (機能の作用を受けるオブジェクト))
長方形: オブジェクト (特に, ツールオブジェクト (機能の作用を施すオブジェクト))
属性: 属性とは, オブジェクトの性質の種類 (すなわち, 性質のカテゴリ (値ではない)) を意味する。
各オブジェクトについて, さまざまの色やパターンで (関係する) 属性を示す。
上図の中央部のパターンはつぎのような属性を意図している。
固体, 粉末, 液体, 気体, 有害な属性, 空間的に変化している属性, ミクロレベルの属性。
機能: さまざまの形式の矢印で示す。
実線の矢印: 有益な機能
破線の矢印: (有益だが) 不十分な機能
太った矢印: 過剰な (だから, むしろ有害な) 機能
クロス模様の矢印: 有害な機能
他の3本の異なるパターンの矢印: 異なる機能であることを示す。
解決策: 角を丸めた長方形で示す。
最終更新日 : 2003. 4. 3 [追記: 2012.12.22] 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp