CrePS 講演 スライドとビデオ  中川 徹  


創造的な問題解決の方法論:TRIZ とその発展 
  〜イノベーションのための科学的方法〜 (講演スライドとビデオ)

中川 徹 (大阪学院大学 名誉教授) 

講演: アート思考研究会 (明治大学サービス創新研究所)
     2021年6月27日 (zoomオンライン) 

講演スライド: HTMLページ、 PDF
講演ビデオ: YouTubeで 公開 (6部構成)

掲載:  2021. 7. 7.

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  編集ノート (中川 徹、2021年 7月 5日)

前掲の案内ページのように、6月27日に明治大学サービス創新研究所 アート思考研究会の定例研究会にて、表題の講演をいたしました。事前に提出しました講演ビデオ(92分)を流し、その後(時間を超過して)約45分熱心な質疑応答をいただきました。

本ページには、下記のものを(総合した形式で)掲載いたします。

(A) 本HTMLページ: 講演スライド + ビデオ追加画像 (ビデオに対応して6部構成、各部の説明あり。)

(B)  講演スライドのPDF (標準画面サイズ 4:3)  (.pptx 62枚) (PDF 1.98 MB) 

(C)  講演ビデオ: YouTubeにて公開。6部構成にして、タイトル画像を追加。 合計 約95分 

アート思考研究会 サイト内案内:  https://artthinkingjapan.org/meetings/2292/

なお、これを機会に、YouTubeサイトに、新しく 「『TRIZホームページ』チャンネル(中川 徹)」を開設しました。別掲の案内を参照ください。

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研究会と講演の概要

Part (1/6) はじめに   

Part (2/6) 科学技術の現状   

Part(3/6) TRIZ   

Part (4/6) USIT   

Part (5/6) 6箱方式   

Part (6/6) 習得と実践   

 

 


 

 研究会と講演の概要

【講演内容】

問題意識:

問題解決/課題達成を創造的に行うための方法が、永年に渡って研究され、多数の多様なものが開発・実践されてきました。現在バラバラなそれらの全体を、まとめる骨格になる方式(パラダイム)がないのか?統合した一般的な方法論ができないのか?それを簡潔に実践するプロセスはどんなものか?

考察と研究の過程:

(1)科学技術の基本的な方法(抽象化の「4箱方式」)は、既存モデル外には適用しがたく、多様な「創造性技法」も、「ヒント」を探し、「ひらめき」を得ることに依存しています。

(2)  旧ソ連で開発された「TRIZ(発明問題解決の理論)」が、特許などの分析から、科学技術を活用する知識ベースの体系を作り、技術分野全般に使える形で発明のための思考法を作りました。90年代以後に世界に広がってきています。

(3) TRIZの影響下に、米国で問題解決の簡潔な一貫プロセス「USIT(統合的構造化発明思考法)」が開発され、日本に導入されて発展しました。

(4) USITで得られた「6箱方式」が、「創造的な問題解決の一般的方法」(CrePS)のための基本的なパラダイムになることを認識し、TRIZ/USITをベースに従来の多様な「創造性技法」を吸収・統合できると、中川が提唱しています。

現在の結論と提唱:

「6箱方式」が、創造的な問題解決のための基本の「パラダイム」です。
そのパラダイムに基づく「創造的な問題解決の一般的な方法論」を「CrePS(クレプス)」と命名しました。
「USIT(ユーシット)」が、それを簡潔に実践するプロセスです。

本講演では、上記の発展を解説し、身近な例題で(3)(4)の方法を示します。

 


 

 講演   スライド と ビデオ

講演スライド (PPTX 62枚) (PDF 1.98 MB) 

 

創造的な問題解決の方法論:TRIZ とその発展 
  〜イノベーションのための科学的方法〜      (中川 徹、2021年6月27日)

ビデオタイトル

本ページの 記述 PDF

ビデオ(YouTube)

Part (1/6)  はじめに

Part (2/6)  科学技術と創造性技法の現在 

Part (3/6)  TRIZ (発明問題解決の理論) 

Part (4/6)  USIT (統合的構造化発明思考法)

Part (5/6)  新しいパラダイム「6箱方式」 

Part (6/6)  習得と実践のために 

 

 

  Part (1/6) はじめに             `PDF     ビデオ  https://youtu.be/MUD3vf7AlWw

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これは全6部の講演の最初の導入部 Part (1/6) です。

動画は、明治大学サービス創新研究所 アート思考研究会(代表阪井和男教授)の定例研究会(オンライン)での講演(90分)の事前録画です。最初に自己紹介をしています。

本研究の問題意識は、「現在の科学技術全体も、多様な「創造性技法」も、創造的な問題解決の方法についての、基本方式(パラダイム)を欠いている。新たに見出す必要がある」ということです。その探求に、TRIZ(発明問題解決の理論)、そしてUSIT (統合的構造化発明思考法)が大きな示唆を与えました。そして、(USITから着想した)「6箱方式」が新しい「創造的な問題解決の方法の基本方式(パラダイム)」になることを見出しました。本章では、以上の問題意識と結論をまず提示し、その導出・認識の過程を順次説明する講演の流れを示しています。

 

     

     

    

    

    

 

 

  Part (2/6) 科学技術と創造性技法の現在       `PDF   ビデオ https://youtu.be/AGdrPvlrZzM

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これはそのPart(2/6)です。

この章では、現在の科学技術分野での普遍的な(常識になっている)認識を簡単に説明しています。科学技術の基本における「問題解決の方法」は「抽象化の4箱方式」です。自分の具体的な問題を、抽象化して、既知の一般化した問題とその解(すなわち、理論・モデル。簡単な例は、二次方程式と根の公式)を、ヒントにして、自分の具体的な解決策を考えよ、と言います。ただ、「創造的な問題解決」が必要なときというのは、使える既知の理論・モデルが無い(分からない)ので、困っているのです。
そこで、先人が発見・発明したときの経過が多数研究されました。一般的に分かったことは、「事前に基礎知識を学習しており、強い問題意識を持って長期間ああでもないこうでもないと思考/試行していた。あるリラックスした心理状態のときに、突然アイデアがひらめき、一気呵成に解決した」。この知見をベースにして、さまざまなアプローチ、(一般に「創造性技法」と呼ばれる)さまざまな方法が研究・実践されています。しかし、それらは、ばらばらで、しっかりした基本概念、基本方式、体系を持ちません。

現在の科学技術は、「創造的な問題解決」のための、基本方式(「パラダイム」)を持たないままで、何億人もの人々の試行錯誤と経験によって、進展を続けているのです。

 

     

    

    

    

    

 

 

 

  Part (3/6)  TRIZ (発明問題解決の理論)         `PDF    ビデオ  https://youtu.be/TDLKEV1p28U

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これはそのPart (3/6)です。

この章では、「創造的な問題解決の方法」を初めて本格的に開発したTRIZについて説明しています。TRIZは「発明問題解決の理論」と称しています。旧ソ連で、ゲンリッヒ・アルトシュラーが、1946年に着想し、多くの弟子たちとと共に70年代、80年代に確立したもので、90年代以後全世界に広がって、発展しています。特許をはじめ科学技術の情報をフルに使う、思考・実践法が特徴です。(技術)システムの進化の方向、目的機能から適用可能な原理と技術を知る方法、諸特許のアイデアのエッセンスをまとめた「40の発明原理」、改良したい側面と悪化する側面の矛盾を解決するのに使われた発明原理を知る方法、一つの側面での二律背反の矛盾を解決する方法、などなど、膨大な知識ベースとその活用思考法を樹立しました。

ロシアから、米・欧・日・韓・中など全世界に広がり、製造業を中心に諸企業に伝わり、ビジネスや社会の問題への適用、(特に欧州で)大学での研究など、広範な普及を示しています。

TRIZは上記の諸方法を、それぞれ「抽象化の4箱方式」を使って実施しようとしますので、全体プロセスが複線的で、複雑です。また、膨大な知識ベースを使いますので、習得すれば強力ですが、習得に時間が掛かる難点があります。

 

     

    

    

    

    

    

    

    

    

 

 

 

  Part (4/6)  USIT (統合的構造化発明思考法)       `PDF    ビデオ  https://youtu.be/1V-Z2cHT4BM

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これはそのPart (4/6)です。

この章では、「創造的な問題解決の方法」の簡潔な一貫プロセスであるUSITについて説明しています。USITは、1995年に米国フォード社のエド・シカフスが開発したものです。TRIZを大幅に簡略化したイスラエルのSIT法(1980年代)を取り入れ、実験物理学の素養で、すっきりした一貫プロセスを創りました。(TRIZとは逆に)知識ベースやハンドブックに頼らず、問題解決の思考プロセスをガイドすることに集中した方法です。問題を定義する(5観点からきちんと書き出す)、現在のシステムを(構成要素、その属性(性質)、機能、時間と空間の面から)分析する、理想をイメージする、5つの解決策生成法を繰り返し使って、概念的な解決策を生成する、という方法です。

1999年に中川がUSITを日本に導入し、以後USITは日本で独自に発展しました。特に、TRIZの多様な解決策生成法を全てばらして、USITに分類・統合し、5種32サブ解法からなる「USITオペレータ体系」を作りました。また、USITの全体プロセスの理解から、(次章に述べる)「6箱方式」という概念を明確にしました。

本章では、「裁縫で針より短くなった糸を止める方法を作れ」という具体例(大阪学院大学での卒業研究の成果)を例示しています。

 

     

    

    

    

    

    

 

 

  Part (5/6)  新しいパラダイム「6箱方式」      `PDF    ビデオ  https://youtu.be/qXSdjqUE6tM

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これはそのPart (5/6)です。

この章では、「創造的な問題解決の方法」の新しい基本方式(「パラダイム」)として、中川が提唱しています「6箱方式」について説明しています。これは、USITの全体プロセスを、フローチャート表現でなく、データフロー表現で書いたときに、認識したものです。データフロー表現は、入力情報、中間情報、出力情報を順次(箱に入れて)描いていくもので、箱と箱の間の処理法を規定しません(人がそれぞれ違う考え方をし、知識を使ってもよい)。

まず、「現実の世界」で(現実世界の価値判断で)、(第1箱)「問題」を認識し、(第2箱)「解決したい問題」を定義します。そして「思考の世界」で、(できるだけ自由に考えるチームと場を作り、技法に従って)問題解決を図ります。そのために、(第3箱)「現在のシステムの理解(構成要素、属性(性質)、機能、時間・空間、仕組みと問題の根本原因など)と理想のイメージ」を得ます。そして、(第4箱)「新しいシステムのためのアイデア」を得、それを練って(第5箱)「概念レベルの解決策」を作り上げます。それを、「現実の世界」に戻し、(第6箱)「新しい商品やサービス」として実現し、市場に出し(あるいは社内で実施する)のです。

従来の「抽象化の4箱方式」の「一般化した問題」や「一般化した解決策」とは異なり、第3箱、第4箱についての指針がずっと明確です。「6箱方式」で、「思考の世界」での方法が明確に確立されましたが、「現実の世界」は多様であり、様々な問題を持っていますから、それらを順次明確にしていくことが、今後の大きな問題です。

本章では、具体例として、前章の「裁縫の問題」の他に、「水洗トイレの節水化の問題」(二律背反の矛盾を韓国のK.W. LeeらがTRIZで解決したもの)を示しています。

 

     

        

        

     

      

      

     

 

 

 

  Part (6/6)  習得と実践のために      `PDF    ビデオ  https://youtu.be/HcEhPeFtBk4

イノベーションに代表される「創造的な問題解決の方法」について、基本になる新しい考えとその実践法を説明しています。これはその締めくくりの Part (6/6)です。

以上、本講演で明確にしたのは次の点です。
    -    「6箱方式」が(従来の「抽象化の4箱方式」に代わる)「創造的な問題解決の新しいパラダイム」であること。
     -    USITが「6箱方式を実践する簡潔な一貫プロセス」であり、
     -    TRIZの各種知識ベースはUSITを補完するものとして使うとよい。
     -    各種の「創造性技法」は「6箱方式」で位置づけなおして理解し、使うと良い。

本章では、「創造的な問題解決の方法」を学び、実践するための、実際的な補足をし、つぎの項目を述べています。
     ・   情報源: 『TRIZホームページ』、教科書
     ・   USITのトレーニングセミナーのやり方
     ・    (TRIZ/) USITの (企業などへの)導入のやり方と「勘どころ」
     ・   USIT習得者の役割(ファシリテータ)、USITでのアイデア発想
     ・   TRIZ導入の効果を実証した例(ドイツUhrnerのデータ)
     ・   世界と日本におけるTRIZの普及の状況。

 

     

      

 

       

      

      

      

    

 

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研究会と講演の概要

Part (1/6) はじめに   

Part (2/6) 科学技術の現状   

Part(3/6) TRIZ   

Part (4/6) USIT   

Part (5/6) 6箱方式   

Part (6/6) 習得と実践   

 

 

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最終更新日 : 2021. 7. 7     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp